映画『BIUTIFUL ビューティフル』の概要:2010年制作のスペイン映画。監督・脚本はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。出演はハビエル・バルデム、マリセル・アルバレス、エドゥアルド・フェルナンデス、ディアリァトゥ・ダフなど。
映画『BIUTIFUL ビューティフル』 作品情報
- 製作年:2010年
- 上映時間:148分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
- キャスト:ハビエル・バルデム、マリセル・アルバレス、エドゥアルド・フェルナンデス、ディアリァトゥ・ダフ etc
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映画『BIUTIFUL ビューティフル』 評価
- 点数:95点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『BIUTIFUL ビューティフル』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『BIUTIFUL ビューティフル』のあらすじを紹介します。
舞台はスペインのバルセロナ。この華やかな大都会の片隅で、ウスバル(ハビエル・バルデム)は移民や不法滞在者を相手とした違法ビジネスで生計を立てていた。麻薬取引や移民の不法労働の手引きなど、生活のためならなんにでも手を染めていた。薬物中毒者であり情緒不安定な元妻マランブラ(マリセル・アルバレス)とその2人の幼い子供と共に、貧しいながらもつつましい生活を送っていたウスバルは、ある日、自分が末期ガンである事を知らされる。自分の余命があと2カ月しかない事を知ったウスバルは、残りの時間を家族のために過ごすことを決意するのだった。
自分が死んだ後、子供たちはどうやって生きていくのだろうか。元妻マランブラに子供の養育を任せられるのだろうか。子供たちに生活費を残す事は出来るのだろうか。
最期の時が近づく中、ウスバルは懸命に今を一生懸命生きようとする。だが、彼のやることなすことは、皮肉な事に全て裏目に出てしまう。
違法中国人労働者が全員窒息死してしまうという事件が勃発し、さらに、子供の養育を頼もうとした誠実なベビーシッターには有り金を全部持ち逃げされてしまう。進退窮まったウスバルに最期の時が近づいていたが……。
映画『BIUTIFUL ビューティフル』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『BIUTIFUL ビューティフル』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ版「生きる」
「アモーレス・ぺロス」「21グラム」など群像劇を得意としたイニャリトゥ監督初の、単独主人公視点の映画。「父に捧げる」という字幕が出ることからも、これはイニャリトゥの自伝的意味合いの強い作品とも言える。
今作は、主人公が末期ガンの宣告を受け、残り短い日々を送るというある意味難病ものの定番と言えるプロットで物語は進んでいく。監督自身意識したと言っている通り、これは黒澤明の「生きる」へのオマージュに満ちた作品である。しかし、公園を造るという目標を達成した「生きる」とは違い、この「ビューティフル」には救いというものが一切存在しない。およそ考えられる限り最悪の展開が主人公を待ち構えているのだ。
絶望の中の光
主人公は2カ月後には必ず死ぬ。それは決まっている事だし変えようもない事だ。ならば、残された日々をどう過ごしていくかが重要なテーマとなってくる。「生きる」では自己再生の物語として、主人公が死ぬ前に何かを成し遂げるという点に力が入れられていた。しかし「生きる」の主人公はある意味自分の事しか考えてはおらず、残された家族の事は何も考慮には入れていなかったという欠点がある。
その点、今作のウスバルは違う。自分の子供がまだ幼いという事や、元妻が麻薬中毒者で信用できない点も不安材料だ。つまり、このまま自分が死んだら子供たちがこのさき生きていけないのだ。そこでウスバルは懸命に金を貯めようとする。だが運命は残酷であり、彼は物質的なものは何一つ子供に残せないまま死んでいく。
一見救いがないように思われる今作だが、絶望の中にもかすかな光を残している所は注目すべきだ。ウスバルは何も残さなかったわけではない。子供に伝えるべきものを最後に残していったのだ。それは親が子に伝える遺産である。それは逆に言えば、死後のウスバルが亡き父に出会うという事にも繋がってくる。生きるとは、死ぬとはなにか。黒澤明とは違ったアプローチで、イニャリトゥ監督は新たな傑作を生み出したのだ。
映画『BIUTIFUL ビューティフル』 まとめ
群像劇から単独主人公劇へ。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥはこの後「バードマン」でさらなる内面世界を描く事に成功している。もはや世界的にも稀有な鬼才監督だと言えるだろう。彼の自伝的要素の強い今作「ビューティフル」は、そんな彼のフィルモグラフィーの中でも最高傑作と言ってもいいかもしれない。ひたすらに暗いストーリーに、陰鬱なほどの凄惨な画面作り。救いのない展開に気が重くなるかもしれないが、やはりラストでの父と子の対面シーンは感動的だ。亡き父が自分よりも幼いというのはなんだか不思議だが、語らずとも分かり合ってしまうあの瞬間の感動は、鳥肌が立つほど興奮する事は間違いないだろう。「生きる」と並ぶ、世界的傑作の誕生である。
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