映画『ラ・ヨローナ 泣く女』の概要:古くから中南米に伝わる怪談「ラ・ヨローナ」をメインに制作されたホラー映画。女の泣き声を聞いたら、ラ・ヨローナが子供を攫いにやって来る。『死霊館』シリーズの一作であり、悪霊を退ける様子と母が子を守ろうと奮闘する様が描かれている。
映画『ラ・ヨローナ 泣く女』の作品情報
上映時間:93分
ジャンル:ホラー
監督:マイケル・チャベス
キャスト:リンダ・カーデリーニ、レイモンド・クルツ、パトリシア・ヴェラスケス、マリソル・ラミレス etc
映画『ラ・ヨローナ 泣く女』の登場人物(キャスト)
- アンナ・テイト=ガルシア(リンダ・カーデリーニ)
- 児童相談所に勤めるケースワーカー。非常に大雑把ではあるものの、子供達には愛情をたっぷり与え育てている。子供達を守るために盾となって立ち塞がる強さを持つ。刑事の夫は現在、出張中で不在。
- クリス(ローマン・クリストウ)
- アンナの息子。好奇心旺盛で妹とも仲良し。警官である父親をとても慕っており、父親のようになりたいと密かに思っている。
- サマンサ(ジェイニー=リン・キンチェン)
- アンナの娘。怖がりで、お気に入りの人形を抱きしめることで安心を得ている。母親と兄の言うことをよく聞く素直な子。
- ラファエル・オルヴェラ(レイモンド・クルス)
- 元神父で現在は呪術医。教会は信じないが、神への信仰は厚い。メキシコの儀式について非常に詳しく、ラ・ヨローナの被害者を数多く目にして現象の研究を行っている。少々ひねくれてはいるものの、信頼に足る人物。
- パトリシア・アルバス(パトリシア・ヴェラスケス)
- 2人の子供を育てるシングルマザー。ラ・ヨローナの脅威に晒され子供を守ろうとしたが、虐待疑惑にて子供と引き離され、子供を殺されてしまう。子供と引き離したアンナに恨みを抱いている。メキシコ系女性。
- ラ・ヨローナ(マリソル・ラミレス)
- 約300年前、メキシコの小さな村で美人と噂されていた女性。若い牧場主と結婚し、2人の子供を儲けるも夫の浮気によって嫉妬に狂い、子供を川で殺害。自らも苦悩を抱え川で自殺を図る。その後、悪霊となり印をつけた者を溺死させている。
- クーパー刑事(ショーン・パトリック・トーマス)
- アンナの夫の友人で、溺死事件の担当者。クリスとサマンサとも面識があり、アンナを良く知る人物。
- ペレス神父(トニー・アメンドーラ)
- 教会の神父で以前、アナベル人形を預かったことがある。超常現象研究家の夫妻とも面識があり、アンナに紹介しようとする。ラファエルとも親交がある。
映画『ラ・ヨローナ 泣く女』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ラ・ヨローナ 泣く女』のあらすじ【起】
1973年、ロサンゼルス。息子クリスと娘サマンサを育てるアンナ・テイト=ガルシアは、少々大雑把なお母さん。彼女はケースワーカーとして児童相談所に勤めており、その日は児童虐待が疑われる女性パトリシア・アルバスの家を訪問。彼女は長年、アンナが担当してきた人物だったが、いつもと違い酷く怯えて攻撃的だった。子供達は部屋のクローゼットに監禁されており身体にも傷があったため、虐待は確実と思われたが、子供達は母親がやったのではないと言う。そして、どこへ逃げても無駄だと絶望した表情で呟くのだった。
子供達は聖ビクトリア教会の福祉施設へ入ることになったものの、深夜になってアンナへと連絡が入る。子供達が川で溺死したと言うのだ。アンナはクリスとサマンサを連れて溺死現場へと向かった。そこにはパトリシアも来ていたが、彼女はラ・ヨローナという悪霊から子供達を守ろうとしたのだと言う。だが、アンナが連れ出したせいで、死んでしまったと責め立てるのだった。
パトリシアがパトカーで去って行く様子を目にしたクリスは、興味本位で現場へと向かう。茂みの中からこっそりと窺ったが、ふと背後から女の泣き声がする。クリスはそこで白布を被った長い黒髪の女が泣いているのを目撃し、更に右手首を掴まれてしまう。咄嗟に振りほどいて車へと戻ったが、女がクリスを逃すはずがなく、車の窓が勝手に開く。少年は必死になってそれを阻止。幸い、アンナが戻って来たので助かった。
映画『ラ・ヨローナ 泣く女』のあらすじ【承】
数日後、亡くなった子供達の葬儀が教会で行われる。アンナも葬儀へと参列したが、教会のペレス神父にラ・ヨローナとは何かを聞く。すると、神父はラ・ヨローナとは泣く女という意味で、メキシコで語られてきた悲劇的な昔話だと言うのだった。
溺死事件の担当となったクーパー刑事がアンナの自宅へとやって来る。彼はアンナの夫とも既知の間柄で子供達とも面識があった。だが、クリスもサマンサも気落ちした様子で元気がない。刑事が帰った後、事件のファイルへと目を通していたアンナ。深夜であるにも関わらず、玄関のドアが開閉している。不思議に思って近づくと、クリスがひたすら開閉を繰り返していた。息子は寝ぼけているようだ。アンナはドアを閉めたが、突如突風がドアを開きクリスが倒れる。慌てて閉めて息子を寝室へ戻した。
クリスの部屋の隣はサマンサである。娘の無事を確かめた次の瞬間、室内のライトが一斉に消える。すると、サマンサの部屋の鏡にラ・ヨローナの姿が映り、鏡にヒビが入る。アンナは叫んで娘を助けようとしたが、寸前でドアに阻まれてしまう。
武器としてバッドを手にしたところで、ラ・ヨローナと対面。相手は何も語らず、クリスとサマンサが起きて来たことで姿を消してしまった。アンナは子供達を奪われるという恐怖から抜け出せず、子供達を自分のベッドで休ませ、その後は一睡もせずに見張ったのだった。
映画『ラ・ヨローナ 泣く女』のあらすじ【転】
翌日、パトリシアとの面会へ赴いたアンナ。彼女の右腕にも煙草を押し付けたような火傷痕があった。パトリシアはアンナへと恨みを抱いており、ラ・ヨローナにクリスとサマンサのことを教えたのだと言う。パトリシアの子供達にも同じような痕があったことから、恐らくそれが印になっているのだろう。
サマンサが入浴中、クリスから話を聞いたアンナ。息子がラ・ヨローナの脅威に晒されていることを知る。ところがその最中、ラ・ヨローナがサマンサを溺死させようとする。異変を察して駆け付けたアンナは辛うじて娘を助けたが、アンナもまたラ・ヨローナに襲われ、腕を掴まれてしまうのだった。
朝を待って教会へと逃げ込んだアンナ親子。事情を話して助けを乞う。話を聞いたペレス神父は以前、自らが体験した人形の話をして専門家を紹介すると言ってくれる。だが、その専門家を呼ぶには、大教区からの承認が必要で数週間もの時間がかかるらしい。しかし、事態はすでに切迫した状態であるため、同じ町に住む元神父で現在は呪術医として仕事をしているラファエル・オルヴェラという人物を紹介してくれた。
ラファエルは3人の腕の火傷痕を目にし、ラ・ヨローナと対峙する決意を固める。彼はアンナ親子と家へ向かい準備を行った。家中に蝋燭を置き、様々な薬品と特性の十字架を用意。ラファエルが以前、採取したラ・ヨローナの涙を武器に使う。
日が暮れると雨が降り出した。室内のライトが一斉に消える。ラファエルはアンナ親子を結界内にいるよう言い聞かせた。
2階から物音が聞こえる。ラ・ヨローナはすでに家の中にいるらしい。すると壮絶な叫び声が聞こえ、蝋燭の火が全て消え失せる。アンナが震える手でランタンを持ち出したが、背後にラ・ヨローナが迫り、彼女を投げ飛ばしてしまう。
子供達は咄嗟にテーブルの下へと隠れたものの、クリスが捕まり連れて行かれそうに。そこで、待機していたラファエルが涙を使ってクリスを助けると、ドアの前に魔よけの種を撒いた。すると、ラ・ヨローナはそこから中へは入ることができずに酷く歯噛みする。
映画『ラ・ヨローナ 泣く女』の結末・ラスト(ネタバレ)
何としてでも子供達を連れて行こうとするラ・ヨローナ。一同が対策のために走り回っている間、サマンサはお気に入りの人形を玄関の外に発見し人形を取るべく手を伸ばした。その時、娘に気付いたアンナ。サマンサが人形を手に取ったせいで魔よけの種のラインが崩れてしまい、攫われてしまう。
連れ出した後は溺死させるのがラ・ヨローナの殺害手段だ。アンナは自宅のプールへ向かい飛び込んだが、水中でラ・ヨローナに捕まってしまう。そこで、ラファエルがプールの水を聖水へと変え、アンナとサマンサを助けた。ところが、サマンサはラ・ヨローナの支配下に置かれ、意思とは関係なく行動してしまう。そこで、子供達をクローゼットへと隠し、今度こそラ・ヨローナと対峙することにするのだった。
プールから脱出した時、アンナはラ・ヨローナから首飾りを奪い取っていた。ラファエルはいずれそれが武器になると言う。しばらくの間、何もない時間が過ぎた。ところが、家の中にパトリシアが侵入し、クリスとサマンサを連れ出そうとする。パトリシアはラファエルを銃撃し、魔よけの種のラインを壊してしまった。
突如、突風が一同を襲う。倒れたアンナは地下室へと放り投げられ、閉じ込められた。クリスはアンナが落とした首飾りを手に妹を連れて屋根裏へと逃げ込む。ラ・ヨローナが2人へと迫る。クリスが首飾りを掲げると、ラ・ヨローナは美しい容貌を取り戻し一瞬、子供への愛情を思い出した。ところが、サマンサが鏡にかけられた布を落としてしまい、ラ・ヨローナが悪霊の姿を思い出してしまう。あわや襲われそうになったところへ、復活したラファエルと助けられたアンナが駆け付け、ラ・ヨローナへと特性の十字架を突き刺した。すると、ラ・ヨローナはたちまち崩れ去り、姿を消してしまうのだった。
映画『ラ・ヨローナ 泣く女』の感想・評価・レビュー
『死霊館』シリーズに属する1作で、中南米に古くから伝わる怪談「ラ・ヨローナ」を題材に制作されたホラー映画。『アナベル 死霊館の人形』にも登場したペレス神父が相談役として出ており、超常現象研究家のウォーレン夫妻のことを紹介しようとしている。
非常に違和感のないホラーとでも言うべきか、『死霊館』シリーズを目にしたことがある人には分かるかと思うが、通じるものがあり例の如く、悪霊は白塗りで黒い涙を流している。そして、これまでにないほど性急な襲い方で息つく間もない。ラ・ヨローナを目にした瞬間からすぐに印をつける辺り、かなり行動が早い。だが、悪魔ではなく悪霊なので、倒された後は実にあっけなく、これまでとは違う終わり方だと思った。(MIHOシネマ編集部)
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