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映画『夏美のホタル』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『夏美のホタル』の概要:河合夏美と恋人の相羽慎吾は写真学校に通っていた。慎吾はプロの写真家になる自信がなく、実家に帰って酒屋を継ぐことを考える。慎吾の思いを聞いた夏美は、亡き父の形見の品であるバイクに乗って山村に出かけた。

映画『夏美のホタル』の作品情報

夏美のホタル

製作年:2016年
上映時間:108分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:廣木隆一
キャスト:有村架純、工藤阿須加、淵上泰史、村上虹郎 etc

映画『夏美のホタル』の登場人物(キャスト)

河合夏美(有村架純)
写真学校に通っている。プロの写真家になるか悩んでいる。父は亡くなっており、形見のバイクを大切にしている。
相羽慎吾(工藤阿須加)
夏美と同じ学校に通っている。夏美の恋人。プロの写真家になる自信がない。実家の酒屋を継ぐか、悩んでいる。
榊山雲月(小林薫)
仏師。離婚しており、養育費を払っている。恵三の友人。口が悪いが、友人思いの優しい一面もある。
福井恵三(光石研)
子供達から地蔵さんと呼ばれている。山村で母のヤスエと2人暮らし。小売店を営んでいる。事故により、片足が不自由。

映画『夏美のホタル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『夏美のホタル』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『夏美のホタル』のあらすじ【起】

写真学校に通う河合夏美は、同じ学校に通う相羽慎吾と付き合っていた。ある日、慎吾から写真家になる夢を諦め、実家に帰って酒屋を継ごうと思っていることを告げられる。夏美は慎吾に失望し、怒りを露わにした。

夏美はバイクで山村に出かけ、風景をカメラに収めた。川沿いにテントを張り、そこで夜を明かした。次の日、夏美は近くにある小売店を訪れた。店主の福井恵三は、子供達から地蔵さんと呼ばれ慕われていた。

夏美は恵三に誘われ、家にお邪魔することになる。恵三は母のヤスエと2人暮らしだった。夏美はスイカを御馳走になりながら、ホタルを探していることを話した。しかし、最近は見なくなったと言われる。恵三達は川沿いの近くで泊まっていることを知り、増水すると危ないので家に泊まることを勧めた。夏美はキャンプを楽しんでいたこともあり、断った。

夏美は恵三に誘われ、ヤスエと子供達と一緒にホタルを探しに行くことになった。恵三は建築現場の事故により、片足が不自由で杖を突きながら歩いていた。夏美がこの場所にホタルを探しに来たのは、父と幼い頃に来たことがあったからだった。父は既に亡くなっていた。話を聞いた恵三は、ライトを使ってホタルを真似た。夏美と子供達は嬉しそうにそのライトを眺めた。

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映画『夏美のホタル』のあらすじ【承】

夏美は恵三達の写真をもっと撮りたいと思い、家に泊まらせて欲しいと頼んだ。願いはそれだけではなく、風呂に入りたいとも思っていた。恵三達はカメラで撮られることに照れながらも、快く夏美を迎え入れた。

慎吾が来たため、夏美は駅まで迎えに行った。小売店に戻ると、恵三に慎吾も泊まらせて欲しいと頼んだ。恵三は不機嫌になりながらも、承諾した。慎吾は子供達と遊び、夏美はその姿をカメラに収めた。

小売店に仏師の榊山雲月がやって来た。雲月は夏美達に家賃はいくら払うのだと問い、ただで居座る気ではないかと難癖をつけた。夏美は怒り、恵三達と話はついていることを明かした。空き部屋の掃除と店番を手伝い、食費を払う予定だった。雲月は夏美の怒りを無視し、酒を持って立ち去った。

慎吾は一緒に実家に帰って欲しいと夏美に頼んだ。夏美がプロポーズなのか問うと、否定される。慎吾は一緒に帰るだけで、すぐに結婚する気はなかった。夏美は何も言わず、その場を離れた。

夏美は父の写真を見ながら、幼い日のことを思い出した。夏美の父は元バイクのレーサーだった。夏美が辞めた理由を問うと、父は怖くなったからだと答えた。幼い夏美は、カッコ悪いと無邪気な笑顔を見せた。現在、夏美が乗っているバイクは、父が所有していたものだった。夏美は父を思い、目に涙を溜めた。

映画『夏美のホタル』のあらすじ【転】

皆で花火を行った。その時、家族の話になった。雲月は離婚しており、養育費の支払いに追われていた。恵三も離婚していたが、養育費を払う甲斐性もなく雲月のことを羨んでいた。夏美はレーサーを辞めて仕事漬けだった父を思い、それで幸せだったのかと憂いた。すると、恵三から家族のために働けるのは幸せだと慰められる。

恵三が突然倒れ、病院へと運ばれた。動脈瘤破裂だった。病院に駆けつけた雲月は、元妻に知らせることを勧めた。だが、ヤスエはそれを頑なに拒否した。別の日、夏美達もヤスエに、家族に連絡して欲しいと頼んだ。しかし、拒否され、帰ってくれと言われてしまう。

慎吾は説得を諦めて帰ろうとした。夏美はすぐに諦める慎吾に苛立ち、怒りをぶつけてしまう。冷静になった後、夏美は怒ったことを謝罪すると、亡き父に対しての思いをポツリと呟いた。夏美は自分のせいで、父がレーサーの夢を諦めたのではないかと悩んでいた。

恵三が目を覚ました。家族を呼ばなくて良かったと笑っていたが、どことなく表情は寂しそうだった。そんな中、ヤスエは医師から、恵三の容態が油断できない状態だと言われる。夏美はもう一度家族に連絡してあげて欲しいとヤスエに頼んだ。ヤスエも恵三の嘘を見抜いていたため、家族に会いに行くことを決めていた。夏美達に一緒に家族の元へ行って欲しいと頼んだ。

ヤスエは夏美達と一緒に、恵三の元妻の美也子に会った。2人が別れたのは、恵三の意思によるものだった。事故で片足が思うように動かなくなり、自分と一緒にいては幸せになれないと思ったからだった。ヤスエは美也子に対して申し訳なく思っていた。美也子は恨んでおらず、会いに行くことを約束した。しかし、息子の公英は義父のことを気にして、行かないと言っていた。

映画『夏美のホタル』の結末・ラスト(ネタバレ)

美也子は1人で病室を訪れ、ヤスエ達は帰ろうとした。すると、公英が現れた。ヤスエ達は公英と一緒に病室に戻った。恵三は公英を抱き締め、自分の子供に生まれてきてくれてありがとうと思いを伝えた。

慎吾は自信がないことを夏美のせいにしていたことを謝罪し、逃げないことを伝えた。慎吾が選んだのは、酒屋を継ぐことだった。慎吾は夏美に別れを伝え、電車に乗り込んだ。夏美はバイクに乗り、電車を追いかけた。しかし、慎吾が気づくことはなかった。夏美は立ち止まり、泣きじゃくった。

夏美は現像した写真を恵三とヤスエに見せた。恵三は幸せを噛みしめながら、「3つ目の恵みをもらうことができた」と呟いた。その言葉は夏美が持っている写真にも父の字で書かれていた言葉だった。恵三は夏美の父に会ったことがあることを打ち明けた。夏美の父は仲間をレースで亡くし、落ち込んでいた。夏美の父がプロを続けるべきかどうか悩んでいたため、恵三は「人生にある3つの恵み」の話をした。1つ目はこの世に生まれてくる喜び、2つ目は親に愛される喜び、3つ目は親になって子供を愛する喜び。恵三は夏美の父を思い、夏美のことを深く愛していたのだろうと話した。

夏美は川でホタルを見つけ、父への感謝の言葉を呟きカメラのシャッターを切った。その後、恵三が亡くなり、葬儀が営まれた。慎吾も駆けつけ、夏美と再会した。実家に帰った慎吾は、毎年変わらない味を守ることも大事だと気づき、夏美や恵三に報告に来たのだった。

夏美は雲月に恵三の写真を渡し、仏像を彫って欲しいと頼んだ。しかし、今すぐに代金を全額支払うことはできなかった。夏美はお金を稼ぐために写真を撮ることを止め、人を笑顔にするための写真を撮ろうとしていた。それは、恵三達に出会って抱いた思いだった。雲月は彫る条件として、仏像を守るための祠を作るよう指示した。その費用として、夏美から渡されたお金を返した。夏美は感謝し、頭を下げた。

3年後。夏美は大きくなったお腹を抱え、慎吾と一緒に山村に向かった。夏美はシャッターが下りている小売店をカメラに収めると、近くにある祠を見に行った。そこには、恵三だけでなくヤスエの仏像もあった。その後、夏美は慎吾と一緒に、思い出の川に向かった。

映画『夏美のホタル』の感想・評価・レビュー

ごくごくありふれた日常が描かれており、緩やかな物語が楽しめる作品だった。登場人物達は将来や家族のことについてそれぞれ悩みを抱えているのだが、無理矢理解決に持ち込むような力任せな物語ではなかったところが良かった。有村架純の演技はとても自然で、将来のことや恋人との関係に悩む女の子役が合っていたと思う。派手なシーンやワクワクするシーンはないが、印象に残る作品だった。ふと力を抜きたいときに見ることをお勧めしたい。(MIHOシネマ編集部)

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