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映画『こはく』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『こはく』の概要:幼い頃、父が多額の借金を作って姿を消してしまい母に育てられた兄弟。弟は稼業の会社を継ぎ経営の立て直しを行い、妻との間に子供もでき順風満帆の生活を送っていた。そんな折、兄が街で父親の姿を目撃したと言い出し、兄弟は父親探しを始めることに…。

映画『こはく』の作品情報

こはく

製作年:2018年
上映時間:104分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:横尾初喜
キャスト:井浦新、大橋彰、遠藤久美子、嶋田久作 etc

映画『こはく』の登場人物(キャスト)

広永亮太(井浦新)
稼業のガラス細工会社を継ぎ、経営を立て直す。離婚歴があり、元妻との間には2人の子供がいるが、別れてから一度も会っていない。家族を捨てた父親のことをあまり覚えておらず、父親像を描けずにいる。友里恵と再婚し一児を儲ける。
広永章一(大橋彰)
亮太の兄で母元子と暮らしているが、定職に就かずぶらぶらしている。口が上手く自分を俳優だと宣い、すぐに女性へと言い寄る。家族への愛情が深く涙もろい面があり、家族を捨てた父を恨んでいる。父探しを率先して行う。
広永友里恵(遠藤久美子)
亮太の妻。包容力があり、いつでも夫のことを優しく見守っている。元子とも仲が良く料理を教えてもらうなど、夫を支え一児の母となる。
宮本哲郎(石倉三郎)
ガラス細工会社で働く古参のガラス職人。兄弟の父、三田崇之と働いていたこともあるが、詳しくは語ろうとしない。若い職人を育てている。
三田崇之(鶴見慎吾)
元子の夫であり、章一と亮太の父。非常に心優しく愛情深い人物。過去に家族を捨てざるを得ない状況となり、長い間たった一人で家族を迎えに行くという約束を胸に過ごしていた。
広永元子(木内みどり)
兄弟の母であり崇之の妻。夫と別れた後、息子2人を抱え女手一つで育て上げる。脳幹に腫瘍があることを伏せ、元気を装っていた。人は誰でも孤独だと悟り、崇之のことは一切話そうとしなかったが、病床に伏せた折、とても優しい人だったと語る。

映画『こはく』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『こはく』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『こはく』のあらすじ【起】

長崎県に住む広永亮太は、幼い頃に姿を消した父が残したガラス細工の会社を継ぎ、経営を立て直しつつある中、妻友里恵の妊娠が発覚するなど順風満帆の生活を送っていた。
ある日、兄章一に誘われ実家へ。元子は夫が行方不明になった後、女手一つで兄の章一と弟の亮太を育ててくれたが、近頃はあまり体調が良くないようだ。章一は元子と暮らしながらも定職に就かずぶらぶらしていたが、兄弟仲は良い方だった。

友里恵との間に子供ができたことを喜びつつ、亮太は父親になることに一抹の不安を覚えていた。彼は一度目の結婚の時、元妻との間に2人の子供を儲けていたが、長いこと会ってもいない。そんな折、章一が突然、父親を街で見かけたと言い出すのだった。

実家に一泊して帰宅した亮太。幼い頃の写真を持ち帰ったが、章一が言い出した言葉がずっと気になっている。そして、彼はとうとう兄と共に父を探すことを決意した。
休日を利用し、まずは章一が父を目撃した場所から探し始める。近隣の飲み屋を何件も訪れ父の三田崇之を探し歩いたが、なかなか見つからなかった。

明らかにやくざ経営と分かる飲み屋から恐怖を覚えつつ退散したその帰り、兄弟は商店街にある銭湯に寄る。湯船に浸かりながら、幼い息子の面倒を見る若い父親の姿を眺める章一と亮太。幼い頃の記憶が脳裏をよぎった。

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映画『こはく』のあらすじ【承】

父崇之の代から付き合いのある業者は、崇之よりも経営の才能があると亮太に言う。崇之は経営が上手くできず、多額の借金を作って姿を消したのである。
体調があまり良くない元子を兄弟で病院へ。亮太はあまり父を覚えていないが、章一は父のことを覚えている。印象はあまり良くないようだったが、元子は未だに父のことを話したがらない。検査の結果、母の体に異常はなかったようだ。兄弟はほっと安堵し帰路に就いた。

ある日の夜、会社の従業員たち全員に章一が加わり居酒屋へ。その時、昔から務めているガラス職人である宮本哲郎から、崇之が姿を消した際、会社の女性従業員も一緒に姿を消したため、2人は駆け落ちしたのではないかと噂が立ったと聞かされる。そのせいで、父は女癖が悪かったという話になったようだが、宮本曰く眉唾物の話らしい。結局のところ、本当に父の女癖が悪かったのかどうかは誰にも分からないのだった。

元妻から再婚するという手紙が亮太に届いた。子供達に会いに行くかどうか悩み続けている亮太だったが、答えは出ない。それでも、平穏な生活を送る中、章一に付き合って父探しは続けた。その日は父の旧友の元へ。中学以来からの旧友と言う人物は、父の債権者でもあったが、もう昔のことだと兄弟を快く受け入れ当時、同時期に姿を消したという女性従業員の居場所を教えてくれるのだった。

映画『こはく』のあらすじ【転】

別の日、女性従業員の住所を訪ねたが、既に転居した後で会えなかった。数日後、再び父を見かけたという情報が入ったと章一から聞かされたが、亮太には探す気持ちがほとんどなくもうやめようと言う。そんな時、元子が倒れたとの連絡が入り兄弟は急いで病院へと向かった。医師の話では脳幹に腫瘍ができているらしく、覚悟が必要だとのこと。愕然とする兄弟だったがそんな中、これまで父のことを一切語らなかった元子が、父はとても優しい人だったと明かすのだった。

その後、疲れ果てて病院から帰宅した亮太だったが、友里恵の陣痛が始まりタクシーで病院へ。友里恵はそのまま分娩室へ向かうことになり、無事に子供が産まれた。亮太は子供の誕生を喜ぶと共に自分達を置いて行ってしまった父のことを思い、切なくなって涙を零すのだった。

そんなある日、元子の病室を訪れた亮太は、看護師から章一が俳優だと言っていたと聞かされる。そう言えば、新たな父の目撃情報が入ったと兄が言っていたことを思い出し、話に聞いていた喫茶店を再び訪れる。ところが、喫茶店の従業員は章一に連絡をしていないと言う。父の話は兄の狂言ではないか。亮太は急いで実家へと向かい、章一へと詰め寄った。すると兄は、幼い頃の自分には頼れる者が誰もいなかった。全て父のせいだと恨みがましく言うのだった。

映画『こはく』の結末・ラスト(ネタバレ)

以降、章一は職探しを始め、亮太は友里恵と子供の3人暮らしを開始。元子は入院生活を送っていたが、とうとう息を引き取ってしまう。母の葬儀を出した兄弟は、元子が40年もの間、愛用していたかんざしを見つける。亮太は産まれた赤ん坊が可愛くて仕方ないと話したが、章一は自分達が産まれた時もそうだったのだろうかと思いを馳せた。

通夜が終わった後、弔問名簿に目を通した亮太。そこで、探しても見つけられなかった女性従業員の名前を発見する。兄弟は斎場内を駆け回り帰ろうとしていた女性を捕まえ、話を聞くことに。すると彼女は当時、実家が多額の借金を抱えていて、崇之が保証人となり援助してくれたと話す。そのせいでいざこざが勃発してしまい、結果的に兄弟から父親を奪うことになってしまった。女性は崇之と年賀状のやりとりだけは続けているらしく、崇之に会って話をするべきだと言うのだった。

母の葬儀を終えた後、兄弟は父の元へ。海沿いの小さな町は過去に一度、家族で来たことがある場所だった。章一は弟に問う。父に会ったら何を話すのか。すると、弟は何を話そうかと確固たるものを持っていない様子。近所の人の話だと父は修理工場で働きながら、ずっと一人で同じ場所に住んでいるらしい。

父が働く修理工場へ向かった兄弟は、とうとう崇之と対面。章一は泣きながら元子が亡くなったことを告げる。すると、崇之もまた泣きながら約束を守れなかったと言い、泣きじゃくる章一を強く抱き締める。父はその昔、兄弟に必ず迎えに来ると約束していたが、約束は守られず今に至る。兄弟は父と強い抱擁を交わし泣き続けた。

その後、ようやく決心がついて離れていた2人の子供とも対面できた亮太。子供達は会わない間に大きく成長していた。実家には兄がいて、弟家族を笑顔で迎えるのであった。

映画『こはく』の感想・評価・レビュー

監督である横尾初喜の実体験を基に制作された作品で、兄弟役の兄にお笑い芸人のアキラ100%が本名の大橋彰で出演し、弟役を井浦新が演じている。アキラ100%は元々俳優志望で、演技にぎこちなさはあるものの複雑な心境を抱える兄役をしっかり演じ切り、それを弟役の井浦新が支える形でバランスが上手く取れている。

幼少期に行方不明となった父親を捜す兄弟の話だが、弟は父親のことをあまり覚えておらず、自分の子供にどう接したら良いか分からない。兄は孤独を抱え人生に躓いている。父親を見つけることでそれぞれに区切りをつけ、新たに歩み出そうとする兄弟の姿が描かれている。作中で人は誰でも孤独だと母親が語るシーンがとても印象的だった。(MIHOシネマ編集部)


アキラ100%が俳優として登場する今作。芸人としての姿しか見たことがありませんでしたが、章一の少しダメなところや、涙脆いところを物凄く上手く演じていたと思います。
弟を演じた井浦新でしたがアキラ100%と比べてしまうとオーラがありすぎて、兄と弟が逆のように見えてしまいました。
自分たちを捨てた父親に再会するシーンは今までの苦労や悲しみ、つらさを爆発させるような章一の涙に思わずグッときてしまいました。(女性 30代)


長崎を舞台に別れた父親を探す物語です。お笑い芸人のあきらさんが、本名で俳優として出演されています。長崎らしく坂道や細い路地が登場し土地柄をよく表していました。

最後に父親と再会したとき、大の大人が大声をあげて泣きわめくシーンが印象的でした。また、母が「人はみな孤独かとよ」と、心の深いところから発したような言葉は、方言が独特なニュアンスが伝えているように感じました。どんな人との繋がりにも危うさがあるように感じ、様々なことを乗り越えて生きている女性の感情だったのでしょうか。(女性 40代)

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