映画『リプレイスメント』の概要:過去の栄光から遠ざかっていたシュガーボールの花形の元が引き受けたのは、4試合限りの代理選手だった。寄せ集め集団を率いる、お人よしOBをキアヌ・リーブスが演じる遅れてきた青春ドラマ。
映画『リプレイスメント』 作品情報
- 製作年:2000年
- 上映時間:118分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、青春、ラブストーリー、スポーツ
- 監督:ハワード・ドゥイッチ
- キャスト:キアヌ・リーヴス、ジーン・ハックマン、ブルック・ラングトン、オーランド・ジョーンズ etc
映画『リプレイスメント』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『リプレイスメント』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『リプレイスメント』のあらすじを紹介します。
フットボールシーズンの終盤。
ワシントン・センチネルの主力選手が、ストライキに入った為、オーナーのオニール(ジャック・ウォーデン)は監督のジミー(ジーン・ハックマン)に、代理選手を探す様に命じる。
残る4試合をこなす代理選手を集める為に、ジミーが最初に目をつけたのは、元オハイオ大のQBのファルコ(キアヌ・リーブス)だった。
シュガーボールの花形でありながら学生選抜試合で負けたトラウマがあり、それ以来フットボールから離れ、海の上のロフトで、セレブのクルーザーの整備をしながら、その日暮らしをしていた。
そんな彼にまだフットボールへの愛着があると感じたジミーは迷わずファルコをチームリーダーとする。
しかし他の面々はフットボール未経験どころか、素性に問題があるものばかり。
短距離ランナーのフランクリン(オーランド・ジョーンズ)はボールをキャッチ出来ない。ベイトマン(ジョン・ファブロー)警察官にあるまじき話だがルールが判らない。
ナイジェル(リス・エヴァンス)はキック力は抜群だが、ヘビースモーカーの賭博好き。プレーヤーとしては申し分ないが目が見えないブライアン(デヴィット・デンマン)も居る。
元相撲取りのフミコ(エース・ヨナミネ)、牧師なのにブタ箱に入っているウィルキンソン(マイケル・ジェイス)と、本当にフットボールが出来るのか疑問な面々が顔をあわせた。
映画『リプレイスメント』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『リプレイスメント』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
チームの面々は人生の再起を試合に賭けている
ファルコが、シュガーボールで惨敗した理由は、才能はあるが、お人よしだった事だ。
自分がボールを持って走る、キックを決めれば勝利に繋がったり、自身の名誉に繋がる事でも常に他人に譲り続けていた。それは結果として人と争うぐらいなら才能なんかない方がいいと夢も人生も放棄する事を選ばせてしまう。
事実彼は、代理選手としてチームリーダーに選ばれた後も、
『誰かボールを持って走りたい奴はいるか?』と聞く。明らかに周囲はフットボール未経験であるにも関わらず。周囲の人間にあえてチャンスを与えてしまう。その為にチームは全く点が取れなくなってしまう。
勘違いしてファルコに何度もタックルをしかけてくるベイトマンや、試合前に茹で卵を食べすぎて吐いてしまうフミコなど、チームの面々は悉く使い物にならない。たった4試合しかチャンスを与えられていないのに、その間にブタ箱に居られた挙句に、全員で取っ組み合いの大喧嘩をしてしまう。
だが、その後に『I will survive』を歌い、仲直りするシーンは爽快だ。傍目には人生の落ちこぼれだが、この試合に全員が人生の再起を賭けているのは確かなのである。
ファルコを支える女性の存在
そんなファルコを学生時代から見守り続けているのが、今はスポーツバーを経営し、かつてはチアリーダーだったアナベル(ブルック・ラングトン)である。
彼女はファルコが戻ってくると知ると、ストリッパーたちを集め即席でチアリーディングチームを作る。彼女もまた4試合限りの代理を務めファルコの人生を支える。
そんな2人が映画の最後に、ようやくハッピーエンドを迎える所も微笑ましい。
ファルコがチームメイトに与えたものとは
奮闘するファルコたちを尻目に、オーナーは、3試合目にしてファルコを降板させ、年棒交渉が落ち着いた正規の選手・マーテル(ブレッド・カレン)にチェンジする。
しかしたった1人優秀な選手をチームに参入させた所で、試合は巧くいくはずもなく惨敗してしまう。ジミーは惨敗の理由を聞かれ『(チームには)心が足りなかった』と述べ、最後の試合には再びファルコが登板する事となる。
いよいよ代理選手としての最後の試合。これを決めればワシントン・センチネルの優勝は確定か、と思われたその時、ナイジェルがとんでもない事を言い出す。
ナイジェルはこの試合に全財産をかけていて、キックで試合を決めてしまうと破産してしまうというのだ。それを聞いて必死でタッチダウンで試合を決めるべく全速力で走るファルコ。
本来であれば、ナイジェルのキックで決めれば彼の見せ場になる試合なのだが、彼は最後の最後にチームの足を引っ張ってしまう。ラストはファルコの、お人よしがいい方向に出て、試合を勝利に導く事が出来た。
思うに、代理選手たちは、ファルコがリーダーでなければ勝てなかったのではないだろうか。
ファルコは、代理選手のリーダーを引き受ける事で、克服出来なかった自分の中にある弱さと向き合う事が出来た。それに一番感銘を受けたのはチームの面々なのだと感じる所が、この映画一番のみどころでもある。
代理選手として集められた有象無象が、バラバラながらも徐々に絆を深め、最後に大勝を収めるという、これぞスポ根と呼べるベタなお話です。ですがこの手の作品、一躍脚光を浴びる選手たちの奮闘は展開が読めても素直に応援できますね。気軽に見て楽しめる作品だと思います。役目を終えた彼らのその後が一切描かれなかったのが残念です。熱いアメフトの中、ひときわ爽やかさが際立つキアヌ・リーブスも非常にかっこ良かったです。(男性 20代)
映画『リプレイスメント』 まとめ
心の中に弱さを持っている人間は、つい自分より心が強い人間を目の当たりにすると、言い訳をしたり貶めようとする。
しかしここに出てくる代理選手たちはどうだろう。
彼らは人生に傷を持ち、それに向き合えないで居るが、卑屈にならず、媚びもせず、対戦相手に真正面から向き合っていく事で自分自身を強くしていく。
心の中の弱さを本当の意味で克服したい人にお勧めのドラマである。
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