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映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』の概要:パウラ・マルコヴィッチ監督の実体験を元に制作された物語。母親と二人きりで追っ手から身を隠しながら生活する様子を描く。第61回ベルリン国際映画祭 銀熊賞受賞作。

映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』の作品情報

プライズ 秘密と嘘がくれたもの

製作年:2011年
上映時間:109分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:パウラ・マルコビッチ
キャスト:ラウラ・アゴレカ、パウラ・ガリネッリ・エルツォク etc

映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』の登場人物(キャスト)

ルシア(ラウラ・アゴレカ)
セシリアの母。事実を隠しながら、娘と逃亡生活を続けている。物静かだが、娘を誰より大切にしている。
セシリア(パウラ・ガリネッリ・エルツォク)
母に連れられ浜辺の家に住んでいる。天真爛漫な7歳だが、学校では優秀で褒められることも多い。優秀さが仇になり、友人から妬まれることもあるが、常に学び成長していく。

映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』のあらすじ【起】

海辺の家に二人暮らしのルシアとセシリア。強い潮風を浴びる家は、窓やドアが勝手に開いてしまう上に、セシリアの大好きなローラーコースターはできない環境であった。夜も小さなベッドに二人一緒に寝ていた。とある夜、ルシアから学校についてどう思うか聞かれたセシリアは、「家に帰りたい」とだけ呟いた。

翌日、セシリアは学校に行くことになる。事前にルシアから教えられた「父親はカーテン売り、母親は主婦」ということだけを覚えて。早速教室に着いたセシリアだったが、実は入学手続きが済んでいなかった。先生から母親に入学手続きについて伝えるよう伝言を受け、授業は進む。後ろの席のシルヴィアと仲良くなったセシリア。自宅へ帰ると満足げに、「皆、私の話を信じた」とルシアに話すのであった。しかし、その後シルヴィアと遊んでいる中で、家族のことを聞かれ言葉に詰まるセシリア。何を聞かれても「わからない」としか答えられず、表情を曇らせた。

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映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』のあらすじ【承】

とある日、セシリアはルシアに連れられ、スコップを持ち遠出していた。ルシアは何かを捨てに行ったのである。その日のルシアは、どんなに話しかけても目を合わせてくれず、緊迫した表情であった。

翌日、セシリアは学校に遅刻してしまった。罰として、アルゼンチンの栄誉の旗についての詩を覚えるようにと指示を受ける。しかし先生は、セリシアの詩の朗読の速さと上手さに気付き、代表として抜擢するのであった。浮かれ切って帰宅したセシリア。どこに住んでいるのか学校で話してしまったことを、ルシアにこぼしてしまった。実は身を隠すために、海辺の掘っ立て小屋に仮住まいしていた二人。いとこは見つかってしまい殺されたという事実をセシリアは初めて知るのであった。夜深くなるほど、不安が募るセシリアはこの日寝ることができなかった。

学校ではウォルターという新しい友達ができた。シルヴィアと3人秘密を共有しながら仲を深めていく。しかしある日、ウォルターにカンニング容疑が持ち上がる。誰が教えたのか犯人捜しが進む中で、突然、シルヴィアがセシリアを指さして「答えを教えているところを見た」と証言したのである。反省のため、雨の中壁に向かって立っているよう指示を受けたセシリア。帰宅したころには身体が冷え切ってしまい、ルシアは学校に行かせないことにするのである。しかし反発するセシリア。ルシアの心配を振り切って一人、学校に行くと家を飛び出してしまった。

学校に戻ると、空席はシルヴィアの隣しかなかった。仕方なくシルヴィアの隣に座ったセシリア。すると、シルヴィアは先生に「ウォルターが女の子に触るの」とセシリアは実は悪いことをしていないと正直にカミングアウトした。先生はセシリアとシルヴィアを仲直りさせ、初めての裏切りを知ったセシリアの心は晴れやかになった。

映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』のあらすじ【転】

二人が目を覚ますと、酷い雨で家の仲間で水が入ってしまっていた。必死に水をかき出すルシア。そんな様子に興奮状態のまま、セシリアは学校へ向かうのだった。

その日、学校にはエステベス軍曹が訪ねてきていた。作文と国旗を書くコンテストがあるという知らせのためである。集中力が持たない生徒たちが多い中、黙々と書き進めるセシリア。その内容は、ルシアから聞いたいとこの状況などである。学校から帰り、浜辺で犬と遊びながら授業中に書いた作文について思い返していたセシリア。帰宅し、ルシアに正直に伝えたが、「後から読む」とだけ言われ、セシリアは眠りについた。夜深く、ルシアは渡された作文の写しを読み顔色を変える。セシリアを起こし、誰に作文を見せたのか確認するルシア。「軍人」と言うセリシアの答えを聞き、即座に荷物をまとめ家を出た。駅で始発を待つ中で、作文は実は先生しか見ていないことが分かったルシアは、先生の家を目指す。訂正を申し出るも、コンテストであるため訂正はできないと断られてしまった。諦めて再び駅へ向かう二人だったが、先生は作文を確認し二人を呼び戻した。

映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』の結末・ラスト(ネタバレ)

先生の好意でもう一度作文を書きなおすセシリア。今度は何を書けばいいのか、ルシアに確認をしながら筆を進めるのだった。その最中、先生はセシリアの社会保障番号など、学校に通うために必要な情報をルシアに書かせていた。そして、ルシアはこれからも同じ家に住むことに決める。

セシリアの作文は最優秀賞を受賞する。生徒たちの前で褒められたセシリアは誇らしげな表情だったが、シルヴィアは気にくわない様子でこの日から遊んでくれなくなった。学校で一人ぼっちになってしまったセシリア。寂しさを紛らわそうと先生の元へ行くと、表彰されるため軍本部の式典の日にはきちんとした装いにするように、と伝言を受けた。

帰宅し、セシリアは表彰式のことをルシアに話した。しかし、ルシアは浮かない表情で表彰式には参加できないことを伝える。納得がいかないセシリアは駄々をこね続けた。自分たちが置かれた状況を分からないまま、ただ褒められたい一心で表彰式にこだわるセシリア。ついにしびれを切らしたルシアは一通の手紙を見せた。それはセシリアの父が軍に殺されたことを示していた。

知らなかった現実を突きつけられながら、表彰式の日を迎えてしまったセシリア。先生の娘の靴を借り、無理をして出席することになった。軍の大佐の演説中、上の空なセシリアを気にかけるシルヴィア。セリシアは実は父親は殺されているという事実を打ち明けた。それでも表彰される時間はやってくる。名前を呼ばれ、前に出るも浮かない表情で表彰状を受け取った。この表彰式がどんな意味を持つのか把握し始めたセシリアは、帰宅後すぐにルシアに謝った。しかしルシアの素っ気ない態度に不安ばかりが募り、セシリアは一人、強い風が吹き荒れる砂浜で泣き続けるのだった。

映画『プライズ 秘密と嘘がくれたもの』の感想・評価・レビュー

娘のセシリア役のパウラ・ガリネッリ・エルツォクの熱演が心を動かす一作。軍事政権下のアルゼンチンというシリアスな状況で、母一人、子一人。たった7歳の娘にすべてを話しても伝わるわけもなく、母・ルシアの葛藤は想像を絶するものだろう。身を隠しながら生活するという常に緊迫した環境で、垣間見える穏やかな親子のやり取りがとても救いに感じた。教育や遊びの環境が整わない子供たちのその先を案じる展開であった。(MIHOシネマ編集部)

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