この記事では、映画『フィラデルフィア』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『フィラデルフィア』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『フィラデルフィア』の作品情報
上映時間:125分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジョナサン・デミ
キャスト:トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン、ジェイソン・ロバーズ、メアリー・スティーンバージェン etc
映画『フィラデルフィア』の登場人物(キャスト)
- アンドリュー・ベケット(トム・ハンクス)
- フィラデルフィア屈指の弁護士事務所に勤める敏腕弁護士。同性愛者でエイズに感染している。しかし、そのことは事務所には隠している。
- ジョー・ミラー(デンゼル・ワシントン)
- 市民派の弁護士。同性愛者への偏見を抱いており、最初はベケットの依頼を断ってしまう。裁判を通じてそうした偏見を打ち破っていく。
- チャールズ・ウィーラー(ジェイソン・ロバーズ)
- ベケットが勤める弁護士事務所のトップ。ベケットがエイズであることを告知せずにいたことに怒り、不当解雇する。
- ベリンダ・コーニン(メアリー・スティーンバーゲン)
- ウィーラーに雇われた女性弁護士。冷徹に徹してベケットの私生活を暴き、裁判を有利に進めようとする。
- ミゲール・アルヴァレス(アントニオ・バンデラス)
- ベケットと付き合っているラテン系の恋人。ベケットへの献身的な愛を貫き、裁判中のベケットを精神面で支える。
映画『フィラデルフィア』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『フィラデルフィア』のあらすじ【起】
建設訴訟を巡り、建設会社側弁護人ベケットと被告側弁護人ミラーは裁判官の前でお互いの主張に繰り広げる。その結果ベケットの主張が認められ、ミラーの訴えは退けられてしまう。その活躍が評価されたベケットはウィーラーに呼び出され、重要な裁判の担当を任される。しかし、その時に重役の一人がベケットの額にあるアザに気付くが、ベケットはラケットボールでケガをしたと言って誤魔化す。ベケットは体調を崩して病院に運ばれ、ミゲールが慌てて病院に駆け付ける。しかし病院で診察を受けている時に事務所から訴状が紛失しているとの連絡があり、ベケットは慌てて事務所に向かうことにする。
1か月余りが経った頃にミラーの元にベケットが尋ねて来る。そしてベケットは事務所を不当解雇で訴えたいと頼みに来る。実は訴状はギリギリで見付かったがベケットはそれを口実に解雇されていたのだ。しかし、ベケットはエイズが真の理由だと考えていた。ミラーは依頼を断り、ベケットからエイズが感染したのではないかと恐れる。そして、ミラーは妻に同性愛者に対する嫌悪感をあらわにする。

映画『フィラデルフィア』のあらすじ【承】
図書館にいたミラーはそこでベケットがいるのに気付く。ベケットは図書館司書や周囲から偏見の目で見られていた。裁判の行方が気になったミラーはベケットに声を掛け、ベケットの主張をどう裏付けるのか尋ねる。そこでベケットはシミを見付けた重役が過去にエイズ患者と働いており、ベケットのエイズを見抜いたのだと説明する。更に過去のエイズ差別に対する判例を示す。そこでミラーはベケットの弁護士を引き受け、ウィーラーに召喚状を手渡す。
実家に帰省したベケットは、家族に訴訟で迷惑を掛けることを説明するが、家族はベケットをサポートしてくれる。裁判が始まり、ミラーは冒頭陳述でベケットが有能にも関わらず雇用主にエイズだと気付かれたために解雇されたと主張する。しかし、事務所が雇ったベリンダは雇用主がエイズだとは知らなかったと訴える。裁判はマスコミの注目を集め、ミラーは社会に同性愛への偏見が満ち溢れていることを実感する。証人尋問では同僚がベケットの体調がおかしいことに気付いていたことや、事務所には差別的雰囲気があったことなどを証言する。
映画『フィラデルフィア』のあらすじ【転】
ミラーはベケットの同僚に対して同性愛者か問い質し、ベリンダは異議を唱える。ミラーは同性愛者への偏見が裁判の空気を支配しているとして、同性愛者への嫌悪をさらけ出すことが大事だと主張する。アザに気付いた重役が証言台に立ってミラーの質問に応じ、過去に同性愛者の水兵を懲らしめた経験について話す。裁判の合間にベケットは盛大な仮装パーティーを開く。ミゲールが2人で楽しむ時間がないことに不満を抱いていたからだ。パーディーにはミラーも参加し、パーティー後にベケットの尋問の練習をしようとする。しかし、オペラに夢中になるベケットを見て家に帰ることにし、妻と子供を抱き締める。
ベケットが証言台に立ち、ウィーラーのことを尊敬していたことや、事務所に雇われたことが嬉しかったことなどを証言する。そしてウィーラーや重役が同性愛を冗談のネタにしているのを聞き、同性愛であることを告白しなかったと説明する。ベリンダは反対尋問で、ベケットが同性愛のポルノ映画館で見知らぬ男と関係を持った過去を暴く。更にベリンダはベケットのシミが今は見えないことを指摘する。
映画『フィラデルフィア』の結末・ラスト(ネタバレ)
ミラーはベケットへの追加尋問を行い、ベケットに体にシミがあることを証言させる。そして裁判長の許可を得て、陪審員の前でそのシミを披露させる。続いて、ウィーラーが解雇時にベケットのエイズを知らなかったと証言する。ウィーラーはベケットが期待の新人だったから雇ったが、期待通りの成果を残せなかったと説明する。ミラーがウィーラーへの反対尋問を始めるが、その最中に体調を崩したベケットが倒れてしまう。
ベケット不在で裁判は続けられる。そして重役の一人が、ベケットのエイズを疑っていたことを証言する。しかし、その疑いをウィーラーには共有しなかったと説明する。陪審員達は評議を始め、優秀とみなしていなかったベケットに重要案件を任せたのはおかしいと指摘する。そして陪審員は事務所にベケットに対する巨額の損害賠償の支払いを命じる評決を下す。ミラーは入院中のベケットの見舞いに訪れ、ベケットは感謝を口にする。その後、ベケットはミゲールに看取られて亡くなる。ベケットの親族や友人が集まって告別式が行われ、ミラーも家族を連れて参列する。
映画『フィラデルフィア』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
エイズをテーマにした重厚なドラマ作品。派手な演出を控え、静かな語り口で法廷劇が繰り広げられる。ミラーの同性愛者嫌いや、ベケットとウィーラーとの間で示されるお互いへの敬意の念といった描写を通じて、この作品が提起しているのが単純な善悪の問題ではなく、誰の心に宿る偏見だということが伝わってくる。オープニングとエンディングに流れるブルース・スプリングスティーンとニール・ヤングの名曲も胸を打つ。(MIHOシネマ編集部)
差別や偏見というテーマを真正面から描いた作品に心を動かされました。デンゼル・ワシントン演じる弁護士が、初めは偏見を持ちながらも、少しずつ心を開いていく姿には人間としての成長を感じました。重いテーマではありますが、観終わった後に希望も感じさせてくれる点が良かったです。社会派映画の名作だと思います。(40代 男性)
エイズや同性愛に対する無知や恐怖が、どれほど人を孤立させるのかをリアルに描いた作品でした。正直、観る前は少し構えていましたが、演技とストーリーにすぐ引き込まれました。特にトム・ハンクスがオペラを聴きながら涙を流すシーンは、言葉を超えた感情の表現だと思います。時代を超えて訴えかけてくる力があります。(30代 女性)
観る人の価値観を揺さぶる、非常に強いメッセージ性を持った映画です。トム・ハンクスとデンゼル・ワシントンの演技力の高さには脱帽です。裁判劇という形式をとりながらも、人と人とのつながりや信頼を丁寧に描いていて、ラストには自然と涙がこぼれました。人間の尊厳とは何かを改めて考えさせられました。(50代 男性)
1993年という時代背景を考えると、この映画の存在自体がとても画期的だったと思います。今よりももっと偏見が強かった時代に、こうしたテーマを取り上げる勇気と、それを芸術として昇華した制作陣の姿勢に敬意を表します。エンタメでありながら、教育的な側面も持ち合わせている作品です。(30代 男性)
学生時代にエイズについての授業でこの映画を観たことがあり、改めて大人になってから観ると、感じ方がまったく違って驚きました。かつてタブー視されていたことに真正面から向き合い、感情移入せずにはいられない展開の数々に涙しました。若い世代にもぜひ観てほしいです。(20代 女性)
法廷劇が好きで観始めましたが、思っていた以上に心を揺さぶられました。デンゼル・ワシントンのキャラクターが、徐々に偏見を乗り越えていく過程が非常にリアルでしたし、トム・ハンクスの演技がとにかく素晴らしい。テーマは重いですが、観る価値のある一本です。(30代 男性)
息子と一緒に観ました。今の時代でも通じる問題提起がなされていて、親子で深く話し合うきっかけになりました。トム・ハンクスの演技はもちろん素晴らしいのですが、それを支えるデンゼル・ワシントンの存在も光っていました。人を思いやることの大切さを教えてくれる映画です。(50代 女性)
LGBTQや感染症についての偏見は今でも完全にはなくなっていないので、この映画はもっと多くの人に観られるべきだと思いました。人が直面する差別と、それを乗り越えようとする姿がリアルで、共感できる部分が多かったです。人権を学ぶ上で非常に貴重な映画です。(40代 女性)
初めてこの映画を観たとき、自分の無知を痛感しました。重たいテーマにも関わらず、物語に引き込まれていくうちに、自然と涙が出ていました。社会問題を真正面から描きながらも、どこか人間の優しさを感じられる作風が素晴らしいと思います。忘れられない一本です。(20代 男性)
映画『フィラデルフィア』を見た人におすすめの映画5選
スポットライト 世紀のスクープ
この映画を一言で表すと?
真実を追い求めた記者たちの、静かで熱い闘いを描いた実録社会派ドラマ。
どんな話?
ボストン・グローブ紙の記者チーム「スポットライト」が、カトリック教会による児童性的虐待事件の闇を暴く実話ベースのドラマ。報道の力で社会を変える姿が描かれます。粘り強い取材の様子がリアルに再現され、緊張感が続きます。
ここがおすすめ!
静かに進行するストーリーながら、圧倒的な説得力と緊張感が全編に漂います。事実を追いかける記者たちの信念や葛藤が丁寧に描かれており、正義とは何かを問う骨太な作品。人権や社会的責任を描いた作品が好きな方には特におすすめです。
それでも夜は明ける
この映画を一言で表すと?
自由を奪われた黒人男性の絶望と希望を描く、魂を揺さぶる歴史ドラマ。
どんな話?
自由黒人だったソロモン・ノーサップが誘拐され、12年間奴隷として過酷な生活を送る実話に基づいた物語。彼の目を通して、アメリカ南部の奴隷制度の実態が痛烈に描かれます。
ここがおすすめ!
美しい映像とは裏腹に、描かれる現実は残酷で過酷。主演のキウェテル・イジョフォーの演技は胸を締め付け、観る者を深く考えさせます。人間の尊厳や希望の力を描いた、記憶に残る一本です。『フィラデルフィア』の社会的テーマに共鳴する人に刺さります。
ミルク
この映画を一言で表すと?
同性愛者の権利を求めて闘った実在の政治家の、誇り高き人生。
どんな話?
アメリカ初の公職についたゲイの公人、ハーヴィー・ミルクの半生を描いた作品。彼の政治活動、仲間たちとの絆、そして暗殺に至るまでの道のりが描かれます。差別と闘う勇気に心を動かされます。
ここがおすすめ!
ショーン・ペンの圧巻の演技が光る一作。彼の生き様は、今なお社会に問いを投げかけます。LGBTQ+の歴史を知るうえでも貴重な映画で、『フィラデルフィア』のメッセージと深く通じ合うテーマを持っています。
グリーンブック
この映画を一言で表すと?
人種も境遇も異なる2人の、心温まる友情ロードムービー。
どんな話?
1960年代、黒人ピアニストとイタリア系運転手がアメリカ南部をツアーで巡る中で、偏見や差別に直面しながらも絆を深めていく実話に基づく感動作。異なる世界観の衝突と理解が描かれます。
ここがおすすめ!
笑いと涙、緊張と温かさが絶妙に同居したストーリー。人種差別という重いテーマを扱いながらも、ユーモアと音楽で観やすく仕上げているのが魅力。心にしみるヒューマンドラマです。『フィラデルフィア』が好きな人なら絶対に楽しめます。
ノーマ・レイ
この映画を一言で表すと?
ひとりの女性が立ち上がり、労働者の権利を訴える感動の実話。
どんな話?
アメリカ南部の工場で働く女性ノーマ・レイが、劣悪な労働環境に立ち向かい、労働組合設立に尽力する姿を描いた社会派ドラマ。信念を貫くその姿に勇気をもらえる作品です。
ここがおすすめ!
サリー・フィールドの熱演が光るこの映画は、「声をあげること」の大切さを痛感させてくれます。『フィラデルフィア』同様、社会的正義をテーマにした感動作で、観終わったあとに心が震える一本です。
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