映画『逢いびき(2014)』の概要:ひょんなきっかけから互いを意識し、逢瀬を重ねるようになった男女。2人は互いに既婚者であったが、次第に恋心を抱くようになる。何度も逢いびきを繰り返し、思いを募らせやがて、その関係が互いの家庭を破滅に追いやってしまう。
映画『逢いびき』の作品情報
上映時間:83分
ジャンル:ラブストーリー
監督:塙幸成
キャスト:丸純子、赤木伸輔、茜ゆりか、冨手麻妙 etc
映画『逢いびき』の登場人物(キャスト)
- 忠志(青木伸輔)
- フリーカメラマン。妻と2人の子供と暮らしているが、楽観的で子煩悩。そんな面が妻には不満で呆れられている。控えめで身持ちの固い裕子に惹かれ恋をする。
- 裕子(丸純子)
- デザイン会社でバイトをしている主婦。夫と姑の3人暮らし。身持ちが固く深い愛情の持ち主。姑に子供をせがまれることに酷く胸を痛めている。気さくで優しい忠志に恋をする。
映画『逢いびき』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『逢いびき』のあらすじ【起】
フリーカメラマンの忠志と主婦の裕子はある日、街角で出会い頭にぶつかり転倒してしまう。その時はかすり傷程度で済んだため、互いに軽く挨拶をするだけですぐに別れた。
2人は既婚者でそれぞれに家庭内で問題を抱えていたが、特別大きな不満もなく平々凡々と暮らしている。
それから1カ月後、裕子はバイト先のデザイン会社へ向かう際にエレベーターへ搭乗。同じタイミングでビル内のレストランへ撮影に向かう忠志と一緒になった。しかし、エレベーターに何らかのトラブルが発生し、途中で停止してしまう。2人は互いに協力し、エレベーターから救助サインを出したが、無事に起動するまでの間、軽く会話を交わした。
そうして以前、街角で出会い頭にぶつかった相手だと思い出すのである。その後、エレベーターは無事に起動し、2人は何となく互いを気にしながら別れるのだった。
仕事を終えた後、タイミングが一緒になることはなく、気落ちしつつも帰路へ就いた裕子と忠志。
またも偶然、道路で姿を発見し忠志が裕子を車で送ることになった。互いに緊張しつつも、車内という狭い空間で和気藹々と会話が弾む。そうして、忠志は裕子に友人としてまた会いたいと話した。しかし、裕子はその申し出に乗り気ではなく、またどこかで会えたらと曖昧に返答するのである。だが、自宅近くで忠志の車から降りた裕子はふと、思い直して彼の元へ戻り翌週に会う約束をしてしまうのであった。
映画『逢いびき』のあらすじ【承】
約束の日、忠志が遅刻するという事態が発生するも、2人は無事に合流し公園で他愛ない会話をして過ごした。思いの外リラックスし気兼ねなく過ごせることに気付いた2人は、連絡先を交換しその後も会い続ける。
そうして、何度目かの逢瀬の折、ふとした瞬間に手が触れ合い意識するようになり、次に会った際、口付けを交わした。だが、忠志が調子に乗ってがっついてしまったため、裕子が怖気づいてしまい気まずい雰囲気となってしまう。
以降、彼女は忠志と会うことを控えるようになってしまうのだった。
裕子と夫はもう若いと言える歳ではない。だが、夫は仕事が忙しく若い頃は子供を作る暇もなかった。姑は人工授精でもいいから孫の顔が見たいというが、それには裕子が抵抗を覚える。夫は不器用で言葉足らずなため、妻との会話も満足に成立しないのだった。
一方、忠志の家族は妻と幼い息子が2人いて、家の中はいつもやかましい。妻は夫の不安定な収入に不安を覚えており、楽観的な忠志にいつも呆れていた。彼は家にいても、何だか息が詰まる思いを抱えている。
そんなある日、裕子から会いたいとメールが入り、意気揚々と会いに行った忠志。だが、彼女の言葉に愕然とする。裕子は忠志との関係を心苦しく思い金輪際、会うのはよそうと言うのだ。忠志は納得できず話し合おうとしたが、彼女は逃げるように去ってしまうのだった。
映画『逢いびき』のあらすじ【転】
それでも諦めきれない忠志。彼は去って行く裕子を追いかけ、2人は熱烈な口付けを交わすのであった。こうなるともう、歯止めが効かない。
その後も逢瀬を続けた裕子と忠志。勢いづいて肉体関係を持とうとするが、裕子の踏ん切りがつかず。忠志はそんな彼女を優しく労り、落ち着くまでただ抱き締めるのだった。
そうして、とうとう2人は一線を越えてしまうのである。
ホテルから別れた後、スマホを確認した裕子は夫が倒れたとの知らせに驚愕。慌てて搬送された病院へ向かうも、姑から責められ肩身の狭い思いをする。夫は妻に気にしないよう優しい言葉をかけてくれたが、すぐに駆け付けられなかった理由が浮気相手と体を重ねていたからとは、口が裂けても言えないことだった。
彼女は酷く憔悴し、忠志に別れのメールを送りつけた。けれども、日を追う毎に会いたい気持ちが募る。彼女は我慢できずに忠志へと電話を入れ、声を聞いて涙を流した。
突然の別れに肩を落とす忠志。
映画『逢いびき』の結末・ラスト(ネタバレ)
そんなある夜、忠志は妻から裕子の件で問い詰められる。どうやら寝言で名前を呼んでいたらしく、彼は妻の責め立てに何も言い訳をしなかった。
更に忠志へと仕事を回してくれていた会社が不渡りを出し、仕事の口も無くなってしまう。妻は子供を連れて家を出てしまい、彼は広いマンションで一人きり。思い詰めた末に裕子へと手紙を書くことにした。
火曜日の夜、最後にもう一度だけ会いたい。手紙にはそう書いた。だが、彼の元へ弁護士が訪れ、離婚について火曜の夜に話し合いをすることになる。忠志はそれを断ろうとするも、押し切られてしまう。
そうして、約束の火曜日。裕子は夫と夫婦水入らずで過ごし、忠志には会いに行かないつもりだった。それでも時間が迫るほど、落ち着かなくなる。そんな妻の様子に何かを察していた夫は、妻が出かけると言い出した時、スマホを取り上げてまで止めようとした。だが、裕子は堪えきれず、家を飛び出してしまう。
必死に駆けて行く裕子だったが、道も半ばに転倒。足を挫いてしまい動けなくなる。彼女はその場にて忠志との別れを惜しみ号泣するのであった。
それから1年後、裕子は夫と離婚して独身になっていた。対して忠志も離婚が成立し、新たにフリーカメラマンとして歩み始めている。そんな2人が、またも街中でばったり出会ってしまう。2人はぎくしゃくと挨拶し、無理矢理に明るく振る舞って何事も無かったように別れた。
しかし、2人の思いはあれからも色褪せることなく、心の奥底で燻っている。裕子は泣き出しそうになりながら、最寄りの駅から出て驚いてしまう。なぜなら、そこに忠志が待っていたからである。2人は強く抱きしめ合い、互いの愛を確かめ合うのだった。
映画『逢いびき』の感想・評価・レビュー
既婚者である男と女がひょんなきっかけから交際を始め、本気になってしまう。許されざる関係であるが故に思いは募り、やがて破滅の時が訪れるという内容。
言ってしまえば、良くある不倫の話である。じっくりと丁寧に募る恋心と懊悩を描いている。
始まりは街角で出会い頭に衝突。次はエレベーターで一緒にトラブルに巻き込まれる。そこから交際がスタートし、最終的には互いの家庭が破滅。1年後に街中でばったり再会。何度も偶然が重なるとそれは最早、運命なのではないかと思われる。(MIHOシネマ編集部)
浮気とか不倫って本当に誰も幸せにしませんよね。そんなこと言っちゃうとこの作品、元も子もないんですけど、不倫は映画の中で疑似体験で楽しんでおいて、いやあやっぱりしなくてよかったって思い留まりましょう。
この作品の2人はそれが出来なかった人たち。「3回出逢えばそれは運命」浮気する人ってなんでもこうやって運命にしたがりますよね。抑えきれない感情が…なんて言うと悪いことをしている背徳感が余計に2人を燃え上がらせるのかもしれませんが、実にみっともなくて浅はかだなあと感じました。
とにかく浮気して幸せだと勘違いしてるのは当の本人2人だけですよ。(女性 30代)
90分弱と短い映画であるためサクッと鑑賞でき、さらに鎌倉や湘南、みなとみらいの美しい風景をたっぷり楽しめます。主演の男女二人の芝居が少々ぎこちない気もしますが、それが『逢いびき』の味なんだと気付きました。役者という感じではなく、一般人の雰囲気を醸し出しているためストーリーがすんなりと入り込んできます。特に、丸純子はそのまま素朴な主婦という感じで、妙にリアルでした。そんなにロマンチックではありませんが、不倫の始まりから丁寧に描かれています。(女性 30代)
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