映画『黒い箱のアリス』の概要:悲惨な事故により右手を失った少女。彼女はある日、自宅付近の森の中で大きな黒い箱を発見する。同じ頃、恋人に乱暴されたという少女とその弟を父親が救助。2人を自宅に滞在させることになった。黒い箱と姉弟の出現により、父子に悲劇が訪れる。
映画『黒い箱のアリス』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:ホラー
監督:サドラック・ゴンサレス=ペレヨン
キャスト:ロウェナ・マクドネル、ジュリアン・ニコルソン、アイデ・リサンデル、マルク・プッジェネル etc
映画『黒い箱のアリス』の登場人物(キャスト)
- アリス(ロウェナ・マクドネル)
- 右の肘から手を失った少女。事故のせいで最愛の母と右手を失い、事実を受け入れられず苛立っている。森で黒い箱を発見し、次第に使いこなすようになる。常に無表情で淡々としており、強い怒りを胸に秘めている。
- アダム(ジュリアン・ニコルソン)
- アリスの父親。過去に悲惨な交通事故を起こし、妻ベアトリスを亡くし娘アリスの右手を奪ってしまう。深い罪悪感に苛まれ、娘に強く言えず常に慮っている。
- エリカ(アイデ・リサンデル)
- アダムが森で発見した少女。暴行された痕があり、金髪で妖艶。アリスより幾つか年上で恋人デヴィッドの復讐へ手を貸す。
- ポール(マルク・プッジェネル)
- エリカの弟で言葉を話さない少年。姉の言うことは絶対で、アリスを色仕掛けで落とそうとする。デヴィッドの復讐に手を貸す。
- デヴィッド(ウィル・ハドソン)
- エリカの恋人。過去にあった不幸な事故のせいで両親を失い、事故の原因となったアダムを恨んでいる。恋人エリカと弟のポールに協力してもらい、復讐しようとする。
- ベアトリス(ルーシー・ティレット)
- アリスに母と呼ばれている白い犬。首輪に会話ができるスピーカーが装着されており、会話することができる。匂いで危険や不穏を察し、アリスを守ろうとする。
映画『黒い箱のアリス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『黒い箱のアリス』のあらすじ【起】
右腕の肘から下を失い最新の義手を装着することになったアリス。義手は装着後に強く念じることで脳内の電気信号を読み取り、思う通りに動かすことができるものだった。しかし、何事も使い慣れるには練習が必要である。アリスは太い木の棒ですら持ち上げられず練習を厭い、すぐにいじけて父親アダムに強く当たるのだった。
自宅は森に囲まれた静かな場所にある。逃げ出した彼女は森の中で大きくて真っ黒な箱を発見。手をかざすと箱に穴が開く。中を探ってみると1枚のメモが入っており“彼らを信用してはならない”と書かれていた。すぐさま自宅へ戻ったアリス。
すると、娘を探して森へ足を向けていたアダムが、傷ついた少女と少年を発見し救助して来る。
2人は姉弟らしく姉をエリカ、弟をポールと言った。ポールは言葉を話さないらしい。エリカから恋人デヴィッドに暴行され森に放置されたと事情を聞いたアリス親子。自宅に一晩泊めることになった。
その日の夜、アリスが母と呼ぶ飼い犬のベアトリスが姉弟を偵察。ベアトリスには会話ができるスピーカーが装着されており、危険な匂いがすると話す。更に窓から森の向こうに何かがいると危険を察知。アダムに知らせ警戒したが、相手は逃げたのか何もなかった。
翌日、アリスの要望により、アダムは姉弟をもう一泊滞在させることにする。ポールから促しがあったため、義手を使う練習をしたアリス。彼女は義手を上手く使えないことに酷く苛立ち、すぐに諦めようとするが、ポールは根気強く練習を促す。だが、鉛筆ほどの木の棒を摘まむことができず。練習中ふと、アリスはアダムとエリカの姿が見えないことに気付いた。
映画『黒い箱のアリス』のあらすじ【承】
エリカはアリスよりも多少、年上のように見えるが、すでに恋人デヴィッドとは体の関係がある。まさか、アダムまでも誘惑されているのではと疑念が過った。
案の定、親密な雰囲気を醸していたエリカとアダムを発見してしまいアリスは、怒りを爆発。どうやら、アリスが右手を失い母親のベアトリスをも亡くしたきっかけは父アダムにあるようだ。彼は娘から悪し様に罵られても、深い罪悪感から強く出られない様子。母ベアトリスを亡くしたアリスは、飼い犬を母親だと思い込んで現実を受け入れようとせず、同時に右手を失ったことにも苛立ちを感じているようだった。
アダムと言い合いをしたアリスは、飼い犬ベアトリスを連れて家を飛び出して行く。そして、例の黒い箱へと向かった。彼女が手をかざすと、やはり穴が開き中にはメモが入っている。そこには“黒い時計で4時になったら話す。ヘッドホンで聴け”と書いてあり、音声データが入っているのだろうミニメモリーが同封されていた。
夕方の4時を待って、音声データを再生したアリス。彼女は録音された音声の指示に従い、不審者が外にいると告げアダムを外へ。音声は次にポールをキッチンに呼び殺せと言う。じきにエリカも来るため、彼女も殺せと言うのだが、アリスは姉弟を殺すことができなかった。
映画『黒い箱のアリス』のあらすじ【転】
その日の深夜、姉弟は恋人のデヴィッドと3人で共謀し、アダムを殺害してしまう。1人残されたアリスは、アダムの遺体を目にして泣きながらベアトリスを探し、犬までも無残に殺されているのを見つけてしまうのであった。
ひとしきり慟哭し疲れ果てて眠ってしまったアリス。翌朝、黒い箱の元へ向かい何らかのアドバイスを得ようとしたが、箱は一切反応せず。苛立ちを募らせ泣きながら叫ぶと、ようやく箱が反応。中に入れるくらいの大穴が開く。そうして、彼女は黒い箱の中へ入ってしまうのだった。
すると、不思議なことに時を遡り、デヴィッドがエリカを暴行しているシーンへ行くことができる。アリスはその様子を逐一、スマホで録画。夜になったら自ら茂みに隠れ、自宅に不審者が近づいていると演出し、音声データを聞く自分の前に覆面をして現れた。
そして、過去のアリスを部屋へ戻し、自分が姉弟を殺すことにする。
アダムを外へ向かわせた後、キッチンへポールを呼び寄せ殺害。そこへエリカがやって来る。しかし、彼女は弟が殺されても笑うだけで、茫然とするアリスから包丁を奪ってためらいもなく腹部へ。エリカはそのまま姿を消してしまう。腹部を刺されたアリスはそのまま息絶えてしまうのだった。
映画『黒い箱のアリス』の結末・ラスト(ネタバレ)
外の見回りから戻ったアダムは、血塗れになったポールの遺体を発見後、居間で息絶えているアリスを発見して咽び泣く。だが、そこへ過去のアリスが現れ茫然とする。状況把握のため、アリスは録音された音声データを父に聴かせた。それを聞いたアダムは、娘の言うことを信じることにする。そして、森にある黒い箱の存在を教えてもらった。アリス曰く、恐らくあれは一種のタイムマシンなのではないかとのこと。
アダムは娘から明かされた証拠を目にし、姉弟と何らかの関係性を疑ったが、思い当たる節はなく。そこで、実際に黒い箱の前へ行ってみた。それは確かにそこにあって、親子が近づくと反応する。アダムとアリスは神妙な面持ちで箱の中へ入った。
自分が殺されるシーンへ戻ったアダムは、自宅に侵入して来たデヴィッドと対峙する。彼はアダムに両親を殺されたのだと明かした。それは不幸な事故のせいであったが、両親を失ったデヴィッドにとっては復讐に値する出来事だったのだろう。アリスは彼の背後に迫り、脳天にナイフを突き刺して殺してしまった。
全ては過去に起こった不幸な事故のせいである。そのせいで、母ベアトリスは命を落としアリスは右手を失った。そして、両親を失ったデヴィッドは復讐を誓うのだ。アリスはあの日に戻って事故を防ごうと考え、アダムと共に義手を使いこなす練習を行い、綿密な計画を立てた。そして、鍛錬を積んだ彼女は元凶を取り除くべく、黒い箱へと入るのだった。
映画『黒い箱のアリス』の感想・評価・レビュー
詳細の説明はほとんどなく、セリフと演技力で勝負している様子が窺える。淡々とした流れでありながらどこか不気味な雰囲気が常に漂っており、独特な空気を作り上げている。突如、ヒロインの前に現れた箱の謎も解明されることなく、恐らくはタイムマシンのような物としか察することができない。その設定もまた、作品に不気味さを与えている。
中盤までは森で発見された姉弟を助けて介抱した父子という展開で、ここまでは普通にあり得る話である。だがその後、ストーリーは突如として急展開。とにかく180度並みに方向が変わるため、セリフや演技に注目していないとついていけない可能性も。設定や演出が光る独特な作品である。(MIHOシネマ編集部)
急に現れた黒い箱に謎の姉弟。彼らがどこから現れたのか、なぜ現れたのかも分からずそれを説明することも無いので、考えながら見ていく作品でした。
箱の謎や姉弟の謎、そして恋人の登場など、少しずつ謎が明らかになってくるとその後はテンポ良く進んでいくので、終盤は意外とあっさりしていました。父と協力してどうにか過去の事件を無かったことにしようとするアリスでしたが、きっと上手くいかないだろうなと思ってしまいました。(女性 30代)
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