映画『アジャストメント』の概要:ひょんなきっかけから、運命が定められており都度、調整されていることを知ってしまった主人公。彼は運命的に惹かれる女性と引き離されることに強く抵抗を示し、調整局と対立してしまう。定められた運命に抗い、愛による強い絆を求める様を描いたラブストーリー。
映画『アジャストメント』の作品情報
上映時間:106分
ジャンル:SF、ラブストーリー、サスペンス
監督:ジョージ・ノルフィ
キャスト:マット・デイモン、エミリー・ブラント、アンソニー・マッキー、ジョン・スラッテリー etc
映画『アジャストメント』の登場人物(キャスト)
- デヴィッド・ノリス(マット・デイモン)
- 上院議員候補だった有能な白人男性。諦めない精神が強く、頭脳明晰。エリースに一目惚れし、会わずにはいられない。
- エリース・セラス(エミリー・ブラント)
- 舞踏団に所属し、優雅なダンスをする。黒髪で美しい女性。打てば響くように軽快な受け答えをする。普段はしない一目惚れをデヴィッドに対してしてしまう。
- ハリー・ミッチェル(アンソニー・マッキー)
- 調整員でデヴィッドを見守っている黒人男性。何らかの理由により、デヴィッドを助けてくれる。
- リチャードソン(ジョン・スラッテリー)
- 調整員のリーダー的存在。デヴィッドとエリースの仲を引き離そうと奮闘する。有能な調整員で非常に真面目。
- トンプソン(テレンス・スタンプ)
- リチャードソンの上司よりも上の上司で、歴代の調整員として名が知られている。通称ハンマー。現役を引退して久しいが、デヴィッド攻略に召喚される。人の心理操作に長けている。
映画『アジャストメント』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アジャストメント』のあらすじ【起】
1998年、最年少で下院議員に当選したデヴィッド・ノリス。2年後の2010年には上院議員候補として出馬するほどのスピード出世を果たした。しかし、優勢だった状況は一晩の過ちにより、落選が濃厚となってしまう。
敗北宣言の演説をするため、トイレにやって来た彼は、1人の女性と運命的な出会いを果たす。
互いに一目で惹かれ合う2人。しかし、そこへデヴィッドの側近が呼びに来てしまい、彼女はそそくさと彼の前から姿を消してしまうのだった。結局、女性の影響を受けたデヴィッドは原稿を読まずに本心を演説。彼の敗北宣言の演説はその後、人々の心を打った名演説として話題となるのである。
そんなある朝、通勤のバスに乗車したデヴィッドは以前、トイレで会った女性と偶然出会う。楽しい会話を交わした彼は、ようやく彼女の名前と連絡先を入手できたのだった。
バスから降りて何気なく会社へ出勤したデヴィッドだったが、側近のオフィスへ入り息を飲む。電話中の側近は動きを止め、その彼に得体の知れない人々が何かをしているのだ。
即座に踵を返したデヴィッド。しかし、彼は自分のオフィスで彼らに捕まってしまう。
目覚めると椅子に拘束されていた。周囲には黒スーツの男達が何人もいて、リセットするかどうかと議論を交わしている。
1人の男がリチャードソンと名乗った。更に、彼らは運命を調整する調整員だと言うのだ。
彼らが何を言っているのか、容易には理解できない。リチャードソン曰く、デヴィッドはカーテンの裏側を見てしまったのだ。本来なら、デヴィッドは朝のバスに乗り遅れる予定だった。しかし、調整に失敗してしまい、バスに乗ってしまう。リチャードソンが言うには偶然のように見せかけ、さり気なくその人の運命を軌道上に戻す。それが“調整”アジャストメントだと言うのだった。
映画『アジャストメント』のあらすじ【承】
その後、デヴィッドは二択を迫られる。彼ら調整員の存在を死ぬまで秘密にするか、脳のリセットを行うかである。リセットは実質、その人の死を意味するものだった。
当然、デヴィッドは口を閉ざす方を選んだ。そして、バスで会った女性エリースとは二度と会わないことを約束させられ、オフィスへと戻されるのである。
ところが、どうしてもエリースのことを諦めきれないデヴィッド。彼女の連絡先を思い出そうと四苦八苦。そこへ、調整員の1人であるハリーに声を掛けられる。デヴィッドが聞きたいことを教えてくれると言うため、ハリーの指示でフェリーへ乗った。
フェリーにて調整員についての話を聞く。調整員は俗に言う天使と呼ばれる存在で、通常の人間よりも長生きであり、世界と人々の運命を管理している。エリースと会うなと言う理由には、恐らく重大なことが隠されているからだろう。ハリーは彼女だけが、この世界にいるわけではないことを諭し、デヴィッドに諦めさせた。
3年後。出勤するバスに乗っていたデヴィッドは、偶然でエリースを発見する。慌ててバスを止め、彼女とようやく再会したデヴィッドは彼女を食事に誘った。
一方、彼の行動を冷静に監視し、次の行動を指示するリチャードソン。調整員達は様々な方法を駆使して、エリースとデヴィッドの引き離しを遂行する。
しかし、デヴィッドはエリースの所在を探そうと奔走。リチャードソンは彼に会って話をすることにした。
調整員は何としてでもエリースと会わせまいとし、デヴィッドはどうしても彼女と会おうとする。彼は非常に諦めの悪い男だった。
映画『アジャストメント』のあらすじ【転】
調整員よりも一歩先んじることに成功したデヴィッド。運命に定められたエリースのダンスを目にしてしまう。リチャードソンはそれを止めることができず、上司に呼び出しをくらうのだった。
局へ戻ったリチャードソンは上司に促され、過去の記録を見せられる。そもそも、エリースとデヴィッドは遠い昔から運命の相手として定められた存在だった。しかし、2005年に変更があり、エリースの相手は別の人物へと定められてしまう。だが、長い間運命の相手だった2人は、古くから続く運命の残骸により結ばれずにはいられないのである。互いに求め合う2人を、調整員達は引き離さなければならない。仕事とはいえ、それはあまりにも残酷な現実だった。
その頃、運命の恋人達は共に時間を過ごし、惹かれ合うままに身体を重ねる。2人の行動は逐一監視されているとも知らずに。
翌朝から彼女に元彼からの連絡が何度も入る。これもきっと、調整員の仕業だ。
その日、デヴィッドがテレビ番組へ出演している間、エリースは舞踏団の公演会場へ。番組が終わった後、デヴィッドも公演を観に行く予定だった。しかし、番組スタッフに案内された場所は調整員の局内である広場。デヴィッドは顔を上げてすぐさま踵を返すも、ドアは固く閉ざされてしまう。
外へ出ようと奮闘したが、どこへも抜け道はなかった。途方に暮れているデヴィッドの前へ歴代調整員と名高い通称ハンマーと呼ばれるトンプソンが現れる。彼から自分が将来、大統領になる役目を担っていると聞いたデヴィッドだったが、頑なにエリースとの別れを拒否。ハンマーは一旦、引くことにして彼をエリースの元へ送り出した。
舞踏団の公演へやって来たデヴィッド。彼女のダンスに魅了されていると、再びハンマーが現れエリースの未来を憂える。デヴィッドと一緒になれば、彼女の将来が潰えると言う。エリースは将来、世界的なダンサーとなる運命を持っていた。
公演中、エリースが負傷したことで彼女の未来を考えるデヴィッド。自分の未来よりもエリースの夢が潰えることに心を痛めた彼は、彼女を病院へ送り怪我の状態を聞いた後、姿を消した。
映画『アジャストメント』の結末・ラスト(ネタバレ)
11か月後。デヴィッドは上院選でのポイント稼ぎで優勢を記録していた。このまま行けば、当選は確実だった。しかし、ここにきてエリースのダンスが注目され、彼女が結婚するという記事が新聞に掲載される。
デヴィッドはその記事を目にし、何日かの休暇を取ることにした。だが、そんな彼の前にハリーが現れる。
彼はデヴィッドにエリースの未来が潰える話は嘘だと告げる。調整員は運命の書というものを所持しており、その書に記された運命に従い、調整を行っている。それらの書は議長が作成しているらしい。いわゆる神様という存在である。
デヴィッドはエリースと共にいる未来があるならば、彼女を取り戻したいと考えた。そして、ハリーに協力を要請。すると、ハリーは調査員が利用する通路の使い方を伝授。調査員が必ず被っている帽子が、ドアを繋ぐ鍵であることを明かす。ドアノブを右に回せばドアとドアを繋ぎ、左に回せば調整局へと繋がると言うのだった。
ハリーとデヴィッドは翌日に行われるエリースの結婚式に備え、一晩かけて通行用の回路について追手から逃れる術を考案した。注意事項は沢山ある。覚えることも沢山あった。
翌日は朝から雨が降っていた。結婚式が始まる10分前、ハリーの帽子を借りたデヴィッドは行動を開始。ドアからドアへ回路を通り、追手から逃れ続ける。そうして、エリースの元へ無事に到着。彼女をどうにか説得したデヴィッドは2人で逃走を開始した。
その頃、知らせを聞いたトンプソンは干渉班を要請し、デヴィッドのリセットを決定。追手を差し向ける。だが、2人は奴らの妨害に遭いドアが1つしかない場所へ誘導されてしまう。
デヴィッドはエリースへの深い愛を示し、1つしかないドアのノブを一緒に左へと回した。調整局へやって来た2人は、彼らのオフィスを通り抜けて更に逃走。
しかし、調整局の屋上へと追いやられた2人。万事休すである。デヴィッドとエリースは最後に深い口付けを交わした。
トンプソンは淡々と運命の書き換えはできないと話す。だが、そこへハリーが現れトンプソンに変更があったことを知らせ、書類を見せた。すると、トンプソンは態度を改め、静かに去って行く。
ハリーが言うには、議長はその都度姿を変えて至る所に現れるらしい。故に、今回のことが試験だと言うのならば、それは誰にとっても試験であった。それでも、デヴィッドは彼女のために行動し、エリースは彼と共にいるためにデヴィッドを信じた。
議長はそんな2人の強い絆に感動し、運命の書き換えを行ったのだった。ハリーが変更書類を2人に見せる。そこには、エリースとデヴィッドが共に肩を並べ、歩む運命が示されていたのだった。
映画『アジャストメント』の感想・評価・レビュー
人の人生が裏で決められている事実に挑み自ら運命を切り開こうとする青年の姿を描くSFサスペンスをマッド・デイモン主演で贈る。
人生がうまく行かないと感じることはどんな人でもあると思うが、そこを逆手に取った設定が斬新で今までに見たこと作品となっていた。主人公デヴィッドが自分の想いを貫こうと足掻くもそれを阻止され続ける姿はまさに「運命に翻弄」されているようだと感じた。(男性 20代)
カテゴリーとしては、ラブストーリーになるのかもしれないが、あまり他では見る事の出来ないような大きな力に阻まれる2人が結ばれるまでを描いた作品。主人公デヴィッドが一目惚れした相手エリースと結ばれる為には、神様が定めた運命と対峙しなければならず、幾度となく、彼女とは別々の道を進むように選択を迫られるが、直向きにエリースを追いかける姿がとても胸に来る映画である。最後には、定められていたはずの運命に打ち勝つという最高のハッピーエンドが待っている。最初の数分では想像もしなかった、人を真っ直ぐに愛する力の偉大さというものに思わず感心してしまうほど、非常に気持ちの良い作品であった。(男性 30代)
主演にマット・デイモンや、他の出演者もとても豪華でよかったが、ストーリーの内容がいまいち作り込めていないような気がしてあまり入り込めず、そこは残念に思った。普通のラブストーリーではなく、日常の中にSFのようなファンタジーのような設定が入り込んでいるので、現実味がないところもロマンチックに見え、あまり矛盾を考えずに観ることが出来て良かったと思った。
最後は気になるような結末だったので少しすっきりしない終わり方だった。(女性 20代)
ある女と運命的な出会いをする男。しかしすぐさま「運命調整局」と呼ばれる組織に阻まれてしまう。そんな男が組織の存在から逃れつつ、彼女と結ばれるべく奔走するストーリー。主演はマット・デイモン。本当に彼はこういう役が似合います。いつも簡単には結ばれない。なかなか幸せになれないんですよね。
SF要素もありながら、ラブストーリーとしてもしっかり成立するこの作品。「運命」とは何なのか、この作品を見ると少し羨ましく思います。同時に、切なくて悲しいと感じる人も少なくないかもしれません。(女性 30代)
政治ドラマかと思いきや、途中から急に幻のようなSFストーリーへと展開していきます。運命は既に決まっていて、逆らおうとすると組織に運命を調整されてしまう、摩訶不思議な物語は見応え十分でした。偶然なんて存在せず、どんな小さな出来事も必然なのかもしれません。メッセージ性が強く、観た後に運命について思いを馳せたくなりました。マット・デイモンとエミリー・ブラントの会話や惹かれあっていく過程が面白く、うっとりしました。(女性 30代)
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