映画『砂漠でサーモン・フィッシング』の概要:「ギルバート・グレイプ」のラッセ・ハルストレム監督の人間ドラマ。出演はユアン・マクレガー、エミリー・ブラント、アムール・ワケド。イエメンの砂漠で鮭を遡上させることが出来るのか?2011年のイギリス映画。
映画『砂漠でサーモン・フィッシング』 作品情報
- 製作年:2011年
- 上映時間:108分
- ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ、コメディ
- 監督:ラッセ・ハルストレム
- キャスト:ユアン・マクレガー、エミリー・ブラント、クリスティン・スコット・トーマス、アムール・ワケド etc
映画『砂漠でサーモン・フィッシング』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『砂漠でサーモン・フィッシング』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『砂漠でサーモン・フィッシング』のあらすじを紹介します。
アルフレッド・ジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)は、釣りにしか興味がない魚博士。結婚していたが、妻メアリーは仕事に忙しく、2人の時間を過ごすことができないでいた。ある日、イエメンの富豪シャイフ(アムール・ワケド)からの依頼で仲介役のハリエット(エミリー・ブラント)と出会う。イエメンの富豪シャイフが、砂漠で鮭を釣りたいのだと言う。
そんな事は実現不可能だと考えたジョーンズ博士だったが、鮭の輸送方法を絵を交えて説明するとハリエットは理論的に可能だと確信してしまう。その後、シャイフに会い彼の考えに触れることで、次第に実行へと感化されてゆく。”あなたには信じる力があるから、待てるんですよ”と。
一方、イギリス政府は国家プロジェクトとして、イエメンの砂漠で鮭を遡上させる計画を進めていた。そのプロジェクトの中心には、政府の高官パトリシア(クリスティン・スコット・トーマス)がいた。なかなかのやり手だが、皮肉屋な彼女。
ところが、仲介役のハリエットの恋人、ロバート(トム・マイソン)が戦闘中に行方不明になってしまう。彼からの連絡を待つハリエットは、心配のあまり仕事が手につかなくなってしまう。そんな彼女を心配して、サンドイッチを差し入れするジョーンズ博士。
ロバートの事を気にかけながらも、2人は現地を視察するため、イエメンに飛んだ。調べてみるとイエメンには、鮭が育つ環境や産卵場所に適した場所があったのだ。計画を進めようとしたところ、シャイフの命を狙う暗殺者が現れた!
ジョーンズ博士の機転で、なんとかシャイフを救ったが、イエメン国内での根強い反対意見に苦しむことになります。
やがてダムが完成し鮭を放流する最終段階へ。政府高官のパトリシアやイギリスの首相も招いて、盛大な盛り上がりをみせた。その頃、死んだと思われていたハリエットの恋人、ロバートが奇跡的に生還し目の前に現れたのだ。抱き合う、ハリエットとロバート。
ジョーンズはハリエットへの思いに気づき、メアリーとは離婚したばかりだった。まさかの恋人出現に落ち込んでしまう。あきらめたくないジョーンズは恋人ロバートにライバル宣言します。
ところが、鮭が奇跡的に遡上し始めた時、ダムに計画反対者が武装して侵入。ダムを決壊させ、鮭は1匹残らず死んでしまう。
首相もダムの水に飲みこまれ、重体になってしまう。地元の人たちへの説明が足りなかったと肩を落とす、シャイフ。全てが水の泡になったと思われたのだが、やがて1匹の鮭が跳ねる瞬間を目撃するのだった。鮭は遡上し、卵も産んでいた!
この奇跡にジョーンズ博士たちは、今度こそ地元の人の理解と協力を得て進めてゆこうと決意するのだった。鮭の奇跡にハリエットも、恋人ロバートではなく、ジョーンズと共に歩むことを決めたのだった。
映画『砂漠でサーモン・フィッシング』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『砂漠でサーモン・フィッシング』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
奇跡とは自ら作り出すもの。ユアン・マクレガー主演のハートフル・ストーリー
孤独な人は、おしゃべりだと知っているだろうか?人ではなく、動物にしゃべりかけることが多いのだ。ユアン・マクレガー演じる、魚と釣りにしか興味のないジョーンズ博士もそんな1人。飼っているコイにエサをやりながら悩みを話します。
妻は仕事に夢中で僕と一緒にいる時間がないんだ、と。またオフィスでも、趣味の魚釣りの道具を取り出しては投げる練習をする変わり者。そんな変人である魚博士が、イエメンの富豪の夢をイギリス政府の国家プロジェクトとして行うハメになってしまう。
”実行不可能”と叫ぶジョーンズ博士だが、コンサルタントのハリエットやイエメンの富豪シャイフと出会うことで、砂漠で夢を実現させようとする物語。題名だけ見ると、何だろう?と不思議に思うけれど、観ていくうちにこんなのもアリかも!と感じてしまうのはラッセ・ハルストレム監督の魔法にかかってしまったから。
ジョーンズ博士が、鮭の輸送方法を絵を交えて説明するシーンがいい。絵が上手い!そこで理論的に可能だと納得されてしまう。魚釣りを人生にたとえて、イエメンの富豪シャイフが語る言葉もユニークなのだ。”あなたには信じる力があるから、待てるんですよ。”と。
信仰と魚釣りと科学が彼のなかでは、1つに繋がるらしい。彼の存在はまるで宗教家のよう。ぜひ小説を読むように1シーン、1シーンを大切に観て下さい。
優しさと強さと~ユアン・マクレガーの魅力
ユアン・マクレガーは、ヘタレな性格の人物像を演じることが多い。人の弱さや平凡に生きる者の悲しみを深く表現しています。本作では、悩み多き中年の博士役。人間関係を苦手としている点などは、誰もが共感できる部分ではないでしょうか。
平凡な日常を生きる人物から、「スター・ウォーズ エピソード1」のオビ・ワン役まで多彩に演じきる力や繊細な人物表現が魅力です。驚きなのが、まだ1度も日本に来日したことがないということ!いつか訪れたいと本人が言っているので楽しみに待ちましょう。
また役者だけでなく、ロンドンの地下鉄を舞台にしたオムニバス映画「チューブ・ティルズ」(99)を製作しています。彼のソフトな人柄と魅力があふれる作品に今後も期待して下さい。
失礼な言い方かもしれませんが、何でも映画にするんだなあ…と苦笑いしてしまいました。
釣りが好きな私にとって、この作品は完全なファンタジーです。ただサーモンフィッシングをしたいがために砂漠にダムを作り鮭を放流して…という展開は自然のことなんて何も考えていない、自己満足の極みでしょう。
映画の設定にこんなことを言っても仕方ないのですが、全てに無理があって理解できませんでした。
こんな意味の分からないプロジェクト、反対する住民たちのほうがまともだと感じてしまいます。(女性 30代)
映画『砂漠でサーモン・フィッシング』 まとめ
映画は荒唐無稽な物語ほど面白い。本作も大人のファンタジーで、ありえないと思いながらも、ジョーンズ博士やハリエット、イエメンの富豪シャリフに見入ってしまうのだ。この原稿を書いている間も、世界では自爆テロなど悲しみが終わらない。
そこで、イエメンの富豪シャリフが言うように宗教や人種を超えて分かり合おうとする努力が必要なのではないかと思う。本作には釣りを人生に例えた表現やイギリスのブラック・ユーモアが随所にちりばめられています。
特にイギリスらしくて面白いのは、政府の高官パトリシア役のクリスティン・スコット・トーマス!風刺の効いた役柄で、国家プロジェクトをどんどん押しまくるのだ。首相とのメールがまたユーモアたっぷりでいい。強烈な彼女に首相もタジタジといった感じ。
そして、ジョーンズ博士役のユアン・マクレガー。悩み多き中年を繊細に演じています。変人だけど、ハリエットに対する気配りや眼差しが温かい。彼とハリエットの恋を応援したくなりますね。ぜひ本作で大人のファンタジーに癒されてみて下さい。
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