映画『エヴァ(2018)』の概要:亡くなった劇作家の遺作を自分のものだと偽って発表し、一躍劇作家として名を馳せた主人公。次回作が期待される中、恋人との関係も一進一退。そんな時、夫を持ちながらも娼婦として稼いでいる美しい熟女と出会い、抗いがたい魅力の虜となってしまう。
映画『エヴァ』の作品情報
上映時間:102分
ジャンル:ラブストーリー、サスペンス
監督:ブノワ・ジャコー
キャスト:イザベル・ユペール、ギャスパー・ウリエル、ジュリア・ロワ、マルク・バルベ etc
映画『エヴァ』の登場人物(キャスト)
- エヴァ(イザベル・ユペール)
- 元美術商ジョルジュ・マーランの妻。美しく妖艶な熟女。娼婦として裕福な男性を相手に稼いでいる。夫を深く愛しており、仕事の行為と夫との行為は全くの別物だと断言している。高飛車な態度が目立つものの、夫の前では弱い面も見せる。
- ベルトラン・バラデ(ギャスパー・ウリエル)
- 劇作家として一躍、名を馳せる青年。有名劇作家の遺作を盗み発表する。劇作家としての才能はほぼ皆無で、必死に執筆を続けるも作品を完成させることができずにいる。恋人カロリーヌと交際中であるが、エヴァと出会い妄執するようになる。
- カロリーヌ(ジュリア・ロイ)
- 裕福な家の令嬢で、劇作家として活躍中。恋人ベルトランとは絶えず喧嘩しているものの、結婚も考えている。金髪で可愛らしい女性。
- ジョルジュ・マーラン(マルク・バルベ)
- エヴァの夫で元美術商。恰幅が良く妻の仕事に理解がある。模造品の制作を行ったことで逮捕され収監中。妻を深く愛しており、元の職に戻れなくても仮釈放を望む。
- レジス・グラン(リシャール・ベリ)
- ベルトランのパトロン。カロリーヌの両親とは旧友で、カロリーヌとも知己にある。エヴァに興味を持ち、偽名を使って会いに行く。
映画『エヴァ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『エヴァ』のあらすじ【起】
アメリカで成功を収めたフランスの有名劇作家に、師事して学んでいたベルトラン・バラデ。だが、老齢である師匠は自力で入浴もできないほど弱っていた。それでも、作品への制作意欲は健在で、舞台の喜劇ではあるものの新たな脚本を完成させたと言う。ベルトランは献身的に師匠の介護を行い、入浴をさせる。ところが、入浴中に師匠の容態が急変。伸び悩む自分の才能に苦悩していた弟子は、師を見殺しにして彼の遺作となる『合言葉』という脚本をつい盗んでしまうのだった。
そうして、師匠の遺作となる脚本を自分のものだと偽って発表。それを基に演じられた舞台は絶賛され、ベルトランは脚本家としての名声を手に入れる。当然、デビュー作が注目されれば、次回作への期待も高まる。ベルトランは劇作家としての才能が自分にないことを自覚していたが、容易に受け入れることができずにいた。
現在、ベルトランは恋人カロリーヌのヒモのような生活を送っている。作品ができなければ、破産するところまで追いつめられていたが、カロリーヌはベルトランの才能を信じて疑わない。だが、ベルトラン自身は次回作が書けないことに焦りを募らせている。彼は山小屋の別荘へ居を移し、次回作の制作をすることにした。
別荘へ籠もったある夜、ベルトランが外出中であるにもかかわらず、知人がエヴァという高級娼婦を引き連れてやって来る。知人は彼女を抱いても良いと言うが、ベルトランは入浴中の彼女を追い出そうとするも、反撃されてしまうのだった。
カロリーヌもまた劇団に所属する若き劇作家で、次回作の制作中である。才能ある彼女は口先だけのベルトランに怒りを覚えている様子。2人は互いに不満を募らせ、喧嘩別れしてしまう。
映画『エヴァ』のあらすじ【承】
舞台主任との打ち合わせのため、ホテルへ宿泊することになったベルトラン。悩みながら脚本を書くも、どうにもすっきりしない。彼はホテルのカジノへ向かい、そこでエヴァの姿を発見する。カロリーヌよりも年上で妖艶な熟女の色気があるエヴァ。彼女に接触したベルトランは、軽くあしらわれつつも名刺をもらうことに成功する。
翌日、早速エヴァへ連絡を入れ、彼女の自宅へと招待される。エヴァは美術商の夫を持ち豪邸に住みつつも、裕福な男性を相手に娼婦として稼いでいた。夫ジョルジュ・マーランは、美術商業界では有名人らしく世界中を駆け回り、自宅へはあまり戻って来ないようだ。
エヴァはベルトランに気を許さず高飛車な様子だったが、彼が発表した脚本のタイトルを耳にするとなぜか動揺。そこで、ベルトランは彼女を舞台へ招待することにした。
だが、舞台公演初日。エヴァは劇場へ姿を現さなかった。後日、山小屋の別荘で仲直りしたカロリーヌと落ち合ったベルトランだったが、エヴァのことが気になって仕方ない。彼女は夫が突然戻って来たため、劇場には行かなかったと言う。態度から見てもベルトランは相手にされていない。分かってはいても、エヴァのことがとても気になっている。
次回作が娼婦の話に決まったところで早速、執筆へ入った。だが、会話をやりとりするシーンでカロリーヌから平凡だと指摘される。脚本としては普通の会話を展開し、3段階目で皮肉を入れるのが基本である。『合言葉』でもそれは適用されていたが、ベルトランは全く気付かなかった。カロリーヌに再びそれを指摘されたベルトランは、彼女へと酷い言葉を投げつけることで、師匠を見殺しにした罪を隠し通すのだった。
映画『エヴァ』のあらすじ【転】
ようやく、エヴァとのデートに漕ぎ着いた。ホテルの高級レストランで料理に舌鼓を打ち、ワインを飲んでしたたかに酔う。その夜はホテルの部屋を取り、一緒に泊まることにしたが、酔っぱらったベルトランは彼女と関係を持つこともなく、早々に寝入ってしまう。
翌朝、エヴァから男はジョルジュだけで、客は自分にとってただの金蔓だと聞かされ、のめり込むなと忠告された。
何も知らないカロリーヌは、ベルトランとの結婚を考えているようだ。彼女から別の男と寝たと聞かされたベルトランは、慌ててカロリーヌの元へ向かったが、どうやらその話は彼女の嘘だったらしい。後日、ベルトランは彼女の両親と会い、食事を共にするのだった。
現在、執筆中の脚本に登場する娼婦には、実在のモデルがいると明かしたベルトラン。だが、脚本の完成には程遠い。パトロンのレジス・グランには散々、優遇してもらい次回作も随分と待ってもらっていた。ベルトランはエヴァのことをレジスに紹介し、会ってみればいいと言うのだった。
エヴァとの約束を取り付けたレジスは、名前を偽り海外からの旅行者だと告げ、彼女の自宅を訪ねる。疲れた様子のエヴァを労わり、その日はシャンパンを飲んで会話を楽しんだだけで帰った。ベルトランが夢中になる娼婦が、どのような人物かを見極めるためでもあった。
エヴァの夫ジョルジュは模造品を作った罪で現在、収監中だった。妻は愛する夫への面会を欠かさずに行い、彼を支えるために娼婦として金を稼いでいる。夫はそのことを知っていたが、それを妻の浮気とは考えておらず、致し方のないことだと認知していた。そうして、刑期が半分になったことで、仮釈放の申請ができるようになる。夫婦の愛は本物で、分かちがたく強い絆で結ばれていた。
映画『エヴァ』の結末・ラスト(ネタバレ)
カロリーヌとの婚約が認められたことで、ベルトランはエヴァの関係を終わらせようと考える。仕事から離れ、カロリーヌとゆっくりできる場所は、もっぱら山小屋の別荘である。結婚前にベニスへ旅行に行く約束をした。
ところが、翌早朝になってレジスが倒れたとの知らせがカロリーヌへと入る。始発の列車で彼女を送り出したベルトランだったが、この機会を生かしエヴァを山小屋へ招待してしまう。カロリーヌを愛してはいるものの、エヴァの魅力には抗いがたい。ベルトランは別荘に彼女を一旦、置いて買い物へ。
同じ頃、病院へ急いだカロリーヌだったが、レジスは彼女と会う前に帰らぬ人となってしまう。そこで、カロリーヌはベルトランが待つ別荘へと戻ることにした。
しかし、別荘にはエヴァがいる。彼女と対峙したカロリーヌは、ショックを受けた様子で何も言わずに立ち去るのだった。
その頃、呑気にも帰路についていたベルトラン。途中でパトカーに救急車とすれ違うものの別荘へ到着。すると、カロリーヌと遭遇したと怒った様子のエヴァが送って行けと叫ぶ。ベルトランは事故現場で車を停め、エヴァのスーツケースを投げ捨て彼女とはその場で別れた。崖下では、カロリーヌの乗った車が転落しており、酷い有様だった。
その後、再びエヴァの自宅を訪ねたベルトラン。彼女を殺すつもりだと口にした彼だったが、仮釈放となり帰宅していたジョルジュによってこてんぱんにされてしまう。その上、夫婦はベルトランを病院へ搬送し、怪我のことも知らないと発言。エヴァは満身創痍のベルトランへ、もう二度と姿を現すなと忠告していくのだった。
怪我が治ったベルトランは、それでもエヴァへの妄執を断ち切ることができず、ストーカーのように尾行。そうして、街路のカフェへ立ち寄った際、ふらりと近づいてしまう。だが、エヴァは何も言わず見つめたままで微かに首を横に振る。ベルトランは小さく頷き、その場から去って行くのだった。
映画『エヴァ』の感想・評価・レビュー
エヴァを演じるイザベル・ユペールが非常に魅力的であるのは、間違いない。エヴァという女性は見る人によっては悪女に思えるかもしれないが、個人的には夫を献身的に支える妻にしか見えず、娼婦としての面は唯一稼ぐ手段であったために仕方なくやっている仕事のように思う。仕事での関係と愛する夫との関係は、全くの別物だと作中でも発言している。
そんな彼女に妄執的に付きまとう主人公。作中では彼の詳細は全く語られない。もしかしたら、それは観る者がエヴァの魅力をより感じられるよう、意図的に省いたのかもしれず、そもそも彼が本当に劇作家を目指していたのかも分からない。一見しただけでは、この作品の魅力はとても分かりづらい。だが、何度か見返すと魅力が分かるのではないだろうか。深い作品である。(MIHOシネマ編集部)
「官能と誘惑」というキャッチコピーとイザベル・ユペールが高級娼婦を演じるということで期待をして見ましたが、しっかり裏切られてしまいました。
過去の作品のリメイク版である今作。過去作を見ていないため比較はできませんが、たぶん脚本ではなくキャストが合わなかったのではないかなと感じます。イザベル・ユペールがとても「魅力的な女」には見えず、彼女に心を奪われる男も、そこまで魅力的には感じませんでした。(女性 30代)
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