映画『ヘルボーイ(2019)』の概要:原作者マイク・ミニョーラ完全監修により、新たなキャストとスタッフで描かれる映画『ヘルボーイ』のリブート版。キャラクターの造形は前作よりグロテスクに仕上がっており、壮大なストーリーやアクションは圧巻。
映画『ヘルボーイ』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:アクション、ファンタジー
監督:ニール・マーシャル
キャスト:デヴィッド・ハーバー、イアン・マクシェーン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ダニエル・デイ・キム etc
映画『ヘルボーイ』の登場人物(キャスト)
- ヘルボーイ(デヴィット・ハーバー)
- ナチスのラグナロク計画により地獄から召喚された悪魔。退治にやって来たブルームに育てられ、超常現象調査防衛局(BPRD)に身を置き魔物と戦っている。蘇ったニムエに諭され、同胞を殺す生活に疑問を抱く。
- ヴィヴィアン・ニムエ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)
- かつてキング・アーサーにより封印された、伝染病を世に放つ魔女。血の魔女と呼ばれた。ヘルボーイと共に人間を滅ぼし、魔物の世界を築こうと企む。
- アリス・モナハン(サッシャ・レイン)
- 赤ん坊の頃ヘルボーイに助けられた少女。母親はシャーマンであり、自身も霊力を持っている。
- ベン・ダイミョウ少佐(ダニエル・デイ・キム)
- BPRDと共に魔物を退治している軍人。魔物を狩りに行った際、自分以外の仲間が全滅した過去を持つ。痛みや興奮を覚える度に何らかの薬を投与している。
- トレヴァー・ブルーム(イアン・マクシェーン)
- ヘルボーイの養父。超常現象を専門に扱う教授だったが、現在はBPRDで指揮を執っている。交霊術の後遺症で、1943年から年を取っていない。
- グルアガッハ(スティーブン・グレアム)
- 猪頭の醜い魔物。赤ん坊だったアリスを妖精に売り、彼女に成りすましていた。ヘルボーイに見つかって追い出されたことを根に持ち、復讐を企てている。
映画『ヘルボーイ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ヘルボーイ』のあらすじ【起】
紀元前517年、イギリス。人間対魔物の戦争が続く中、キング・アーサーは魔術師のマーリンと共に親玉の魔女、ヴィヴィアン・ニムエを追い詰めていた。自らの腹心、ガネイダに裏切られ窮地に立たされたニムエは、呪いの言葉を吐きながらエクスカリバーによって切り刻まれ、彼女の四肢はそれぞれ箱に入れられて封印された。
現在、ティワナ。ヘルボーイは、吸血鬼の捜査に行ったきり戻って来ない同僚のルイズを捜していた。彼の最後の足取りを追い闘技場を訪れると、ルイズがカマゾッツと名を変え覆面レスラーとしてリングに上がっていたため、ヘルボーイが覆面を取って連れ帰ろうとすると、彼は吸血鬼に変貌していたのだった。闘争の末、ヘルボーイはルイズを仕留めたが、彼は死ぬ直前「アヌン・ウン・ラーマ、やがて終わりが訪れる」と呟いた。
同僚を失った悲しみに暮れていたヘルボーイは、父が寄越したエージェントによってコロラドのBPRD本部へ戻された。
父トレヴァーはヘルボーイへ、英国のオシリス・クラブが巨人退治に手を焼いているため手伝うよう依頼。ヘルボーイは失意のままイギリスへと渡った。
映画『ヘルボーイ』のあらすじ【承】
オシリス・クラブの本拠地へ到着したヘルボーイは、トレヴァーの旧友であるグラーレン卿と出会った。1943年の巨人狩りにトレヴァーも参加したと聞かされたヘルボーイが当時の写真を見ると、父もグラーレン卿も今と見た目が同じだった。同じくトレヴァーの旧友でシャーマンのレディ・エリザベス・ハットンは、交霊術の後遺症で我々は年を取らなくなったと説明し、さらに、ヘルボーイ誕生の瞬間に立ち会っていたと明かした。
二次大戦で敗戦が色濃くなったナチスは、魔術師ラスプーチンに頼りラグナロク計画を実行していた。ラスプーチンが地獄から悪魔を召喚する呪文を唱えたその時、ロブスターと連合軍が攻め入り儀式は中断、トレヴァーとハットンは悪魔を退治しようとした。しかし、現れた幼いヘルボーイを見たトレヴァーは彼を殺さず、息子として育てることを決めたのだった。
父から聞いたことのない自分の生い立ちを明かされたヘルボーイは、自らがナチスと悪魔の子供であると知りショックを受けながらも、翌日の巨人狩りに参加した。
3体の巨人によって壊滅させられた村を訪れたグラーレン卿は、巨人を待ち伏せするため橋へ向かった。そこで、ヘルボーイはオシリス・クラブの面々から攻撃されてしまう。グラーレン卿は、ハットンの予言に従わないトレヴァーに代わってヘルボーイを殺そうと考えていたのだ。深手を負ったヘルボーイは意識を失ったが、とどめを刺される前に巨人達がグラーレン卿の隊を喰い荒らした。
意識を取り戻したヘルボーイは、1人で3体の巨人を退治し、力を使い果たしたところをアリスに助けられた。
一方でグルアガッハは、ヘルボーイに目を潰された魔女、バーバ・ガーヤから指示を受け、バラバラに隠されたニムエの身体を集めてヘルボーイへの復讐の時を待っていた。
映画『ヘルボーイ』のあらすじ【転】
アリスのアパートに匿われたヘルボーイの元へ、トレヴァーが到着した。トレヴァーはヘルボーイへ、M-11のダイミョウ少佐と共に再びオシリス・クラブへ向かうよう指示した。ニムエの身体が次々と奪われ、最後の腕の在処がオシリス・クラブであるためだった。ニムエが復活して伝染病を広めないよう、ヘルボーイとアリス、ダイミョウ少佐はオシリス・クラブへ向かった。
オシリス・クラブへ到着すると、屋敷の中は血の海だった。ハットンまでも殺されており、アリスは彼女の霊と交信し何が起きたのかを聞き出した。ハットンの霊は「ニムエが生き返った」と語り、彼女の視線の先でグルアガッハがまさにニムエの腕を盗もうとしていた。ヘルボーイはグルアガッハを止めようとしたが、彼の前にニムエの幻影が現れ、ニムエはヘルボーイに甘い言葉を囁くと人間世界を滅ぼす計画への協力を求めた。
グルアガッハによって四肢の全てを取り戻したニムエは、魔女達の儀式によって蘇った。
ヘルボーイとアリスは、BPRDの本部でトレヴァーと合流した。ニムエに唆されたヘルボーイは、魔物達が安全に暮らせる環境があってもいいのではないかと父に反発し、やり場のない怒りに任せて本部から出て行こうとした。しかし、ヘルボーイはバーバ・ヤーガの魔術によって異次元に誘われてしまった。
ダイミョウ少佐は、秘かにヘルボーイを仕留めるための特別な銃弾を開発しており、彼が世界を滅ぼす脅威になる可能性に備えていた。
異次元に誘われたヘルボーイは、戦いが終わったら自分の眼をバーバ・ヤーガに差し出すという条件で彼女からニムエの居場所を聞き出した。本部に戻ったヘルボーイは、アリスとダイミョウ少佐を連れて、かつてニムエが敗北した丘を目指した。
映画『ヘルボーイ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ニムエは、取り戻した魔力で死人や魔物を呼び集めていた。追い付いたヘルボーイは、ニムエに「私と結ばれ、暗黒世界の王になる運命なのだ」と諭されたが、同じく追いついたアリスがニムエの毒に当たってしまい、その隙に彼女は消えてしまった。ニムエと同じく現世に蘇った彼女の腹心ガネイダは、アリスを助けるため、生き埋めにされた魔術師のマーリンの居場所をヘルボーイに告げた
マーリンの元を訪れたヘルボーイは、アリスを助ける見返りにエクスカリバーを受け取り、ニムエを倒せと言い付けられた。ヘルボーイは、キング・アーサーの子孫サラ・ベサニー・ヒュームが悪魔と契りを交わして生まれた子供だったのだ。本来なら人間の王になる筈だったヘルボーイはエクスカリバーを引き抜ける力を持っていたが、魔物達を惨殺する自分の姿が浮かんだため、マーリンの意に反し剣を受け取らなかった。
イギリスでは伝染病で多くの市民が犠牲になっていた。アリスとヘルボーイ、ダイミョウ少佐が大聖堂へ向かうと、ニムエの魔力によって巨大化したグルアガッハが彼らを迎え撃った。ダイミョウ少佐は、これまで自分に投与していた薬を投げ捨てると、豹のような魔物に変貌、ヘルボーイと共闘しグルアガッハを倒した。
しかし、そこへ現れたニムエは、地下に眠るエクスカリバーとヘルボーイを引き合わせ「私たちは運命で結ばれている。エクスカリバーを取れ」と訴えた。ヘルボーイが逡巡していると、ニムエは人質に取っていたトレヴァーを殺害。怒りに任せ剣を抜いたヘルボーイの角は復活し、ダイミョウ少佐は彼の頭を撃ち抜く機会を待った。
アリスがトレヴァーの霊を呼び出すと、ヘルボーイは我に返りニムエの頭を切り落とした。彼女の魔力によって蘇った魔物達も皆消え去り、イギリスには再び平和が戻った。
6ヶ月後、シベリア。ヘルボーイとアリス、ダイミョウ少佐はタッグを組んで任務に当たり、エイブラハム・サピエンを救出した。
映画『ヘルボーイ』の感想・評価・レビュー
『ヘルボーイ』(2004)と『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』(2008)のリブート版である本作は、ヘルボーイがリズやサピエンと出会う前の前日譚のような位置付けである。『ヘルボーイ』で語られた彼の出生の秘密が、より詳しく描写されているのは興味深かった。
しかし、どうにも見慣れた筈のヘルボーイに違和感があった。ちょんまげを結っていないからだ。ポップカルチャーに毒された俗世的な部分もあまりフューチャーされておらず、コメディ面で少し物足りない感じがした。(MIHOシネマ編集部)
リブート版だが、原作者を監修に招き新たなストーリーを描いた作品。ヘルボーイを王にするべく復活する魔女をミラ・ジョヴォヴィッチが妖艶且つ、異様に演じている。
ヘルボーイよりむしろ、ミラ・ジョヴォヴィッチばかり観てしまった感が否めない。オリジナルの方がヘルボーイにもう少し可愛げがあって愛着が湧いていた気がする。とは言え、今作が悪いというわけではなく、ストーリーや演出、よりリアルになった特殊メイクなど目を引かれる部分は多い。ただし、評価はかなり低く前作より想像力を豊かにする才能を失ったとまで言われている。確かに若干魅力が失われたような印象はあった。(女性 40代)
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