映画『君は月夜に光り輝く』の概要:細胞異常により身体が発光する不治の病、発光病を患う同級生の見舞いをした主人公。彼女とは初対面であったが、ふとしたきっかけにより、やりたいことリストを代行することになる。死生観をテーマに少女少年の歩み寄りと、立ち直るきっかけを描く。
映画『君は月夜に光り輝く』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:ラブストーリー、青春
監督:月川翔
キャスト:永野芽郁、北村匠海、甲斐翔真、松本穂香 etc
映画『君は月夜に光り輝く』の登場人物(キャスト)
- 渡良瀬まみず(永野芽郁)
- 不治の病、発光病を患っている17歳の少女。中学時代、発光病を発症して以来、入院生活を送っている。生きることに絶望し、生きる執着を持つためにやりたいことリストを作成する。明るく可愛らしい性格。
- 岡田卓也(北村匠海)
- まみずとは同じクラスメイトだが、初対面。姉を交通事故で亡くし母親と2人暮らし。恋人を発光病で亡くし、自ら車へ投身自殺を図った姉の気持ちが理解できずにいる。いつも無表情で感情をあまり表に出さないが、まっすぐな性格で真面目な上に律儀。
- 香山彰(甲斐翔真)
- 卓也の親友。発光病で亡くなった兄を持つ。中学時代、まみずと同じクラスメイトで彼女のことが好きだった。卓也の様子と行動を見守っている。
- 岡崎(優香)
- まみずの担当看護師。年若いまみずが病室に閉じ込められ長い間、入院生活を送っていることに心を痛めている。病状を心配しつつも、まみずの気持ちを汲んで協力する。
映画『君は月夜に光り輝く』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『君は月夜に光り輝く』のあらすじ【起】
細胞異常により身体が光を放つ不治の病、発光病を患い入院中の渡良瀬まみず。クラスで彼女への寄せ書きを見舞いとして渡すことになり、クラスメイトの岡田卓也が渡しに行くことになった。
発光病は原因不明で治療法も未だ確立されておらず、死に近づくほど発光度合いが強まると言う。そして、この病を患うまみずは恐らく、大人になることができない。
新学期が始まりクラス替えが行われたことで、クラスの顔ぶれが変わっている。卓也とまみずはほとんど初対面だった。儀礼的にいくつかの言葉を交わし、帰ろうとした卓也だったが、まみずはまた会いに来て欲しいと、あるメモを手渡すのだった。
小さなメモにはお菓子が食べたいと書いてあった。律儀にも希望通りのお菓子を購入し、再びまみずの病室を訪ねる。ところが、彼女は不在。興味本位でスノードームに触れた時、当の本人に声をかけられ驚いた卓也は誤ってスノードームを壊してしまう。まみずは真っ先に怪我をしていないか心配し笑って許してくれたが、罪悪感でいっぱいの卓也は罪滅ぼしに何かしたいと言い出す。すると、まみずは自分にはやりたいことがあるけれど、病室から出られないので代わりに卓也がやって欲しいと言うのだった。
まみずの希望通り1人で遊園地へ向かい、可愛らしいカチューシャにジェットコースター、巨大パフェに挑んだ卓也。周囲からは奇異な目で見られたものの、報告するとまみずは大喜びだった。次は新発売のスマホを購入するため、前日の夜から行列に並んだ。なんとか購入に成功し、まみずともスマホで連絡が取れるようになる。
次の希望は離婚した父親に会いに行って欲しいというものだった。休日を利用しまみずの父親へと会いに向かう。父親曰く、会社の倒産で自己破産し娘の治療費を捻出するため、形式的に離婚したらしい。父親は母親との取り決めにて娘には会いに行けないと言うのだった。その理由に納得したまみずは笑顔でもう大丈夫だと言ったが、卓也には代行リスト遂行をやめるつもりはなく、次の目標を頼むのであった。
映画『君は月夜に光り輝く』のあらすじ【承】
次からはスマホのビデオ通話を介し、彼女と一緒に代行リストを遂行。そして、メイド服を着てみたいという希望のためにメイド喫茶へ向かった卓也。アルバイト希望を名目に侵入に成功するも、キッチンスタッフとして面接初日から働くことになる。見様見真似でどうにか仕事をこなし、メイドとして働いていた同僚にメイド服姿を撮影させてもらった。すると、その女性に疑心を深めたまみずは、まるで罰を与えるかのようにバンジージャンプを希望。拒絶も虚しく卓也はバンジージャンプをさせられる羽目になるのだった。
まみずとも距離が縮まり代行のお礼として、彼女の誕生日を教えてもらった。まみずはやりたいことリストが減る度に心残りが減ったと笑う。彼女にはすでに余命はなく、いつ死んでもおかしくない状況らしい。毎日、いつ死んでもいいように心構えをしていると言うのだった。
そんなある日、病室へ向かう前にまみずの母親と遭遇した卓也。母親から関わらないで欲しいと告げられる。母親は一日でも長く娘を生かすために、まみずから人生の楽しみを全て奪っているのだった。
次の検査結果が良ければ、外出許可が出ると聞いた卓也。まみずが海に行きたいと言うため、彼も喜んで行き先を選んだ。ところが、検査の結果は芳しくなく、外出許可は下りなかった。まみずとの交流により卓也も日常に楽しみを見出していた矢先であったため、がっかりしてしまい食事も喉を通らない。そんな時、ニュースにてスーパームーンが見られると知る。親友の香山彰から望遠鏡を借り、病院へ向かった。
面会時間はすでに終了していたが、まみずの担当看護師、岡崎を説得し病室へ。まみずと共に病院の屋上で月を眺めた。たわいない会話を交わし、互いに好きだと冗談交じりに告白。その帰り、まみずの体が淡く光り始める。容体が急変しすぐさま処置が施された。
まみずの母親も駆け付け、卓也が酷く責められる。意識を取り戻したまみずが庇ってくれたため、それ以上叱られることはなかった。岡崎に呼ばれ母親が退室した後も卓也はまみずを見守ったが、立ち去ろうとした際、彼女が死ぬのが怖いと言ったら、朝までいてくれるかと聞いてくる。彼女は発光病解明のため、今後モルモットのように検査を続けることになると言う。
映画『君は月夜に光り輝く』のあらすじ【転】
自然界にある絶妙なバランスが崩れることで発生した発光病。まみずは卓也にもう来ないで欲しいと告げる。常に死と隣り合わせの毎日を送る彼女は卓也を大切に思うからこそ、そう告げたのだった。
夏休みも終わり、2学期が始まる。文化祭へ向けて演劇の配役が選ばれることになった。演目は『ロミオとジュリエット』。卓也は以前、まみずがジュリエットをやりたいと言っていたことを思い出し、自らジュリエット役を希望。すると、ロミオ役に香山が手を上げた。親友の兄も発光病を患い、この世を去っている。彼の兄と卓也の姉は恋人同士だったが、発光病が判明した後は交流が疎遠となり、兄が亡くなった後、卓也の姉も交通事故で亡くなっていた。真実は分からないが、恐らく後追い自殺ではないかと思われる。
まみずと中学からの同級生でもある香山は、中学時代も『ロミオとジュリエット』の演劇にて、ジュリエット役をまみずが演じることになっていたと明かす。ロミオ役は香山だったが、本番前日に発光病が判明してしまい演じることも会いに行くこともできなくなったと言う。そこで、香山は卓也を連れて病院へ。だが、卓也はまみずに拒絶されているため、病室へは香山だけが向かった。
後日、卓也はまみずの父親を訪ねる。自分はもう会いに行けないが、父親なら話は別だ。彼は父親へと頭を下げ頼み込んだ。まみずが大事にしていたスノードームは父親からもらったものだった。今も大事にしているのは、父親を恋しく思うからである。卓也は壊れたスノードームを残し、その場を去った。
文化祭当日、香山から卓也がジュリエットを演じると聞いたまみずから、ビデオ通話がかかってくる。卓也はまみずと通話を続けながら舞台へ。更にスマホを椅子に設置し、演劇も観覧させた。しかし、彼女は演劇を全て観ることなく、容体悪化にて面会謝絶となってしまう。
岡崎の計らいにより、まみずと特別に会わせてもらうことになった。機器類に囲まれた彼女は、卓也を胸に抱き心臓がまだ動いているか確認させる。そうして、互いに気持ちを明かし合うのだった。
映画『君は月夜に光り輝く』の結末・ラスト(ネタバレ)
まみずの父親から呼び出された卓也。父親はまだ17歳の娘が大人になることもできず、亡くなってしまうかもしれない深い悲しみを抱いている。彼は卓也へとスノードームの作り方の本を手渡した。
帰宅した卓也へ母親が自殺だけはやめて欲しいと言う。子供を亡くす親の気持ちなど、当の子供が知ることはない。母親は娘が自殺してしまった悲しみを堪えながら、毎日を送っていた。
深夜になってまみずから会いたいと連絡が入る。病院へ忍び込んだ卓也はまみずと共に病院の屋上へ。彼女は生きる希望を失い、生きる執着を持つためにやりたいことリストを作ったと言う。だが、卓也と出会って彼女は、次第に死を恐れ強く生きたいと願うようになった。だから、卓也には長く生きられない自分の代わりに、生き続けて欲しいと言う。卓也側からすれば、その願いは酷く残酷なものに聞こえるかもしれない。けれど、まみずは自分の代わりにきちんと生きて人生を送って欲しいと告げ、卓也と口づけを交わすのだった。彼女の体は月夜に照らされ、強い光を放つ。
その後、まみずは14日間、強く光り続け命の灯が消えるように息を引き取った。
卓也はまみずのスマホに録音された音声を再生させる。彼女は自分が亡くなった後のことも、卓也へと残していた。葬儀にきちんと出席し、まみずの恋人であったことを明かすことだ。卓也は彼女の言う通りにした。
まみずの言う通り生きると決めた卓也だったが、彼女がいない世界では時に酷い孤独が襲う。彼女と接することで母親とも関係を修復し、立ち直るきっかけを得た卓也。母親が嫌っていた車で海へと行くことができた。そうして、まみずが残した最後のメッセージを聞く。
卓也はその後、医師を目指し医大へ進学。香山やまみずの両親とも交流を続け、3回忌にも参列するのであった。
映画『君は月夜に光り輝く』の感想・評価・レビュー
身体が発光する発光病を患う少女と姉を亡くした少年の出会いと交流により、それぞれの死生観の変化を描いている。身体の発光は細胞異常とされているが、まるで命が光っているかのようである。ヒロインの病状はすでに余命ゼロと診断されており、主人公と出会った時点でいつ死んでもおかしくない状況だった。
主人公とヒロインは交流を深める度、次第に思いを寄せ合うようになる。互いに歩み寄る姿勢がとても繊細に描かれ、それぞれの背景もさりげなく差し込まれている。死と直面した少女の諦念と相手を思いやる気持ちに溢れた作品で、涙なくしては見られない。(MIHOシネマ編集部)
恋人が病気で亡くなる、定番の感想系かと思いきや、若者らしい明るさや前向きさがあり、気持ちよくホロリと泣ける作品でした。ヒロインの永野芽郁さん、恋人役の北村匠海さんがどちらも役に合っていて、演技もうまく、本当に切ない気持ちになりました。
余命僅かなヒロインの願いを叶えようと一生懸命な北村さんの姿が健気でキュンとしました。自分もこんな風に、相手のために全力になれるような恋愛をしてみたいと思いました。とても心があたたまる素敵な作品でした。(女性 20代)
「発光病」の主人公が恋をする作品。とあるが「発光病」とは?初めて聞いたので調べてみると、この映画上の架空の病気とのこと。それから作品を観てももう何も響かなくて、残念でしかなかった。架空の病気をさらりと使うのはわたしには腹立たしく思ってしょうがなかった。しかも終始ストーリーの設定が甘いので全体的にも甘っちょろくて、ペラペラしていた。闘病と青春恋愛をテーマにしてはいけないだろとすら思った。これは完全な駄作。(女性 20代)
北村匠海と永野芽郁の少し変わった恋愛模様を描いた今作。余命ゼロの女の子の「やりたいことリスト」を律儀で真面目な男の子が叶えてあげるストーリーは、とてもいいお話でしたが「発光病」と言う病気がどうも納得出来ず、引っかかってしまいました。
実在しない病気ということですが、ここまで「死」について描くのならばもう少し違った描き方があったのでは無いかなと感じます。親友の兄も「発光病」で亡くなり、自分の姉は「発光病」で亡くなった彼の後を追い自殺をしたという設定は、あまりにもリアリティが無く、全てにこの「発光病」が絡んでいるのがとても残念でした。(女性 30代)
永野芽郁の声、肌、存在全てが透き通る程、美しいです。また、発光病という架空の病は、彼女をより神々しくさせています。代行体験という発想が斬新で、深く興味を持ちました。殊に、遊園地にて一人でアトラクションに乗ったり、パフェを食べているシーンは面白くもあり、考えさせられました。自分の余命が残りわずかだったら、或いは自分が見送る側の立場ならどう考え、どんな行動に出るだろう。エンディングテーマの『蜜の月』が、優しく胸に響きます。(女性 30代)
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