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映画『パラダイス・ナウ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『パラダイス・ナウ』の概要:イスラエルによる占領に抵抗するために自爆テロを決行することになった2人のパレスチナ人青年の姿を追ったドラマ作品。パレスチナ社会の実態を描き、ベルリン国際映画祭などで高い評価を得た。

映画『パラダイス・ナウ』の作品情報

パラダイス・ナウ

製作年:2005年
上映時間:90分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ハニ・アブ・アサド
キャスト:カイス・ナシェフ、アリ・スリマン、ルブナ・アザバル、アメル・レヘル etc

映画『パラダイス・ナウ』の登場人物(キャスト)

サイード(カイス・ナシェフ)
自爆テロを志願するパレスチナ人青年。父親がイスラエルの密告者だったために幼少期から肩身の狭い思いをしてきた。
ハーレド(アリ・スリマン)
サイードの親友で、一緒に自動車整備工場で働く同僚でもある。サイードのことを信頼しており、共に自爆テロを志願する。
スーハ(ルブナ・アザバル)
パレスチナのために殉教した英雄の娘。上流家庭に生まれ、海外生活を長く経験してきた。暴力による抵抗に疑問を感じている。

映画『パラダイス・ナウ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『パラダイス・ナウ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『パラダイス・ナウ』のあらすじ【起】

スーハがイスラエル軍の検問所を通過してヨルダン川西岸のナブルスにやって来る。自動車整備工場で働くサイードとハーレドは車の修理を巡って客と揉め、ハーレドは解雇されてしまう。そこにスーハが修理を依頼した車の件でやって来てサイードと話し込む。サイードはハーレドと水パイプを一緒に吸った後、写真屋で肖像写真を撮ってもらう。そして帰り道で待ち構えていたパレスチナ過激派の幹部と挨拶を交わす。幹部は翌日にテルアビブで自爆テロを決行することになり、サイードとハーレドが選ばれたと告げる。

夜中に眠れなくなったサイードはスーハの家に行き、玄関口に車のキーを置こうとする。しかしスーハに気付かれ、2人は一緒にコーヒーを飲む。サイードが英雄の父を持つことをどう思うか聞くと、スーハはイスラエル占領に対して暴力で抵抗することに異議を唱える。家に戻ったサイードは母親に父親がどんな人だったかと尋ねる。母親は父親が何をしたとしても家族のためだったと説明する。

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映画『パラダイス・ナウ』のあらすじ【承】

サイードとハーレドはパレスチナ過激派の隠れ家に集まる。ハーレドはテロを決行する決意と家族へのメッセージを読み上げたビデオを撮影するが、カメラの調子が悪くて何度か撮り直しをさせられる。続いてサイードも撮影に臨む。2人は身を清めてから食事を取り、爆弾の上からスーツを身にまとう。過激派の英雄的指導者が2人に会いにやって来る。そして2人の家族をしっかり守ることを約束する。

サイードとハーレドは幹部に連れられ、イスラエル側とのフェンスに向かう。その道中で犠牲者を増やすために時間差を置いて自爆テロを決行するようにと説明を受ける。フェンスの近くに着くと、幹部が様子を確認しに行く。フェンスの反対側に待機していた案内人がフェンスを切断し、通り抜けるための隙間を作る。待っている間にサイードとハーレドは決意を確認し合い、死について思いを巡らす。戻って来た幹部が2人にどっちが先に自爆テロを決行するかを尋ね、2人とも志願する。コインで決めることになり、ハーレドが選ばれる。

映画『パラダイス・ナウ』のあらすじ【転】

サイードとハーレドはフェンスに向かい、切断された隙間を抜ける。しかし、そこにイスラエル軍が現れ、案内人が逃げてしまう。2人も走ってパレスチナ側に戻るが、はぐれてしまう。ハーレドは幹部と合流し、街に引き返す。取り残されたサイードはフェンスを越え、バス停まで歩いて行く。そしてバスに乗ろうとするが、子供の姿を見て思いとどまる。自爆テロの情報が漏れたことを警戒したパレスチナ過激派は隠れ家を引き払う。

サイードはタクシーを拾って街に戻る。一方、ハーレドは車に乗ってサイードを探しに出掛ける。サイードはハーレドの家を、ハーレドはサイードの家を尋ねてお互いを懸命に探そうとする。自動車整備工場に向かったサイードは、スーハと行き会う。サイードはスーハと肖像写真を受け取りに行く。スーハは写真屋で殉教者や密告者のビデオを売っていることを知り、憤りを覚える。そんなスーハに対し、サイードは父親が密告者で処刑されたことを打ち明け、キスをして立ち去る。

映画『パラダイス・ナウ』の結末・ラスト(ネタバレ)

スーハが家に戻るとハーレドが待ち構えていた。ハーレドのスーツ姿を見てスーハは全ての事情を悟る。2人は一緒にサイードを探しに向かう。その車中でハーレドは暴力で自由を勝ち取るしかないと力説し、スーハはモラルで戦うべきだと言い返す。2人は墓で横になっていたサイードを見つける。サイードとハーレドはパレスチナ過激派の元で話し合いをする。過激派の英雄的指導者がサイードを外そうとするが、サイードは人の弱みにつけ込んで密告者に仕立て上げるイスラエルが許せないと語り、自爆テロへの意思を貫く。

サイードとハーレドは案内人の車でテルアビブを目指す。テルアビブには高層ビルが並び、開放的な格好をした人々が海岸沿いを行き来していた。ハーレドはスーハの言う通り暴力の連鎖では占領を終わらせられないと話して、サイードを思い止まらせようとする。サイードはハーレドだけを車に乗せて戻らせ、自分だけ残る道を選ぶ。そしてイスラエル軍兵士と共にバスに乗車する。

映画『パラダイス・ナウ』の感想・評価・レビュー

英雄視される自爆テロ犯、密告者の家族が抱える苦悩などパレスチナ社会が抱える問題点を浮き彫りにした作品。サイード、ハーレド、スーハがそれぞれの立場から語るイスラエルの占領に対する思いはどれも重みを持っている。ただ、イスラエル軍兵士やユダヤ人入植者がちらりと登場するだけのため、パレスチナ人を自爆テロに駆り立てる占領生活の実態が十分に伝わらない。そういう意味では事前知識がないと理解が難しいかもしれない。(MIHOシネマ編集部)

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