映画『海角七号 君想う、国境の南』の概要:2008年製作された台湾映画。下火になってきた台湾映画を復活させたと言われているほどの人気で興行成績では台湾国内でタイタニックに次いだ作品。日本に関わる歴史の話が登場しファンも多い。中孝介が出演していることでも話題に。
映画『海角七号 君想う、国境の南』 作品情報
- 製作年:2008年
- 上映時間:130分
- ジャンル:ラブストーリー
- 監督:ウェイ・ダーション
- キャスト:ファン・イーチェン、田中千絵、中孝介、リン・ゾンレン etc
映画『海角七号 君想う、国境の南』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『海角七号 君想う、国境の南』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『海角七号 君想う、国境の南』のあらすじを紹介します。
第二次世界大戦で日本は敗戦に追い込まれ、多くの日本人が台湾から去った。
その中にひとりの日本人教師がいた。
彼は台湾に小島友子という女性を残してきており、彼女に手紙を出し続けていたのだが彼女に届くことは無かった。
~現在~
音楽家になる夢を諦め、故郷に戻ってきたアガは郵便配達の仕事を始めた。
そこで彼は見慣れぬ住所の手紙を見つけた。
宛名は小島友子、しかし住所の海角7番地。
元々仕事をサボリ気味のアガは配達する気にもなれずそのまま部屋に置いておく。
しかし中を開けると少女の写真と手紙7通だった。
そんな時、日本人歌手の中孝介のコンサートが開催されることに。
街おこしに力を入れている町長は、力もない人々を即席でバンドに入れ前座をさせることにする。
そこに元々目指していたアガも入れられることになった。
元々即席で音楽センスのないバンドは、中孝介のマネージャーの友子と喧嘩の日々だ。
しかし次第に打ち解け、やがて恋へと変わっていく。
しかしお互いの生活はまるで違い、別々の道へ戻らねばならない。
そこで映し出される日本人教師と届かぬ恋人・知子への手紙。
今のアガと友子の関係と台湾においてきてしまった恋人・友子に気持ちがリンクし劇中で交差する。
そして現代に生きている2人は、当時との2人はまた違う選択をするのだった。
映画『海角七号 君想う、国境の南』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『海角七号 君想う、国境の南』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
内容のしっかりした脚本
この映画の最大の魅力は日本統治下にある台湾人と日本人のラブストーリーを軸に、現代の若者たちと音楽活動を絡めた一見複雑にも思えるストーリー構成である。
台湾映画では台本がきちんとした構成で手間がかけられることは非常にまれなことであると言う。
この脚本が観客にうけ、それまで低迷していた台湾の映画界を再び盛り上げたのだ。
途中まではそれぞれの群像劇がいまいち掴みづらく感じるのだが、最後には1つにつながり爽やかなラストになる。
この映画を見るにあてり重要視してほしいのは、脚本の素晴らしさであるだろう。
中孝介に注目
何年か前、鹿児島出身の男性シンガーソングライターの中孝介がヒットした。
そのあとどうしたか知らない人も多いかもしれないが、実は台湾でも人気の歌手である。
台湾での歌手活動はもちろん、俳優活動にも力を入れており最近は出演作品も増えている。
本作品ではそのままの名前で本人役で出演しており、中々良い味を出している。
しかし本業はあくまで歌手。
演技の下手さは否めない。
日本と台湾の歴史的要素
本作品は日本統治下の台湾と、現代の台湾が舞台である。
全体を通して二か国の歴史を避けては通れず、きれいにまとめといる。
またあまり綺麗事にせず、リアルな描写が特徴だ。
このありのままに近い描き方が台湾にいる当時生きていた多くの人に共感を得ているのかもしれない。
過去と現代を交差することで、より過去の人間の哀愁と贖罪のようなものを強調しているようにも思える。
偶然同じ名前であったので手紙がダブって聞こえるのも巧妙な演出である。
昔の恋や思い出をふとした瞬間に思い出し、その時の熱い想いが胸に込み上げてくるとその想いが現実なのか記憶から来るものなのか分からなくなってしまうことってありませんか?それをきっかけにもう一度諦めていた夢を目指すなんてストーリーはよくありますが、今作の場合は過去に残してきてしまった悲しい記憶と、台湾人と日本人の交流や絆、分かり合えない歴史などが様々な角度から描かれていました。
台湾と日本、両方の歴史的な部分も描かれているのでラブストーリーというジャンルだけではなく、国の歴史や文化の違いを学ぶことが出来る作品になっています。(女性 30代)
映画『海角七号 君想う、国境の南』 まとめ
台湾で久し振りに売り上げが伸びた作品である。
それまで台湾映画界は下火になり、見る人も少なくなってきていたがこの映画でタイタニックに次ぐ国内成績をおさめたのだ。
それはすごいことである。
しかもその映画が日本との絆を描いたものであり、また俳優にも日本人が起用されていることも嬉しいことである。
終戦後の日本人と台湾人の恋と、現在の恋模様をうまく交差させることで映画をより深みのあるものに変えている。
親日である台湾に日本人や歌がもっと使われれば本望であり、世界に進出したいアーティストを出せる玄関口になるかもしれない。
中孝介と田中千恵という俳優には今後も注目である。
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