映画『エレファント』の概要:アメリカのコロンバイン高校で起きた銃乱射事件に触発されて製作された作品、2人の高校生が高校で銃乱射事件を起こすまでを描いた群像劇で、カンヌ国際映画祭でパルムドール賞と監督賞に輝いた。
映画『エレファント』の作品情報
上映時間:81分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:ガス・ヴァン・サント
キャスト:ジョン・ロビンソン、アレックス・フロスト、エリック・デューレン、イライアス・マッコネル etc
映画『エレファント』の登場人物(キャスト)
- ジョン(ジョン・ロビンソン)
- 父親の飲酒に手を焼いている男子生徒。顔が広く友達も多い。
- イーライ(エリック・デューレン)
- 写真部に所属する男子生徒で、周囲の人の写真をあちこちで撮っている。
- アレックス(アレックス・フロスト)
- ピアノが上手な男子生徒。ネイサンたちのいじめに遭っており、銃乱射事件を引き起こす。
- エリック(エリック・デューレン)
- アレックスと仲良しの男子生徒で、アレックスと共に事件を起こす。
- ミシェル(クリスティン・ヒックス)
- 図書館で働く女子生徒で、外見が冴えないために陰口を言われている。
- ネイサン(ネイサン・タイソン)
- スポーツができてイケメンの男子生徒で、女子生徒の人気がある。
映画『エレファント』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『エレファント』のあらすじ【起】
車が蛇行しながら住宅街を走り抜け、側道に止められた車への接触を繰り返す。車に乗っているのは通学途中のジョンで、ジョンの父が酔っぱらい運転をしていた。ジョンは父を助手席に座らせ、自分で運転する。森の中を歩いていたイーライは偶然出会ったカップルの写真を撮らせてもらい、学校に向かう。ジョンは学校に着くと父に車で待つように言い、兄に電話して迎えに来るように頼む。そこに校長先生が現れて、遅刻したことを注意される。
高校のグランドでは、男子生徒がラグビーに興じており、その周りを女子生徒がランニングをしていた。運動を終えたネイサンは、赤い上着を着て校舎を目指す。廊下ですれ違った3人組の女子生徒から羨望のまなざしを浴びる。ネイサンは恋人と落ち合い、総務課で外出許可を取る。
ジョンは総務課で兄のために車のキーを預けると、誰もいない教室で涙を流す。そこに友人の女子生徒がやって来て様子を聞く心配してくれる。イーライは廊下でジョンとすれ違い、ジョンがお尻を叩いている写真を撮る。ジョンはそのまま外に出て、犬とじゃれ合う。そこに大量のバッグを抱えたエリックとアレックスが現れ、ジョンに校舎に近づくなと警告する。
映画『エレファント』のあらすじ【承】
物理の授業で、アレックスはネイサンとその仲間に物を投げられて嫌がらせを受ける。アレックスは鏡の前で汚れを払うと、カフェテリアに向かう。アレックスはカフェテリアを注意深く見渡し、メモを取る。横にいた女子生徒から何を書いているのかと聞かれて、作戦の計画だと説明する。アレックスは家に帰ると、ミルクを飲んで地下室に下りていく。
イーライが校舎に入ってきて廊下を歩いて写真部の部室にやって来る。イーライはカメラからフィルムを抜き出すと現像するためにフィルムを液体に浸す。そしてフィルムを干して乾かす。
体育の授業に出ていたミシェルは一人だけ長袖長ズボンの服装だったことで先生から注意される。ミシェルは体育館のシャワールームに入り、着替えをする。背後には女子生徒が集まっており、陰口を話している。ミシェルはそれを無視してシャワールームを出て行く。
写真部の暗室でイーライは他の部員と一緒に現像作業をしながら、お互いの写真について論評し合っていた。イーライが現像した1枚は森の中で撮ったカップルの写真だった。部室を出たイーライはジョンとすれ違い、イーライはジョンがお尻を叩いている写真を撮る。2人は別れ、イーライは図書館に入る、図書館ではミシェルが返却された本を棚に戻していた。
映画『エレファント』のあらすじ【転】
女子生徒3人組が廊下で議論していると、ネイサンが通りかかる。3人はカフェテリアに向かい、昼食を選んで窓に近い席に座る。3人がダイエットの話をしていると、窓の外ではジョンが犬とじゃれていた。3人はそのまま恋人や友情についての話をし、放課後に買い物に行く計画を立てる。3人はそのままカフェテリアを出てトイレに入るとさっき食べたばかりの物を吐き出す。
アレックスは地下のピアノでベートーベンのピアノソナタ第14番「月光」を演奏する。そこにエリックが訪ねてくる。エリックはアレックスの演奏している横でパソコンのシューティングゲームをして遊ぶ。演奏を終えたアレックスはパソコンで銃の販売サイトを見る。2人がヒトラーのドキュメンタリーを見ていると、宅配業者が荷物を届けにやってくる。アレックスは箱を開けて中から自動小銃を取り出す。2人はガレージに行き、そこで自動小銃を試射してみる。
シャワールームから出て来たミシェルが急いで廊下を歩いて行く。ミシェルはイーライがジョンのお尻を叩いている姿を撮っている脇を走り抜けていく。図書館に着いたミシェルは返却された本を棚に並べるように指示される。その背後で自動小銃を装填する音が聞こえる。
映画『エレファント』の結末・ラスト(ネタバレ)
アレックスとエリックはシャワーを浴びて身支度を整える。そして学校の見取り図を見ながら作戦を再確認する。車で学校に向かった2人はバッグを抱えて校舎を目指す。そこでジャックとすれ違い、校舎に近づかないように警告する。ジャックは嫌な予感がして、他の生徒達に近づかないように声を掛ける。武装した2人は、廊下を歩いて図書室に入ると銃を装填する。アレックスは装填音を聞いて振り返ったミシェルをまず撃ち殺す。図書室にはイーライもいた。アレックスとエリックは次から次へと銃を乱射していく。
女子生徒3人組がいたトイレにアレックスが入ってきて3人を撃ち殺す。エリックは廊下で校長先生と遭遇する。エリックはいじめの相談にしっかり乗るようにと説教してから校長を撃ち殺す。銃声を聞いたネイサンと恋人はカフェテリアの方角に逃げていく。アレックスもカフェテリアにやって来る。そこにエリックが現れて声を掛けてくるが、アレックスはエリックのことも撃ち殺してしまう。すると奥から物音が聞こえ、アレックスはキッチンの様子を見に行く。キッチンの冷蔵庫を開けると中にネイサンと恋人が隠れていた。アレックスは「どちらにしようか」と言いながら先に撃つ相手を選ぶ。
映画『エレファント』の感想・評価・レビュー
高校生たちの何気ない一日が一変して銃乱射事件が起こるまでを描いた衝撃作。高校生1人1人の学校生活の様子を丁寧に描いているだけに、その後の悲劇の重みが増して感じられる。ガス・ヴァン・サント監督の最高傑作と言っても過言ではないだろう。本作の基となったコロンバイン高校の銃乱射事件は、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー『ボウリング・フォー・コロンバイン』でも扱われている。(MIHOシネマ編集部)
1999年にアメリカで起きた「コロンバイン高校銃乱射事件」をモデルにして作られたこの作品。映画とは思えないほど「普通」の時間が流れるため、その普通さがとてもリアルで恐怖を感じました。
高校生の何気ない日常。それは楽しくて明るいだけで無く、それぞれが色々な問題を抱えて悩んでいる状態。それこそが日常でした。
何気ない、当たり前の日常を「普通」に描いているので、犯行のきっかけや動機が全く掴めず、いい意味で「呆気なく」終わってしまいました。とても心に残る作品です。(女性 30代)
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