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映画『時計じかけのオレンジ』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『時計じかけのオレンジ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『時計じかけのオレンジ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『時計じかけのオレンジ』の結末までのストーリー
  • 『時計じかけのオレンジ』を見た感想・レビュー
  • 『時計じかけのオレンジ』を見た人におすすめの映画5選

映画『時計じかけのオレンジ』の作品情報

時計じかけのオレンジ

製作年:1971年
上映時間:137分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:スタンリー・キューブリック
キャスト:マルコム・マクダウェル、パトリック・マギー、エイドリアン・コリ、オーブリー・スミス etc

映画『時計じかけのオレンジ』の登場人物(キャスト)

アレックス(マルコム・マクダウェル)
性と暴力をこよなく愛する15歳の少年。刑期を軽減する為、とある治療を受けることになる。
ミスター・フランク(パトリック・マギー)
アレックスが忍び込んだ家の家主。アレックスに暴力を振るわれる。
デルトイド(オーブリー・モリス)
更生委員。アレックスの中に潜む狂気に気がついていた。

映画『時計じかけのオレンジ』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『時計じかけのオレンジ』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『時計じかけのオレンジ』のあらすじ【起】

舞台はイギリス、ロンドン。15歳の少年、アレックスは仲間と共に刺激的な毎日を送っていた。自分達をギャングと称する彼らの毎日は、暴力と性欲に満たされている。そんな彼らの行動は見るに耐えないものだった。酔っ払いやホームレスを集団で襲っては、彼らは上機嫌に笑っているのだ。

また、アレックス達は「交通事故を起こしたので電話を貸してほしい」という名目で、一軒の家に入り込んだ。しかし、それは真っ赤な嘘。アレックス達は『雨に唄えば』を歌いながら、その家主であるフランクに暴力を振るい、そして彼の妻にレイプするのだった。

そんな狂気的な側面を持つアレックスだったが、家庭環境には恵まれていた。アレックスは両親に愛されているにも関わらず、この様な歪んだ性格となったのだ。そんなアレックスの真の姿を、更生委員であるデルトイドは見抜いていた。一方、アレックス達は次なる獲物を見据えていた。しかし、アレックス達の暴行は既に新聞に掲載されており、危機感を持った住民が警察に連絡したのだった。

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映画『時計じかけのオレンジ』のあらすじ【承】

通報されたことを知らないアレックスは、強硬手段を使い家内に忍び込む。しかし、密かにアレックスに対し反感を抱いていた仲間の裏切りにあい、彼は頭を殴られ1人家の中に取り残されてしまうのだった。そして、アレックスはそのまま警察に逮捕されてしまう。

アレックスが襲った人物が死亡してしまったこともあり、アレックスには14年の懲役が言い渡された。刑務所に入った以降のアレックスは、誰もが認める模範囚となった。しかしアレックスは自らの行いを反省しているわけではなく、ただ模範囚に与えられる刑期軽減の権利を得ようとしていただけだった。

そんなアレックスは、ルドビコ式心理療法という治療の噂を耳にする。なんとその治療を受ければ、2週間で釈放されるというのだ。アレックスは直ぐに治療に志願し、早速プログラムが開始された。そのプログラムとは、臀部に筋肉注射をする事と、とある映像を毎日見るという非常にシンプルなものだった。しかし、日を重ねていくうちにアレックスはこの治療の恐ろしさに気がつくことになる。

映画『時計じかけのオレンジ』のあらすじ【転】

この治療の目的は「暴力と性に対して嫌悪感を抱くようになること」。朝から晩まで、アレックスは暴力と性に関連するビデオを見せられた。そんなアレックスを、身体に打った薬の副作用である吐き気が襲う。目を逸らそうとしても、それは許されない。眼球を固定し、瞬きすらも許さない機械を設置されているためである。

そして、そんな日々が2週間続き、とうとう治療は終了した。実験者達はその効果を見定める為に、アレックスに対して暴力を振るう。アレックスはそれに抗おうとするが、暴力に対して吐き気を催してしまう彼の身体は十分に動かない。見事治療が成功した事に、実験者達は満足げにアレックスを日常生活へと戻すのであった。

アレックスに対して行われた治療は新聞に取り上げられ、全国民の知るところとなる。そんなアレックスに対して1人の老人が声をかけてくる。その老人は、かつてアレックスが仲間と共に暴力を振るった相手であった。老人はアレックスに復讐を果たす為、仲間と共に彼を襲うのであった。

映画『時計じかけのオレンジ』の結末・ラスト(ネタバレ)

アレックスを殴り続ける老人を止めたのは2人の警察官だった。何と、その警察はかつてのアレックスの仲間だったのである。彼らは路地へとアレックスを連れ出すと、彼をボコボコにするのであった。

満身創痍のアレックスは、助けを求めるようにたまたま見かけた一軒の家に入っていく。しかし何とその家は、かつてアレックス達が暴力を働いたフランク夫婦の家だったのだ。フランクはアレックスが口ずさんでいた「雨に唄えば」を聞き、アレックスの正体に気がつく。アレックスはその家から逃げ出そうと、二階から身を投げた。

しかし、彼は生きていた。目覚めたアレックスは病院で横たわっており、そして何と、彼にかけられた洗脳は全て解けていた。あの後、治療が青年を死に追いやったとして政府が攻め立てられていたのだ。アレックスは内務大臣と手を組み、自由気ままな生活を保障される。そして性と暴力のことを思い浮かべながら、満足げに笑みを浮かべるのであった。

映画『時計じかけのオレンジ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

常人には考えられない、思いつかないようなシーンが多々ある。しかし人間が誰しも持っている「欲望」というものを最大限に膨張させ、尖らせたようなこの映画は、様々な要因から多くのファンの心を掴んだのだろう。
単純に怖いという感情や嫌だという感情を誰しもが持つと思う。しかし冷静に分析すると映画としてとても優れた作品なのだ。人間の狂気を、映画という作り物でここまでリアルに伝えているからこそ、この作品は評価されている。(男性 20代)


トラウマ映画です。初めて観た当時はまだ子どもでしたので、ただただ暴力と性描写が不快でした。映像と音楽のミスマッチも不気味さをより際立てているのでしょう。キューブリックの社会風刺と言われる今作ですが、「不快」、「憤怒」、「不条理」をストレートに投げかけることで訴えたかったのかもしれません。その意味ではトラウマ映画と呼ばれることの多い評価は、むしろ好評と捉えられるのでしょう。
ただ、お子様にはやっぱり向かないと思います。確か15禁でした。(女性 20代)


性と暴力のシーンは見るに堪えないほど狂気じみているが、リアリティーをもって人間心理の根底にあるものが映像化されている。そこに正義や道徳といったものは皆無。
どんな人からも自由を奪ってはいけないし、誰にも奪う権利はない。管理された社会と欲望のままに生きる自由奔放なアレックスとの対比が、社会問題をも突き付けてくるようだ。
劇中でアレックスが歌う「雨に唄えば」の優雅さと、やっていることの残虐さといったギャップに恐怖した。上映当時の衝撃は相当なものだっただろう。(女性 20代)


不気味さの中で、犯罪を軽快に行っているこのバランスが好きな人は多いのではないだろうか。さすがキューブリックの作品といった、おしゃれかつカラーバランスも上手い。反社会的なストーリーと裏腹に、インテリアも美しいのでそこにも注目してみてみるとまた面白い。

最後は与えられた使命感を持っているかのように、更生できずに不気味な笑みを浮かべるアレックスの姿にはあっぱれと言いたい。『雨に唄えば』を聴くと、この映画を思い出すくらいの強い印象と衝撃を受けた映画だ。(女性 20代)


胸糞映画だと知人から言われ、知っていたので、ある程度覚悟して鑑賞しました。正直映画初心者の私にはストーリーがあまりにも倫理的・道徳的に逸脱しすぎていて抱いた気持ちをうまく表現できないのですが、映像の構図、撮り方やバックミュージックの選曲が本当に格好よく、センスの才能が爆発している作品だと思います。戦争の白黒映像が流れるなかベートーベンの「第九」を流したりなど、常人ではなかなか生まれない発想を映画という形にしているのがすごいと思います。もう少し大人になってから観ると、今回とは違う感想を持てたりするのだろうかと感じました。また観てみたいです。(女性 20代)


タイトルのセンスの良さに惹かれて観たら、なんだかものすごいものを観てしまった。
面白さと不気味さが紙一重で進んでいくストーリー、スタイリッシュなのにどこか不安になる世界観、強烈すぎてまったく感情移入できない主人公、すべてが独特で、魅力的で、気が付いたらその狂気に取り込まれている。
50年近くも前の作品だが、まったく古さを感じない。未だに熱烈なファンがいるのも納得の作品である。
おそらく私は今後ベートーヴェンの『交響曲第9番』を聴くたびに、この作品を思い出すのだろう。(女性 30代)


ちょっと不思議なストーリーとスタンリー・キューブリックの映像により、様々な感情を刺激する独特の世界観を味わえる一本。初めの内はなにが起こっているのかさっぱり分からないし、とりあえず暴力が発生するので入りづらい部分もあった。しかしベートーヴェンを敢えて「ルードヴィヒ・ヴァン」と連呼することのおかしみに気づいたあたりから次第に引き込まれていった。奇妙な衣をまとってはいるが、人が人を利用する形であるとか人の感覚を矯正していくあたりは実は現実社会にも起きていることなのだろう。(男性 40代)


これほど強烈で、叙事的で、暴力を陳述したような映画は他にない。観る人を選びそうな内容ではあるが、スタンリー・キューブリックの表現力と、独特な音楽センスには引き込まれてしまう。

ラストは様々な解釈を生んでいるみたいだが、映画のテーマの一つとして、精神病患者と決めつけて行われる強制的な統制の問題や、終わることの無い暴力の連続性があると思う。更生も虚しく、暴力性を取り戻してしまったアレックスにはゾッとした。(女性 20代)

映画『時計じかけのオレンジ』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『時計じかけのオレンジ』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

ファニーゲーム U.S.A.

この映画を一言で表すと?

観客の倫理を揺さぶる、究極に不快で残酷な“心理実験映画”。

どんな話?

休暇を過ごす一家のもとに現れた、礼儀正しい若者2人。彼らは突如家族を拘束し、“ゲーム”と称して次第に暴力的な行為を加えていく。観客をも巻き込む構造と皮肉たっぷりの演出が際立つ問題作。

ここがおすすめ!

『時計じかけのオレンジ』と同様、暴力と快楽、そして“人間性”の境界を問う作品。マイケル・ハネケ監督の挑発的な演出は賛否を巻き起こすが、それこそがこの映画の価値。観る者に問いを突きつけてくる一作。

未来世紀ブラジル

この映画を一言で表すと?

管理社会の中で夢を見続ける男の、奇想天外なディストピア幻想。

どんな話?

近未来の全体主義国家で、書類処理ミスから巻き込まれた男が、夢に見た理想の女性を探し求めながら反体制に目覚めていく。現実と妄想の境界が曖昧になる、風刺とユーモアに満ちたSF作品。

ここがおすすめ!

暴力と支配、体制批判という点で『時計じかけのオレンジ』と通じる。テリー・ギリアム監督の独特な世界観とビジュアルセンスは一度見たら忘れられない。寓話的でありながら、鋭く現代社会をえぐる名作。

レクイエム・フォー・ドリーム

この映画を一言で表すと?

夢が壊れていく瞬間を、鮮烈かつ絶望的に描く衝撃作。

どんな話?

薬物依存に陥る青年とその母、恋人、親友。彼らはそれぞれ“夢”を追うが、依存によってその夢は狂気と破滅へ変わっていく。独特の映像編集と音楽が観る者を圧倒する。

ここがおすすめ!

『時計じかけのオレンジ』が暴力と自由意志を描いたなら、こちらは“欲望”と“現実”を容赦なく見せつける。ダーレン・アロノフスキーの演出が光り、後味の悪さすら芸術に昇華している衝撃の一本。

スキャナーズ

この映画を一言で表すと?

超能力者同士の戦いが暴走する、カルト的サイキック・ホラー。

どんな話?

テレパシーや念動力を持つ「スキャナーズ」と呼ばれる者たちが存在する世界。政府と企業の陰謀の中、主人公は自らの能力のルーツと向き合いながら、仲間との壮絶な対決に挑む。

ここがおすすめ!

人間の力と社会との衝突、そして破壊的な衝動というテーマは『時計じかけのオレンジ』と共鳴する。頭が爆発する有名シーンは今なお語り草。80年代カルトSFホラーの代表作としておすすめ。

アメリカン・ヒストリーX

この映画を一言で表すと?

憎しみは連鎖する――差別と暴力の根源に迫る社会派ドラマ。

どんな話?

白人至上主義のネオナチ青年が刑務所での経験を経て改心し、同じ道を進もうとする弟を止めようとする。しかし社会はそう簡単に彼らを赦してくれない。暴力と贖罪を描いた重厚な人間ドラマ。

ここがおすすめ!

『時計じかけのオレンジ』のように、“暴力とは何か”“更生とは何か”を鋭く掘り下げる。エドワード・ノートンの鬼気迫る演技が全編に張り詰めた緊張を与え、観終わった後に強烈な余韻を残す作品です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    「博士の異常な愛情」や「2001年宇宙の旅」に共通する、未来的な得体の知れない恐怖感が漂うSF作品である。幻想というものを決してファンタジックに描かず、ダークで無機質な神経症的描写は正直受け付けない人も多いだろう。「突撃」や「スパルタカス」はカーク・ダグラスが制作の主権を握っていたのでキューブリックらしさは窺えないが、「現金に体を張れ」や「ロリータ」などではすでにその闇の部分を窺うことができ、後年の「シャイニング」ではスティーヴン・キングの原作と相俟って、無機質な狂気が波状で襲いかかってくる。その独特な映像の強烈さは特筆されるところであるが、フェリーニをはじめとするヌーヴェルバーグの監督ほどの芸術性は感じることはなく、印象的でありながらも身近なリアリティをストレートに伝えてくる生々しさが魅力である。

  2. 匿名 より:

    言わずと知れたキューブリックの傑作だが、社会的観念から暴力を描くという視点でも、未来への警鐘というメッセージなどもなく、嫌悪感や狂気みたいな心理をリアルに表現したかったのではないだろうか。初の長編「恐怖と欲望」のタイトルにあるように、キューブリックは本来、何かに特化したメッセージはそれほど抱いておらず、人間心理の深淵をビジュアル化するというところに表現の拠り所を求めていたのではないかと感じるのだ。本作はその方法論として、社会に蔓延する暴力や性描写、洗脳などを利用しているに過ぎず、啓蒙的な思想などが内包されている描写は窺えない。舞台を近未来に据えているのも、表現を膨らますためにはリアルな現在より極端に誇張し空想的に描けるからではないだろうか。描こうとしても映像として捕らえることが不可能と思われるような心理を追究し、辿り着いた独自の世界観がフィルムに染みついている希な映像作家である。

  3. 匿名 より:

    道徳的な観点で本作を観ても何も得られないだろう。キューブリックの作品に一貫して流れるのは、倫理観や道徳というものにはほど遠い描写というものに徹底した表現であり、ストーリーはその表現を取り巻く枝葉のようなものでしかない。ヌーヴェルバーグの流れの影響ではないのだろうが、キューブリックの真価はストーリーというものに重きを置かず、表現という概念を前面に据えて映画を作るムーブメントの先駆けになったところである。アメリカで生まれ育ちながら全くアメリカを感じさせない革新的な作風は、伝統的なフランスやイタリアとも異なり、前衛的という点ではイギリスのイメージがピッタリ当てはまる。本作を含めたSF三部作は最もイギリス的な妖しさに満ちている。