映画『アトラクション 制圧』の概要:モスクワで未確認飛行物体が発見された。軍が撃墜したため、未確認飛行物体は街へと墜落した。多くの人が死傷する中、軍の司令官の娘であるユリアも怪我を負う。未確認飛行物体は宇宙船で、軍は対応に追われた。
映画『アトラクション 制圧』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:SF、アクション、ヒューマンドラマ
監督:フョードル・ボンダルチュク
キャスト:イリーナ・スタルシェンバウム、アレクサンドル・ペトロフ、オレグ・メンシコフ etc
映画『アトラクション 制圧』の登場人物(キャスト)
- ユリア(イリーナ・スタルシェンバウム)
- レベデフの娘。自分の意見を聞いてくれない父に苛立ちを抱えている。母は他界している。母との思い出の犬を大切にしている。
- チョーマ(アレクサンドル・ペトロフ)
- ユリアの恋人。イケメン。ユリアの良き理解者。ユリアのことを心から愛している。
- レベデフ(オレグ・メンシコフ)
- ユリアの父親。軍の司令官。ユリアのことを大切に思っており、行動を厳しく制限している。
- ヘイコン(リナル・ムハメトフ)
- 宇宙人。地球の様子を偵察していた。不死の種族。五感は人間と同じだが、感情は疎い。
映画『アトラクション 制圧』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アトラクション 制圧』のあらすじ【起】
モスクワ。ユリアは恋人のチョーマ、親友のスヴェタと一緒に隕石雨を見に行く約束をしていた。しかし、軍の司令官であり厳格な父・レベデフから、外出を禁じられてしまう。ユリアは横暴な父に腹を立てた。父が外出した後、ユリアは家を出てチョーマと合流した。
未確認飛行物体を発見し、国家防衛管理センターは調査を行った。しかし、何者が乗っているか分からなかった。軍は飛行物体を攻撃した。飛行物体は街に墜落し、多くの人が逃げ惑った。チョーマは怪我を負ったユリアを抱え、警察に助けを求めた。
レベデフは下院議員のミハイルや軍隊と共に墜落した飛行物体に近づいた。中からは、白いアーマー姿の宇宙人が現れた。ミハイルが宇宙人に挨拶していると、突然苦しみ出した。レベデフは軍に攻撃を指示せず、宇宙人の様子を伺った。
ロシア連邦・安全保障会議が開催された。レベデフは宇宙人から近づかないよう忠告を受けたことを話した。宇宙船の修理が終われば、宇宙人は静かに旅立つ予定だった。ミハイルが苦しんでいたのは、ペースメーカーの故障によるものだった。上層部はレベデフの話を聞き、攻撃せずに修理を待つことにした。
映画『アトラクション 制圧』のあらすじ【承】
4日後、ユリアは市立病院で目を覚ました。そして、スヴェタが亡くなったことを知る。ユリアはショックを受けた。父が迎えに来て、家に帰ることになった。宇宙船の墜落による死者は、200人以上いた。モスクワの町は夜9時以降、外出禁止になった。レベデフは学校終了後、家にいるようユリアに命令した。
生徒達は装甲車に乗って学校に通った。ユリアが学校に行くと、スヴェタの写真と共に「必ず仇を討つ」というメッセージが張られていた。ユリアは宇宙人に対して激しい憎しみを抱く。生徒達の多くも、宇宙人に対して良い感情を抱いていなかった。
ユリアは宇宙人に復讐するため、拳銃を持ち出した。そして、チョーマや彼の友人と共に宇宙船に向かった。後30分で外出禁止令が出される時間だったため、ユリア達は軍に見つからないように動いた。チョーマはユリアに隠れているよう指示し、友人達と宇宙船の墜落現場付近にある建物を見に行った。
ユリアは1人でスヴェタの部屋を訪れた。宇宙船の墜落によって壁は壊れ、部屋の中はぐちゃぐちゃだった。ユリアがスヴェタを思って悲しんでいると、宇宙人が現れる。ユリアは驚き、後ずさりながら銃を撃った。建物から落ちそうになるが、宇宙人に助けられる。ユリアの悲鳴を聞いたチョーマは友人と共に彼女の元に駆けつけ、宇宙人を殴りつけた。
宇宙人が建物の下に落下したため、チョーマ達は後を追った。しかし、見つけられたのは宇宙人が着ていた防護服だけだった。ユリアはマネキンに紛れて倒れている宇宙人と目が合うが、チョーマ達には話さなかった。チョーマ達は防護服を持ち帰った。
映画『アトラクション 制圧』のあらすじ【転】
ユリアは怪我を負った宇宙人のことが気にかかり、1人で様子を見に行った。宇宙人は血を流して倒れたままだった。ユリアは宇宙人を運び、博識の同級生グーグルに助けを求めた。グーグルは宇宙人を診察し、出血が酷いため輸血が必要だと判断した。ユリアは父の友人の医師が務める病院に忍び込み、自分の血を宇宙人に輸血した。
ユリアが宇宙人の腕を触り様子を伺っていると、突然腕を捕まれる。宇宙人の腕にあったブレスレットが、ユリアの腕に移動した。ユリアはグーグルに宇宙人のことを頼み、休みに行った。シャワーを浴びていると、ブレスレットに反応して水が不思議な動きを見せた。ユリアはその動きに魅せられる。
ロシア国防省・中央研究所。宇宙船が水を磁石のように引き寄せ、修理を行っていることが分かった。軍は宇宙人に関する、謎の物体を回収していた。レベデフは宇宙人との対立を恐れ、返却すべきだと訴えた。だが、上層部は宇宙人に対しての唯一の手がかりを失うわけにはいかないため、返却を拒んだ。
宇宙人が目を覚まし、ヘイコンと名乗った。ヘイコンはロシア語を話すことができ、「シルク」というものを探していた。ヘイコンはユリア達から与えられた服に着替え、外に出た。そして、偶然通りかかった警察に麻薬の常習者と間違えられ、連行されてしまう。
ユリアは父の名を使い、ヘイコンを釈放させた。ヘイコンが探している「シルク」は、軍が回収した謎の物体だった。それは、宇宙船が故郷に帰るために必要な物だった。ユリアは父に会いに行き、こっそりIDを盗んだ。そして、それをヘイコンに渡し、「シルク」を回収させた。
映画『アトラクション 制圧』の結末・ラスト(ネタバレ)
ユリアはヘイコンを連れて自宅へと戻った。ヘイコンは飼い犬のチャルが病気で苦しんでいることに気づく。感情に疎く不死のヘイコンは、なぜ安楽死させないのか理解できなかった。ユリアは亡き母と買いに行った大切な犬であることを話し、人の感情について説明した。ヘイコンは「シルク」を使い、チャルの病気を治した。
「シルク」を盗んだのがバレていたため、軍やレベデフから隠れる必要があった。ユリアはヘイコンを連れてクラブを訪れた。そこで楽しんでいる姿を、チョーマの友人のカルロスに見られてしまう。
ヘイコンは力を使い、故郷の風景をユリアに見せた。ヘイコンはただ地球を偵察していただけなのだが、隕石雨でステルス機能が故障して撃墜されてしまったのだ。「シルク」を手に入れた今、故郷に戻らなければならなかった。ヘイコンと親しくなっていたユリアは、永遠の別れを寂しく思う。
ヘイコンはユリアと別れ、宇宙船に戻ろうとした。だが、嫉妬に狂ったチョーマとその仲間達に襲われる。ヘイコンは暴力を振るわれても反撃しなかった。しかし、チョーマがユリアの頬を叩いたのを見て、反撃を開始した。カルロスはヘイコンを撃とうとするが、ユリアに阻まれる。カルロスの撃った弾は、友達のルースに当たった。ルースは亡くなっていたため、「シルク」で治癒することはできなかった。
チョーマは地球を守るために宇宙人と戦おうと演説を行った。そして、武器を手に取り、暴動を起こした。宇宙船に侵入すれば、技術が漏れないようにするため爆破される仕組みになっていた。ヘイコンとユリアは、レベデフに危機を知らせた。しかし、レベデフは聞く耳を持たなかった。
ユリアとヘイコンは装甲車を奪い、宇宙船に急いだ。レベデフは攻撃準備をしながらも、ユリアのことを信じていた。ユリア達の前に、防護服(ヘイコンが着ていたもの)を着たチョーマが現れる。ヘイコンはチョーマと戦うが、歯が立たなかった。ユリアは装甲車でチョーマを撥ね、ヘイコンを救った。防護服から抜け出たチョーマは、銃を使ってユリアを撃とうとした。ヘイコンはユリアを庇うが、2人とも撃たれてしまう。チョーマは軍に取り押さえられた。
防護服を着た宇宙人が現れ、ユリアとヘイコンは宇宙船の中へと運び込まれた。防護服の中は空で、宇宙船に設置されている人工知能の「ソウル」が操っていただけだった。ソウルはユリアに水を使った治療を施し、レベデフはその様子を見守った。ヘイコンはユリアを守り、亡くなっていた。ソウルは地球を観察していたことをレベデフに話した。争いを繰り広げる地球人に対してあまり希望は持てなかったが、ユリアがヘイコンを守り、ヘイコンがユリアを守ったことでその評価は変わりつつあった。
宇宙船は旅立っていった。ユリアとレベデフはその様子を見守った。宇宙船の中では、ヘイコンの体が微かに動いていた。
映画『アトラクション 制圧』の感想・評価・レビュー
宇宙船が墜落する場面と飛び立つときの映像がとにかく良かった。音楽と映像も合っており、幻想的な美しさがあった。しかし、ストーリーとしては何が描きたいのか理解できず、あまりおもしろさを感じなかった。そして、これはSF映画なのか疑問を抱いた。宇宙人と人間の対立というよりは、人間同士の争いがメインだったと思う。宇宙船が墜落したのも軍が撃墜したからで、もう少し街から離れた場所でできなかったのか突っ込まずにはいられなかった。(MIHOシネマ編集部)
初めての「ロシア映画」。モスクワに突然現れた、地球外生命体。人々はパニックに陥りますが、国は彼らを刺激しないために、攻撃をせず静止する方向。そんな国のやり方に不満を募らせる国民と、国を守るために戦う人のお話です。
こういう非常事態が起きた時って、なによりも難しいのが「人」との関係なんだと感じました。共感してもらい、支持してもらうことは本当に難しく、優秀な指導者でも全ての人に付いてきてもらうのは大変なんだなと。迫力があって、面白いストーリー展開でした。(女性 30代)
ロシアのSFは初めてでしたが、映像クオリティの高さに目を見張りました。宇宙船の造形が奇想天外で、非常に印象的です。それがモスクワに墜落するのですから、かなりの迫力でした。ストーリーについてはヒロイン、彼氏、周辺人物どの人にも感情移入しきれず、終わってしまいました。しかも、後半にかけては意外にもドロドロとした愛憎劇へと展開していきます。人間の愚かさや傲慢さに対して警告しているのかもしれません。地球という、自然豊かな惑星で生きられることに感謝したいです。(女性 30代)
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