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映画『デッド・ドント・ダイ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『デッド・ドント・ダイ』の概要:合言葉は「頭を殺れ」!ジム・ジャームッシュが手掛けるゾンビコメディ。のどかな田舎町センターヴィルでは、動物の異常行動が多発していた。専門家による調査でも原因は明らかにならず、その内に極地での工事が原因で地球の自転軸がズレてしまい、死者が蘇る事態に発展する。

映画『デッド・ドント・ダイ』の作品情報

デッド・ドント・ダイ

製作年:2019年
上映時間:104分
ジャンル:ホラー、コメディ
監督:ジム・ジャームッシュ
キャスト:ビル・マーレイ、アダム・ドライヴァー、ティルダ・スウィントン、クロエ・セヴィニー etc

映画『デッド・ドント・ダイ』の登場人物(キャスト)

クリフ・ロバートソン(ビル・マーレイ)
センターヴィル警察署長。警官は自分を含めて3人しかおらず、のどかな町でゆったりとパトロールに励んでいる。ロニーに言われるがまま対ゾンビ体制を強化する。
ロナルド・ピーターソン / ロニー(アダム・ドライヴァー)
センターヴィル警察署に勤める警官。町の日照時間が異様に伸びた日を境に、「まずい結末になる」が口癖となる。ダイナーでの殺人事件をゾンビの仕業だと言い出し、クリフを困惑させる。
ミネルヴァ・モリソン / ミンディ(クロエ・セヴィニー)
センターヴィル警察署に勤める警官。現場に出ることはなく、無線連絡を担当している。警察署に安置していた死体が動き出したことでゾンビの存在を信じるが、気色悪がって戦うことはしない。
ゼルダ・ウィンストン(ティルダ・スウィントン)
葬儀屋のオーナーを引き継いだ人物。一切素性が知れず、妖艶な容姿と個性的な口調が相まって噂話だけが町を独り歩きしている。遺体へアーティスティックな死に化粧を施すことと、日本の剣術が趣味。
ボビー・ウィギンス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)
町で唯一のガソリンスタンドを切り盛りしている男性。店内は雑貨屋として展開しており、様々なオカルトグッズが所狭しと並んでいる。映画マニア。親しい住人だけでなく初対面の人間からもホビット、ビルボ・バギンズなどのあだ名で呼ばれる。
ゾーイ(セレーナ・ゴメス)
偶然センターヴィルに立ち寄った旅行客。クリフとロニーに忠告され、宿泊していたモーテルのドアに鍵をかけたが…
ボブ(トム・ウェイツ)
“世捨て人”と呼ばれ森に暮らす老人。クリフの旧友。森の生き物の異変に一早く気付き、秘かに町を観察している。博識。

映画『デッド・ドント・ダイ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『デッド・ドント・ダイ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『デッド・ドント・ダイ』のあらすじ【起】

パトカーで町を巡回していたクリフとロニーは、鶏が盗まれたと通報を受けボブの住む森へ向かった。森の奥には生皮を剥がれたばかりのウサギと、火を消して間もない焚火があった。クリフは、茂みの陰に蠢くボブの人影に向かって鶏の所在を尋ねたが、彼は答えることなく二人へ向かって発砲。「もう法律は破るな」とだけ声をかけたクリフは、彼の元を去った。

パトカーの中でロニーは、警察に向かって発砲するボブを連行しないのかとクリフに聞いた。クリフは、中学生の頃からかれこれ50年来の友人であるボブを見捨てられずにおり、通報を寄越した農夫・フランクはクズ野郎だから真偽は怪しいと話した。ボブは風変わりな男ではあるが、森でリスや虫を食べて暮らしているだけで人家を襲ったことは一度もなかったのだ。

パトカーを走らせる二人は、午後8時を過ぎても尚昼間のように明るい外に嫌な予感を感じていた。ロニーの時計は止まり、ミンディからの無線は途切れ、スマホの充電も急になくなってしまい、仕方なくつけたラジオからはスタージル・シンプソンの「デッド・ドント・ダイ」が流れていた。

ダイナーでは、金物屋を営むハンクが「なぜ鶏泥棒がボブだって分かる?」とフランクへ尋ねていた。フランクは、ボブ以外に怪しい人間はいないと言い切って店を後にした。そんな彼は、町中から嫌われている白人至上主義者だった。店主のファーンは彼が帰ったのを見計らい、ラジオのチャンネルをニュースに切り替えた。ラジオでは、「極地での水圧破砕工事によって自転軸がズレる可能性があり、日照時間が狂う」と報道していた。

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映画『デッド・ドント・ダイ』のあらすじ【承】

森を歩くボブは、アリが隊列を乱して右往左往する様子や、自生する筈のないキノコを見て森の異変に気が付いていた。

ムーンライト・モーテルの店主ダニーは、センターヴィル町内でペットの失踪や攻撃的になる事案が多発しているとの報道を見て、自分が飼っている猫達を心配した。

自宅でコーヒーを飲むフランクは、ペットの犬ラムズフェルドを探して庭に出たが、犬どころか牧場の牛が一匹残らずいなくなっていることに気付いた。木の上から望遠鏡でフランクの農場を見ていたボブは、牛達が森へ入っていくのを目撃した。

クリフは、警察署内の安置室へ運び込まれたマロリーの死体に別れを告げた。いつまでも暮れない日を気にしながら、ロニーとミンディは宿直のクリフを残して退勤した。

ダイナーでは、ファーンともう一人のウェイトレス、リリーが近所の客達とマロリーの思い出話に花を咲かせていた。ハンクが「明日朝早いから」と店を去り客がいなくなると、ファーンとリリーは新しくエヴァーアフター葬儀場のオーナーになったゼルダについて情報交換をした。リリーはゼルダについて「気前はいいけど心を見抜くような不気味な目なの」と語り、彼女は葬儀屋の奥に秘密の和室を作り、黄金の仏像とサムライの刀を置いていると話した。

同じ頃、ゼルダはリリーの言う通り和室で日本刀を振るっていた。

日が落ちて町にはようやく夜が訪れたが、月は紫色に輝き、墓場からは2体の死体が蘇った。2体のゾンビはダイナーへ侵入すると、ファーンとリリーを食い殺した後コーヒーを飲み干して店を出た。

映画『デッド・ドント・ダイ』のあらすじ【転】

翌日、ハンクから通報を受けたクリフはダイナーを訪れた。内臓を食い散らかされたファーンとリリーの死体を目にした彼とロニー、ミンディは、揃って「野生動物が何頭かで襲った」と結論付けた。しかし、ロニーだけは密かに「ゾンビの仕業だ」とクリフへ打ち明けていた。

センターヴィルを通りかかった3人の若者は、マップを確認しようとしたが電波が入らず道なりに車を走らせた。仕方なくつけたラジオからは「デッド・ドント・ダイ」が流れており、給油ランプに気付いたゾーイはボビーの店に立ち寄った。

警察署にやって来たゼルダは、ダイナーの死体を受け入れるかどうかミンディに尋ねた。ミンディは、既にFBIが引き揚げたと説明した。

クリフとロニーは、モーテルの店先でダニーと事件について立ち話をしていた。そこへゾーイが現れ、クリフとロニーは部屋のドアに鍵をかけるよう忠告した。その後墓地を訪れた二人は、墓穴から何かが這い出た跡を発見しゾンビの存在を確信した。彼らは住民へゾンビへの警戒を呼び掛けた。

クリフは、ロニーにゾンビの倒し方を聞いた。彼は「とにかく頭を殺るんです」と力説した。ハンクの金物屋に籠城を決めたボビーもまた、ハンクへ「ゾンビを倒す唯一の方法は頭を殺ることだ」と力説し武器をかき集めた。

その夜、墓場からは全ての死体が蘇り町を埋め尽くした。クリフとロニー、ミンディは、「シャルドネ」と唸って蘇ったマロリーを退治した。

町を彷徨うゾンビ達は「スニッカーズ」「ジュース」「Wi-Fi」「Bluetooth」「 Siri」など、生前のルーティンや欲求を囁きながら歩いていた。ハンクとボビーは工具を求めて集まってきたゾンビと応戦したが、あえなくやられてしまった。

映画『デッド・ドント・ダイ』の結末・ラスト(ネタバレ)

センターヴィル少年拘置所はゾンビで溢れ返り、職員が餌食になったのを見たステラとオリヴィア、ジェロニモの3人は施設から逃げ出し隠れる場所を探した。

日本刀でゾンビを倒しながら警察署を訪れたゼルダは、クリフ達にパトロールへ出るよう促した。彼らが去った後、ゼルダは警察署のパソコンを起動させ信号を送ると、ロニーの車で墓地を目指した。

モーテルを訪れたクリフ達がゾーイの部屋を確認すると、彼女は一緒に旅行していた友人諸共絶命していた。町を一通り見て回り墓地に到着した3人は、轢き殺したゾンビにタイヤを取られ身動きが取れなくなってしまった。群がるゾンビの中に祖母の姿を見つけたミンディは錯乱し、「おばあちゃん、今行く」と外へ飛び出して餌食になった。

窮地に追い込まれたクリフは、ロニーへ、なぜ「まずい結末になる」と繰り返すのか尋ねた。ロニーは「ジムがくれた台本を読んだから」と答え、クリフは「俺には出演シーンしかくれなかった。あいつには協力してきたぞ、恩知らずめ」と落ち込んだ。そんな二人は墓地の真ん中に佇むゼルダを発見し、彼女は突如出現した巨大なUFOに吸い込まれ宇宙の彼方へ消えた。

台本にない展開を迎え唖然とするクリフとロニーは、覚悟を決めて車外へ飛び出すとゾンビを倒しはじめた。顔見知りの首を切って回る二人だったが、遂に力尽き、ゾンビの群れの中に沈んだ。その様子を眺めていたボブは、ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』の一節「無数の人間の名伏しがたき悲惨」を思い起こした。

映画『デッド・ドント・ダイ』の感想・評価・レビュー

ビル・マーレイが出るゾンビ映画というだけで期待値は非常に高まるが、そこにジム・ジャームッシュ作品の常連が軒並み出演するとなれば鑑賞前からテンションは最高潮だ。単なるゾンビコメディへの期待値ではなく、往年のファンとして「みんなとまた会える」というワクワクが大きい。個人的に『コーヒー&シガレッツ』以来のイギー・ポップとトム・ウェイツの共演には胸が高鳴った。

セレーナ・ゴメスを誰も見ていないところで殺しておいてゾンビにもさせず、ティルダ・スウィントンをUFOに乗せて宇宙へ飛ばすなんて、後にも先にもこの映画しかないかもしれない。本作では宇宙人だったティルダ様だが、彼女が1人乗りの車でゾンビ・スラロームをして小回りの確認をする場面は何度観てもいかしている。

ジム・ジャームッシュ特有の“間”や何気ない日常会話がシュールさを醸し出し、ゾンビコメディのステレオタイプとは異なった空気感が癖になる良作。(MIHOシネマ編集部)

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