映画『イン・ディス・ワールド』の概要:アメリカ同時多発テロ後の国際情勢を捉え、パキスタンに暮らすアフガニスタン難民の少年がイギリスを目指して密入国を繰り返しながら旅する姿に迫った作品。ドキュメンタリータッチで描かれている。
映画『イン・ディス・ワールド』の作品情報
上映時間:89分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー
監督:マイケル・ウィンターボトム
キャスト:ジャマール・ウディン・トラビ、エナヤトゥーラ・ジュマディン etc
映画『イン・ディス・ワールド』をフルで無料視聴できる動画配信一覧
U-NEXT | × |
---|---|
Hulu | × |
Amazonビデオ | × |
dTV | × |
TELASA | × |
TSUTAYA DISCAS | × |
ビデオマーケット | × |
Netflix | × |
※動画の配信情報は2022年5月時点のものです。配信状況により無料ではない場合があります。最新の配信状況は各動画配信サービス(VOD)の公式サイトでご確認ください。
映画『イン・ディス・ワールド』の登場人物(キャスト)
- ジャマール(ジャマール・ウディン・トラビ)
- パキスタンにあるアフガニスタン難民キャンプで暮らす孤児。英語を話せるためにエナヤットに同行することになる。自分で思いついた冗談を言うのが好き。
- エナヤット(エナヤトゥーラ・ジュマディン)
- アフガニスタン難民で、将来のことを案じた家族の計らいでイギリスを目指すことになる。英語が話せず、旅の途中でジャマールから英語を習う。
映画『イン・ディス・ワールド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『イン・ディス・ワールド』のあらすじ【起】
2002年、パキスタン北西部のアフガニスタン難民キャンプで、ジャマールは煉瓦工場で働いていた。ジャマールは車で移動してペシャワルの街中までやって来て、エナヤットとその家族に会う。皆で食事を囲みながらエナヤットの家族は、エナヤットをロンドンに連れて行きたいと頼み、ジャマールは手伝える人を紹介すると約束する。
ジャマールとエナヤットが仲介業者に会いに行く。エナヤットの家族はエナヤットに未来のある生活を送らせたいと頼み、仲介業者は陸路での移動になり、死の危険を伴うことを説明する。エナヤットが英語を話せないためにジャマールも同行することになる。しばらくすると、ジャマールはペシャワルに来るように言われる。そしてエナヤットらと共に仲介業者の紹介で密入国業者と会い、その場で密入国業者に金の支払いをして預かり証を受け取る。
めかし込んだエナヤットは家族から餞別の品を贈られ、お別れの挨拶を交わす。ジャマールも難民キャンプの子供らに見送られてお別れをする。ジャマールはバス停でエナヤットと合流し、身分証明書と切符を受け取ってバスに乗り込む。エナヤットの家族は悲しそうにその姿を見送る。
映画『イン・ディス・ワールド』のあらすじ【承】
クエッタに着いた2人は電話で業者に連絡を取り、車に乗って民家まで移動する。ジャマールはエナヤットに冗談を話しかけながら眠りにつく。翌朝再びトラックに乗って移動を開始する。道中ジャマールはエナヤットに英語を教える。砂埃の中、暗闇の中、2人は移動を続ける。ジャマールとエナヤットは町に着く度に、業者に会いに行って次の移動手段を確保する。しかし、途中の検問所で止められて手荷物検査を受けることになってしまう。検問所の軍人がエナヤットの荷物からウォークマンを見付けたため、ジャマールはそれを賄賂として差し出す。2人は何とか旅を再開できたが、エナヤットはジャマールが勝手にウォークマンを渡したことを怒る。
ようやくイランに着いた2人はイラン人の密入国業者に連絡を取る。業者は2人をイラン人らしい服装に着替えさせて、部屋に案内する。10日が経ち、業者は2人をテヘラン行きのバスに乗せ、テヘランでの連絡先を渡す。バスは検問所にさしかかり、荷物検査を受ける。軍人がバスに乗り込んできて乗客を調べ始めた。軍人は2人がアフガン人だと見破り、バスから降ろさせる。2人は荷物を調べられた上、パキスタンに送り返されてしまう。
映画『イン・ディス・ワールド』のあらすじ【転】
ジャマールとエナヤットはパキスタンで再び業者に会いに行く。エナヤットは靴に隠していた米ドルを渡して、イランへの密入国の手配をしてもらう。2人はバスで移動して遂にテヘランに辿り着く。業者に連絡を取り、しばらく隠れ家で過ごした後、2人はフルーツを運ぶトラックの荷台に隠れて移動を開始する。
車を乗り換えた2人はトルコ国境に近い山岳地帯の小さな村にまで連れて来られる。村人に食事を振る舞われ、2人は村の子供達とサッカーを楽しむ。子供がジャマールのために靴を買ってきてくれる。2人は子供の案内で山を登り、真夜中の雪山を越えようとする。途中で馬を連れた人達とすれ違い、警備兵に注意するように言われる。警備兵が発砲している姿が見え、ジャマール達は身を伏せて隠れる。案内の子供は逃げてしまうが、2人はそのままトルコを目指す。
トルコに着いた2人は家畜に紛れて移動する。その途中でデンマークを目指す3人の親子連れと出会う。全員でトラックの荷台に載って、イスタンブールにまで着く。トルコ人の密航業者と会うと、部屋まで案内される。2人は工場で働きながら過ごす。しばらくして再び移動が始まり、ジャマールとエナヤットは親子連れと共にトラックの荷台に載せられる。
映画『イン・ディス・ワールド』の結末・ラスト(ネタバレ)
5人は大型トラックのコンテナに詰め込まれる。大型トラックはそのままフェリーに乗り込み移動を続ける。コンテナの中には他にも大勢の人がおり、途中で息苦しくなってくる。皆で外に出すように騒ぐも応答はなく、エナヤットは気分が悪くなって静かになってしまう。フェリーはトリエステに到着し、大型トラックは再び移動を開始する。コンテナが開けられた時には、エナヤットは亡くなっており、ジャマールだけが生き延びる。
イタリアの通りで物売りをするようになったジャマールは、レストランで食事をしていた人の財布を盗む。ジャマールはそのお金でパリ行きの切符を買って列車に乗り込む。ジャマールは遂にドーバー海峡にまで辿り着く。そこにはイギリスに密航しようとする人が大勢待機していた。ジャマールはそこにいた人たちと親しくなる。
ジャマールは知り合った仲間と共にイギリスに向かうトラックの荷台の下にこっそり隠れる。トラックは海底トンネルを走りイギリスに向かう。ロンドンに着いたジャマールはレストランで働くようになる。ジャマールはパキスタンに連絡を取ってイナヤットが亡くなったことを告げ、モスクで祈りを捧げる。
映画『イン・ディス・ワールド』の感想・評価・レビュー
会話が最小限に抑えられ、各地を転々する2人の姿を追いながら旅を疑似体験する構成になっている。とにかく映像と音楽で引き込ませてくれ、感情に訴えてくる作品だ。中東の地理や情勢などを多少把握していないと説明不足に感じるかもしれない。マイケル・ウィンターボトム監督は本作にも通じるテーマの作品として『グアンタナモ、僕達が見た真実』と『マイティ・ハート/愛と絆』を撮っているので、そちらも観ることをお勧めしたい。(MIHOシネマ編集部)
何も行動を起こさずに一生「我慢」していき続けるか、危険を冒してでも希望を持って行動し「自由」を手に入れるか。自分だったらどんな道を選ぶだろうと考えさせられる作品でした。
難民キャンプで暮らす2人の少年が夢や希望を持ち、亡命を試みるお話。日本というあまりにも「平和」すぎる国で生まれ育った私は、この地から離れたいと思ったこと自体1度も無かったので、少年のような境遇は簡単に理解できるものではありませんでした。
亡命するということは「命」の危険も伴うということ。そして「運」次第だということ。とても切なくなりますが、これがリアルだということも思い知らされました。(女性 30代)
パキスタンの難民キャンプからロンドンを目指し、必死の逃避旅をする少年の姿が描かれています。全くうまくいかない現実、仲間との別れ、あまりにも悲惨な障害が少年たちを襲います。ドキュメンタリー形式の撮影のため没入感が強く、胸が締め付けられる場面がいくつもありました。この作品の製作国がイギリスであることにやや皮肉を感じますが、難民問題は確かに存在しているため、しっかり目に焼き付けるべき作品だと思います。(男性 20代)
みんなの感想・レビュー