映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』の概要:舞台は1950年代から1980年代の東京。末井昭の自伝的エッセイ「素敵なダイナマイトホテル」の映画化作品。幼少期に母親がダイナマイトで隣の家の息子と心中し、自身はエロ雑誌の編集を手がけるという、末井の人並み外れた人生を描いている。
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』の作品情報
上映時間:138分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:冨永昌敬
キャスト:柄本佑、前田敦子、三浦透子、峯田和伸 etc
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映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』の登場人物(キャスト)
- 末井昭(柄本佑)
- 主人公。幼少期に母親がダイナマイトで心中した衝撃を、ことあるごとに思い出しながら生きている。芸術は爆発だ、デザインは自分をエクスポーズさせることだ、という言葉に感銘を受けており、自分の表現の場を探し求めている。自分の芸術を認めてもらうために、めげずに表現を続ける根気強さがある。
- 牧子(前田敦子)
- 末井の下宿先のお隣さんで、のちに妻となる。しっかり者で、新婚期はパートをしながら末井の仕事を手伝い、応援する。末井のエロ系のデザインに文句などは一切言わず、快く内職の手伝いをする、優しくて温かい女性。
- 笛子(三浦透子)
- 末井が雑誌の編集長を務めるようになった頃、彼の編集部に入社する若い女性社員。末井はなぜか彼女に強く惹かれ、不倫関係になる。何事にも興味がなさそうな掴みどころのない女だが、のちに末井への執着を見せ始める。
- 近松さん(峯田和伸)
- 末井が最初に就職した広告代理店の社員。末井にとって初めての、芸術を語り合える相手。温厚な男だが、出前を注文しておきながら代金を払わなかったり、上司に聞こえるように悪口を言ったりするような、大胆な部分も持ち合わせている。会社を辞め、キャバレーのチラシを作ったことで末井がその道に進むきっかけを与える。
- 富子(尾野真千子)
- 末井の母。結核にかかり入院していたが末期で退院し、村で知り合った隣の家の息子と不倫を始める。おとなしく儚げな女性。旦那が仕事先の鉱山で使うダイナマイトを家から持ち出し、不倫相手と心中をする。
- 重吉(村上淳)
- 末井の父。厳格で、頭に血がのぼると手が出る。妻が死んだ後、川崎の工場で出稼ぎを始め、工場では他の労働者に横暴な態度を取っている。家では酒を呑んだくれ、堕落している。
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』のあらすじ【起】
警視庁にて、エロ雑誌の露出について注意を受ける末井。これまでにも何度も呼び出されている様子。母親が悲しむと言われ、思わず笑ってしまう末井。それは、母・富子が隣の家の息子とダイナマイトで心中したからであった。
回想。富子は結核の末期で、病院から退院し帰ってくる。村人たちが結核の彼女を避ける中、彼女を見続ける少年に心が惹かれてしまう。それから富子は、末井の父・重吉が仕事でいない昼間、彼を家に呼び不倫をするようになる。
不倫に気がついた重吉は、富子に暴力を振るって大激怒する。富子は逃げ出し、数日後にダイナマイトでバラバラになった遺体が見つかった。心中の前夜、寝ていた末井は一瞬家に戻った母の顔を見ていた。
漠然と東京の工場に憧れていた末井は、大人になって工場に就職した。しかし、工場は軍隊のような過酷な場所で、川崎で出稼ぎをする重吉の元に泣き寝入りした。重吉もまた工場で働いており、彼自身が職場を軍隊のような空気にしていた。酒を呑んだくれ、グチばかりこぼす父親に嫌気がさし、末井は下宿を始める。
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』のあらすじ【承】
デザイン学校の広告を見つけ、デザインに興味を持った末井は、ポスターを持って帰ってきて独学でデザインを練習する。新しいことを始めた矢先、下宿先の隣の部屋に住む牧子と知り合い、新しい出会いも手に入れる。
彼女も出来て軌道に乗った末井は、デザイン学校に通い始める。しかし自信作はケチをつけられボツにされてしまい、自分の芸術を認めてくれる人がいないことをもどかしく感じる。学校を辞め、広告代理店に就職すると、初めて芸術について語り合える存在・近松と知り合う。
末井の芸術を分かってくれる近松は、末井にとっては大切な先輩である。そんな近松が、突然会社をやめて個人でデザインを始めると言い出し、末井に自作のキャバレーのポスターを見せる。末井はその芸術の爆発ぶりに感銘を受け、エロのデザインに目覚める。
キャバレーでも彼の芸術はなかなか受け入れてもらえなかった。キャバレーの経営者には、自己表現としての芸術より流行りを取り入れるように指摘を受けてしまう。妻となった牧子はパートを始め、末井が妻に申し訳ない気持ちで家に籠っていると電話が鳴る。内容は、末井にキャバレーの宣伝用の看板作りを任せるというものだった。牧子も大喜びで、彼の仕事を応援する。
末井の制作した看板が大好評で、キャバレーの看板制作の仕事が一気に増えた。町中が末井の作品で溢れるようになった頃、彼の芸術は少しずつ認められるようになっていった。牧子もイラストに色を塗って内職を手伝ってくれる。そのイラストがエロ雑誌に載ることから始まり、グラビア撮影や表紙のレイアウトなど、様々な仕事をこなした。
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』のあらすじ【転】
しばらく経つと、末井はNEW selfという新しいエロ雑誌の編集長になった。エロ以外の記事も取り入れた同雑誌は、若者に受け人気を博す。脱ぐのを嫌がるモデルも、勢いに乗せられてどんどん脱ぐようになっていく。また、初めて母のダイナマイト自殺を笑ってもらうことができ、心を救われる。
NEW selfが法律に引っかかり廃刊してしまったが、末井はウィークエンドスーパーという新たな雑誌を手がけていた。そこに入社した笛子に、なぜだか釘付けになる。彼女は末井に興味がなさそうで、ミステリアスな雰囲気を持っている。末井は彼女に猛アタックし、二人は不倫関係になってしまう。末井は、不倫して逃げた富子のことを思い出していた。
笛子とはさらに別の女もでき、金を渡すようになった末井。帰りが遅くなることや内職をすることも増え、牧子には不信感が募る。笛子から、梅毒にかかり3日で死ぬという電話を受け見舞いに行くと、彼女は精神病にかかっていた。末井は彼女を拒絶し、以前の気持ちは一時の気の迷いだったと気がつく。
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』の結末・ラスト(ネタバレ)
新たに写真時代という雑誌の編集を始めた頃、彼をインスパイアしてくれた昔の先輩、近松から手紙がくる。彼は今、実家の歯医者を手伝っているとのことだった。さらに、重吉が認知症のようになり、知らない女性との交際をテレビで特集されている様子を、引きつった笑いをしながら見ていた。その頃から、末井の感覚が狂っていく。
小銭をばらまいて歩いたり、明らかな悪徳商法に簡単に600万円を支払ったりする末井。編集部にて女性から、写真時代は子どもの教育に悪い、恥ずかしくないのかというクレームの電話を受けるが、無気力に反論を言い捨てる。そこに笛子が現れ、後遺症はあるものの正気を取り戻した彼女と、再び体の関係を持ってしまう。末井はまた、富子の心中を思い出していた。
重吉が亡くなり、葬儀に参列すると、重吉が歌っていたという歌を聞かされる。妻を思うその歌を聞きながら、末井と弟はバカにして笑う。ある男に末井が、自分の母親は子を思う母親ではなく、ダイナマイトで死んだと話すと、さも気の毒そうな反応をされた。
末井は母親の心中を思い出した。心中の前日に母を見た気がしたとき、彼女は息子二人を愛し想いやりながら、ダイナマイトを持ち去ったのかもしれない。彼女は子どもたちを愛していたのか。それはもうわからない。
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』の感想・評価・レビュー
エロ雑誌を手がけた末井氏の人生を基にした本作は、人間の欲・だらしない部分の表現に焦点があてられており、エロの要素がくどくなく程よい。そのためか、淫らな官能作品とは異なる芸術性を感じた。2018年に発表された作品だが、50年代から80年代のレトロ感が緻密に表現されているようであった。エロの要素がある作品にも関わらず、裸体の映し方がいやらしくなく、美術も計算された乱雑さで美しいため、2時間以上見ていても苦痛にならない作品であった。(MIHOシネマ編集部)
本作は、末井昭原作の自伝的エッセイ『素敵なダイナマイトホテル』を映像化したヒューマンドラマ作品。
母親が隣人の息子とダイナマイト心中を図ったという数奇な半生を追ったドキュメンタリーのような感じがした。
劇中に軸となっている、母親が着物の帯にダイナマイトを沢山入れて森の中で若い男と心中する姿はやはり強烈なインパクトがあった。
また、俳優陣の個性が生かされたキャスティングやサウンドも心に刺さるものばかりだった。中でも、昔のアダルトやアナログの昭和感を沢山感じられたのが凄く良かった。(女性 20代)
排他的な雰囲気が漂う作品。末井昭の母の死は、なかなか衝撃的だった。もし自分が末井昭の立場だったらと想像すると、母が死んだことに対する悲しい気持ちと身勝手なことをしてという恨む気持ちが芽生えるような気がする。末井昭が母の死をたまに思い出しているところを見ると、母の死を受け入れられず、囚われ続けているのかなと思った。
妻の牧子が良い女性だからこそ、末井昭のダメなところがより際立っていたと思う。なぜ欲望のままに不倫してしまうのか、理解ができない。(女性 30代)
好き嫌いが大きく分かれそうな今作。雑誌編集者の末井昭の自伝を映画化した作品だそうですが、これは実話なのでしょうか?序盤から意味がわからなかったり理解に苦しむことの連続で「何が面白いのだろう」と考えてしまいました。
母親が隣の家の息子とダイナマイトで心中。こんなパワーワード聞いた事ありますか?文字にしても何を言っているのかよく分かりませんが、この作品に登場するのはこんなありえないことばかりなので末井昭の人生はとんでもないものだったんだと、よく分からないながらにも納得しました。
下ネタ炸裂でキャストがかなり個性豊かなので、コアなファンが着きそうな作品だなと感じます。(女性 30代)
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