映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』の概要:40歳にして国からの注文を受けたロダンは“地獄の門”の製作に取り掛かった。彼にはカミーユという弟子で愛人がいた。カミーユはロダンに愛と情熱をくれたが、次第にカミーユは今の立場に悩みだす。
映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:歴史、ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:ジャック・ドワイヨン
キャスト:ヴァンサン・ランドン、イジア・イジュラン、セヴリーヌ・カネル、ベルナール・ヴェルレー etc
映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』の登場人物(キャスト)
- オーギュスト・ロダン(ヴァンサン・ランドン)
- 芸術家。彫刻家として有名であるが国から依頼を受けたのは40歳になってから。モネ、セザンヌなどの芸術家たちとも親交がある。ローズという内縁の妻のような恋人がいる。ローズには子供がいるが、認知はしていない。
- カミーユ・クローデル(イジア・イジュラン)
- ロダンの弟子で愛人。最初こそロダンとの情事を楽しんでいるが、次第に愛人という立場に不満を感じ始める。芸術家として評価されないことにも苛立つ。
映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』のあらすじ【起】
1880年、40歳を迎えたオーギュスト・ロダンは国から初めての依頼を受け“地獄の門”の製作に取り掛かった。彼にはカミーユ嬢という弟子がおり、アドバイスをもらう時もあった。
ヴィクトル・ユゴーから胸像の依頼を受けたロダンは、いつものように創作に熱中し、細部までそっくりな完璧な造形を目指した。しかし、その気持ちとは裏腹にユゴーは依頼を取り下げてしまう。だが、出来上がった胸像は見事な出来栄えだった。
ロダンが作り上げる彫刻は精巧過ぎて人間から型を取ったのではないかと疑いを掛けられるほどだった。サロンでの評価と比例するように、ロダンはますます造形の美を追求していった。
ロダンにはローズという内縁の妻とも言うべき恋人がいた。芸術関係の知識は疎かったが献身的にロダンを支えてくれていた。だが、女好きのロダンはカミーユと愛人関係を持っていた。カミーユはローズのことやロダンの女好きが気になってはいたものの彼の情熱的な魅力に抗うことができずにいた。
“カレーの市民”の習作を完成させたロダン。彼は少し自信なさげだったが、カミーユは高く評価してくれた。ロダンはいつも考えていた。心で作れば、必ず傑作になるのだと。
映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』のあらすじ【承】
ロダンは作家のバルザックの像を依頼される。カミーユと共に城館のアトリエに籠り、創作と愛の語らいに熱中するロダン。しかし、カミーユは愛人という立場に不満を募らせ始めていた。
ロダンはカミーユの心を静めるために契約書を書くと提案。カミーユはいくつかの願いと、イタリア旅行から戻ったら結婚すること、望んだときは大理石の小像を与えるなどといったことを書かせた。
“地獄の門”は着々と完成していき、カミーユは細かく指示を出した。彼女が大理石で作った少女の像を気に入ったロダンは、門の一部にデザインをそのまま使いたいと言いだした。それは弟子であり愛する者への最大の思いが込められたものだった。
だが、カミーユは突然に英国に行ったきり数ヵ月も戻ってこなくなる。彼女はロダンと遊びではなく本物の関係になりたいと願っていた。しかし、その気持ちはロダンの考えている気持ちとは違っていた。カミーユはそのことに悩み始めていた。
女性の彫刻家はヌードを作るなと批判されたカミーユ。ロダンは彼女を慰め励ましの言葉を掛けるが、苛立つ彼女の矛先はローズとの関係へとスライドしていく。カミーユは今の立場から動けないことを思い知り、内なる感情には今にも火がつきそうだった。
映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』のあらすじ【転】
ロダンは城館からローズに手紙を出した。自分への手紙は局留めにしてほしいという内容だったが、最後に“真の友より”と書かれていたことにローズは激怒した。文面から勘繰ったローズは、ロダンがカミーユと結婚するのではないかと怒りと焦りを感じ始める。
そんな時、カミーユが妊娠した。だが、これからの未来を考えた結果、二人は子供を中絶するという選択をする。
バルザック像の習作が完成したが、大きく出た腹部やずんぐりとした造形は発注者の好みではなかった。裸であることも気に入られず、もっと若くスリムで服を着た像を作れと指示される。
ローズがアトリエにやってきたことでカミーユと口論になった。カミーユはロダンとローズの関係に嫉妬し、ロダンを困らせる。次第にカミーユはアトリエにも顔を出さなくなった。ロダンばかりが評価され、自分は吸い取られるばかりだと苛立ち、ロダンと喧嘩してばかり。
ある時、ロダンはバルザック像に部屋着のローブを着せたらどうかと考えて実行してみる。それはとても良い出来栄えで、バルザック像の完成への大きな躍進となった。
自分の作品ではなく、ロダン風の作品ばかりを注文されたことで遂に我慢できなくなったカミーユは、感情のままにロダンを責め立てた。ロダンは彼女をなだめ、芸術家としての腕を高く評価していると褒め、もう私は必要ないと言った。それを聞いたカミーユは覚悟を決め、ロダンの元を去って行った。
映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』の結末・ラスト(ネタバレ)
カミーユが去った悲しみを癒すため、パリ郊外のムードンに引っ越したロダン。バルザック像がサロンで発表されたが、批評家たちの意見は散々なものだった。それでも芸術家仲間たちは高く評価し、パリの広場に置けるようにしようと言いだす。だが、ロダンはバルザック像を引き取り、一生、手元に置いておくと言って聞かなかった。
相変わらずモデルや若き彫刻家の女性たちと関係を持つロダンだったが、そのおかげか3年後にはカミーユの悲しみを乗り越えていた。ところが、その矢先にカミーユから自分の作品を盗作したと言いがかりを付けられる。カミーユは未だにロダンに囚われており、彼の呪縛から逃れられずにいた。ロダンはカミーユのために金を払い、サロンにも彼女の作品を出品できるようにした。後日、彼はカミーユがピサロと一緒に行った展覧会へと足を運んだ。
ロダンは若い女性たちに好きなポーズを取らせるようになっていた。今まではポーズを細かく注文していたが、彼はそのことからも解放され、何事からも自由になり始めていた。
現在、バルザック像は鋳造され、世界各地に点在している。その一つは日本の箱根にある彫刻の森美術館にあり、訪れる人々を美の世界へと誘っていた。
映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』の感想・評価・レビュー
偉人伝の作品らしく、あまり纏まりのない作品。有名だからこそ、多くの人が持っているイメージを形にしなくてはいけないため、そのせいで不必要なシーンが多くなる。画家や作家、音楽家などを描いた作品は、描く人物が天才であるがゆえに簡潔に感情を描けないという欠点もある。演じるのも難しく、多面的な解釈ができるような奥行きを表現しなくてはならない。その点はとてもかんばっていたと感じていたが、ロダンやカミーユの生い立ちを何も知らない人が観るのは少し辛いと思う。(MIHOシネマ編集部)
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