映画『トライアングル(2009)』の概要:主人公が乗るヨットが嵐に巻き込まれて転覆し、突如現れた豪華客船に助けを求めたことから無限ループに陥る。ギリシャ神話の「シーシュポスの岩」がモチーフのサスペンスホラー。
映画『トライアングル』の作品情報
上映時間:99分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:クリストファー・スミス
キャスト:メリッサ・ジョージ、マイケル・ドーマン、レイチェル・カーパニ、ヘンリー・ニクソン etc
映画『トライアングル』の登場人物(キャスト)
- ジェス(メリッサ・ジョージ)
- 自閉症の息子のトミーを育てるシングルマザー。知り合いのグレッグからヨットクルーズに招待される。情緒不安定気味。
- グレッグ(マイケル・ドーマン)
- 帆船「トライアングル号」のオーナーの独身男性。ジェスに気があり、ヨットクルーズに招待する。
- サリー(レイチェル・カーパニ)
- 夫のダウニーと一緒にクルーズに参加する女性。いつまでも独身を通すグレッグを心配し、女友達のヘザーを紹介する。
- ダウニー(ヘンリー・ニクソン)
- サリーの夫でグレッグとは幼馴染み。サリーと一緒にクルーズに参加、いつも妻と一緒に行動している。
- ヘザー(エマ・ラング)
- サリーが連れてくる若い女性。悪天候で船が転覆した時に行方不明になる。
- ヴィクター(リアム・ヘムズワース)
- グレッグの家に居候をしている青年。帆船の扱いに慣れているため、クルーズの助手をする。丸刈りでマッチョ。
- トミー(ジョシュア・マコルヴァー)
- ジェスのひとり息子で自閉症。ジェスのロケットペンダントにはトミーの写真が入っている。
映画『トライアングル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『トライアングル』のあらすじ【起】
シングルマザーのジェスは自閉症の息子トミーと、海辺の街で2人暮らしをしていた。ある朝、トミーがこぼした絵の具を片付けて家を出た後、虚ろな表情でヨットハーバーに到着する。知人のグレッグが所有する「トライアングル号」のクルーズに招待されたのだが、ジェスは記憶が曖昧な状態で、ぼんやりしながら船に乗った。
グレッグが招待したのは、幼馴染みのダウニーとサリー夫婦、サリーの友人ヘザー、帆船の助手をするヴィクター、そしてジェスだ。彼らは穏やかな海でクルーズを満喫するが、何の前触れもなく風が止んで船が動かなくなる。前方から異様な雷雲が近づいてくるため、グレッグは無線で沿岸警備隊に連絡をするが、天候に異常はないと言われて交信が途切れた。そこに「助けて」と叫ぶ女性の声が混線する。
その直後、大きな波が押し寄せてヨットは転覆。ヘザーは行方不明となるが、残り5人は助かった。裏返ったヨットの上で漂っていると、豪華客船アイオロス号(ギリシャ神話の「シーシュポスの岩」に出てくる名前)が現れる。彼らは甲板に人がいるのを見て、助けてもらおうと船に乗り込んだ。
映画『トライアングル』のあらすじ【承】
ところが船内には、人の気配はまるでなかった。ジェスの鍵が落ちてあり、彼女は「ここに来たことがある」とつぶやく。誰もいない食堂には歓迎パーティの料理が並べられていた。ジェスはグレッグと船内を探索し、ある客室の鏡に「劇場へ行け」と血で書かれた文字を見つける。
ジェスが食堂に戻ると、それまで新鮮だった料理は干からびていた。そこへ血だらけになったヴィクターが現れてジェスに襲いかかる。ヴィクターは後頭部に致命傷を負っていた。劇場から銃声が聞こえたためジェスが向かうと、血だらけになったグレッグと、彼を介抱しているダウニーとサリー夫婦に会う。ジェスはサリーから「なぜ劇場に行けと言ったのか」と責められた。そこへ麻袋で顔を隠した何者かが現れて、夫婦を銃殺する。
ジェスもその何者かに追われて船内を走り回り、デッキで対決する。その者は「全員殺して」と言い残して海に転落した。
船内から同じフレーズを繰り返す壊れたレコードの音楽が流れる中、ジェスは海の向こうから助けを求める声を聞く。それは少し前の自分たちだった。まるで壊れたレコードのように、同じシーンが繰り返されようとしていた。
映画『トライアングル』のあらすじ【転】
新たに船に乗り込んだ自分たちに見つからないよう、ジェスは船内に隠れようとして鍵を落とす。再びデッキに戻ると、水面でカモメのエサになっているダウニーを発見。そこへヴィクターが現れたので、ジェスは一緒に船から出ようと訴えながら彼の体を押した。すると運悪く、彼の後頭部に突起物が刺さってしまう。
ジェスは気が動転して船員室に隠れ、「彼らが乗ってきたら殺せ」と書かれた大量のメモを見つける。それは自分の筆跡だった。さらに自分のロケットペンダントが、いくつも床下に落ちているのも発見。ジェスはこのシーンを数えきれないほど繰り返していることに気付く。彼女は武器庫の銃を手に入れ、劇場へと向かい、新たにやって来た自分と対峙するが引き金を引けずに立ち去った。ヴィクターは2人のジェスを見ながら倒れ込み、息を引き取る。
ジェスは劇場でダウニーとサリー夫婦に会い、銃を渡して立ち去った。夫婦は麻袋を被った何者かに向けて銃を撃つが、それは別人のように狂暴になったジェスであった。狂暴なジェスはダウニーを殺し、続いてサリーに襲いかかる。サリーは無線で「助けて」と訴えてデッキに逃れるが、そこにはおびただしい数の自分の死体があった。サリーは息絶え、死体の山の一つに加わる。
映画『トライアングル』の結末・ラスト(ネタバレ)
全員が死ぬとヨットが戻ってくる――そう確信したジェスはこの無限ループから逃れるため、流れを変えようとした。客室で「劇場へ行け」と血文字を書き、ダウニーの死体を海に落とした。グレッグの死体を片付け、新たにやって来たダウニーとサリー夫婦に劇場へ行けと伝える。麻袋を被って劇場に行き、グレッグと夫婦を銃殺。そして、新たにやって来た自分とデッキで対決し、海に突き落とされる。
こうして海に落ちたジェスは、海岸の砂浜の上で目が覚めた。無限ループから解かれたと思った彼女は、駆け足で自宅に戻る。絵を描く息子トミーを見て安堵するジェスだったが、そこにはクルーズに行く前の自分もおり、その自分は息子を虐待していた。
ジェスは過去の自分を殺害し、死体を車のトランクに入れた。その後、ヨットハーバーに向かうためトミーを後部座席に乗せて発車する。フロントガラスに衝突した鳥を捨てようとして無数の鳥の死体を見つけ、このシーンも何度も繰り返していることに気付く。
動揺したジェスは交通事故を起こし、後部座席のトミーは死亡する。トランクのジェスの死体が投げ出されていた。もう一人のジェスは事故の様子をぼんやりと眺めた後、タクシーでヨットハーバーに行き、再びグレッグのヨットに乗り込むのだった。
映画『トライアングル』の感想・評価・レビュー
同じ状況を何度も繰り返す無限ループものの映画の中でも有名な良作。ギリシャ神話のシーシュポスの岩、死神を騙したことで罰を受けた男が、岩を山に押し上げる苦行を永遠に繰り返すという神話をモチーフにしている。
主人公は永遠に殺人ループを続けるので救いがない。負のオーラを放って周りをループ地獄に巻き込む主人公を、メリッサ・ジョージが好演している。見ているこっちもどんよりとした鬱な気分になり、最後までどうにもならない負の世界のどん底へ引き込まれた。(MIHOシネマ編集部)
みんなの感想・レビュー
誰か教えてください、主人公が死を受け入れられず何度も同じ事を繰り返すのは解るのですが、ヨットの人たちは何者?彼らは最初から死人ですか?