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映画『必死剣 鳥刺し』あらすじとネタバレ感想

この記事では、映画『必死剣 鳥刺し』のあらすじをネタバレで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『必死剣 鳥刺し』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『必死剣 鳥刺し』の結末までのストーリー
  • 『必死剣 鳥刺し』を見た感想・レビュー
  • 『必死剣 鳥刺し』を見た人におすすめの映画5選

映画『必死剣 鳥刺し』 作品情報

必死剣 鳥刺し

  • 製作年:2010年
  • 上映時間:114分
  • ジャンル:時代劇、アクション、ラブストーリー
  • 監督:平山秀幸
  • キャスト:豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、戸田菜穂 etc

映画『必死剣 鳥刺し』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

[miho21]

映画『必死剣 鳥刺し』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『必死剣 鳥刺し』のあらすじを紹介します。

3年前。物頭・兼見三左ェ門(豊川悦司)は、能「殺生石」が終わった後、藩主の愛妾・連子(関めぐみ)を刺し殺した。すぐに斬首を言い渡されるかと思ったが、1年間の蟄居と無役、禄高の減少と軽い処分だった。
兼見三左ェ門がなぜこのような凶行に及んだのか?それは藩政に口出しをするようになった藩主の愛妾・連子を止めるためだった。決して乱心からではない。藩主は別家の帯屋(吉川晃司)の進言にさえ、耳を貸すことはなかった。

兼見の世話をする、姪の理尾(池脇千鶴)は、”死に場所を見つけるために殺めたのでしょうか。”と彼を心配するのだった。兼見から身の振り方を考えるよう言われるが、秘かに兼見を思う理尾は、今さらよそへ行きたくないと答えます。

やがて1年が過ぎ、兼見は蟄居を解かれるが、親戚にさえ会おうとしない。ご領内を歩いてみると、馬にのった別家・帯屋にすれ違った。以前と藩政は変わらないばかりか、興牧院を再建する為の資金を捻出する為に村人は年貢の取り立てにあえいでいた。
そして農民たちの一揆が起こってしまう。なんとか農民たちを説得する別家・帯屋のおかげで、ことなきを得たように見えたが見せしめの為に5人の村人が斬首されてしまう。

2年後、中老・津田(岸部一徳)の使いが来て、蟄居以前の禄高に戻された後、藩主のそばに仕えるよう言われます。近習頭取の役目を拝命するが、藩主は兼見の顔を見たくないとわがままを言う始末だった。
津田に呼ばれ、”鳥刺しという、必勝の技があるそうだな”と聞かれ、帯屋様を殺してほしいと頼まれます。兼見を生かしたのは、天心独名流の達人で帯屋に唯一対抗できる者だったからという。

兼見は、保科(小日向文世)に理尾の結婚相手を世話してくれるよう頼み、理尾と牧十兵衛を会わせます。風呂で背中を流してもらう時に理尾に思いを聞くと、”おじ様のそばに置いてほしい”と告白されます。
その夜、2人は結ばれるが、翌朝に兼見は、理尾に鶴羽村に行くように勧めます。そして、”時期が来れば必ず迎えにゆく”と約束します。

大雨の日。藩主に不満を持つ別家・帯屋がやってきた。帯屋は直心流の達人。藩主を守る為、兼見は帯屋と剣を交え、見事に斬るが。中老・津田の”兼見が乱心の末、帯屋を斬ったぞ!”という一言で裏切られ、多勢を相手にする羽目になってしまう。
捨て駒にされたのだという怒りと哀しみの中、やがて兼見は絶命したかに見えたが!津田が兼見に近寄ったその瞬間だった。死んだはずの兼見は座したまま、津田を刺し殺したのだった。この技こそが、”必死剣鳥刺し”だった。

しばらく経って、理尾は鶴羽村で兼見の子供を産んだ。いつまでも、兼見が迎えにくるのを待ち続けるのだった。

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映画『必死剣 鳥刺し』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『必死剣 鳥刺し』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

ミステリータッチで描く前半とラスト15分間の死闘に痺れる映画

主人公は、天心独名流の達人、兼見三左ェ門。”鳥刺し”と呼ばれる、絶対絶命の時にしか使わない究極の技を持っています。そんな剣の達人で実直な兼見がなぜ、藩主の愛妾・連子を刺殺したのか?それは、愛妾・連子によって、傾く藩政をなんとか止めたい一心で殺したわけで、決して乱心からではありません。

この点をきちんと押さえておけば、ラストでああ、成程と納得することができますよ。兼見三左ェ門を演じる、豊川悦司の演技力が深く迫ってきます。覚悟を持った孤高の男。正しいことをしたはずだが、1年経っても、おバカな藩政が変わる事はなかった。軽い処分のツケがどうラストに影響するかも注目です。

兼見は、中老・津田から、”剣の達人だったから、お前を生かしたのだ”と聞かされます。この中老・津田を演じる、岸部一徳も悪役をやらせると本当にはがゆくなるくらい上手い!腹黒さと知略家の2面性を持ち、最後までなかなか真の企みを見せないのです。兼見は藩政に対して対抗しているように見えるが、本当の敵は中老・津田だったのです。

本作を観て、怒りや虚しさを感じる人もいるでしょう。でもあきらめてはダメ!ラスト15分間の死闘を観れば、死んだ振りをして相手を斬るという究極の技に出会えます。別家の帯屋との闘いに始まり、中老・津田の裏切りを経て、本当の敵を切り捨てるまでの迫真の殺陣シーン。殺陣のシーンをゆっくりと見せながら、闘う兼見の輝きが際立っています。
満身創痍になりながらも、彼が打ち取るのは中老・津田のみ。ラスト15分間に凝縮された、剣士の生き様に痺れます!

闘いの狭間で揺れる、姪・理尾との恋

本作の癒しともいうべき、存在が姪・理尾です。池脇千鶴演じる、理尾は控えめだが、芯の強い女性。死に場所を求めて彷徨う、兼見の日々を支えています。藤沢周平作品の理想の女性像に近い。それは現代の好みにも通じる点があるのではないでしょうか。原作を読むと、病気の妻が生きていた時にも理尾へ心が揺れた瞬間があったと描かれています。

映画では、歳月の細かな描写がいくつか映し出されますが、2人きりのシーンは出てきません。映画を観ただけでは、2人の恋が突然始まったかのように思えます。静かな秘めた想いを池脇千鶴の、抑えた演技が見事に魅せています。


クライマックスの「鳥刺し」の一撃が放たれるまでの静けさが、逆に緊張感を高めていて鳥肌が立ちました。武士の誇りと忠義の間で揺れる兼見三左エ門の心の葛藤が丁寧に描かれており、殺陣の激しさとの対比が美しい。表面的なアクションだけでなく、内面の静かな戦いが胸を打つ作品でした。(20代 男性)


時代劇でありながら、現代にも通じる人間ドラマとして心に残りました。上意討ちの命に従うしかない男たちの運命に切なさを感じます。決闘シーンも印象的ですが、それ以上に心に残るのは、三左エ門が娘のように大事にしていた里江との関係性。静かで深い感情の波が全編に漂っていました。(30代 女性)


『必死剣 鳥刺し』は、派手な殺陣よりも、武士としての矜持や運命への諦念が中心に据えられた重厚な作品。中村吉右衛門の存在感が凄まじく、無言の中にも多くを語る演技に圧倒されました。「鳥刺し」の技そのものよりも、それに至るまでの人生の蓄積が描かれているのが素晴らしい。(40代 男性)


時代劇というより、心理劇に近い印象を受けました。感情を押し殺して生きる武士の悲哀がじわじわと染みてきます。特に、兼見と里江の関係に潜む淡い情愛のようなものが切なく、そこに女性として強く共感しました。最後の戦いが、人生の答えのように感じられ、涙が止まりませんでした。(20代 女性)


「鳥刺し」の必殺技を軸に据えつつも、そこに至る武士の生き様、心の揺れ、組織の理不尽さを描いた物語に引き込まれました。大義と私情が交錯する中で、三左エ門が選んだ道は、静かで重く、深く心に刺さる。殺陣の美しさと心理描写のバランスが絶妙な傑作です。(30代 男性)


華やかさはないけれど、心に深く刺さる映画でした。武士という存在の美学と孤独が淡々と描かれていて、じわじわと感情を揺さぶられます。戦いの場面も迫力がありながら、決して血や暴力に頼らない演出が好印象。主人公の選択と最期の微笑が忘れられません。(40代 女性)


静かな空気の中で交わされる視線や言葉の端々に、張り詰めた緊張が宿っていて、物語にのめり込みました。武士の生き方、主君への忠義、それを覆すほどの“人としての感情”がテーマとして描かれていて、非常に考えさせられました。「鳥刺し」の構えと発動の瞬間は圧巻でした。(50代 男性)


映像美と登場人物の所作ひとつひとつがとても丁寧で、全編通して品格を感じました。兼見三左エ門がなぜ“親切な人”と呼ばれるのか、その裏にある覚悟と静かな怒りに触れたとき、胸が締め付けられました。派手さではなく心をえぐるような時代劇を観たい人におすすめです。(20代 女性)


三左エ門が仕えた藩の理不尽な権力構造がリアルで、まるで現代の組織社会を見ているかのようでした。上意討ちという制度が生む矛盾に苦しむ彼の姿は、どこか現代人にも通じる悩みを背負っているようで共感できます。時代劇なのに、すごく“今”を感じさせる映画です。(30代 男性)


武士の誇りとは何か?と問われ続けるような映画でした。人を斬ることが任務である以上、その命に従うということの重みがとてもリアルに描かれていました。三左エ門が最後に見せる決意の表情は、観る側に強烈な印象を残します。侍映画の枠を超えた人間ドラマの秀作です。(40代 男性)

映画『必死剣 鳥刺し』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『必死剣 鳥刺し』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

たそがれ清兵衛

この映画を一言で表すと?

武士としての誇りと家族への愛に揺れる、静かな感動作!

どんな話?

下級武士・井口清兵衛は、出世や名誉には興味を示さず家族との時間を何より大切にしていた。しかし、時代の波に巻き込まれ、再び剣を取ることになる。小さな日常と剣劇が織りなすヒューマンドラマ。

ここがおすすめ!

山田洋次監督による時代劇の新たな地平を切り拓いた傑作。『必死剣 鳥刺し』同様に、戦いの裏にある人間模様が丁寧に描かれ、決して派手ではないが深い余韻を残す一本です。

隠し剣 鬼の爪

この映画を一言で表すと?

武士の葛藤と許されぬ恋が交差する、美しくも切ない時代劇!

どんな話?

藩命によりかつての友を討つ役目を命じられた下級武士・片桐宗蔵。人間関係の機微と身分差を乗り越えようとする彼の姿は、武士の生き様と誠実さを浮かび上がらせる。

ここがおすすめ!

藤沢周平原作、山田洋次監督のタッグが再び描く「静の剣劇」。感情を抑えながらも滲み出る情熱が魅力で、『必死剣 鳥刺し』のように静かなる怒りと忠義を求める方に刺さる作品です。

武士の一分

この映画を一言で表すと?

盲目の剣士が名誉を賭けて挑む、誇り高き復讐の物語!

どんな話?

毒見役を務めていた武士・三村新之丞は、職務中の事故で失明してしまう。裏切りと屈辱の中、武士の誇りをかけて一世一代の戦いに挑む。妻との絆も胸を打つ物語。

ここがおすすめ!

キムタクが見せる抑えた演技と、内に秘めた怒りと情熱のバランスが見事。『必死剣 鳥刺し』のように、一瞬の剣戟にすべてを懸ける緊張感と、生き様の美学を求める方に最適な一作です。

雨あがる

この映画を一言で表すと?

優しさと強さを併せ持つ侍の、静かに心震える物語!

どんな話?

長雨で旅の足止めをされた浪人・三沢伊兵衛とその妻。剣の腕はあるが野心はなく、困った人々を助ける姿勢が周囲の人々の心を動かしていく。黒澤明原案の温かくも誇り高い人間ドラマ。

ここがおすすめ!

人を斬るためでなく、守るための剣がテーマ。『必死剣 鳥刺し』のように、内に秘めた信念を静かに貫く男の生き様が心に沁みます。夫婦愛の描写もまた味わい深いポイント。

一命

この映画を一言で表すと?

武士道の矛盾を暴き出す、深く静かな怒りの物語!

どんな話?

貧しい浪人が大名家に切腹を願い出るが、そこにはある真意が隠されていた――。形式ばかりの「武士の名誉」を問い直す、深く鋭い問題提起を含んだ重厚な時代劇。

ここがおすすめ!

圧巻の構成力と映像美で、ただの時代劇では終わらない深いメッセージを放つ一本。『必死剣 鳥刺し』のように、沈黙の中に熱を秘めた主人公が描かれ、観終わった後に長く心に残ります。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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みんなの感想・レビュー

  1. ななしさん@スタジアム より:

    藩主と老中同時に串刺してほしかった

  2. ふじもと より:

    秘剣の存在について、私は『切腹』という映画を思い出します。結局のところ、戦は敵の旗頭を取れば勝ちです。その一点に絞って考えるなら、『鳥刺し』は究極の武器と言うことになるでしょう。普通なら多勢に無勢では勝てません。旗頭(この場合は藩主)は奥の院にいるのです。そこまでたどり着けません。しかし相手が自分の生死を確かめにやってくるなら、その時が唯一の勝機。そのためには、その前段として命を賭した大立ち回りが必要なのです。どうしても死んだのを確かめずにはおられなくなるような存在になる必要があるのです。だからあのとき、兼見が打とうとしたのは、藩主であったと思います。戦では、家臣を何人殺しても勝てません。
    しかし兼見が殺したのは津田です。結局、本丸に到達しなかったというむなしさも含めて、この話なのだと思います。