映画『卵』の概要:古本屋を営む詩人・ユスフが、母の死をきっかけに故郷へと戻ることになる。スランプを抱えながらも、遠い親戚や友達と会うことで、静かで濃密な時間を過ごしていく。
映画『卵』の作品情報
上映時間:97分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:セミフ・カプランオール
キャスト:ネジャト・イスレーシュ、サーデット・アクソイ、ウフク・バイラクターシュ、トゥリン・オゼン etc
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映画『卵』の登場人物(キャスト)
- ユスフ(ネジャット・イシュレル)
- 無口な詩人で、古本屋を営んでいる。今はスランプに陥っているために、あまり詩を書いていない。
- アイラ(サーデット・イシル・アクソイ)
- ユスフの遠い親戚。生前のユスフの母・ゼーラを5年間にわたり世話していた。ゼーラの遺志を継いで、羊を生贄に儀式を行いたいと想っている。
映画『卵』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『卵』のあらすじ【起】
古本屋で店番をしている詩人のユスフの元に、一本の電話がかかってくる。すぐティレの町にある実家に電話して欲しいという連絡だが、留守電のまま取らないユスフ。
閉店間際だったが女性客がやってきて、パーティーのプレゼント用に本を探したいと言う。見てもいいか?と聞かれ、ユスフはため息をつきながら彼女を招き入れた。女は料理の本を買って、持ってきた酒と交換できるか聞く。了承するユスフに礼とおやすみを言い、女は帰っていった。
ユスフは車を運転し、故郷へと戻った。母・ゼーラの葬式に集まった人々に次々と慰められる。死を受け入れるしかない、アッラーのお導きだ。などと声をかけられ、母の遺体の横に腰を下ろすユスフ。
柩は運ばれ、そして埋められていった。皆がそこで祈り、去った後、残っていた子供に水を汲ませる。墓に水をかけさせて、お小遣いを渡した。
日が暮れてゆき、ユスフは一人森の中へと入っていった。
映画『卵』のあらすじ【承】
森の中には、アイラという娘が住んでいた。彼女と話して、食事をとる。遠い親戚だった。生前の母、ゼーラが「羊を生贄にした願掛けをやらなくては」と言っていたと話をされるが、そういったことを信じていないと断る。
羊を生贄にはできないとも言ったが、アイラは親孝行だと思ってやって欲しいと食い下がる。次に来た時にと言葉を濁したが、それは兄さん次第だと言われた。
メフメットという男が、ユスフの代わりに相続の手続きをしてくれることになった。身分証の番号を古本屋からFAXしてもらえるよう、店に電話して指示をするユスフ。その後、彼は急に庭で意識を失い、倒れる。機織りをしていた男が慌てて近寄り、話しかけた。
なんとか意識を取り戻すが、朦朧として動けない。男は無理に体を起こさせると、水を飲ませようと立ち上がらせた。意識の不確かなユスフだったが、なんとか彼についていく。
映画『卵』のあらすじ【転】
ユスフはかつての友達と食事をし、近況を聞いた。友達には既に子供がいる。女房がユスフの詩を気に入り、そのお礼がしたかったと話す友達。実家に帰宅したユスフは、自分の詩についての記事が冷蔵庫に貼られていることに気付いた。
アイラはボーイフレンドと別れ話をし、家へと帰ってきた。ゼーラの編んでいたセーターの続きを編んでいたが、ヒューズが飛んでブレーカーが落ちる。夜なので買いに行けないと思ったものの、店にいたアイラのボーイフレンドが来て修理をしてくれた。遅くにすまなかったと謝罪して帰す。
しかし次の日、車のワイパーにいたずらがされていることに気付いた。アイラのボーイフレンドが折ったのだった。ユスフはアイラを乗せ、生贄のための羊を買いに行く。
親戚のおばあさんの家に立ち寄ると、彼女はユスフとアイラを夫婦だと勘違いした。なぜ結婚式に呼ばなかったの?と聞かれるが、夫婦ではないと否定しないユスフ。おばあさんは二人に、これからいろんなことをするといいと助言をくれた。
映画『卵』の結末・ラスト(ネタバレ)
羊が放牧中のために買うことができず、二人はホテルに宿泊する。そのホテルでは、その日は結婚式があるようだった。
次の日、ユスフはとうとう羊を手に入れる。羊を殺し、アッラーの神に生贄として捧げた。ユスフはアイラに、なぜ母・ゼーラはこれをやりたかったのかを聞こうとするが、アイラも理由はよく知らなかった。
ユスフはアイラを車に乗せて、彼女の家まで送っていった。すべてを終えたユスフは、一人でイスタンブールへと帰ってゆく。道の途中で車から下りて、日の沈んでゆく景色を眺めていたユスフは、犬に襲われてしまう。また気絶したユスフが再び意識を取り戻したときには、あたりは真っ暗になっていた。静かに涙を流すユスフ。
翌朝になりアイラが起床してくると、ユスフが戻ってきていた。アイラは黙って彼に卵を渡す。受け取るユスフ。
二人は食卓に座り、向かい合ってにこやかな表情で朝食を食べるのだった。
映画『卵』の感想・評価・レビュー
ユスフ三部作の一作目にあたり、時系列では最後の作品にあたる本作。無口なユスフが故郷に戻り、変わってしまったものや自分がいたころの記憶に触れてゆくノスタルジックな作品。
ゆったりと過ぎてゆく時間と、画面を彩る映像美を堪能でき、穏やかな気持ちで終始眺めていられる。明るい話ではないが、小さな心の安らぎを感じながら最後のシーンを迎えることができるだろう。なによりも、世界観の美しさが一番の見所である。(MIHOシネマ編集部)
大切な人を無くした喪失感は、いくら周りが元気づけてくれても、いくら悲しみを忘れられるような楽しいことを提供してもらっても、結局乗り越えられるのは自分の気持ちだけなんですよね。
今まで当たり前に過ごしてきた日常が、いかに幸せだったかを感じると今まで過ごしてきた日々を思い出し全てが悲しくなってしまうことってありませんか?
そんな気持ちを乗り越える手助けをしてくれるような作品でした。明るい物語ではありませんが、暗闇の先にある僅かな光を見せてくれたような気がします。(女性 30代)
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