映画『我等の生涯の最良の年』の概要:第二次世界大戦後、故郷に戻った3人の兵士が、市民として新たな生活に格闘する様子を描いた作品。アメリカにおける当時の社会問題を正面から捉えて描いており、数々の映画評論家から絶賛され続けている。アカデミー賞では、作品賞を含む9部門で受賞している。
映画『我等の生涯の最良の年』の作品情報
上映時間:170分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ウィリアム・ワイラー
キャスト:フレデリック・マーチ、マーナ・ロイ、テレサ・ライト、ダナ・アンドリュース etc
映画『我等の生涯の最良の年』の登場人物(キャスト)
- アル(フレドリック・マーチ)
- 元陸軍軍曹。豪華なマンションに住み、妻と娘、息子がいる。戦争に行く前は、銀行で勤めており、戦後も銀行員として復帰する。
- フレッド(ダナ・アンドリュー)
- 元空軍大尉。たくさん勲章を貰っており、戦時中は高く評価されていたが、戦後は職探しに苦戦する。飛行訓練の際に出会ったマリーと結婚したばかりで、やっと新婚生活を送れると楽しみにしている。
- ホーマー(ハロルド・ラッセル)
- 元水兵。爆撃で、両手を失っており、義手を装着している。しかし、とても器用に義手を使いこなしており、細かな作業も上手くやってのける。恋人のウィルマと婚約中である。
- ペギー(テレサ・ライト)
- アルの娘。フレッドのことが好きになってしまう。しかし、彼には奥さんがいるため、諦めようと努める。
- マリー(ヴァージニア・メイヨ)
- フレッドの妻。勲章をたくさん持っており、カッコよくお金を持っているフレッドが好き。しかし、戦後は働き口がなく、安月給となってしまったため、フレッドに興味を無くしてしまう。
- フィルマ(キャシー・オドネル)
- ホーマーの婚約者。戦争から戻ってきたホーマーが、自分や家族に心を閉ざしてしまったことに落ち込む。義手でも関係なく、ホーマーのことを愛している。
映画『我等の生涯の最良の年』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『我等の生涯の最良の年』のあらすじ【起】
第二次世界大戦が終わり、故郷へと帰る帰還兵で飛行場は溢れていた。ブーン市行きの飛行機で、フレッドとアル、義手のホーマーが一緒になる。故郷が同じ3人は、道中で仲良くなる。ホーマーは、義手だが、マッチに火を付け、タバコを吸うことも簡単にやってみせる。
ホーマーが実家に帰宅する。すると、家族に温かく迎えられる。隣の家に住んでいた恋人のウィルマも駆けつける。喜ぶ家族たちであったが、義手を目にすると泣きそうになるのであった。その雰囲気に耐えかねたホーマーは、自分の殻に閉じこもってしまう。
アルも妻や子供達が待つマンションへ帰宅する。夫の帰宅を待ちに待っていた妻は、泣いて喜ぶ。大きく成長した子供達も、二人の様子を見て幸せな気持ちになる。
フレッドも実家へ帰る。両親との再会に喜ぶフレッドであったが、結婚したはずの妻マリーの姿がない。マリーは、家を出て、ナイトクラブで働いているという。場所を聞き出しマリーの元へと向かうフレッド。しかし、マリーは留守であったため会えず、バーへと飲みに出かける。
映画『我等の生涯の最良の年』のあらすじ【承】
アルは、お土産として息子に日本刀をプレゼントする。しかし、息子の反応は思っていたものと違い、物理で習った原爆の影響について興味を持って聞いてくる。人類は共存する道を探すべきだと話す息子に、想像以上に大人となってしまったと一抹の不安を抱くアル。また、家庭科を学んでいる娘は、家政婦なしで家事をやっていると聞き、娘の成長にも不安を抱く。そこで、お酒を飲んで気分転換をしたいと思い、妻と娘を連れて近くのバーへ行く。
その頃、ホーマーは、家族が義手を気にすることに耐えかねて、外へ出て行く。そんなホーマーの様子を心配するウィルマ。
フレッド、アル、ホーマーは、バーで再会することとなる。アルの連れてきた妻と娘のペギーも一緒となって乾杯する。ベロベロに酔っぱらってしまったフレッドとアルを連れ、アルの妻とペギーは帰宅することになる。
フレッドをベッドに運んで眠らせたペギーであったが、戦時中の夢を見てフレッドがうなされているのに気づく。優しくフレッドを落ち着かせ、再び眠らせるペギー。翌朝、目覚めたフレッドは、ペギーの優しさにお礼を言う。その後、妻マリーの元へ向かったフレッドは、マリーと再会を果たす。
映画『我等の生涯の最良の年』のあらすじ【転】
フレッドは新たな生活を送るため、職を探し始める。しかし、戦争での勲章は役に立たず、どこも雇ってくれない現実に叩きつけられる。また、妻のマリーは背広姿のフレッドではなく、軍服姿のフレッドが好きだと言い、軍服に着替えてクラブの仲間たちと食事へ行こうと誘う。
アルは、戦前に勤めていた銀行へ挨拶に行く。すると、昇格させるので是非とも戻ってきてほしいと懇願される。そのため、再び銀行に勤務することとする。
ホーマーは、自分の殻に閉じこもったまま、射撃場でストレス発散をさせる。そこへ、ウィルマが話したいことがあるとやってくる。戦争から戻ったら結婚しようと話していたのにどうしてしまったのかと不安げに聞くウィルマ。事情が変わってしまったのだと言うホーマーと喧嘩をしてしまう。
フレッドは、安月給だが、前に働いていた薬局で働くこととする。大金が手に入らないと知ったマリーは、フレッドに冷たく当たるのであった。二人の仲は悪くなってしまう。
映画『我等の生涯の最良の年』の結末・ラスト(ネタバレ)
フレッドは、薬局にやってきたペギーと再会する。休憩時間にランチをしようとペギーを誘う。食事を楽しむフレッドとペギーであった。帰り際、フレッドはペギーにキスをする。驚いたペギーは逃げるようにその場を立ち去る。
仕事後、家に帰るとマリーは、ペギーから電話があり、フレッドとマリー、ペギーとペギーの彼と4人で食事をすることになったと言う。嫌がるフレッドであったが、その食事会に参加することとなる。
ペギーは、フレッドたちと食事をすると両親に告げる。そして、その理由がフレッドを好きになってしまったからだと打ち明ける。彼が奥さんと幸せそうにしていれば、諦めがつくと考えたペギー。心配する両親であったが、彼女の判断に任せることする。
食事会では、ペギーの作戦とは裏腹に、フレッドとマリーが愛し合っていないことに気づいてしまう。そこで、二人を別れさせたいと両親に言うペギーであった。
アルは、父親として、フレッドにペギーに近づかないでほしいと頼む。彼女を不幸な目に遭わせるなと警告され、フレッドはペギーに電話で別れを告げる。ペギーはサヨナラを受け入れるが、すっかり落ち込んでしまう。
その後、薬局で態度の悪い客とホーマーが喧嘩をしてしまい、そこに割って入ったフレッドが客を殴り、失業してしまう。
帰宅したホーマーの元へ、明日街を出るように言われたとウィルマがやってくる。ウィルマを縛りたくない、出て行って良いのだと言うホーマーだったが、ウィルマはホーマーと一緒にいたいと懇願する。そこでホーマーは、義手を取り、これがないと何もできなくなるとウィルマに見せる。しかし、ウィルマはそれでも愛しているとホーマーを抱きしめる。感動し、涙を見せるホーマーは、ウィルマと結婚することを決める。
フレッドが家に帰ると、マリーが部屋に男を連れ込んでいたことが分かる。出て行きたいと言うマリーと離婚をすることとなる。その後、街を出ることを決めたフレッドは、戦争で使われなかった戦闘機の解体場へ立ち寄る。そこでは、戦闘機を解体し、プレハブの家を建てていると知る。そこで働かせてほしいと頼み、新たな仕事を得ることに成功するのであった。
ホーマーとウィルマの結婚式当日。久しぶりにフレッドとペギーは再会する。幸せそうなホーマーとウィルマの様子を見て、フレッドとペギーも一緒になることを決めるのであった。
映画『我等の生涯の最良の年』の感想・評価・レビュー
戦後のアメリカで、戦時中活躍した帰還兵たちがこんなにも苦労していたとは、映画を見るまで考えもしなかった。職探しが難しかったり、子供の成長を見られなかったり、手を失ってしまったり。フレッド、アル、ホーマーの3人を通して、変化する社会の中で生活することの大変さを実感することができた。困難な環境の中でも、希望を見つけ、生きていくことを諦めない3人に勇気付けられる作品だ。(MIHOシネマ編集部)
みんなの感想・レビュー