映画『ピースブレーカー』の概要:祖母の通夜へ向かう途中で通行人を轢き殺してしまった刑事。事故の隠ぺいをするため、遺体を隠したものの、事故を知る何者かに遺体を渡すよう脅されることに。韓国映画『最後まで行く』を中国映画界がリメイクした作品。
映画『ピースブレーカー』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:サスペンス
監督:リエン・イーチ
キャスト:アーロン・クォック、ワン・チエンユエン、リウ・タオ、ユー・アイレイ etc
映画『ピースブレーカー』の登場人物(キャスト)
- ガオ・ジエンシャン(アーロン・クォック)
- 刑事課の刑事。妻と幼い娘がいる。母親の通夜へ向かう途中で、誤って通行人を轢き殺してしまう。事故の隠ぺいを行う過程で、チェンから遺体を渡すよう脅される。悪徳警官ではあるものの、妻と子供を大切に思っている。
- チェン・チャンミン(ワン・チエンユエン)
- 麻薬部の刑事。麻薬部のエースと呼ばれている人物。実は麻薬組織と結託し、売人を摘発しては薬を回収、使い回して儲けている。貸倉庫に大金を貯め込み、組織のトップと調達係を殺害。大金を独り占めしようと考えていた。非常に執念深く、タフで悪知恵が働く。
- シュー(カイ・チェン)
- 国際麻薬事件の捜査にやって来た中国の麻薬捜査官。洞察力に優れ、真面目一徹。正義感に溢れており、若いながらもやり手。
映画『ピースブレーカー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ピースブレーカー』のあらすじ【起】
クアラルンプール、チャイナタウン。亡き母の通夜へ向かうため、渋滞を抜けて車を走らせていた刑事のガオ・ジエンシャン。雨の中、前方不注意にて歩行者の男性を誤って轢き殺してしまう。ガオは事故の不始末を隠すため、死体を車のトランクへ隠し出発。途中、飲酒の検問に引っ掛かってしまうも、刑事であることを主張し見逃してもらった。
どうにか斎場へ辿り着いたものの、通夜はすでに終わった後。しかし、そこへ中国公安の麻薬取締官シューが現れ、汚職疑惑をかけられる。売人のリストを黙って渡したガオだったが、棺の釘打ちをしている最中、車も取り調べると知らせが入った。それこそ、トランクの中の遺体を調べられたら、大変なことになる。ガオは巧妙な仕掛けを施し、ダクトを通じて母親の棺へ遺体を一緒に収めた。
翌日、棺を埋葬。ガオは母親を偲ぶ自分を演出し、更に事故でヒビの入ったフロントガラスを替えるため、わざとパトカーに突っ込んで事故を起こし、堂々と車の修理を行った。
映画『ピースブレーカー』のあらすじ【承】
順調に轢き逃げの隠ぺいが進み、汚職疑惑も晴れ一安心していたガオ。ところが、国際麻薬事件の捜査をシューと合同で行うことになり、会議にて資料を目にして驚愕。麻薬の調達をしている男が轢き殺した男だったのだ。どうやら先日のクラブへのがさ入れも、この男を逮捕するためであったらしい。
男を逮捕するため、アジトと思われる場所へ向かったが、ガオはすでに捜査対象が死亡していることを知っている。どんなに捜査したところで、男が見つかるはずがない。そこで、ガオは見たことのある犬を発見し、アジトの外へ。すると、その通りはガオが男を轢き殺してしまった事故現場だったことが分かる。しかも、目撃情報もあり、通りには監視カメラも設置されていた。慌てたガオは監視カメラの確認に名乗りをあげたが、隊長からは聞き込みをしろと言われてしまうのだった。
そこで、映像チェックをしている警官へ差し入れを行い、密かに自分もチェック。すると、ガオの車が見事に映っていたことが分かるも、映像が荒くナンバーまで読み取ることができなかった。だが、車種のリストには確実に自分の名前が記載されてくるだろう。
予想通り、リストには自分の車も入っていた。それだけで容疑者とは確定しないが、用心に越したことはない。そんな時、ガオのデスクの電話に目撃情報が入る。相手は男でガオが轢き逃げしたことを知っている。しかも、デスクの電話に出ないと携帯にかけ直してくる。相手の男は轢き殺した男の遺体を引き渡せと言い、通話を切った。男はどうやらガオの様子を見ながら電話していたらしい。急いで追いかけようやく捕まえたが、なんと相手は麻薬部のエース、チェン・チャンミンだった。
映画『ピースブレーカー』のあらすじ【転】
チェンには売人リストの件でも助けられている。そんな男がなぜ、ガオの事故を知っているのか。チェンは指名手配犯でもある男を引き渡せば、それで良いと言う。人気のないトイレにて、攻防を繰り広げた2人。だが、チェンの方が上手でガオは酷く痛めつけられてしまうのだった。
仕方ないので、墓を掘り返し遺体を引っ張り出したガオ。男が持つ携帯を手に入れ、更に遺体に2発の銃痕を見つける。それから、携帯の充電を行い着信相手へと連絡を入れ、相手が話し続けるのを無言で聞いた。すると、チェンと男が繋がっていたことが分かる。
そこで、ガオは電話の相手を探し出し、チェンとの関係を聞き出すことにした。
恐るべきことに、チェンは男から売人の情報を得て摘発した後、廃棄した薬を回収し麻薬組織と結託して市場を独占していたと言う。だが、調達係であった男が裏切ったことにより、組織が経営していたクラブにがさ入れが入った。そこで、チェンは組織のトップと調達係の男を始末し、儲けを独り占めしようと考えたのだ。
更に大金を得たとしても、それを隠す倉庫があるはずである。男が飼っていた犬の住処へ向かったガオは、そこで貸倉庫の鍵を入手するのだった。しかし、そこへ親友でもあるガオの同僚が現れる。彼はガオが検問に引っ掛かった時の報告書を持っており、何かを隠していることを察していた。そこで、ガオは同僚に全てを明かし、告発すると共に自分も潔く罰を受けると話す。だが、親友は報告書を握り潰し、味方になってくれるのだった。
ところが、ガオの携帯にチェンから着信が入る。車から誘き出されたガオは、同僚が乗っていた車にトラックが落下するのを目撃。これで証拠を知る者がまた1人消えた。ガオは自分を慮ってくれた親友を亡くし、しかもチェンがガオの自宅へ向かったことを知り、急いで自宅へと帰った。
映画『ピースブレーカー』の結末・ラスト(ネタバレ)
戻った夫が酷く焦っていたので妻は驚いていたが、子供も無事だった。ガオは妻と子供に早めに実家へと出発するよう言い聞かせ、隊長へ事のあらましをメールにしたため、予約送信を設定。その後、銃と空砲を用意し、チェンの指定通り待ち合わせ場所へ向かった。
男の遺体をチェンの車へ乗せた後、銃を預けて金属探知機で確認される。ガオは前もって遺体へと細工を施し、奴を罠にかけようと画策していた。
男を銃で撃ったのはやはりチェンであった。奴は帰ろうとしたガオへ、預かった銃を渡そうとしてこちらを撃ってくる。幸い、空砲を仕込んでいたため、死ぬことはなかったが、チェンはガオに度胸があると笑い去って行った。そこで、ガオはリモコンにて爆弾を作動。その爆弾はチェンが娘へプレゼントとして自宅へ置いて行ったものだ。
爆弾は時間差で見事に爆発し、チェンは車ごと近くの沼に沈んで浮かんで来なかった。全てが万事、上手く運んだ。ガオは喜び勇んで帰宅。隊長へのメールの予約送信を解除し、荷造りを終わらせ妻と子供が待つ実家へ。いざ、出発しようと自宅のドアを開けたが、そこには満身創痍のチェンが。どうやら沼へ沈んだ後、潜水して逃げ延びたらしい。
驚愕に固まってしまったガオ。チェンは自宅へ入ると途端に豹変し、ガオを手酷く痛めつける。しかも、証拠を知っているのもガオだけなのでチェンは当然、殺すつもりで攻撃を仕掛けて来る。自宅内で激しい攻防を繰り広げ、ひとまず奴の足止めに成功したガオ。彼はマンションの窓から外へ出て、壁を伝って隣室へ向かったが、チェンもまた拘束から逃れて現れる。更に激しく争い銃を奪い合った結果、チェンの方が銃弾に斃れるのであった。
刑事同士が争うなど、警察でも酷い醜聞となる。ガオは刑事を退職することになり、母親の墓も新たに作り直した。だがそんな時、娘が変なのを見つけたと言って、義眼を見つけて来る。ガオはそれを受け取り、義眼の中にICチップが入っているのを発見。
後日、ガオは貸倉庫の鍵とICチップを使って、チェンが貯め込んだ大金を密かに入手するのであった。
映画『ピースブレーカー』の感想・評価・レビュー
そもそも、主人公が悪徳刑事というのが面白い。母親の遺体と轢き殺した男の遺体を一緒に埋葬してしまうという衝撃的な隠ぺい方法にも驚いたが、そこまでして隠したいものかと考えると、刑事としてはやはり失格なのだろう。
それなのに完全悪というわけでもなく、中盤辺りで自ら出頭しようと考えたりもする。結局、刑事を辞職する羽目にはなるものの、貸倉庫の大金を得るという役得にも恵まれるのだから、ブラックジョークもいいところである。(MIHOシネマ編集部)
みんなの感想・レビュー