映画『パーフェクト・レボリューション』の概要:手足の自由が効かない重度の身体障害者クマと、行き過ぎた行動を取ってしまう人格障害者ミツの革命ラブストーリー。不完全な2人が出会うことで完全な物語となる。障害者を演じるリリー・フランキーと清野菜名の演技にも注目。
映画『パーフェクト・レボリューション』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:松本准平
キャスト:リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、岡山天音 etc
映画『パーフェクト・レボリューション』の登場人物(キャスト)
- クマ(リリー・フランキー)
- 手足の自由がほとんど効かない重度の身体障害者。45歳独身。障害者の抱える性の悩みを本の執筆や講演会で伝えている。ある日の講演会でミツと出会い、障害者としての平和な人生が大きく変わっていく。
- ミツ(清野菜名)
- ピンク色の髪と派手な服が特徴的な風俗店で働く25歳の女。クマの講演会に参加し、恋に落ちる。しかし、人格障害を患っており、行き過ぎた行動をとることも…。
- エリ(小池栄子)
- クマの介護を長年担当しており、クマにとって親友のような母親のような存在。年下の旦那がいて姉さん女房。クマとミツの関係を親身になって考えている。
- 悟(岡山天音)
- エリの旦那。ベンチャー企業の社長をしながらエリのサポートもおこなっている。
- 晶子(余貴美子)
- 占い師。ミツの親代わりのような存在。誰よりもミツのことを心配し考えている。
映画『パーフェクト・レボリューション』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『パーフェクト・レボリューション』のあらすじ【起】
手足を自由に使えない重度の身体障害を抱えるクマは、障害者の持つ性の悩みを世の中に伝えている。そんなクマが、講演会で1人の若い女と出会う。ピンクの髪に蛍光色の服を着たミツだ。クマの講演を聞いたミツは、講演会の後からクマに猛アプローチをかける。しかしクマは、戸惑いながらミツの誘いを断り講演会をあとにする。
ある日、クマが収録をしていると、スタッフに紛れたミツが現れる。驚くクマに対して、ミツのアタックは止まらない。その夜、ミツはようやくクマとご飯を食べに行くことになる。しかし、楽しく話をしているところに、クマに酔っ払いが絡んできて、ミツが周りを巻き込んでの喧嘩を始める。
お店に謝りながら出てきたクマは、うな垂れているミツの元に近づく。やらかしたと反省しているミツだが、スッキリしたと言うクマの言葉に元気を取り戻す。落ち着いたところで帰ろうとするクマだが、段差があって進むことができない。クマが立ち往生していると、ミツが走って向かってくる。勢いよく車椅子に飛び乗ったミツは、段差を超えて、レバーを操作して進んでいく。そして2人は、車椅子のドライブを楽しみながら、夜の公園へと消えて行く。
映画『パーフェクト・レボリューション』のあらすじ【承】
親のような存在の晶子にクマのことを伝えるミツは、クマのことを占って欲しいとお願いをする。しかし、晶子は無理だと言い、自分にも人格障害があることを分かっているのかと問いただす。それに対して怒り出したミツは、机の物を投げ出して暴れ始める。慣れた手つきでミツを静止する晶子は、クマのことを占い始め、ミツは落ち着きを取り戻していくのである。
検診のため病院に来ているクマは、身体の状態はあまり良くないと伝えられる。病室を出ると、付き添いで来ていたミツが待っている。帰り道、クマの気持ちとは裏腹に、駅まで競争をして正式に付き合うかどうかを決めることになる。近道をしようとして散々な目にあったクマは、競争に負けてミツと正式に付き合うことになる。
ミツはご飯を作ったり、着替えを手伝ったりと、一生懸命クマを支える。夜にはクラブで一緒に踊り、その帰りにはホテルにも行って、2人の幸せな時間を過ごす。ある夜、クマを長年介護するエリと3人で、ご飯を食べることになった。そこで2人の関係を伝えると、エリは嬉しそうに祝福する。
3人での楽しい時間を過ごしたクマは、2人が帰った後にタバコを消そうとして、車椅子から落ちる。床で頭を打ち血が流れる。しかし、身体の自由が効かないクマは、助けを呼ぶ事もできない。近くにあった棒で必死に携帯を床に落とし、気を失うのである。目を覚ますと病院のベッドで横になっていた。
ミツと晶子が乗ったタクシーが病院の前に着くが、ミツは降りようとしない。エリと晶子に無理やり降ろされ、重い足取りで病室まで行く。しかし、元気そうなクマの顔を確認すると、ベッドへと走っていき抱きつく。心から心配したミツは、クマのほっぺを叩く。ミツは帰り際、エリと2人で話しをする。話の途中で怒ったミツは、走り去って行くであった。
映画『パーフェクト・レボリューション』のあらすじ【転】
無事に退院したクマは、ミツと一緒にお父さんの葬儀へ向かう。周りは礼服を着ている中、ミツはいつもの派手な服でいる。夜になると親戚一同が集まり、ミツも一緒にご飯を食べながら話しをする。しかし、次第にクマの話になり、それを聞いていたミツは寿司を投げつけ、部屋を出ていく。
ある日のお昼、クマとエリは晶子からミツの過去や人格障害になった経緯を知ることになる。そして、この話を伝えた晶子は、ミツにとって最善の選択をして欲しいとクマに伝えるのである。
クマとミツは、以前からあったテレビの密着取材を受ける。しかし、クマのイメージしていた取材とは違い不信感を持つが、ミツは嬉しそうに取材を受けている。取材後2人でスタッフを見送り、部屋に戻る途中で言い合いになる。
買い物を終えたエリ夫婦が喧嘩に気づき、エリが止めようとミツを掴む。ミツはエリを押し倒し、割れたビンを喉に突きつけ、激しく罵倒し始める。それを見たエリの旦那の悟は、ミツを突き飛ばし、馬乗りになって叩く。静止するエリの声で我に帰る悟と、地面で泣きじゃくるミツ。クマがみんなに帰るように言う。
夜になり、押入れの中に閉じこもっていたミツが出てくると、クマに話し掛けながらカッターナイフを手に取る。カッターナイフの刃を出し、手首に当てる。それを静止しようとクマがミツの名前を叫ぶが、ミツは手首を切ってしまう。そして、ミツはそのまま倒れ込む。
病院の待合室にいるクマの元にエリが到着して、ミツの容体を確認する。大丈夫だと知って安心する。エリは、これからのミツとの関係ついて考えるようクマに伝える。自分で別れることができなければ、接触禁止という方法があることも伝えるのであった。
クマが病室に入り呼びかけると、ミツは目を覚ます。夢を見ていたミツは、その内容をクマに話し始め、クマはそれに優しく答える。クマとエリが自宅に戻ると、取材スタッフが待っていた。しかしクマは、ありもしない嘘を言い始め、ミツが死んだと伝える。エリは横で楽しそうに、その話を聞いているのであった。
映画『パーフェクト・レボリューション』の結末・ラスト(ネタバレ)
エリの車で海へと向かった3人は、花火やBBQを存分に楽しみ、片付けをしている時にはエリとミツは仲直りもできた。その夜、ミツとクマはベッドで見つめ合いながら、幸せな時間を過ごす。夢を見たミツは目を覚まし、不安な表情を浮かべる。
ミツは朝起きると、クマと散歩へ出かけていく。そして、車椅子を引きながら海へと向かって行く。クマが名前を呼んでも、ミツが止まることはない。クマの足が海についた瞬間、ミツはクマを抱きしめて海の中へと飛び込んで行く。
エリがクマを抱きかかえ、海の中から引きずり出す。ミツは、再びクマを海の中へと連れて行こうとするが、エリがそれを振り払う。泣きじゃくるミツ。クマを抱きかかえながら涙を流すエリ。
接触禁止になったことを知らないクマは、ベランダで洗濯物を干すエリに、最近のミツの様子を聞く。ミツは晶子の元でカウンセリングを受けている。しかしこの日は、2人が受けた取材の放送日だった。それをたまたま目にした2人は、それぞれ家を飛び出して行く。
クマが車椅子で走っていると、道の向こう側からミツが走ってくる。クマはミツの名前を叫びながら近づいて行くが、何かを考えるミツは立ち止まる。しかしすぐに、クマの名前を叫んで走り出す。お互いの距離が近づきあと一歩のところで、ミツとクマは施設の人達に捕まり、触れることなく引き離されて行く。
一年後。ホテルのロビーに着いたクマは、受付の女性に案内される。するとそこにはエリがいた。久しぶりの再会に驚きながらも、お互いの話をして、笑顔でエリは去って行く。
クマの目を後ろから手で覆い、驚かせるミツ。久しぶりの再会に喜ぶ2人は、ぎこちなく話をする。会えるのが最後だとミツから聞かされ、やり直そうと伝えようとするが、制止される。クマの膝の上にミツが乗り、一緒に踊る。歌が終わるとお互いに感謝を伝えて、ミツは去って行くのである。
車に向かうミツの元に変装した晶子が現れ、施設の人達にスタンガンを突きつけて行かせようとする。さらに、車に乗ったエリと悟も現れ、ミツを後押しする。ミツは走り出す。クマは驚きながらも、ミツとの本当の再会を果たす。追ってくる施設の人達から逃げるため、ミツはクマの車椅子に乗る。そして、2人で一緒に走り出して行くのであった。
映画『パーフェクト・レボリューション』の感想・評価・レビュー
身体障害者と人格障害者が恋をするという、あまりイメージのできない設定だが、観てみると純粋すぎるほどのラブストーリーだった。人は誰でも幸せになりたいと考え、そしてその資格は誰にでもあるんだなと考えさせられる映画。リリー・フランキーの演技も良かったけど、清野菜名の存在感がとにかく凄かった。ただ、ラストだけが少し残念な印象。ハッピーエンドで終わるのもいいけど、個人的にはダンスをして別れたところで終わっておいても良かったのかなと思うところ。(MIHOシネマ編集部)
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