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映画『わたしたち』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『わたしたち』の概要:学校で浮いた存在の少女が初めてできた「友達」という存在。それまで知ることのなかった裏切りや嫉妬という感情を経験し、葛藤する様子を丁寧に描いた一作。名匠イ・チャンドンが総指揮をとり、新鋭ユン・ガウンが初めて監督を務めている。

映画『わたしたち』の作品情報

わたしたち

製作年:2015年
上映時間:94分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ユン・ガウン
キャスト:チェ・スイン、ソル・へイン、イ・ソヨン、カン・ミンジュン etc

映画『わたしたち』の登場人物(キャスト)

ソン(チェ・スイン)
懸命に働く母親とお酒に頼る父親の背中を見ながら、弟の面倒をみている小学生。学校に馴染めずいつもひとりぼっちで過ごしている。夏休み前に転校生のジアと出会い、新たな感情を学んでいく。
ジア(ソン・ヘイン)
ソンの学校に転校してきた少女。優雅な暮らしとは相反して、家庭にコンプレックスを抱えている。学校でのソンの立ち位置を知り、少し距離を置き始めてしまう。

映画『わたしたち』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『わたしたち』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『わたしたち』のあらすじ【起】

体育の授業中、じゃんけんでドッチボールメンバーを取り合っていく子供たち。下手だと言われ最後まで残ってしまったソンは、表情を曇らせながらも参加する。しかし「線を踏んだ」と言いがかりをつけられたソンはアウトにされてしまった。

同級生に仲のいい友達がいないソンは、誕生日会の招待状をもらい喜んでボラの代わりに掃除係を引き受けた。偶然にも同級生のジアと出会い、少しだけ言葉を交わす。急いで誕生日会に向かうソンだったが、招待状に書かれた住所は嘘で、ボラの誕生日会には参加できずトボトボと帰宅するのだった。

帰り道、ジアに声をかけられたソン。悲しい出来事が嘘だったように息の合うジアの存在に喜ぶソンは、ボラのために作ったミサンガをジアにプレゼントした。帰宅したソンは、母親に友達ができたと嬉しそうに話すが、仕事に疲れた母親はすぐに床に就いてしまうのだった。

翌日、ジアの自宅にソンは招待された。広々とした家には高級そうなものがたくさん溢れていた。ジアの母親はイギリスで仕事をしているため、家には居ないと言う。外に出た二人だが、飲み物やトランポリンの代金などお小遣いのないソンには高級なものもジアが全て出してくれるのだった。

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映画『わたしたち』のあらすじ【承】

ジアを自宅に数日間泊めることになったソン。手料理を振る舞い、初めての経験に楽しくて仕方なかった。しかし大胆なジアが母親からの電話で気を落としている姿を目の当たりにしてしまう。実はジアの両親は離婚し、母親とは離れて暮らしていたのだ。アルコール依存症の父親と仕事ばかりの母親の元悩みの尽きないソンは、ジアに共感し二人は痛みを分かち合った。

早朝に仕事に出てしまう母親に甘えたソン。その姿を見てしまったジアは、表情を曇らせ少しだけ態度を変え始めた。さらに、「父親に頼んでソンの授業料を払うから塾に一緒に通おう」とジアに提案されたソン。価値観の違いに驚き丁寧に断ったが、ジアは不服な表情をした。そしてこれまで貸してくれていた携帯を「使いすぎだ」と当てつけのように嫌味を言うのだった。

少しだけ距離ができたソンとジアだったが、塾に行くジアの姿を見かけソンは声をかけた。何事もなかったかのように会話が弾む二人だったが、ソンは一緒に居た弟・ユンの存在を忘れていた。二人は別れて町を探し回り、ジアは「友達が見つけてくれた」とソンを呼びに来た。そこに居たのはボラである。「塾の友達」とボラを紹介されたソンは戸惑いを隠せず、簡単にお礼だけを告げた。「また新学期で」と言うジアはボラと腕を組み、塾へと向かうのだった。

映画『わたしたち』のあらすじ【転】

新学期を迎えジアが転校生として紹介された。これまで通り一緒に過ごせると期待していたソンだったが、ジアはボラたちと過ごしている。せめて誕生日プレゼントは良いものを渡したいと考えたソンは、母親の目を盗んで家計簿の隙間からお金を抜き取るのだった。

意気揚々とプレゼントを渡しにジアの家へ向かったソンだったが、素っ気ないジアの態度に思わず質問攻めにしてしまった。すると様子を見に来たボラと鉢合わせ、ジアは「勝手に来た」とソンとの関係を否定するのだった。

ボラたちと一緒に過ごすジアは嫌がらせにも参加するようになった。どうしたらいいのかわからないソンは母親にも言えず悶々としていた。そんな時、ジアの祖母が夏休み中に泊めてくれたお礼を言いにソンの家を訪ねてきた。言葉を交わすことなくジアを見送ったソン。ジアを迎えに来た父親とその恋人姿を目の当たりにし、少しだけ同情するのだった。

翌日の遠足で喧嘩してしまったソンとジア。その日を境に、ジアとボラの間にも亀裂が生まれていた。学力が伸びないソンを心配した母親は成績優秀なジアが通う塾に、ソンも通わせることにした。そこにはボラも通っていることから気が引けるソンだったが、偶然にも泣いているボラを見かけそっと寄り添った。そのお礼にマニキュアをもらったソンは翌日からボラに話しかけられるようになった。それはターゲットがジアに移ったことの象徴であり、ソンは当てつけに利用されたのだ。

映画『わたしたち』の結末・ラスト(ネタバレ)

耐えかねたソンはボラに忠告するが、きつい言葉を返されてしまった。偶然にもジアがプレゼントしたブレスレットを付けていることに気付き、ソンはこれまでの感情を後悔する。そんな中、酔いつぶれた父親を迎えに行ったソンは偶然にもジアにその姿を見られてしまった。翌日学校に行くと黒板には「ソンの父親はアルコール依存症」と書かれ、こそこそと噂をされたことをきっかけに気が散りテストを放棄したソン。母親に理由を問われ、父親が酒を手に取った時「アルコール依存症の父親がいては友達もできない」と本音をぶつけてしまうのだった。

すぐに母親が学校に掛け合ったことで、ジアは叱られてしまった。嫌味を言うジアに対して、本音をぶつけたソン。二人はつかみ合いの喧嘩になり、担任から酷く叱られるのだった。その矢先、祖父が亡くなった。祖父と確執を埋められず距離を取っていた父親が、肩を落とす姿に初めて弱さを感じるのだった。

ユンは同級生に嫌がらせを受けていると思っていたソンだが、本人は遊んでいると思っていると初めて知った。自分がされていた嫌がらせを受けるジアを目の当たりにしたソンは、そっとジアに目線を送り共に過ごしたあの日を思い返すのだった。

映画『わたしたち』の感想・評価・レビュー

弟目線で展開される予告映像に大変目が惹かれた一作。本編は実に静かだが、絶妙な感情に無駄な色は付けず丁寧に描いた作品であった。子供ながらに生まれる格差。監督の経験からなる物語であるゆえのリアルなのか、滲み出る日常感は映像作品として好みが分かれるだろう。韓国作品独特の湿度は健在。ノアール作品が目立つ韓国映画だが、2020年前期話題の「はちどり」同様女性監督が手がける柔らかいが棘のある物語には今後も注目していきたい。(MIHOシネマ編集部)

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