映画『心の指紋』の概要:末期がんを宣告された少年受刑者がエリート医師を人質に取って逃避行し、ナバホ族に伝わる聖なる山で病を治療しようとするヒューマンドラマ。『ディア・ハンター』で知られるマイケル・チミノ監督作で、医師と受刑者の心の交流を描く。
映画『心の指紋』の作品情報
上映時間:123分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:マイケル・チミノ
キャスト:ウディ・ハレルソン、ジョン・セダ、アン・バンクロフト、アレクサンドラ・タイディングス etc
映画『心の指紋』の登場人物(キャスト)
- マイケル・レイノルズ(ウッディ・ハレルソン)
- がんの専門医で将来を嘱望されている。1児の父。幼い頃にがんの兄を安楽死させた経験があり、兄の遺品の指輪を大切にはめている。
- ブランドン・モンロー(ジョン・セダ)
- ナバホ族の混血の少年で末期がんを患っている。家族に暴力を奮っていた継父を撃ち殺したために刑務所に収監されている。
映画『心の指紋』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『心の指紋』のあらすじ【起】
刑務所の看守がブランドンに手錠を掛けて外に移送する。ブランドンは聖なる山が描かれた本を大切そうに眺める。マイケルは高級車で病院に出勤する。マイケルの妻が病院に電話してきて家を買いたがるが、マイケルは高いと渋る。マイケルはブランドンを診察することになるが、ブランドンはマイケルの接し方が気に入らず反抗的に振る舞う。
マイケルは妻や同僚達とレストランで食事をし、同僚はマイケルが近々出世するだろうと予想する。帰宅したマイケルは、幼少時に入院していた兄が指輪と交換に医療機器を止めるように頼んできたことを思い出す。
ブランドンが再び診察を受けに来る。検査の結果、ブランドンは末期がんで余命が1か月余りであることが判明する。マイケルはブランドンを別の研究所に移送することにする。しかし、途中でブランドンは看守に銃を突きつけて逃走を図り、マイケルを誘拐して車を運転させる。貧困街でマイケルの高級車を乗り捨て、別の車を盗んで乗り換えて逃避行を続ける。
映画『心の指紋』のあらすじ【承】
ブランドンはマイケルにアリゾナのナバホ居留地を目指していることを話す。ブランドンはマイケルにガソリンスタンドで給油させると、野原の真ん中に車を止めさせて休む。
翌朝、ブランドンは再びマイケルに運転させて移動を始め、途中で食堂に立ち寄る。そこでブランドンは継父から家族で暴行を受けていたために撃ち殺したことを打ち明ける。マイケルはトイレに行く振りをしてこっそり助けを求める電話を掛けるが、ブランドンに見付かってしまう。2人は食堂に居合わせたバイカー達ともめ事となり、逃走する。
ガソリンスタンドでマイケルは財布をわざと捨てる。怒ったブランドンはマイケルの指輪を奪おうとするがマイケルは抵抗する。ブランドンはマイケルに銃を突きつけながら、ナバホの祈祷師から聞いた話をする。それは、病弱の兄を弟が背負って聖なる山を登り、兄を山にある魔法の湖で泳がせたら病気が完治したという内容だった。ブランドンが目指しているのはその聖なる山だった。一方、マイケルは話を聞きながら、兄に安楽死を頼まれ、泣きながら家に帰宅した時のことを回想する。
映画『心の指紋』のあらすじ【転】
2人は自然保護区に辿り着くが、車が故障して動かなくなる。車を降りたマイケルは毒蛇に噛まれてしまい、ブランドンは車のバッテリーを使って毒を中和する。そして2人は歩いて聖なる山を目指す。途中で女性の車をヒッチハイクする。女性はブランドンに同調し、科学だけを信じるマイケルに神秘の世界の重要性を説く。
女性は2人を教会の近くで降ろす。ブランドンはそこマイケルを解放し、車を盗んで一人で聖なる山を目指そうとする。しかし、マイケルはブランドンの体調が悪化しているのを心配して自分が運転すると固執する。マイケルは病院まで車でやって来るが、ブランドンは病院での治療を頑なに拒む。仕方なくマイケルは銃を手に病院に侵入して必要な薬を盗んで来る。マイケルはブランドンの手当をしながら、兄に指輪と交換に医療機器のスイッチを切ってくれと頼まれ、機器のコンセントを抜いて病院を飛び出したことを打ち明ける。ブランドンの顔色が良くなったのを確認したマイケルは車を走らせて聖なる山を目指す。
映画『心の指紋』の結末・ラスト(ネタバレ)
2人はナバホの居留地までやって来る。そこでは警察の検問所が設置されていた。マイケルはナバホの馬に紛れて原野を走り抜けて危機を脱する。2人はナバホの祈祷師の家に辿り着くが、そこには誰もいなかった。しばらくして、祈祷師の孫娘が現れる。マイケルは祈祷師に会わせるように孫娘を説得しようとする。その最中に、ブランドンは体調が悪くなり血を吐いてしまう。その姿を見た孫娘は聖なる山に通じる道順を教える。そして、そこには岩以外に何もないだが、ナバホにとっては悲しみが宿った聖なる場所であることを伝える。
2人は峡谷を走らせ、本に描かれていた通りの聖なる山を見つける。2人は渓流を上りながら山頂を目指す。マイケルはブランドンを背負って険しい山を登り続ける。すろと、そこに祈祷師が現れる。マイケルはブランドンを治すように懇願する。ブランドンだけが祈祷師について行くことになり、2人はそこでお別れをする。マイケルはブランドンに感謝の言葉を口にし、指輪を渡す。ブランドンは祈祷師と共に山の奥へと進み、山の湖の中に姿を消していく。マイケルは下山し、家族と再会する。
映画『心の指紋』の感想・評価・レビュー
聖なる山にまつわる話が面白く、主人公達のスピリチュアルジャーニーの行方を楽しみだったが、結果として平坦な物語に終わってしまっていた。マイケルが聖なる山の存在を受け入れ、ブランドンを助けようと思うまでの心の変化が丁寧に描かれておらず、兄を安楽死させたことによるトラウマを抱えているという設定も十分に活かし切れておらず残念でしかない。娘や妻の存在もお飾りに終始しており、最後の再会シーンに重みがなかった。(MIHOシネマ編集部)
本作は、末期がんを宣告された少年受刑者と人質に囚われたエリート医師の交流を描いたヒューマンドラマ作品。
2人が聖なる山の湖を目指すロードムービーのようで、美しい景色や聖なる山に神聖なパワーを感じた。
少年は末期がんで余命1か月、エリート医師は幼少期に兄の安楽死を手伝ったトラウマを抱える物質主義者。
そういった登場人物の設定がしっかりされていて、物語に入り込みやすかった。
また、終盤に向けて、男同士の友情や素敵な関係性が深まり、感動で涙が止まらなかった。(女性 20代)
結末があまり理解できなかった今作。医師と末期ガンを患った男が聖なる場所を目指して旅をしていくストーリーですが、2人が少しずつ絆を深めているのは分かるものの、そこまで感情移入出来ず結局ブランドンがどうなったのかよく分かりませんでした。
治すためにその地へ行ったのではなく、あの世へ行くための聖なる場所だったのではないかと考えましたが、マイケルが一人で下山して家族と再会するシーンだけでは、そこまで深く理解することが出来ませんでした。(女性 30代)
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