映画『アンデッド ブラインド 不死身の少女と盲目の少年』の概要:悪魔の巣と呼ばれるデビルズデンへ誘拐犯に連れられてやって来た少年は、目を潰されて盲目だった。少年はやがて異形の姿をした少女と出会う。気弱で怯える少年を連れ、山をさ迷う少女が絆を深める様子を描いている。
映画『アンデッド ブラインド 不死身の少女と盲目の少年』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:ファンタジー、ホラー
監督:ジャスティン・P・ラング
キャスト:ナディア・アレクサンダー、トビー・ニコルズ、カール・マルコヴィクス、マルガレーテ・ティーゼル etc
映画『アンデッド ブラインド 不死身の少女と盲目の少年』の登場人物(キャスト)
- ミーナ(ナディア・アレクサンダー)
- デビルズデンの森に住むゾンビ。食糧は主に人間や動物の生肉で、額に大きな傷痕がある。母親の恋人に殴られ山中に捨てられたことで、異形へと生まれ変わる。アレックスと出会ったことでデビルズデンから出て行く覚悟を決める。
- アレックス(トビー・ニコルズ)
- 両目を潰された気弱な少年。ヨセフに誘拐され、酷い扱いを受けていた。ミーナと出会い心の支えとする。頑なにヨセフが襲って来ることに怯えている。
- ヨセフ・ホファー(カール・マルコビクス)
- アレックスを攫い懸賞金をかけられている逃亡犯。髭を蓄えた初老の男で、信心深い。ミーナに襲われ喰われる。アレックスを虐待していた。
映画『アンデッド ブラインド 不死身の少女と盲目の少年』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アンデッド ブラインド 不死身の少女と盲目の少年』のあらすじ【起】
寂れた山奥のガソリンスタンドに髭を蓄えた男が来店する。男は地図を広げ、悪魔の巣と言われるデビルズデンへの道を尋ねた。デビルズデンにまつわる怖い話は巷でも有名で、店主も好きだと言う。男もそのつもりでここへ来たのだと思ったのだろう。だがその時、テレビのニュースで男ヨセフ・ホファーが逃亡犯で、懸賞金がかかっていると放送される。ヨセフは即座に店主を銃殺し急いで車へ戻った。
しかし、彼は車を発車させてすぐ、地図を忘れて来てしまったことを思い出す。山奥であるため、携帯電話の電波がない。デビルズデンへの立て札が見えたため、ヨセフはそちらへと車を走らせた。ところが、道も半ばで車のタイヤがパンクしてしまう。急がなければ日が暮れるため、彼はパンクしたまま道を急ぎ1軒目の家に立ち寄った。
家には人が住んでいる気配がなく、荒れ果てている。ヨセフは誰もいないことを知ると、比較的眠れそうな部屋のベッドで横になったが、どこからか物音がして飛び起きた。音は壁の向こうから聞こえ、恐怖に駆られた彼は銃を発砲。すると、その穴からナイフが飛び出し壁を壊し始める。
急いで家から逃げ出したヨセフは家から出てすぐ、釘を踏んでしまい右足を負傷。痛みを堪えて山中へ逃げたが、斧で頭を勝ち割られ死んでしまう。斧を振り上げた者は少女だったが、その様相はまるでゾンビである。彼女はヨセフを家まで運び、金目の物を奪って死体の肉を頬張った。
少女は再び釘を地面に撒くと、今度はヨセフが乗って来た車へ。すると、後部座席から両目を潰された少年が現れる。少女は怯える少年にヨセフはいないと告げ、ひとまず彼を保護した。少年アレックスは随分とヨセフに酷い扱いをされていたようだった。
映画『アンデッド ブラインド 不死身の少女と盲目の少年』のあらすじ【承】
この家に住んでいた少女ミーナは母親と二人暮らしだったが、母は父の死後、若い恋人を家に連れ込んでいた。ミーナは母の裏切りを許すことができず、激しい嫌悪感を抱いていた。
翌朝、アレックスをどうにかしようとしたミーナだったが、そこへ警官がやって来る。アレックスはヨセフがまだ生きていると思い込み、警官へと家の中にいると告げた。中で様子を窺っていたミーナは、入って来た警官の様子をクローゼットに身を潜め窺っていたが、警官がクローゼットの扉を開けてしまったため、襲い掛かって殺してしまった。
ミーナは荷物をまとめアレックスを連れて逃げようとしたが、車には少年の姿がない。仕方ないのでアレックスを追いかけ、ヨセフが死んだことを告げる。だが、少年は彼女の言葉を信じずヨセフに何かあったら、仲間が来て自分を捕らえると言う。
ミーナはアレックスにデビルズデンの所以を話した。悪魔の巣と呼ばれるこの場所は呪われた地であるため、悪鬼が彷徨っていると。その時、殺した警官からの救助要請により、警察犬を伴った追手が山へとやって来る。ミーナは急いでアレックスを木の虚へ隠し、犬を追い払った。
夜になり寒さが2人を襲う。アレックスは先を急ぎたがったが、ミーナは朝まで待つと言い張る。ヨセフを殺して喰ったとはとても言えない。アレックスの話を聞くに、どうやら彼はヨセフによって酷い虐待を受けたようだった。
母親の彼氏がミーナを羽交い絞めにする。少女は男に凌辱されそうになったが、必死に貞操を守ると酷く殴られ生きたまま山へと埋められてしまう。額の割れた傷はその時のものだった。トラウマに魘されて飛び起きたミーナは、思わずアレックスを殺してしまいそうになる。
映画『アンデッド ブラインド 不死身の少女と盲目の少年』のあらすじ【転】
夜が明けたため、ミーナは電話を探して来ると告げ外へ出た。山には懸賞金目当てでアレックスとヨセフを探しに来た3人の男達がいる。ミーナは木の上から奴らの様子を窺い、アレックスを連れて男達の元へ。彼を1人残してその場を離れる。
男達はアレックスを助けに来たはずだが、少年は彼らの話を頑なに信じない。アレックスはミーナが怪物だと知っていたが、彼女に助けを求めた。男達が保安官を呼ぼうとしたため、ミーナは2人の男を殺したが、最後に残った男が道路へ逃げ出してしまい追いかけて行く。ところが、道路へ逃れた男はたまたま通りかかった車に運悪く轢かれてしまう。
アレックスに上着を着せ、車に轢かれた男から奪った携帯電話を差し出す。少年はミーナに家の番号を押してもらい母親に電話をかけたが、声を聞いただけですぐに切ってしまう。
彼はヨセフを殺した時の様子をミーナに尋ねた。少女はいなくなって欲しくて殺したと告げる。すると、アレックスはナイフを手に自分を置いて行けと言う。だが、ミーナは彼をおいて行くことができなかった。
森の外れから草原へ出る。その先にあった家に忍び込んだ2人。アレックスの捜索には多くの人が駆り出されているようで、その家に住む母親の娘から留守電が入った。キッチンへ来たミーナだったが、背後から銃口を向けられる。この家に住む母親のようだったが、声を辿って背後に迫ったアレックスが女性を殺してしまう。アレックスはミーナを守ったと言うが、しきりに電話をかけたいと言っていたのにも関わらず、電話をしようとしない。
映画『アンデッド ブラインド 不死身の少女と盲目の少年』の結末・ラスト(ネタバレ)
ミーナはここにいて見つけてもらえばいいと告げたが、アレックスは彼女に抱き着き放さなかった。
夜になり少年が寝付いた後、家探しを始めたミーナ。見つけ出した服に着替え身なりを整えたが、その容貌は変わらず醜いままである。彼女は人間の食べ物を口にしてみたが、それも食べることができなかった。
そこで、ミーナは携帯電話のリダイヤルを押してみる。電話に出た女性はアレックスの母親で、息子を返して欲しいと泣いていた。ヨセフを喰った後、肉を口にしていない彼女は酷く飢え、アレックスを襲いそうになる衝動と戦う。
母親の恋人により山に埋められ土中から這い出たミーナは、満身創痍で帰宅。家では母親が娘を捜せと警察に怒り狂っていた。母は帰った娘に泣きながら謝罪したが、ミーナは恨みを抱え母親を殺してしまったのだった。
深夜、目が覚めたアレックスはミーナを探して家の中を歩き回る。そこへ、家の住人である母親を心配した娘夫婦がやって来る。そこで、アレックスを発見した女性は彼を連れて行こうとする。ミーナは慌てて車にしがみついたが、走行中に車が横転したため、振り落とされてしまった。
運転していた夫は即死、妻はどうにか助かったが、後部座席にいたアレックスも腹部を負傷していた。ミーナは彼に帰宅を促す。少年はヨセフに見つかると酷く怯えていたが、どうにか説得して彼を宥めた。帰ったら目の治療をしたいと言うアレックス。ミーナは彼を守ると約束し家に帰ろうと促した。
無事に救急車へ乗せられ助かったアレックスは、ずっとミーナの名前を叫び続けていた。木陰から彼の様子を見送ったミーナは、自宅へ戻り荷物をまとめる。もう二度と戻らないつもりで、これまで武器にしていた斧も置いて行った。
森を出た少女は不思議なことに呪いから解放され、人間に戻る。もう人を殺すことも、肉を口にすることもなく人間の食べ物を食べることができる。彼女は通りかかった親切な女性の車に乗せてもらい、デビルズデンから去って行くのだった。
映画『アンデッド ブラインド 不死身の少女と盲目の少年』の感想・評価・レビュー
ジャスティン・P・ラング監督の初長編映画。異形の少女と誘拐犯に目を潰された少年が出会い、絆を深めていく様子を描いている。
今作ではなぜ少女が異形の者として復活したのか、少年がなぜ誘拐され虐待されたのか、詳しい説明が殆どない。悪魔の巣と呼ばれる土地柄なのか、少女の憎悪が悪魔を呼んだのか想像に任せると言ったところだろうか。まるでおとぎ話のような少年と少女の邂逅。とにかく少年の怯え方が酷い。目を潰されるほど悪いことをしたと言っていた上に誘拐犯に情がある様子を見せる。不思議でいっぱいだが、童話ヘンゼルとグレーテルに少し似ていると感じた。(MIHOシネマ編集部)
ヨセフはもう居ない、死んだと言っているのに全く信じないアレックスに終始イライラしてしまいました。ヨセフから酷い虐待を受けていた彼が怯えるのは当然のことですが、もう少し落ち着いて、感覚を研ぎ澄ませて感じて見てほしいと冷静に思ってしまいました。
最終的にミーナは人間となり悪魔の巣から出ていきますが、それが物凄くあっさりと描かれていてアレックスに対する思いや、ミーナを頼っていたアレックスの行方などがほとんど描かれないので見る人によって感じ方が変わるでしょう。
不死身の少女と盲目の少年と言う設定は面白かったですが、もう少し上手い活かし方があったのでは…と考えてしまいました。(女性 30代)
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