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映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』の概要:1682年パリ。ルイ14世は宮廷をヴェルサイユ宮殿に移転するため、大庭園を造るよう庭師達に書状を書いた。無名のサビーヌの元にもその書状は届き、責任者のノートルが面接を行うことになった。

映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』の作品情報

ヴェルサイユの宮廷庭師

製作年:2014年
上映時間:117分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:アラン・リックマン
キャスト:ケイト・ウィンスレット、マティアス・スーナールツ、アラン・リックマン、スタンリー・トゥッチ etc

映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』の登場人物(キャスト)

サビーヌ・ド・バラ(ケイト・ウィンスレット)
無名の庭師。平民。独創的な考えの持ち主。結婚していたが、馬車の事故で夫と娘を亡くす。娘のことが未だに忘れられず、時々幻聴や幻影を見る。
アンドレ・ル・ノートル(マティアス・スーナールツ)
父の代から続く有名な庭師。ヴェルサイユ宮殿の庭の責任者。“秩序”を重んじる性格で、それが仕事にも表れている。自分にはない自由な発想をするサビーヌに心惹かれていく。
ルイ14世(アラン・リックマン)
フランスの国王。愛人が多くいながらも、心が清らかで良く尽くしてくれる王妃を大切にしている。
マダム・ル・ノートル(ヘレン・マックロリー)
アンドレの妻。浮気を繰り返し、自由奔放に生きる。だが、アンドレが浮気をすることは許せず、サビーヌを貶めようと画策する。
ティエリー・デュラス(スティーヴン・ウォディントン)
庭師。初めは女性で無名だったサビーヌのことを馬鹿にしていたが、サビーヌの仕事ぶりに心を打たれ、協力するようになる。

映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』のあらすじ【起】

1682年パリ。ルイ14世は宮廷をヴェルサイユ宮殿に移転するため、庭師達に“壮麗さを誇る大庭園”を造るよう書状を書いて命じた。サビーヌ・ド・バラもその書状を受け取った1人だったが、家は裕福ではなかったため、メイドに至急服を作ってもらい、新しく帽子を買って面接会場に向かった。

他の面接を受けに来た庭師達は、女性で名も売れていないサビーヌを馬鹿にしていた。サビーヌはめげずに、責任者であるル・ノートルの面接を受けた。ノートルの質問は“景観の秩序を重んじるか?”という一点に絞られていた。サビーヌはノートルの言う“秩序”は過去の物で、新たな秩序を作るべきだと反論した。しかし、ノートルはその“秩序”を重んじながら仕事を行う庭師だった。サビーヌは必死に言葉を重ねて受け入れてもらおうと努力するが、険悪な雰囲気のまま面接の終了を告げられる。

夜、サビーヌの家にノートルが突然訪ねて来た。サビーヌが慌てて服を着て準備をしている間、ノートルはサビーヌの家の庭をゆっくりと1人で眺めた。ノートルはやって来たサビーヌに、家の庭にも書いてきた図面にも、“秩序”の痕跡はなく“混沌”が溢れていると伝えた。だが、それがサビーヌにとって大事にしているものだった。ノートルは宮廷では“無秩序” も王が指示し、“混沌”も予算内に収めるよう忠告し、回りくどく採用を伝えて去っていった。サビーヌは戸惑った表情でノートルを見送った。

サビーヌはヴェルサイユ宮殿に行き、ノートルから給水設備と水路を建設しているムッシュ・スアレムとドヴィルを紹介される。スアレム達は王の要望が変わったことで予算が足りないとノートルに訴えるが、ノートルは王の命令は絶対だと一蹴した。スアレム達が建設している水路によって、庭園に必要な水が運ばれるようになるのだ。

サビーヌはオーケストラなどが演奏するための舞台、“積み石の広場”を任されることになった。ノートルは自分の案とサビーヌの案を足して造るよう指示を出した。サビーヌはノートルの話を聞き、全体図を想像して微笑んだ。だが、なぜ自分に任せたのか疑問だったため、ノートルに質問した。ノートルは宮廷に自分以外の感性を入れたかったからだと答えた。

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映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』のあらすじ【承】

サビーヌは夜遅くまで図面を書き上げていた。うたた寝をしてしまい、娘が自分を呼ぶ声で目を覚ました。だが、そこに娘がいるはずもなく、サビーヌは寂しそうに顔を曇らせた。次の日、サビーヌはノートルの家を訪ね、庭に十分な水を循環させるための装置を思いついたことを話した。突然来たことを謝罪するが、ノートルは気にした様子もなく、サビーヌから設計図を嬉しそうに受け取った。その様子を、ノートルの妻が窓から眺めていた。

雨が降り、作業員達が勝手に帰ってしまう。サビーヌはたった1人、夜遅くまで作業に明け暮れた。その様子を、サビーヌを馬鹿にしていた庭師のティエリー・デュラスが見ていた。次の日、サビーヌが庭に行くと、デュラスが新たな職人を連れてやって来た。デュラスは妻に、“マダム(サビーヌ)に雇ってもらえ!”と言われて来たのだと皮肉るが、サビーヌに負けて採用されなかったことに納得しており、表情は晴れ晴れとしていた。

サビーヌはヴェルサイユで働く庭師のために開かれた夜会でルーヴル宮殿に招待されるが、場違いな雰囲気に圧倒され、王が演説を行う部屋に入ることはできなかった。1人で宮殿の中を彷徨っていると、話を聞き終わった人達が部屋になだれ込んできて身動きが取れなくなる。その時、男性が声をかけてきて、サビーヌを窓側に案内した。サビーヌは夜風に当たり、人心地ついた。男性はノートルの知人で、ノートルにサビーヌのことを託して去っていった。

ノートルはフィリップ1世夫妻に、サビーヌのことを紹介した。フィリップ1世の妻は庭師の仕事に興味を持ち、話を聞くためにサビーヌを散歩に連れ出した。その様子を見たフィリップ1世は、妻と同じようにノートルもサビーヌに興味を抱いているのか問い掛けた。ノートルは動揺しながらも、サビーヌは聡明な女性だと答えるに留めた。

映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』のあらすじ【転】

昼食会が開かれ、サビーヌ、ノートル、フィリップ1世夫妻が参加した。そこで、サビーヌはノートルの歌声に聞き惚れる。散歩をしているとき、ノートルに何故妻を同伴しないのか問い掛けた。ノートルはサビーヌの率直な質問を窘めながらも、妻とある“協定”を結んでいることを打ち明ける。だが、その内容を話すことは不誠実だとして、詳しくは語らなかった。サビーヌは逆に質問され、夫が亡くなったことを話した。その時、花畑を見たサビーヌが突然動揺し出した。ノートルは心配するが、サビーヌは散歩を続けたいと言うだけだった。

ノートル夫人は男性にお金を渡し、浮気を行っていた。家に帰ってきた夫に、昼食会は楽しかったか皮肉交じりの質問をするが、逆に王妃が亡くなったことを知らないのかと冷めた目で見られる。ノートル夫人はルイ14世が再婚するかどうか気にするが、ノートルはきっと夫人の友人が相手ではないと毅然とした態度で答えた。

ルイ14世は妻が亡くなり憔悴しきっていた。食事も満足に食べることができず、1人になることを望んだ。そのため、家臣達は造園家のムッシュ・ド・ラ・カンティニに話しをつけ、庭の一角でルイ14世が1人になれるように取り計らった。しかし、そんなことになっているとは知らないサビーヌが、植物を交換しようと庭にやって来た。そして、ルイ14世をカンティニと誤解したまま話しを始めた。ルイ14世はサビーヌの植物の話に興味を持ち、癒されるのを感じた。身分がばれた後も、今日はカンティニとして接して欲しいとサビーヌに頼み、植物を運ぶのを手伝って会話をした。ルイ14世は再婚したいと思っている女性がいることを相談した。相手の女性は平民の出身で、結婚できるような相手ではなかった。それを聞いたサビーヌは、2人だけで結婚式を挙げれば後から文句を言われても大丈夫だと勧めた。ルイ14世は今日のやり取りに感謝をし、サビーヌを宮廷に招くことを決める。

ノートルの元に王家の紋章付の招待状が届いた。夫人は自分も付いて行くことを望むが、ノートルがそれを拒んだ。夫人はサビーヌが一緒に行くのではないかと訝しみ嫉妬の炎を燃やす。だが、ノートルは冷めた表情で夫人の様子を眺め、好きにさせてもらうと伝えた。先に裏切ったのは夫人自身であり、かつてよそに相手を求めることも協定の内だとノートルの存在を否定したのだ。

映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』の結末・ラスト(ネタバレ)

ノートル夫人がサビーヌの元を訪ねて来た。夫人は夫に愛人が多くおり、あなたはその内の1人にすぎないと辛辣な言葉を投げかけ、夫の野望のためには自分が必要不可欠なのだと伝えた。サビーヌは夫人の言葉を腹立だしげに聞いていたが、何も言い返さなかった。その後、ノートル夫人は愛人を使い、サビーヌが建設している庭を水浸しにするために水門を開けさせた。その日の夜、嵐になりサビーヌ達は庭を守るため、布を被せたりして対策を取った。水門が開いていることに気づき、サビーヌが川に向かった。増水した水に足を取られ溺れながらも必死に門を閉じようとしていると、ノートルに助けられ抱き留められる。

サビーヌはノートル夫人の言葉が気にかかりながらも、ノートルのことを思う気持ちは止められなかった。それは、ノートル自身も同じで、2人は同じ部屋に向かった。だが、サビーヌは一線を越えることができず、謝罪をして部屋を出た。

広場は積み石が流れ泥が溜まり、酷い有り様だった。サビーヌは1人で片づけを行っていたが、疲れて果てて小屋で休んだ。すると、ルイ14世が広場を見て、工事を続けるべきかどうか疑問を抱いている声が聞こえてきた。デュラスもノートルもサビーヌに任せるべきだと話し、ノートルは“豊かな想像力が生む美はサビーヌが誰よりも優れている”と後押しした。サビーヌはその言葉を驚きながら聞いていた。ルイ14世が去った後、ノートルは泥の中から夫人の手袋を発見する。夫人にその手袋を渡し、別れを告げた。

サビーヌはフォンテーヌブロー宮殿の女性だけのサロンに招待される。そこで、多くの女性が戦争や病気で子供を亡くしていることを知る。同じ辛さを知る女性達に、サビーヌは6歳の娘を亡くしたことを打ち明けた。その時、王の来訪を知らせる旨があったため、サビーヌは花瓶から薔薇を抜いて部屋を出た。サビーヌはルイ14世に薔薇を渡し、庭で会った日のことを匂わせた。ルイ14世はそのことを喜び、他の薔薇は咲きすぎて色褪せたと、愛人のモンテスパン侯爵夫人のことを捨てようとした。それに気づいたサビーヌは、私達は薔薇のように枯れるのを待つだけの運命ではないと、花に例えて咎めた。ルイ14世はサビーヌの優しさに感動し、庭園の進捗について聞くことにした。ノートルも傍でその様子を見て、満足そうに微笑んだ。

その日の夜、ノートルはサビーヌの元を訪ね、ベッドで抱き合った。ベッドから抜け出したサビーヌは、亡くなった夫達の遺品を置いている部屋に足を踏み入れた。夫に愛人がいると打ち明けられた日、夫はすぐに帰ると言いながらも娘を連れて愛人の元に行こうとした。サビーヌはそれに気づき夫達が乗った馬車を止めた。だが、その拍子に車輪が壊れてしまい、馬車が崖から転落してしまう。サビーヌは娘が崖に落ちて行くのを見てしまったのだ。サビーヌを心配して部屋に来たノートルは話を聞き、自分を責めるなとサビーヌを慰めた。そして、共に生きようと将来を誓った。

“積み石の広場”が完成した。ルイ14世は広場を眺め、満足そうに微笑むと拍手をした。そして、楽団の音楽を聞きながら、サビーヌと中央でダンスをした。サビーヌはその後ノートルの元に行き、キスをして一緒に広場を去って行った。

映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』の感想・評価・レビュー

貴族にスポットを当てた作品は数多く存在するが、庭師に着目した作品は見かけたことがなかったため珍しいなと思った。自然はもちろんのこと、主人公のサビーヌの毅然とした姿勢に美しさを感じた。サビーヌとノートルの恋愛模様にドキドキさせられ、最後まで楽しめた。
アラン・リックマンが演じたルイ14世と、サビーヌのやり取りが物語の中でも特に好きだった。貴族は傲慢に描かれていることも多いが、本作のルイ14世には人間らしさを感じた。(女性 30代)


『ハリーポッター』シリーズのスネイプ先生でお馴染みのアラン・リックマンが監督、脚本、そして出演もしている今作。中世ヨーロッパのあの品のある、美しい時代を描いた作品に数多く出演してきた彼が、監督を務めるのであれば間違いないと期待して鑑賞しました。
宮廷の庭園作りを依頼された庭師のストーリーだとぼんやりとイメージしていましたが、なんと女庭師でした。演じるのはケイト・ウィンスレット。彼女がとにかく素晴らしい。見た目の美しさはもちろんですが、「伝統」に縛られない自由で華やかな庭園作りをする彼女の庭師としての仕事ぶりがすごく良かったです。
映像が綺麗で優しい気持ちになれる作品でした。(女性 30代)

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