映画『殺人鬼を飼う女』の概要:幼少期の虐待により、解離性同一性障害を患い4つの人格を持つ主人公。彼女は他の人格の行動と辻褄を合わせながら生活を送っていたが、引っ越した先の隣人が大好きな小説家であったことから徐々にバランスを崩していく。
映画『殺人鬼を飼う女』の作品情報
上映時間:83分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:中田秀夫
キャスト:飛鳥凛、大島正華、松山愛里、中谷仁美 etc
映画『殺人鬼を飼う女』の登場人物(キャスト)
- 櫻木京子 / キョウコ(飛鳥凛)
- 主人格。幼い頃より養父に性的虐待を受ける。男性が苦手で直実と恋人関係にある。母親の友香里に逆らえず言いなりになってしまう。清楚で控え目。
- 直美(大島正華)
- 京子の人格の一つでレズビアン。キョウコと恋人関係にあり、深く愛しており何かある度に慰める役割を持つ。
- ゆかり(松山愛里)
- 京子の人格の一つで自由奔放。母親を模した人格であり淫乱。勝手に表へと出て好き勝手にする癖がある。
- ハル(中谷仁美)
- 京子の人格の一つで小学生。絵を描くのが趣味でいつも人形を抱いている。5人目の京子がいることを密かに知っているが、多くを語らない。
- 田島冬樹(水橋研二)
- キョウコのアパートの隣室に住む小説家。幼少期に受けた虐待により多重人格者となった主人公を描いた本『私の中の私』がデビュー作。主人公と似た境遇である京子に恋心を抱く。
- 櫻木友香里(根岸季衣)
- 京子の母親。何人もの男を渡り歩き自由奔放に暮らしている。金が無くなると娘に無心し、派手で自分勝手。誰に対しても横柄で横暴。
映画『殺人鬼を飼う女』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『殺人鬼を飼う女』のあらすじ【起】
幼い頃、養父により性的虐待を受けていた櫻木京子は現在、ビストロのギャルソンとして働いている。虐待が元で解離性同一性障害を患った彼女の中には、主人格キョウコの他に3つの人格ができあがっていた。まずはキョウコを愛するレズビアンの直実、自由奔放で性に明け透けなゆかり、そして小学生の少女ハルだ。京子は自分の中の人格と上手く折り合いや辻褄を合わせながら生活を送っていた。
そんなある日、引っ越したばかりのアパートの隣室に大好きな小説家、田島冬樹が住んでいると知ったキョウコ。彼の小説のほとんどを読破していたが、デビュー作だけは入手困難で未だに読めていなかった。そのことを話すと、田島は快くデビュー作を貸してくれる。だが、その本を受け取ったのは直実で、彼女はキョウコにそのことを教えず本を捨ててしまうのだった。
翌朝、ゴミ捨て場に自分の本が捨ててあることに気付いた田島は腹を立て、出勤前に出会った京子へと怒り狂う。キョウコは直実が本を捨てたのだと理解して即座に謝ったが、田島は許してくれなかった。
悄然としたまま仕事場へ向かったキョウコだったが、その日に限って実母の友香里が来店。歳の割に派手な格好の母親は酷く横暴な態度を見せ、娘の京子に金の無心をする。愕然としたキョウコは友香里に抵抗もできないのだった。
映画『殺人鬼を飼う女』のあらすじ【承】
何かある度に直実が現れてはキョウコを慰める。2人は恋人関係にあり、ゆかりもハルもそれを認めている。今のところ、4つの人格は仲良しで共存関係にあった。
その日の夜、帰宅時に田島と遭遇したキョウコ。再び真摯に謝罪すると怒りを治めた田島は、デビュー作『私のなかの私』は多重人格者の主人公に恋をしながら書いたものであるため、思い入れが深いのだと言うのだった。
ある朝、目覚めたキョウコは自分の腕に赤い文字で「殺す」と書かれていることに気付く。すぐさま4人で話し合ったが、誰も書いていないと言う。その後、友香里の家を訪ね金を渡したキョウコ。母親は実の娘の前で若い恋人といちゃついて見せたが、友香里が少しの間席を外した隙にゆかりが現れ恋人を誘惑。母親は嫉妬の混じる奇異な目で娘を見つめ、横柄な態度へと一変した姿を見送るのである。
その日の夜も4人で会議。いつも勝手な振る舞いをするゆかりに対し、キョウコも直実も否定的である。母親と同じ名前のゆかりは、正に母親と同じ行動を取る。彼女は他の3人が寝静まった頃を見計らって、母親の恋人を呼び出し情事に耽った。ところが、満足した後になって彼女は這いつくばったままぴくりとも動かなくなってしまう。
翌早朝、自宅へと友香里が乗り込んで来る。母親は恋人が戻らないと言って半狂乱になり、キョウコへと暴力を振るう。騒動に気付いた田島が助けてくれたため、事なきを得た。そこでキョウコは、ゴミ捨て場から見つけ出していた『私のなかの私』を取り出す。
映画『殺人鬼を飼う女』のあらすじ【転】
田島へと本の感想を述べたキョウコに田島は仄かに恋心を抱いている様子。良い雰囲気となった2人だったが、キョウコは男性が苦手である。故にハルが出現し、田島へと注意を促した。彼女は絵を描くのが趣味だが、その絵には4人の女性の他にもう1人、真っ黒な人物が描かれているのであった。
数日後、友香里の恋人が遺体となって発見された。4人は再び会議を開いたが、主人格のキョウコは他の3人を厭っているようだ。
翌朝、エレベーターで遭遇した田島に対し、直実はこれ以上近づくなと怒鳴りつける。京子が多重人格者ではないかと疑念を抱いていた田島は用事を済ませた後、彼女が働くビストロへ向かったが、ビスロトの店長曰く京子は体調不良で仕事を休んでいるらしい。
その店長はと言うと、数日前に自分が目撃した事実に頭を悩ませていた。彼は京子を密かに付け回していたがあの夜、友香里の恋人と激しく交わった京子は様子を一変させ、男を殴り殺してしまったのだった。
辺りが暗くなってから帰宅した田島は、京子の部屋の前で喚き散らしている友香里を発見。警察を呼ぶと告げ部屋へ入ろうとしたが、友香里は強引に部屋へと押し入り我が物顔で田島のビールへと手を付ける。そして、彼女は娘に近づいた男は全員死んでおり、京子は化け物だと言って去って行った。
映画『殺人鬼を飼う女』の結末・ラスト(ネタバレ)
その友香里が自宅へ帰ると、全裸の京子が部屋の奥から出て来る。彼女はワインのボトルで母親を撲殺。どうやらこれまでによく表れていた4人の人格ではなく、4人が把握していない5人目のキョウコのようである。
その頃、玄関にて友香里の免許証を発見した田島は、彼女の住所を訪ね友香里が撲殺されている姿を発見してしまうのだった。
翌朝、警察から友香里の遺体が発見されたと連絡が入り、取り乱してしまうキョウコ。そこで、彼女は自分の体に血飛沫が残っているのを見つけてしまう。彼女は愕然として、友香里や彼女の恋人を殺したのは5人目の自分だったのだと確信。このままでは田島にも危険が及ぶと恐怖を募らせた。
そして、キョウコは直実に見守られながら自殺しようと考える。しかし、そこへ田島がやって来てキョウコを止めようとする。田島だけは殺したくないと泣くキョウコに愛を告げた直実は、彼を部屋の中へ入れるのだった。
自分が殺される覚悟を持って京子の元へやって来た田島には、多重人格者である彼女が理想の女だった。キョウコと他の人格は彼を受け入れ、長い時間をかけ全員が満足できるまで
深く交わった。そうして、互いに絶頂を極めた後、項垂れてしまった京子。彼女は5人目へと人格を変え田島の首を絞める。彼は苦しみに喘ぎながらもその行為を受け入れるのであった。
映画『殺人鬼を飼う女』の感想・評価・レビュー
数々の話題作を世に送り出した大石圭の人気ホラー同名小説を、Jホラー第一人者と言われる中田秀夫監督により映画化した作品。KADOKAWAとハピネットの共同製作「ハイテンション・ムービー・プロジェクト」の第一弾。プロジェクトの目的は、あえてタブーとされる題材をテーマにクリエイター達の感性と才能を思うままに爆発させた作品を世に発信するというもの。
今作は第一弾となる作品であるが、ホラーと言うよりもサスペンス色とエロスが多め。人格同士で会議をするシーンが何度かあるが、人格に対しそれぞれ別の女優が演じているので混乱せず分かりやすかった。ストーリー的には王道と言えるものであり、目新しい感じはないように思う。もっと深く掘り下げれば、面白くなりそうな作品。(MIHOシネマ編集部)
ホラーやサスペンス、ミステリー要素を期待して見るとガッカリしてしまうでしょう。キャストにあまり有名な俳優がいないことから、低予算で作られたB級作品なのかななんて思っていましたが、エロ要素が強すぎてAVのような作品でした。
正直、ストーリー云々よりもエロの部分が多すぎて特に女性は見ているのが苦痛に感じるかも知れません。
ホラーとエロの融合に興味がある方は楽しめる作品だと思います。(女性 30代)
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