1933年、世界は深刻な経済恐慌に陥っていた。しかし、スターリンが治めるソビエト連邦だけ、景気が絶好調だった。若きジャーナリストであるガレス・ジョーンズは、そのことに疑問を抱き調査を開始する。
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の作品情報
- タイトル
- 赤い闇 スターリンの冷たい大地で
- 原題
- Mr. Jones
- 製作年
- 2019年
- 日本公開日
- 2020年8月14日(金)
- 上映時間
- 118分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
歴史 - 監督
- アグニエシュカ・ホランド
- 脚本
- アンドレア・チャルーパ
- 製作
- アンドレア・チャルーパ
クラウディア・シュミエヤ - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- ジェームズ・ノートン
バネッサ・カービー
ピーター・サースガード
ジョゼフ・マウル
ケネス・クラナム
クシシュトフ・ビチェンスキ
ケリン・ジョーンズ
フェネラ・ウールガー - 製作国
- ポーランド・イギリス・ウクライナ合作
- 配給
- ハピネット
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の作品概要
実在のジャーナリスト、ガレス・ジョーンズの活躍を描いた作品。1933年、世界は深刻な経済恐慌に陥っていた。しかし、ソビエト連邦だけ好景気だった。ジョーンズはそのことに疑問を抱き、調査を開始する。そして、恐ろしい真実を知ることになる。ポーランド・ワルシャワ出身のアニエスカ・ホランドがメガホンを取り、アンドレア・チャルーパが脚本を執筆した。ジェームズ・ノートン、バネッサ・カービー、ピーター・サースガードら豪華なキャストが集結している。
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の予告動画
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の登場人物(キャスト)
- ガレス・ジョーンズ(ジェームズ・ノートン)
- イギリス人。ジャーナリスト。ヒトラーに取材したことがある。「ソビエト連邦の繁栄」の真実を知るために、ウクライナへ取材に向かう。
- エイダ・ブルックス(バネッサ・カービー)
- ニューヨーク・タイムズのモスクワ支局に勤務する記者。
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』のあらすじ(ネタバレなし)
1933年。アメリカの株価の大暴落を発端に、世界は深刻な経済恐慌に陥っていた。しかし、ヨシフ・スターリンが治めるソビエト連邦だけ、景気が絶好調だった。若きイギリス人ジャーナリストのガレス・ジョーンズは、そのことに疑問を抱く。ジョーンズはソビエト連邦の資金源に注目した。
ジョーンズはスターリンにインタビューをするため、モスクワへと渡る。だが、元首であるスターリンに会うことは容易ではなかった。そんな時、謎を解き明かす鍵が、ウクライナにあるとの情報を得る。
ジョーンズはウクライナに渡り、衝撃を受ける。食糧は全てモスクワへと渡り、ウクライナの人々は酷い飢餓状態にあった。ジョーンズは真実を明かすため、権力に立ち向かった。
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の感想・評価
実在のジャーナリスト、ガレス・ジョーンズ
物語の主人公になっているガレス・ジョーンズは、実在の人物である。ドイツ語、ロシア語など語学が堪能で、非常に優秀な人物であった。ドイツの首相に任命されたアドルフ・ヒトラーに取材をした経験を持つことでも、有名な人物である。
本作では1933年のソビエト連邦が物語の舞台になっている。この当時、ソビエト連邦(通称、ソ連)は首相のヨシフ・スターリンが統治する独裁国家であった。世界が深刻な経済恐慌に陥っている中、ソビエト連邦だけは好景気だった。ジョーンズはそのことに疑問を抱き、資金源を怪しんだ。取材を進めるために首都のモスクワへと旅立ち、真実を知るためにウクライナに足を運ぶことになる。真実を知ったジョーンズは権力と戦い、真実を世間に公表する決意をする。彼は誰よりも誠実で、勇敢なジャーナリストであった。
人工的な大飢饉
本作では「人工的な大飢餓」として人々に衝撃を与えた、ソビエト連邦の闇の部分が描かれている。1928年から、ソビエト連邦は「五カ年計画」に基づき、鉄鋼生産の増強、農業の集団化などを行っていた。それにより経済成長率は上がっていったものの、大きな弊害が生まれた。その一つとして、ウクライナ人が住んでいた地域に起こった大飢餓がある。
ウクライナの土地は肥沃の土地で、小麦が豊作だった。しかし、ほとんどが輸出へと回され、その土地に暮らす人々が食べる物は残されなかった。さらに、ウクライナ人達は強制移住させられ、工業労働者や集団農場で働くことになる。その結果、ウクライナ人だけで400万人から1450万人の人が死亡したと言われている。この当時、道路には死人が溢れ、町は酷い有様だった。
ポーランド・ワルシャワ出身のアニエスカ・ホランド監督作品
本作のメガホンを取ったのは、テレビドラマの演出家としても活躍するアグニエシュカ・ホランド。アメリカでリメイクされたデンマーク発のミステリードラマ『THE KILLING〜闇に眠る美少女〜』や、ケヴィン・スペイシーが主演を務めたサスペンスドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』などの演出を手掛けている。
主人公のガレス・ジョーンズを演じたのは、映画、舞台、テレビドラマなど幅広いジャンルで活躍するジェームズ・ノートン。Netflixで配信されたドラマ『ザ・クラウン』に出演して一躍有名になったバネッサ・カービー、インディペンデント映画にも多数出演しているピーター・サースガード、ファンタジードラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を始め数々の話題作に出演しているジョゼフ・マウルなど、豪華なキャストが脇を固めている。
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の公開前に見ておきたい映画
ソハの地下水道
アグニエシュカ・ホランドの代表作。実話を元に執筆されたロバート・マーシャル原作の小説を元に制作されている。第二次世界大戦中、ユダヤ人を守るために奮闘したポーランド人レオポルド・ソハの姿が描かれている。「第84回アカデミー賞・外国語映画賞」にノミネートされている。
1943年、ポーランド。ナチスはユダヤ人狩りを行っていた。ソハは地下水道の技師として働く傍ら、泥棒稼業にも手を染めていた。犯罪行為であることは分かっていたが、全ては妻子を養うためだった。ある日、ソハは金儲けを思いつく。それは、ユダヤ人達を地下に匿う代わりに、お金を支払ってもらうことだった。ソハはお金を回収した後、通報すれば自分の身に危険は及ばないと思っていた。だが、ユダヤ人達と接するうちに心に変化が生まれる。
詳細 ソハの地下水道
ロンドン、人生はじめます
ジェームズ・ノートンの代表作で、エミリー(ヒロイン)の息子のフィリップ役で出演している。イギリスで起きた実話を元に制作された作品。人生に疲れた女性・エミリーと自由に暮らす男性・ドナルドとの心温まるラブストーリーが描かれている。エミリー役は映画『アニー・ホール』(1977)で「アカデミー賞・主演女優賞」を受賞したダイアン・キートン。ドナルド役は映画『ハリー・ポッター』シリーズに出演しているブレンダン・グリーソン。
エミリーはロンドンにある高級マンションに暮らしていた。そんな彼女には、様々な悩みがあった。他界した夫が残した借金、お節介で煩わしい隣人達、海外赴任が決まった息子。ある日、エミリーはドナルドという人物に出会う。ドナルドは手作りの小屋で自由気ままな生活を楽しんでいた。エミリーはドナルドと接するうちに、自分自身を見つめ直すことになる。
詳細 ロンドン、人生はじめます
ミッション:インポッシブル6/フォールアウト
バネッサ・カービーの代表作で、物語のキーパーソンの一人であるホワイト・ウィドウを演じた。世界中で大ヒットを記録しているスパイアクション映画『ミッション:インポッシブル』シリーズの第六作目。主演を務めているのは人気俳優のトム・クルーズ。クリストファー・マッカリーが監督&脚本を担当した。
諜報機関IMFのエージェントであるイーサン・ハントは、奪われた三つのプルトニウムを回収する任務に就く。取引現場へと向かうが、テロ集団に襲撃され任務に失敗してしまう。CIA長官はIMFを信用することができず、CIAエージェントのウォーカーを監視任務に就かせることにした。プルトニウムを奪ったテロ集団は一体何者なのか、イーサンは任務を成功させることができるのだろうか。
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』の評判・口コミ・レビュー
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』映画館にて94本目。
道端に転がる死骸、食事に群がり争う市民、目を覆いたくなるような残酷な現実を突きつけられ感情の置き場に戸惑う。スターリン政権が成し遂げたものとは。非人道的な行為が罷り通っていいはずがない。心に深く滲み入る実話。 #EDDIE映画2020 pic.twitter.com/OreGK35Saz— EDDIE@Kings31-41👑 (@eddie2yuji) August 15, 2020
赤い闇 スターリンの冷たい大地で、みた。30年代、ホロドモールの真相を探るべくウクライナに乗り込んだ記者の闘いを描く。ソ連の現実を知りながらプロパガンダに加担するデュランティを見ていろんな人物の顔が浮かんだが、はたしてそれを批判できるほど俺自身まっさらな人間なのだろうかと。傑作! pic.twitter.com/JkjvbJdKjH
— じゅぺ (@silverlinings63) August 15, 2020
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』鑑賞。いつの時代も都合よくねじ曲げられて真実はねじ伏せられてしまうのか…雪吹雪く森へ逃げ込んだガレス。耳に鳴り響くあの曲と共に追い込まれる様はもうホラーだった。電話の回線コードの描写があんなに怖く感じたのは初めて。早巻きの映像も印象的でした。 pic.twitter.com/zCFz0lPeeW
— あかいあか (@akaka099) August 16, 2020
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』
若き英国人記者が、恐慌下も堅調なソ連統治の謎を探り、ホロドモール(ウクライナ大飢饉)の惨状を目撃する。
潜入描写が凄絶。『動物農場』執筆中のオーウェルを語り手とする奇手や、スターリンに迎合し栄誉を得る西側記者(ピーター・サースガード)など印象的。 pic.twitter.com/NCS7Tmobe9
— pherim⚓ (@pherim) August 13, 2020
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』のまとめ
実在のジャーナリスト、ガレス・ジョーンズを主人公に、ソビエト連邦で実際に起きた大飢餓の様子が描かれている。首都のモスクワを中心に、裕福な者達は満ち足りた生活を送っている。しかし、ウクライナで暮らす人々は食べる物に困り、大人も子供も関係なく飢えていた。この当時、道路で死んでいる者が多数おり、住民達はそれを不思議だと思わなくなっていたらしい。それほど、多くの人がいつ死んでもおかしくないような飢餓状態にあったのだ。ジョーンは権力に立ち向かい、真実を世に伝えるために奮闘した。
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