この記事では、映画『フォードvsフェラーリ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『フォードvsフェラーリ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『フォードvsフェラーリ』の作品情報

上映時間:153分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジェームズ・マンゴールド
キャスト:マット・デイモン、クリスチャン・ベイル、ジョン・バーンサル、カトリーナ・バルフ etc
映画『フォードvsフェラーリ』の登場人物(キャスト)
- キャロル・シェルビー(マット・デイモン)
- 米国人として初めてル・マン24時間レースを制したレーサー。心臓に負荷がかかり薬を服用するようになったため引退した。カーデザイナーとして工場を所有しており、他に整備や販売も行っている。フェラーリに勝つ車を作って欲しいとの依頼を受け、ケンに声を掛ける。
- ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)
- レーサー兼整備士だが、客からは無茶なオーバーホールでスピードが出過ぎるとのクレームが絶えない。シェルビーに誘われフォードのレーシングカー開発に携わるが、気性が荒いことからドライバーとしては起用されなかった。モリーという妻と、ピーターという息子がいる。
- リー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)
- フォード社の社員。会社の存続をかけてル・マンへの出場を計画する。
映画『フォードvsフェラーリ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『フォードvsフェラーリ』のあらすじ【起】
1959年。キャロル・シェルビーは、米国人として初めてル・マン24時間レースを制覇した。しかし、彼の心臓は度重なるレースで上がり続けた血圧に耐えきれず、心停止のリスクを抱えてしまっていた。
現在。ヘンリー・フォード2世は、自身の会社の自動車製造工場を視察した。フォード社は倒産の危機に瀕しており、彼は会社を立て直すアイデアを思い付かない者は家にいろと怒鳴りつけ、従業員達を返してしまった。
ドイツのカーレースチームを持つディーター・ヴォスは、ケンをドライバーとしてスカウトしようとしていたが、当のケンは気性が荒く非常に扱いづらい人物であった。しかし、ヴォスが見に来たレースでケンは圧倒的な技術で1位を獲得、ドライバーとしての優秀さを見せつけた。
トロフィーを持ち帰ったケンは、妻から彼の経営する整備工場が国税局に差し押さえられたと告げられた。ケンは自動車の整備とレースへの出場だけでは儲けが出せず、貯金は底を尽いていた。
フォード社のリー・アイアコッカは、フォード2世へフェラーリと合併してレーシングカーを作ろうと提案した。アイアコッカは、ル・マンでの勝利こそ若者の購買意欲を刺激する秘訣だと力説し、早速フェラーリへ取引に向かった。

映画『フォードvsフェラーリ』のあらすじ【承】
フェラーリからの返事は「ノー」であった。さらに、フォード社がフェラーリを訪れ合併を持ち出したという情報は即刻フィアット本社へ流れ、フィアットは好機を逃さずフェラーリを買収した。
フォード2世は、こうした屈辱的な状況を受け、独自にレーシングカーを作ることを社内へ通達した。窮地に立たされたアイアコッカは、シェルビーにフェラーリを越える車の製造を依頼した。
シェルビーはケンを強引に誘い出すと、開発途中のフォード製レーシングカーを試乗させた。ケンは、運転した結果今の車に足りない物を次々と挙げ、1日200ドルの報酬を受け取るという条件で改良に乗り出した。
ケンの指摘は全て正しく、フォードのレーシングカーは見違える程性能が上がった。しかし、フォード社の重役は、毎日レーシングカーに乗り調整を行う彼をドライバーとして推薦はしなかった。ケンは、ドライバーとしては最高だが「フォード社の宣伝」としては人格が破天荒過ぎたのだ。
シェルビーは、ケンをドライバーにはしないというフォード社の決定を本人へ伝えた。シェルビーのチームはケンを工場に残しフランスへ向かったが、レースの結果はフォード社が3位に終わった。
アメリカに戻ったシェルビーは、フォード社長に呼び出されレースの敗因を問い質された。シェルビーは社長を説得すると、もう一度チャンスを与えられた。
シェルビーはケンの元を訪れ、彼を再び仕事へ誘った。ケンは彼に怒りをぶつけたが、殴り合った末に二人は和解し、レーシングカーの更なる改良へ取り掛かった。
映画『フォードvsフェラーリ』のあらすじ【転】
新しくプロジェクトの担当になった副社長のビーブは、ケンをチームから外そうと考えていた。アイアコッカはシェルビーへその事実を伝えたが、その電話の最中、ケンの運転していた試作車がフェーン現象によってクラッシュしてしまった。炎上する車から助け出されたケンは無事だったが、更なる改良の必要性が浮上した。
フォード社長とビーブは工場の視察に訪れた。シェルビーは社長をレーシングカーの助手席に乗せ、彼の運転によるハイスピードに圧倒され恐怖したフォード社長は、停車するなり泣き出してしまった。シェルビーは、これが誰にでも扱えるような車ではないと説明し、ケンの必要性を社長へ説いた。
ケンはドライバーとしてル・マンに出場することになった。一方でビーブは他にもチームを作っており、ケンが勝つか自分のチームが勝つか見届けようとしていた。
レースが始まり23時間が経った頃、シェルビーはおもむろにコース内へ入ると、ケンへ7000回転以上出せとの指示を送った。車体は限界を迎えつつあったが、ケンは彼の意志を汲み猛攻する。エンジンは8000回転にまで到達し、ケンは優勝を勝ち取った。
レーサーとして日の目を浴びたケンは、その後もル・マンへ出場するためフランスを訪れた。
2度目のレースを迎えたケンは、運転席のドアが閉まらないというアクシデントに見舞われながらも次々と車を追い抜き、遂にフェラーリを抑え先頭に立った。それを見たビーブは、残るフォード社の2台とケンを同時にゴールさせようと提案。そのためには、ケンより1周少なく走っている自分のチームに彼が合わせる必要があった。
映画『フォードvsフェラーリ』の結末・ラスト(ネタバレ)
シェルビーは、怒り心頭のままビーブの提案をケンへ伝えた。暗にビーブから、減速してチーム・プレイヤーになれと言われたケンは葛藤した。そんなケンを見たシェルビーは、彼に「君が決めろ」と告げた。
エンジンもブレーキも危ない状態だったが、ケンはシェルビーと自分を信じ一切スピードを緩めず首位を守っていた。ケンが最終ラップに差し掛かった時、彼は唐突にスピードを緩め、他の2台が追いつくのを待った。彼はビーブの提案を呑み、3台同時ゴールを実現したのだった。
大歓声を受けたゴールの直後、大会側はビーブのチームの方がケンより後ろからスタートしていたとして、他のドライバーに優勝を言い渡した。シェルビーとケンはビーブに嵌められたのだ。やりきれない二人だったが、アメリカに戻った彼らは次のレースへ向けて改良を進めた。
新たに改良を加えた試走車で試験場を走行していたケンは、7000回転を超えた時にブレーキが効かなくなってしまい、減速することなくクラッシュした。車体は大きく炎上し、シェルビーをはじめクルー達は救助に向かったが、ケンはそのまま帰らぬ人となってしまった。
ケンは、モータースポーツの殿堂入りを果たした。シェルビーはカーデザイナーとして数々の名車を残し、フォード社はル・マン4連覇を果たした。彼らの尽力によって、フォード社のレーシングカーはル・マン24時間レースを制した唯一の米国車となった。
映画『フォードvsフェラーリ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
大迫力のレースシーンと、勝利に命を捧げた男達の熱いドラマが非常に見応えのある映画だった。各所に名車が登場するので、車好きとしても大満足の作品だった。題材となったのは、1966年に実際に行われた伝説のル・マン24時間レースである。
「速い車といえばフェラーリ」という常識を破ったフォードの企業努力の裏に、こんなにも魅力的な男達がいたとは衝撃である。シェルビーに声を掛けたアイアコッカが、社内では業績不振の部署を率いる冴えない男のように描かれていたが、彼こそ先見の明のある人物だったのではなかろうか。(MIHOシネマ編集部)
「フェラーリはだめ。イタリア車もドイツ車も違う。アメリカ車、フォードでル・マンで勝つんだよ!」というフォード側から見た、車に命をかける男たちの物語。
この作品は2020年の最高傑作と言っても過言ではありません。リアルな映像と迫力。男たちの生き様が丁寧に描かれたストーリー。どこを取っても最高なのです。特に心臓にドスンと来るようなエンジン音。これは映画館の大画面、そして大音量で聴いて観るべき。エンジンオイルの匂いまで漂ってきそうな男臭い暑苦しい映像。こんな作品他にはありません。
クリスチャン・ベイルとマット・デイモン。観た人全員が満足出来るキャスト。DVDが出たら観ようと思って劇場に行かなかった方、本当にもったいないことをしましたね。(女性 30代)
車に全く興味のない人間だが、映画館の大画面で観るレースの迫力に終始圧倒され、彼らを取り巻く人間関係のもどかしさにやきもきし、それでも挑み続ける彼らの生き方には心底胸が熱くなった。
だからこそあまりにもあっけなく、そして悲しすぎる結末にはしばし呆然としてしまったが、それでも決してバッドエンドとは思えないのは、彼らが彼らの信念を貫く姿を目の当たりにしたからだろう。レースの順位などは関係ない、7000回転という孤高の世界を共有した彼らにしか見えない景色、知らない感情がきっとそこにはあるのだ。(女性 30代)
カーレース映画と思って観ましたが、それ以上に「友情」と「信念」を描いた人間ドラマでした。特にケン・マイルズがル・マンで完璧な走りを見せながらも、企業の政治的判断で勝利を奪われる場面は悔しくて仕方ありませんでした。最後に彼がテスト走行中に命を落とすシーンは切なさで胸がいっぱいになりました。(20代 男性)
キャロル・シェルビーとケン・マイルズの関係性が最高でした。最初は衝突も多い二人が、レースを通して強い信頼で結ばれていく過程が胸熱です。ル・マンでのマイルズの走りは迫力満点で、観客として興奮しました。しかし「フォードの思惑」で彼が勝利を逃した展開には怒りを覚え、最後の死は涙なしには観られません。(30代 女性)
実話ベースだからこそ、結末の重みが増していました。マイルズの才能が認められながらも、企業の都合で正当な勝利を奪われる不条理さ。彼が「それでも走ることを愛していた」と感じさせる描写が切なかったです。シェルビーが空を見上げて彼を偲ぶラストには深い余韻が残りました。(40代 男性)
車好きとしては、レースシーンの迫力に圧倒されました。エンジン音やスピード感が映画館を震わせ、まるで自分がル・マンのコースにいるかのようでした。しかし一番心に残ったのは、ケンと息子との絆です。最後の別れが暗示される場面では涙が溢れ、ただのレース映画ではなく父親の物語としても強く響きました。(50代 女性)
「勝利とは何か」を問いかける映画でした。ケン・マイルズは間違いなく真の勝者だったのに、企業の都合で記録を残せなかった。その矛盾は現実の世界にも通じます。彼の走りは最後まで美しく、命を懸けても車と向き合った姿勢に心を打たれました。スポーツの裏にある人間模様を描いた秀作だと思います。(20代 女性)
マット・デイモンとクリスチャン・ベイルの演技が素晴らしく、二人の関係に自然と感情移入しました。特にベイル演じるマイルズのキャラクターが魅力的で、不器用だけど走ることに誠実な姿は胸を打ちます。最後に彼を失う展開は衝撃でしたが、シェルビーの眼差しが彼の不在を埋めるようで涙が止まりませんでした。(30代 男性)
マイルズのラストランは本当に美しかったです。勝利を譲るように指示されても、彼はそれを受け入れ、最後まで車と観客を楽しませた。その姿はレースマンとしての誇りを感じさせます。死という結末は残酷ですが、彼が残した走りは永遠に語り継がれるべきものだと思います。(40代 女性)
映画『フォードvsフェラーリ』を見た人におすすめの映画5選
ラッシュ/プライドと友情
この映画を一言で表すと?
F1の伝説的ライバル同士の死闘と友情を描いた、実話ベースのレースドラマ。
どんな話?
1970年代のF1を舞台に、自由奔放なジェームス・ハントと几帳面なニキ・ラウダという対照的なドライバーが、死と隣り合わせのサーキットで戦いながらも、互いを認め合っていく物語。極限状態のレースと、人間ドラマが融合した濃厚な一作です。
ここがおすすめ!
迫力あるレースシーンと、人間性の全く違う二人の対比が最大の魅力。レースを通じて生まれるライバル同士の絆は胸を打ちます。『フォードvsフェラーリ』の友情や信念の物語が響いた人にこそ観てほしい作品です。
グラン・トリノ
この映画を一言で表すと?
一台の愛車と共に生きた男の誇りと贖罪を描いた、心揺さぶる人間ドラマ。
どんな話?
退役軍人のウォルトは、妻に先立たれ孤独な生活を送っていたが、隣家の少年との出会いをきっかけに次第に心を通わせる。愛車「グラン・トリノ」を巡る出来事は、彼にとって過去の清算と人としての誇りを取り戻す物語へとつながっていきます。
ここがおすすめ!
クリント・イーストウッドが監督・主演を務め、自身の集大成のような深いメッセージを込めています。車を愛し、誇りを持って生きる姿が、『フォードvsフェラーリ』のケン・マイルズの生き様と重なり、観る者の心に強い余韻を残します。
ル・マン(1971)
この映画を一言で表すと?
伝説の俳優スティーブ・マックイーンが挑んだ、本格的レース映画の原点。
どんな話?
フランスのル・マン24時間耐久レースを舞台に、実際のレース映像を織り交ぜながら描かれる物語。セリフを極力排し、マシンとドライバーの緊張感を映像と音だけで表現するスタイルが、レースの本質を鮮烈に伝えます。
ここがおすすめ!
実写の迫力あるカーレース映像は、今見ても圧巻。ストーリーよりも「レースそのもの」を体感できる映画であり、『フォードvsフェラーリ』のル・マンに心を奪われた人にとっては必見です。純粋にモータースポーツを愛する人のための一本です。
ドリヴン
この映画を一言で表すと?
栄光と挫折、そして再起を描く、熱血レーシング・エンターテインメント。
どんな話?
ベテランレーサーのジョーは、才能ある若手のメンターとして復帰することになる。ライバルとの戦いやプレッシャーの中で、二人は勝利と自分の存在意義を求めてサーキットを走り抜ける。スピード感満点のレースと人間模様が交錯します。
ここがおすすめ!
派手なアクションと人間ドラマのバランスが良く、モータースポーツの魅力を手軽に楽しめる作品。『フォードvsフェラーリ』の熱量をもう少しエンタメ寄りで味わいたい人にはおすすめです。躍動する映像にアドレナリンが高まります。
タッカー
この映画を一言で表すと?
夢の車を作ろうとした男の挑戦と挫折を描く、アメリカン・ドリームの物語。
どんな話?
実在の自動車デザイナー、プレストン・タッカーの半生を描いた伝記映画。彼は革新的な車を世に送り出そうと奔走するが、大企業や政治の圧力に阻まれ、志半ばで夢を打ち砕かれる。しかしその情熱は人々の心を動かし続けることになります。
ここがおすすめ!
フランシス・フォード・コッポラ監督が描く、理想と現実の狭間に生きた男のドラマ。『フォードvsフェラーリ』で描かれた「情熱ある技術者が企業の論理に潰される構図」と重なり、観る者に強烈な共感を呼び起こします。夢を追うすべての人に捧げたい映画です。






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