映画『僕たちのラストステージ』の概要:映画創成期にコメディアンとして活躍したローレル&ハーディの晩年を描いた作品。人気絶頂の時を過ぎた2人のコメディアンが、再起をかけて奮闘する中で見えてくる、友情やコメディを愛する心に胸打たれる。
映画『僕たちのラストステージ』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ジョン・S・ベアード
キャスト:スティーヴ・クーガン、ジョン・C・ライリー、ニナ・アリアンダ、シャーリー・ヘンダーソン etc
映画『僕たちのラストステージ』の登場人物(キャスト)
- スタン・ローレル(スティーヴ・クーガン)
- ローレル&ハーディのコンビで活躍したコメディアン。常にコンビのことを気にかけ、脚本もローレルが書いていた。芸事にまじめで、コメディを愛している。
- オリヴァー・ハーディ(ジョン・C・ライリー)
- ローレイ&ハーディで活躍したコメディアン。大柄で、ローレルと比べるとガサツな所もあるが愛妻家で優しい心の持ち主。
- イーダ(ニナ・アリアマンダ)
- ローレルの妻。昔は自身も歌手だったと自慢する、プライドが高く強気な女性。夫婦仲は良く、ローレイが上手くいかないのは相方のせいだと考えている。
- ルシール(シャーリー・ヘンダーソン)
- ハーディの妻。ハーディの不安定な仕事にあまり前向きではなく、イーダとよく言い争いになる。夫婦仲は良く、ハーディが心臓の病気で倒れた際は献身的に看病する。
映画『僕たちのラストステージ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『僕たちのラストステージ』のあらすじ【起】
ローレルとハーディは映画創成期に、コンビで活動するコメディアン。1937年頃が人気の絶頂で、2人の舞台はいつも満席、出演する映画も劇場を盛り上げていた。しかし、ローレルは他のコメディアン達と比べて、自分達は人気に見合ったギャラが貰えていないことを不満に思っていた。ローレルは度々ギャラの交渉を事務所の社長のハルに持ち掛けるが、上手くいかなかった。次第にローレルとハルの仲は修復不可能となり、ローレルは事務所をクビになる。ローレルはこれを機に2人で独立しようと、ハーディに持ち掛けるが、面倒な揉め事を起こしたくなかったハーディの態度は煮え切らなかった。結果的にコンビは活動休止となり、ハーディは事務所との契約期間中は別の相方とコンビを組むことになる。しかし、別の相方と出演したハーディの映画は、特に話題を呼ぶこともなく失敗に終わった。ハーディの新しい相方との作品はこれきりとなる。
映画『僕たちのラストステージ』のあらすじ【承】
それから16年後。コンビの再生をかけて、ローレルとハーディは巡演を行い、イギリス中を巡る。2人はこの巡演が上手くいけば、映画製作の費用にも充てたいと考えていた。しかし、向かった先々での2人への対応は人気だった頃とはかけ離れていた。宿泊先は安いホテルで、荷物を運んでくれるようなベルボーイなど当然いない。町の人たちは2人を見かけると声はかけるが、口を揃えて「引退したと思っていた」と言う。2人の扱いは完全に、過去の人であった。
イギリス中を巡演するうちに、少しずつ客足も増えていった。ローレルの妻のイーダと、ハーディの妻のルシールが応援のために合流する頃には、小さな劇場の客席は殆ど埋まるくらいまで人気を取り戻した。イーダとルシールは、自分の夫の活躍があまり揮わないのは相方のせいだと考えているため、何かにつけて皮肉を言い合うような仲であった。
映画『僕たちのラストステージ』のあらすじ【転】
公演のアフターパーティーで、些細なきっかけでイーダとルシールが口喧嘩になる。ルシールはハーディの体調や金銭的な問題も考え、巡演を中止して帰国したいと考えていた。不穏な空気が影響して、ローレルとハーディも昔の出来事を蒸し返して喧嘩になってしまう。ローレルはハーディに対して、独立に非協力的で一時期別のコンビを組んだことや、台本を考えずに怠けているように見えることについて責めた。後に引けなくなったハーディは勢いに任せて、コンビ自体会社に組まされたもので友情など感じたことはなかったと、思ってもいないことを口にしてしまう。この発言がきっかけで2人の間には完全に亀裂が入り、口も利かない状態になってしまう。特にハーディの怒りは収まらず、巡演が終わったらすぐにローレルと別れて、引退しようと決めた。喧嘩状態のまま舞台をこなしていたある日、ハーディが心臓発作で倒れる。宿泊先の部屋に運ばれたハーディは軽症であったが、ルシールは以前から引退を望んでいたため、これが決め手となり、ハーディが回復したらすぐに帰国しようと、ハーディとローレルを引き離す。
映画『僕たちのラストステージ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ルシールの隙を見てハーディの様子を伺いに部屋を訪れたローレルは、改めてハーディと話し合う。2人は、以前の喧嘩での発言は本心ではなかったことや、コンビのことを愛しているということを正直に話し、仲直りをする。しかし、ハーディの引退するという決意は変わることはなかった。ローレルも、ハーディが回復するまで別の相方とコンビを組んで活動するという話があることを打ち明ける。ハーディは引退、ローレルは新しいコンビで活動するということで話はまとまり、2人は円満に解散を迎える。
しかし、ローレルはいざ新しいコンビで舞台に立っても何もかもが上手くいかず、ハーディと築いてきた感覚を忘れられないでいた。自分が好きなのはハーディと一緒に作るコメディだと改めて気付き、舞台を中止にしてしまう。
ハーディに心配をかけたくなかったローレルは、巡演を続ける振りをして帰国することを決める。先に帰国する予定のハーディがローレルの部屋を訪れた。ハーディはローレルの様子から、新しいコンビがうまくいっていないことを察する。ローレルは正直に、コンビはハーディとでなければできないこと、諦めて帰国することを告げる。
ハーディはローレルの気持ちに胸を打たれ、もう一度一緒に舞台に立つことを決める。巡演最後の地、アイルランドへと渡った2人は、巡演を始めた当初では考えられないほどの大歓迎を受け、公演も満員だった。人気だった頃から続けている、コントの最後に躍るコミカルなダンスでは拍手が鳴りやまず、大盛況で幕を閉じた。
結果的に2人にとってこれが最後の舞台となる。数年後、ハーディは再び体調を崩して他界する。ローレルは自らが亡くなる直前まで、ハーディとの脚本を書き続けていた。
映画『僕たちのラストステージ』の感想・評価・レビュー
ローレルとハーディは実在したコメディアンで、ストーリー自体はすごくシンプルだった。そのため、登場人物の気持ちに感情移入しやすかった。長年一緒に活動していれば、壁にぶつかることや嫌なところも見えてくるだろうが、それ以上に生涯連れ添った夫婦のような言葉に表しきれない絆が見えてきた。ハーディが亡くなったあともローレルは脚本を書き続けたという言葉には、ローレルがいかにコンビを愛し、人生を捧げてきたか改めて感じさせられ、心を掴まれた。(MIHOシネマ編集部)
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