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映画『犬猿』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『犬猿』の概要:広告会社の営業である和成の部屋に、出所してきた兄の卓司がやってくる。印刷所の社長を引き継いだ由利亜は妹の真子のだらしない仕事ぶりに苛立ちを募らせる。犬猿の仲の二組の兄弟姉妹は、だんだんとストレスを溜め始め……。

映画『犬猿』の作品情報

犬猿

製作年:2017年
上映時間:103分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:吉田恵輔
キャスト:窪田正孝、新井浩文、江上敬子、筧美和子 etc

映画『犬猿』の登場人物(キャスト)

金山和成(窪田正孝)
広告会社の営業マン。仕事で由利亜の印刷所に世話になっている。おとなしく人当たりのよい性格。兄の卓司には、その凶暴性ゆえに逆らうことができない。
金山卓司(新井浩文)
和成の兄。金庫を盗もうとしたが、タレこみにより警察に逮捕された。出所後、起業して海外から輸入した商品を売り、金持ちになる。
幾野由利亜(江上敬子)
幾野印刷所の社長。元社長だった父が病に倒れたため、代わりに社長に就任した。頭が良く、仕事に対しては凄くまじめで厳しい。和成のことを好いているが、自分の容姿に自身がないため積極的ではない。
幾野真子(筧美和子)
由利亜の妹。印刷所で働く傍ら芸能関係の仕事もしている。頭の良い姉に対してコンプレックスを持っているが、容姿の良さでバランスを保っている。

映画『犬猿』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『犬猿』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『犬猿』のあらすじ【起】

金山和成は広告会社で営業の仕事をしていた。彼の父親は友人の借金の保証人になったばかりに自身も多額の借金を抱えてしまった。和成はその借金を返そうと地道にがんばっていた。

和成にはもうひとつ悩みがあった。それは彼の兄・卓司についてのことだ。卓司は乱暴で、町に住む強面の男たちからも一目置かれていた。危険でどうしようもない卓司のことが和成は怖く、とても嫌いだった。

ある日、刑務所に入っていた卓司が出所してくる。卓司は土木事務所の金庫の金を盗もうとして逮捕されていた。何者かのタレこみにより計画がバレたのだ。計画を知っていたのは仲間たちと、卓司がうっかり話した和成だけだった。卓司はしばらくの間、和成の部屋に住まわせてくれと言いだす。

幾野由利亜は小さな印刷所の社長をしていた。父が寝たきりになってしまったため、仕方なく社長となったのだ。由利亜は頭が良かったが見た目はずんぐりとして太っており、お世辞にも美人とは言えない容姿だった。由利亜とは反対に彼女の妹の真子は美人で、しかも巨乳だった。

真子は印刷所で働きながら、同時に芸能事務所にも登録していた。姉にはない美しい容姿を持っていることは彼女に優越感を与えたが、頭のほうはとても悪く、仕事では足を引っ張ってばかりいた。

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映画『犬猿』のあらすじ【承】

卓司は和成の頭を悩ませ始める。好き勝手に部屋に居座って金を貸せと強要したり、勝手にデリヘルを呼んだりし、和成は心労を溜めていく。

和成と由利亜は仕事で繋がりがあった。由利亜は和成に好意を持っていたが、和成には特別な気持ちはなかった。恋焦がれる姉の姿を見た真子は、姉と和成を含めた三人で食事に行こうと誘いをかける。

真子も一緒だったが和成との食事に胸を躍らせる由利亜。だが、食事中に卓司から電話があり、彼もその場にやってきてしまった。食事に加わった卓司は、近々、海外のダイエット食品を使って起業しようと考えていることを話した。それを聞いた和成は失敗するのではないかと顔を曇らせる。

クライアントからクレームを受け、広告を作り直さなければならなくなった和成は、由利亜の印刷所にお願いに行った。無理を聞いてくれた由利亜だったが、その代わりに和成と遊園地に行きたいと言いだす。和成は快諾し、二人は遊園地で楽しい時間を過ごした。タオルをプレゼントされた由利亜は、ますます和成のことを好きになっていく。

卓司は和成の貯金を勝手に下ろし、その金で起業しようと考えていた。当然、和成は反対したのだが正月がやってきた頃には、卓司は成功してBMWを乗り回すほど金持ちになっていた。和成が少しずつ返していた父の借金も、大金を手にした卓司によって全額返済された。嬉しいことだったが、和成は成功していく卓司が面白くなかった。

真子は由利亜にかわいいTシャツをプレゼントしたが、あからさまにサイズが小さく由利亜は着ることができなかった。真子は姉の容姿の悪さをからかってばかりいたが、由利亜の頭の良さには嫉妬していた。

高そうな部屋に住み、大型テレビに高級ワインなど贅沢に暮らす卓司。和成は羨ましくないと口では言っていたが、自分との違いに苛立ちが募り始める。

由利亜は和成と仕事の話をしている最中、和成が真子と付き合いだしたことを告げられて驚愕の表情を浮かべた。真子の仕打ちに憤怒した由利亜は、和成や真子に厳しい態度を取るようになりだした。和成にお願いされた仕事もできないと言って断ってしまう。

映画『犬猿』のあらすじ【転】

和成と真子は互いに卓司と由利亜のことが大嫌いだったが、自分以外の他人に兄や姉の悪口を言われるのは気分が悪かった。

卓司は両親のために高級マッサージチェアを買うが、あまり喜ばれない。和成のことばかり言う両親に次第に腹を立てはじめる。

由利亜は和成のことが忘れられず、一度は断った仕事をもう一度引き受けたいと言いだす。だが、その仕事は別の業者が決まっていた。和成と真子の関係が良好なことに苛立った由利亜は、衝動的に真子の悪口を並べ立ててしまった。

映画出演のチャンスを掴もうとプロデューサーと関係を持った真子。だが、ラブホテルで密会していたところ、デリヘルと共にやってきていた卓司と遭遇してしまう。和成に知られたくなかった真子は、内緒にしてほしいと卓司にお願いした。

ある日、和成に両親から電話が入り、卓司を捜して警察が来たと告げられる。卓司が起業して海外から輸入していたのはダイエット食品ではなく違法ドラッグだった。関係者の多くは捕まったが、卓司は行方をくらませていた。

和成は、あのアニキが変われるはずがない、アホなことばかりして自業自得だと笑った。その顔を見た真子から、卓司が失敗して嬉しそうに見えると言われた和成は複雑な表情を浮かべ、大急ぎで弁解した。後日、部屋に卓司がひょっこり現れ、かくまってくれと居座った。卓司は騙されたのだと口にしたが、和成はその言葉を全く信用していなかった。

真子は和成に、姉につき纏われたり自分の悪口を言ったりしていないかと問いかけたが、彼はそんなことは何もないと答えた。しかし、由利亜が和成を好きなことを知っている真子は、和成が由利亜のことを気持ち悪がっていると嘘をつく。ショックを受けた由利亜はもらったタオルをゴミ箱に捨てたが、すぐさま我に返って拾い上げた。

和成との結婚を仄めかす真子。それを聞いて頭に来た由利亜は、真子が出演したDVDを親戚の前で再生する。真子は再現ドラマに出演したのだと説明していたが、映し出されたのはセクシーなイメージビデオに出演する姿だった。姉の仕打ちに真子は激怒する。

自首もせず、部屋でボヤ騒ぎまで起こす卓司に限界を感じ出す和成。お前が警察にタレこんだのだろうという卓司の言葉が引き金になり、二人は口論を始めてしまう。勢いで卓司は真子がラブホテルで密会していたことをバラしてしまった。二人は今まで内側に溜めこんでいた感情を露にし、やがて殴り合いへと発展していく。

感情をぶつけ合っていたのは由利亜と真子も同じだった。由利亜は真子のことを顔と胸が大きいだけで頭はからっぽだと罵った。真子は、由利亜は私に嫉妬していると叫んだ。だから由利亜の大切なものを奪いたくなるのだと。長い喧嘩の後、真子は表へと飛び出していった。

映画『犬猿』の結末・ラスト(ネタバレ)

同じように部屋を出ていた和成は、真子から卓司が言っていたことは真実だと告げられる。落ち込んだ和成は重い足取りで部屋に戻ってきたが、そこで目にしたのは首を刺されて血を流す卓司の姿だった。

卓司に恥をかかされた昔の仲間が、腹いせに卓司を襲ったのだ。和成は救急車を呼ぼうとしたが、ふとこのまま死んでくれたら面倒な兄から解放されるのではと考えてしまう。和成は重傷の卓司をそのままにして静かに部屋を出て行ったが、しばらくして自分がとんでもないことをしていることに気がついた。和成は大急ぎで救急車を手配し、卓司の元へと戻って行った。

卓司は息も絶え絶えに、自分は本当に騙されたのだ、本当に変わりたかったのだと和成に伝えた。やってきた救急車の中で和成は兄を見捨てようとしたことを謝り、警察にタレこんだのも自分だったと泣きながら告白した。

家に戻ってきた真子は手首を切って自殺を図っている由利亜を発見する。真子は驚愕し、泣き叫びながら救急車を呼んだ。病院へ向かう途中、意識を取り戻した由利亜は自分が真子に嫉妬していることを認めた。それを聞いた真子も、頭の良い由利亜に嫉妬していたのだと口にする。

卓司と由利亜は同じ病院に搬送され、無事に一命を取り留めた。この騒動があったおかげか四人は兄弟、姉妹の絆を強くしたようだった。由利亜は真子に優しく仕事を教えるようになり、和成は自首した卓司の面会に何度も足を運んだ。出所後の仕事先も見つけてあげるほどだった。

だが、犬猿の仲だった者がそう簡単に打ち解けあうはずもない。兄弟、姉妹はすぐに相手に対する不満を感じ始めていた。

映画『犬猿』の感想・評価・レビュー

仲良くなったと思ったら、すぐさま前の状態に戻りそうになるのがリアルでいい。兄弟や姉妹がいる人にとっては共感する部分も多いかもしれない。卓司と和成の関係はレアケースかもしれないが、由利亜と真子は親近感を覚える。もっとも身近な相手であるがゆえに、好きだけど嫌いという繊細な感情を役者たちが絶妙な雰囲気で演じていた。ある意味でキャスティングによる成功と言っても過言ではないだろう。(MIHOシネマ編集部)


4つ下の弟を溺愛していて、子供の頃から喧嘩は一切した事の無い私は今作の「犬猿の仲」のような兄弟、姉妹には全く共感出来ませんでした。しかし、同性の兄弟だったら頭にくることや嫉妬することもあるだろうし、今作に描かれている兄弟ほど過激では無いものの、喧嘩や嫉妬は当たり前なのかなとも思いました。
ラストは兄弟、姉妹仲直りをして、新しい人生を歩んでいくのかと思いきや、結局仲良くすることは出来ず、以前の関係に戻ってしまうところが、血の繋がった兄弟らしさを余計に滲ませていた気がします。(女性 30代)

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