映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』の概要:ベストセラー小説『ヘルプ 心がつなぐストーリー』を映画化した作品。黒人差別に対する反対運動が起き始めた1960年代を舞台に、黒人メイドという観点から差別問題を描く。
映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』 作品情報
- 製作年:2011年
- 上映時間:146分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:テイト・テイラー
- キャスト:エマ・ストーン、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、ブライス・ダラス・ハワード etc
映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』のあらすじを紹介します。
人種差別が激しい1960年代の南部で出版業界のライターを目指す白人の主人公スキーターは、自分の出身地ミシシッピ州ジャクソンへと戻ると、同年代の友人たちは子供を作ったものの、子育ては黒人のメイドたちに任せ、遊びほうけている日々であった。
黒人のメイドたちへの扱いはひどく、同じトイレを使わせてもらえないことなどに対して、自らも黒人メイドに育てられた主人公は怒りを感じる。そこで、黒人メイドたちへのひどい扱いを記事にしようと考え、編集長からは許可をもらうが、肝心の黒人メイドたちは取材に応じたことがばれると、白人主人からどの様な扱いを受けるか分からないことから、取材に応じてくれない。
しかし、黒人メイドたちへのひどい扱いに憤怒したメイド達は徐々に主人公の取材に協力していく、取材内容を元に記事を作成し、どこの街の事だか分からない形で発表すると、その記事は街中で読まれる大好評となる。だが、黒人メイドが仕えていた主人の家のあるエピソードを記事にしたことから、ジャクソンでの出来事を元にしていることが白人主人たちの間でばれてしまい…。
映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
黒人メイドが当たり前だった国・時代
日本に住む上ではなじみがない黒人差別や一家の中にいるメイドという存在、それがアメリカにおいては日常の中に組み込まれており、白人家庭に仕え家事や子育てを行う姿はアメリカ家庭の一般的な光景となっていた。
この映画ではそのような環境で働く黒人メイド達への差別や価値観を描いている物となっている。黒人メイドに対して、白人と同じトイレを使わせず、黒人専用トイレが作られるということや、白人主人たちが慈善活動には興味を持ち参加しているものの、黒人差別に関しては何も興味を持たず、むしろ慈善活動の為のパーティーに協力してくれた黒人メイド達を堂々と蔑む発言をするなど、当時の差別というものを描いている。こういった映画では良くあることだが、差別されるシーンというのは非常にイライラする。映画だと分かっていても、現実で似たような問題が起きたいたのだと考えるだけでも怒りを感じるようなものもあり、人種によって描き方を変えてしまうことはステレオタイプ的な物の見方を感じることもある。
描くのは人種間での差別だけではない
ただ、この映画で描かれているのは人種差別だけではなく、異人種同士の交流や同じ人種間での差別というのも描いている。
主人公が黒人メイド達から、白人家庭に使える上でのエピソードを聞いている中では白人家庭に否定的なものやひどい扱いを受けたという内容がある一方で、優しくされたことや良いこともエピソードの中にある。この様なシーンがあることで、異なる人種同士の対立というネガティブな一面だけではなく、ポジティブな面が描かれていることは物語を見ていて明るい気分になれるし、人種ではない人同士の交流というものを感じることが出来る。
白人から、黒人への差別が描かれている中でも、白人同士の間で変わり者の白人が仲間はずれにされる、黒人メイドの家庭の中で夫から暴力を受ける妻の存在など、人種同士の差別のみではない人と人との違いから、生まれる行動が描かれている。白人の中で天真爛漫ゆえに変わり者だと仲間外れにされる女性セリアは、夫から暴力を受けながらもメイドとして働く女性を雇い、人種を気にせず接していき、家族の為に料理がうまくなりたいとメイドからおいしい料理を教わっていくことで自信を持って行ったり、黒人メイドの女性との間に絆を作り、それが黒人メイドの女性が夫から離れる決心を支えたりと、違う者同士が関わることによる可能性を示してくれている。
そして、映画の中でただ黒人が白人から差別されるだけではなく、対抗していく力強い姿も描かれており、中には映画一番の笑いどころとなっている物もあるので、映画が差別を描いた暗い物語で終わらず、苦しい状況の中で生きていこうとする人間の姿を描いていることで、面白さを持っている。
映画『ヘルプ 心がつなぐストーリー』 まとめ
映画を見る前は黒人差別を扱った固い映画ではないかと思っていたが、実際に見てみると、差別という固いテーマを扱いながらも、出てくる登場人物たち個人のエピソードとして差別を扱い描くことで、自分の身近なものとしてイメージして理解していくことが出来た。
また、ただ単に差別されるシーンのみが続くような鬱憤としたものではなく、差別に対してペンの力で対抗しようとする主人公の記者や、仕えている家庭の主人に思わぬ形で対抗するメイドの一人の姿など、力強さを感じ、見ているうえでスカッとする場面もある。
一本の映画の中で、ストーリーの面白さや差別という問題を考えさせられる場面など
様々な一面があったため、見て損はないと感じる。
みんなの感想・レビュー