映画『フィリップ、きみを愛してる!』の概要:『フィリップ、きみを愛してる!』(原題:I Love You Phillip Morris)は、アメリカで実際にあった天才詐欺師スティーブン・ラッセルの話を基にしたラブコメディ。スティーブンは、服役した刑務所の中で運命的な出会いをする。
映画『フィリップ、きみを愛してる!』 作品情報
- 製作年:2009年
- 上映時間:97分
- ジャンル:コメディ、ラブストーリー
- 監督:グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
- キャスト:ジム・キャリー、ユアン・マクレガー、レスリー・マン、ロドリゴ・サントロ etc
映画『フィリップ、きみを愛してる!』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『フィリップ、きみを愛してる!』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『フィリップ、きみを愛してる!』のあらすじを紹介します。
警察官のスティーブンは、愛する家族と幸せに暮らしていた。警察になったのは、実の母を探し出すためだった。しかし見つけ出した母に拒絶され、スティーブンは警察を辞めて妻子とともにテキサスに引っ越し、食品会社で働いていた。
彼には秘密がある。本当はゲイなのである。家族に嘘をついてしばしば恋人と会い、ある日その帰り道で事故に遭う。
一命をとりとめたスティーブンは、これからは自分に正直に生きようと決意する。妻にゲイであることを告げ、新しい恋人のジミーとともに幸せを謳歌していた。
だが、彼曰くゲイであるにはお金がかかるらしい。欲しい物は何でも買い、恋人にプレゼントを贈る。普通に働いた稼ぎでは立ち行かなくなったスティーブンは、詐欺を働くようになる。
ある日とうとう詐欺が発覚し、逮捕される。散々抵抗した末に刑務所に送られた。
そこで運命の人、フィリップと出会う。フィリップを一目見ただけで恋してしまったのだ。二人は初めて会話したにも関わらず意気投合する。翌日から別の棟へ移されたフィリップと毎日のように手紙を交わし、会えない辛さを埋める。
暫くしてスティーブンはフィリップと同じ棟に移るが、幸せはそう長くは続かない。二人はまたもや引き離された。だが、先に釈放されたスティーブンは弁護士に扮してフィリップを釈放させる。
それからは二人一緒に幸せに暮らす。弁護士と嘘をついて詐欺を働き続けていたスティーブンも、これからはフィリップのためにまじめに働くことを決意し、会社役員となる。だが、IQ160以上の天才詐欺師にとって会社役員はつまらないものだった。
スティーブンはまたしても悪事を働き、会社の金を横領して私腹を肥やす。このことが会社に露見し、スティーブンは刑務所へ逆戻り。フィリップは自分に黙って詐欺行為を続けていたスティーブンを許そうとはしなかった。
スティーブンは愛しいフィリップに会うため、何度も脱獄をしてはその度に捕まる。ついにはフィリップも巻き込まれて収監されてしまう。スティーブンは命を懸けた詐欺でフィリップに会おうと試みるのだった。
映画『フィリップ、きみを愛してる!』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『フィリップ、きみを愛してる!』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
実話とは思えないぶっ飛んだストーリー
天才詐欺師、スティーブン・ラッセル。当たり屋のような簡単な詐欺から巨額の横領まで、さまざまな詐欺をやってのける。とにかく口がうまく、絶対できないだろうと思うことも簡単にやってしまうのだ。巧みな話術を用いたその手口は鮮やかで清々しいくらいである。
愛するフィリップに会うためなら何でもやってしまう。脱獄の手口も毎回違っていて、それぞれがスピーディかつユーモアたっぷりでいい。あまり他に類を見ないラブストーリーではないだろうか。
映画の結末は、スティーブンが終身刑になって四六時中監視されているというものだった。実際のスティーブン・ラッセルも映画同様に何度も詐欺で逮捕され、4回の脱獄をし、現在も刑を受けているらしい。
恋人に対する執着がここまでとは、実話だと思うと恐ろしさすら感じる。
キリスト教と同性愛
本作で描かれるのは同性愛である。スティーブンは最初自分を偽り女性と結婚しているが、その後は表立って男性を愛するようになる。
同性愛は、キリスト教では禁じられているものである。もっとも、現代社会は同性愛に寛容にはなってきているが、やはり保守的なキリスト教(福音派)ではまだ嫌われる対象である。
映画の中でそこまであからさまな表現はないものの、何度かそれを意識させるような描写がある。
スティーブンの元妻は毎晩神に感謝することを欠かさず、熱心なキリスト教徒として描かれる。詐欺を働くスティーブンを諌める時も「主の教え」を持ち出している。
他には、スティーブンが乗ったタクシーの運転手が主の教えについて語り出すというシーンがある。
こういうシーンが何度もあるわけではないけれど、やはりプロテスタントの多いアメリカの社会を意識しているのかなあと思った。
映画『フィリップ、きみを愛してる!』 まとめ
コメディ映画だけあって、ジム・キャリーの演技が光る。スティーブンは嘘だらけの人生で、確かなことは「フィリップを愛していること」だけ。その以上なまでの恋人への愛情と、詐欺を働かずにはいられない普通ではない人格から、実際にこんな人がいたら怖いと思う。しかし、絶妙なコメディタッチで描かれているので面白く観ることができた。
フィリップ役のユアン・マクレガーの演技も良かった。ジム・キャリーのスティーブンは、あまりゲイらしさを感じなかったのだが、ユアン・マクレガーのフィリップはゲイらしい雰囲気があって、自然に見えた。表情や話し方、立ち振る舞いもそれらしくて、スティーブンでなくても「かわいい!」と思わずにはいられない。
みんなの感想・レビュー