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映画『聖衣』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『聖衣』の概要:西暦30年頃、帝政下のローマ。次期皇帝の反感を買い、エルサレムへ左遷された護民官。彼は命令により救世主と呼ばれる男の磔刑を行ったがそれ以来、悪夢に苛まれるようになる。聖書を基にキリスト教の教えに改心される護民官の姿を描いている。

映画『聖衣』の作品情報

聖衣

製作年:1953年
上映時間:124分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ヘンリー・コスター
キャスト:リチャード・バートン、ジーン・シモンズ、ヴィクター・マチュア、マイケル・レニー etc

映画『聖衣』の登場人物(キャスト)

マーセラス(リチャード・バートン)
元老院を率いる父を持つ護民官。傲慢で怠惰な生活を送り浮名を流していたが、カリグラと競り合ったことでエルサレムへ左遷される。救世主を磔刑にしたことで、悪夢に苛まれるも改心する。
ダイアナ(ジーン・シモンズ)
貴族の娘で次期皇帝カリグラの妃候補。幼い頃よりマーセラスに恋をしており、一途に愛を貫く。可憐で美しい女性。
デメトリアス(ヴィクター・マチュア)
ローマの奴隷市にてマーセラスに助けられ、恩義を感じ従者となる。エルサレムにて救世主の教えに心を打たれ改心。救世主が身に纏っていた衣を大切に保管する。マーセラスを改心させる。
ペトロ(マイケル・レニー)
救世主の一番弟子。大男の漁師と呼ばれており、救世主亡き後、信徒からは神聖視されている。デメトリアスの命を救い、奇跡を起こす。
カリグラ(ジェイ・ロビンソン)
次期皇帝。非常に傲慢で暴君。良い噂はなく、皇帝になった暁にはローマを滅ぼすとまで言われている。マーセラスを嫌い、目の敵にしている。皇帝を弑して即位する。

映画『聖衣』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『聖衣』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『聖衣』のあらすじ【起】

西暦30年頃、帝政下のローマ。奴隷市へとやって来た護民官マーセラスは、次期皇帝カリグラの妃になると言うダイアナと再会する。12年前、まだ少女だった彼女は、今や美しく成長し目を見張るほどだった。そこへ、カリグラがやって来る。次期皇帝と目されている彼には悪評が付きまとい、浮名を流すマーセラスと良い仲とは言えなかった。

奴隷の競り合いでギリシャ人デメトリアスを競り勝ったマーセラス。カリグラは気分を害し、ダイアナを連れてすぐに帰ってしまう。すると、帰宅して早々、カリグラから指令書が届き、エルサレムへの左遷を命令されるのだった。その夜のうちに出発しろとのことだったため、急いで荷造りしデメトリアスを連れて旅立つ。出発間際、ダイアナが見送りに来てくれ、別れを惜しんだ。

エルサレムへ到着。マーセラスは救世主と呼ばれる白いロバに乗った男とその一団に遭遇するも、着いたばかりで町の事情も分からないので、気にすることはなかった。その後、提督が管理するエルサレムでのんびり遊興に耽るマーセラス。

そんなある日、提督が救世主と呼ばれる男を探しているという知らせが入る。そこで、マーセラスはその男を密かに捕まえるよう命令。それを聞いたデメトリアスは救世主を救うため、夜の町を走り回ったものの弟子の1人に裏切られ、すでに逮捕されたことを知るのだった。

翌早朝、叩き起こされたマーセラスはデメトリアスから救世主が不当に逮捕されたため、助けて欲しいと懇願されるも、提督はローマから派遣された人物である。エルサレムの管理を行っている彼に歯向かうほど、馬鹿ではない。マーセラスはデメトリアスを思い、諦めるよう諭した。

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映画『聖衣』のあらすじ【承】

提督の元に向かうと、救世主の磔刑を命じられる。処刑が終わったらすぐにローマへ向かい、皇帝に報告書を渡すように言われた。
自分が磔にされる十字架を背負った救世主を、処刑場の丘の上へ連行。デメトリアスは救世主を庇い、自ら鞭の前に身を差し出し意識を失ってしまう。気が付いた時には、すでに救世主は丘の上で磔にされていた。

マーセラスとローマ兵は磔刑にされた囚人が息絶えるのを待っていたが突然、雷鳴が轟き強風が吹き荒れる。デメトリアスは救世主がかつて身に纏っていた上等な毛織物の衣を胸に、救世主の最期を泣きながら看取った。その帰り、嵐は次第に勢いを増しマーセラスはデメトリアスから衣を奪ったが、奴隷は主人から衣を取り返し罵詈雑言を浴びせ去って行くのだった。

その後、提督の命令通りにローマへ向かったマーセラス。だが、救世主を磔刑にして以来、毎夜悪夢に苛まれ碌に眠れずにいる。ダイアナに助けを求めたものの、すでに正気を失いかけていた。皇帝へ提督の報告書を届け、事情を明かす。磔刑にした救世主が実は本物だったのではないかと。すると、皇帝の主治医は救世主の衣が呪いの元なのではないかと言う。デメトリアスが持ち去った衣を見つけて処分すれば、悪夢も終わる。そこで、皇帝はマーセラスに衣の捜索をすると共に信徒を見つけ出し、反逆を企む連中を炙り出すよう命令するのだった。

皇帝はダイアナをも解放し、マーセラスと添い遂げられるよう采配。画して、マーセラスはダイアナを妻に迎えた後、1人でエルサレムへ戻った。

映画『聖衣』のあらすじ【転】

救世主の信徒を探して村々を旅したマーセラス。ある日、彼は村人たちから衣を大金で買い取った。すると、そこへある老人が現れ村人を諭す。衣を売ったにしては、金を貰い過ぎていると言う。分不相応を知り誠実であれと説くのだ。老人は救世主の弟子で職工だった。彼の話を聞くことで、次第に心を動かされる。

更に足の不自由な女性から救世主の教えを聞く。救世主は神を愛し、隣人を愛せよとそれだけを説いた。人種の差別なく愛することで新たな世界を作ろうとしたと言う。マーセラスは愛で世界は作れない、力こそが全てだと言うが、実のところ自分が殺したあの男の教えに揺り動かされていた。

女性から救世主の一番弟子だというペトロを紹介してもらう。どうやら彼の元にはデメトリアスもいるらしい。衣は彼が持って行ったため、急いで言われた場所へ向かい、デメトリアスと再会。衣を燃やせと命令した。だが、デメトリアスは衣を渡し、かつての主に救世主の教えを説く。再び衣に触れたことで、マーセラスは己が恐れていたものを受け入れ、改心するのだった。

その後、デメトリアスの紹介でペトロと会ったマーセラス。その場で説教が開始されるも、ローマ兵による襲撃によって騒然となる。マーセラスは小隊の隊長と対峙し、どういうことか理由を問うた。すると、彼に命令を下した皇帝が崩御し、新皇帝にカリグラが即位したと言う。カリグラは信徒の捜索と殺害を命令したらしいが、マーセラスはその命令には従えないと断固拒否。小隊長と戦って勝利し軍隊を退けるのであった。

そんな彼にペトロが布教の旅へ一緒に行かないかと声をかける。だが、マーセラスは一度ローマへ戻ると言って、旅には同行しなかった。
一方、ローマではカリグラの非道な命令にダイアナが抗議していた。口論となった末、信徒であり反逆者でもある者を拘束したと言われる。その人物とはマーセラスの元奴隷であり、敬虔な信徒となったデメトリアスだった。

映画『聖衣』の結末・ラスト(ネタバレ)

デメトリアスは厳しい拷問に晒されていたが、決して口を割らなかった。ダイアナはカリグラの前から辞した後、従者からマーセラスがローマへ戻って来ていることを聞かされる。そして、彼が潜伏している隠れ家を訪ね、愛するマーセラスと再会。信徒となって改心したマーセラスは、デメトリアスが大切に保管していた衣を大切に扱い、かつての奴隷を助けに向かうと言う。ダイアナは彼を引き留めたが、聞いてはくれなかった。

勝手知ったる宮殿への潜入を果たし、拘束されていたデメトリアスを仲間と共に救出したマーセラス。カリグラはこれに激怒し、マーセラスの捕縛を命じた。
両親の助けを得て密かにデメトリアスを運び込み医者に見せたが、助かる見込みはないと言われてしまう。そこへペトロが現れ、デメトリアスを助けてくれる。

このことにより、両親はマーセラスを勘当し、ローマ軍に見つかる前にローマを去れと告げる。マーセラスはデメトリアスを連れて早々に出発したものの、追手に見つかってしまい自らが進んで囮となって投降し、デメトリアスを無事に逃がすのだった。

牢に拘束されたマーセラスだったが、彼の父親は元老院の長であるため、例え皇帝であろうとも法によって簡単に処刑することができない。そこで、カリグラは公開裁判を行い、マーセラスに大逆罪を課した。だが、マーセラスは救世主の衣をダイアナへ手渡し公平を説く。傲慢なカリグラはマーセラスに忠誠を誓わせ、救世主への忠誠を撤回しろと言う。しかし、マーセラスは跪きカリグラへ忠誠を示したが、救世主は人類の王であり神の子であるため、救世主への忠誠を撤回することはできないと断言。それにはダイアナも加わり、カリグラには従えないと告げ、2人は手を繋ぎ堂々と処刑場へ向かうのだった。

映画『聖衣』の感想・評価・レビュー

ハリウッド初のシネマスコープ作品であり、イエス・キリストを磔刑にした護民官が改心し、キリスト教の弾圧に立ち向かう様を描いている。1953年に制作された作品であり、当時にしてはかなり本格的な歴史映画となっている。

次期皇帝と主人公が対立している理由が描かれていないため、基礎知識がないとずっと疑問を抱える羽目になる。セリフでは以前から対立しているような感じが伺えるのだが、直接的な理由は競り合いで反感を買ったことに端を発しているようだ。権力が全てだと思い込んでいた主人公が、聖衣に触れ改心するシーンは一瞬で終わる。違和感は拭えないが、ストーリー的にはボリューム感もあって、満足の一品である。(MIHOシネマ編集部)


イエス・キリストが身につけていた衣に触れたことで改心するお話。無信仰の私には共感できない部分が多く、知識も豊富では無かったため理解しきれないシーンが多かったです。
しかし、信仰するというのはどういう事なのかがよく分かった気がします。信じるものは救われるなんて言葉があるように、宗教には結末があって、どんな人でも信仰し、心から信じればその結末にたどり着けるというのが「簡単でいいな」と感じてしまった私は、まだ信仰すべき宗教に出会えていないのかも知れません。(女性 30代)


キリストが身に着けていた聖衣が題材になっているお話です。比較的わかりやすい内容で、キリスト教の考えもシンプルに伝わってきます。
いつも思うのですが、この頃の作品は、現在のようなPC等の技術もない中、登場人物も多くエキストラなどもたくさん使われていたのだろうなと思います。とても丁寧に作られた作品だと感じました。技術的には現在の方が進んでいるとは思うのですが、実際の撮影にかけた時間などは以前の方が多かったのではないだろうかと感じる作品です。(女性 40代)

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