映画『映画女優』のネタバレあらすじ結末と感想 | MIHOシネマ

「映画女優」のネタバレあらすじ結末と感想

映画女優の概要:日本映画界を代表する女優、田中絹代の半生を描いている。京都にて臨時の女優をしていた絹代は、東京の若手監督に見出され蒲田撮影所の大部屋女優に入る。家族や愛には恵まれず、不遇な人生を送る代わりに演技は歳を経るごとに磨きがかかるのであった。

映画女優の作品情報

映画女優

製作年:1987年
上映時間:130分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:市川崑
キャスト:吉永小百合、森光子、横山道代、常田富士男 etc

映画女優の登場人物(キャスト)

田中絹代(吉永小百合)
京都の下賀茂撮影所で臨時の女優をしていたところ、清光に見出され家族と上京する。しとやかな中に芯の強さがあり、女優としての才能がある。清光との同棲生活から、結婚は一生しないと心に決めている。恋多き女性。やがて、溝内に惹かれる。
ヤエ(森光子)
絹代の母。長男は徴兵から逃亡し行方不明。娘を頼りにしつつ、絹代を支え続ける。長男の逃亡で極貧生活を送り、一家を支えた過去を持つ。
溝内健二(菅原文太)
京都の撮影所に所属する監督。俳優の心に沿って撮影を行う人物。非常に純情な男性で、研究に研究を重ねる緻密さと俳優の内からの演技を求める。絹代とその才能に惹かれる。
城都四郎(石坂浩二)
蒲田撮影所所長。絹代の才能を見抜き、彼女を全面的に押し出した作品を世に多く送り出す。
清光宏(渡辺徹)
田中絹代を抜擢し、東京の鎌田撮影所の大部屋女優として推薦する。その後も住宅を融通するなど面倒を見る。女癖が悪いことで有名。

映画女優のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『映画女優』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画女優のあらすじ【起】

大正15年、京都の下賀茂撮影所にて臨時働きの女優をしていた田中絹代は、東京の蒲田撮影所に所属する新人監督、清光宏に見出され東京の蒲田撮影所の大部屋女優になることになった。家族は大喜びし、鯛のお頭つきを食卓に出してお祝いしてくれる。
そこで、芸名を決めることになるが、母ヤエは徴兵から逃走した長男が分かるようにと、娘に本名で出るよう頼み込んでいた。

そういう理由もあって、彼女は本名の田中絹代で女優活動を開始。大部屋女優の給料は通常10円から15円だが、なぜか彼女だけは30円も貰っていた。彼女らは午後遅くに張り出される予定表を見て仕事へ赴くが、大抵の女優は仕事がなくても出勤している。撮影所をうろついていれば、どこかの監督の目に留まり抜擢される可能性があるからだ。大部屋には大勢の女優が所属していたため、仕事を得るには大変なことだった。

昭和2年、清光宏が大部屋女優を叱責。絹代が特別視されているとやっかみを受けていたためだ。清光は23歳と若かったが、絹代の後見人でもあった。
前日の夜、絹代に別の監督から主役に使いたいという話が舞い込んでくる。その監督は非常に熱心で、絹代は清光に相談せず話を進めてしまう。すると、話を聞いた清光が彼女に意を唱えるのだ。

所長の城都四郎は非常に優秀で蒲田撮影所の邁進を図るため、絹代の純情で可憐な様子が人気を博すと考えていた。彼はこれからの映画は民衆に親しまれるものでなければならないと言う。絹代を主役に選んだ監督は、民衆に親しまれる脚本を書く。故に城都はそれを許すのであった。

絹代初主演の映画が完成。彼女は祝賀会から清光に連れ出され告白される。絹代も彼を慕っていたため、2人はその日の夜に身体を重ねてしまう。以降、絹代は清光の家に入り浸るようになり、朝帰りが増える。主役を務めてから彼女は準看板女優へとのし上がっていた。
母ヤエは清光と結婚すると言い出した娘を叔父と共に説得するが、絹代は家族の話を聞こうともしないのである。

映画女優のあらすじ【承】

同じ頃、城都は清光に絹代との結婚は2年待てと言う。同棲しても構わないが、結婚してしまうと旬が過ぎるからである。現在、彼女は準看板女優であるが、絹代はまだ伸び盛りなのだ。

昭和3年、若くして清光と同棲を始めた絹代だったが、2人とも仕事が忙しくすれ違う生活が続く。その後も絹代は様々な作品へ出演。このことで、監督は俳優の心に沿って役を演じさせるのが、本物なのだと言い横柄な清光にそのことを話した。すると、彼は怒り出し自分はどうなのだと問う。彼女は監督が熱中しなければ、俳優も熱中しないと言うのだった。

それから冬が過ぎ春。清光の女の噂が撮影所中に流れている。絹代は清光と口論になり、かっとなった彼が殴ってきたため、絹代も負けじと言い返し、清光の前で排尿して実家へと帰る。これにて2人の1年と少しの同棲生活は終わりを告げた。その時、絹代はもう一生結婚はしないと心に決めるのである。

看板女優となった絹代は城都に言われ、手頃な2階家へ家族と引っ越すことにする。だが同じ頃、叔父が風邪で肺炎をこじらせ、あっけなく亡くなってしまう。
昭和6年、絹代主演で日本のトーキー映画第一作目が完成し人気を博す。その後昭和8年、トーキー映画が流行り始める中、意表を突いて無声映画『伊豆の踊子』を発表。2作品共に大盛況だった。

昭和11年、家族を養いつつ多くの俳優と恋を重ねる絹代は、鎌倉に豪邸を建てようと考えていた。蒲田撮影所から信達の大船へ新設された撮影所へ移行した頃である。彼女は俳優たちに揶揄われ、絹代の元を訪れた青年を付き人兼、用心棒として雇い入れ、家族同然に暮らしていた。しかし、ここにきてヤエが倒れてしまう。母は亡くなる間際、行方不明になった長男のことを娘に頼むのであった。

映画女優のあらすじ【転】

世界的な不況が囁かれる中、映画業界は更なる発展を遂げ、意欲溢れる作品が作られた。
だが昭和12年、日支事変が勃発。これにより内務省にて映画統制委員会の政府機関が設立され、映画業界に対して厳しい干渉を加えるようになる。

この頃になると、高峰三枝子などの若手女優が台頭。絹代は彼女らがやらないような役を演じることで、その座を守った。彼女は俳優に勝敗などというものがないので、辞め時が分からないと言うのである。

昭和15年、絹代は撮影のために京都へ。監督の溝内健二は彼女へ大量の本を届け、役作りに役立てるように言われる。だが、絹代は台本以外の本を読んだことがなく、監督の希望に沿って、言われた通りに演じるのが女優だと思っていたため、溝内の考えが分からなかった。
台本のセリフは全て頭に入っており、いつでも撮影を開始できる状態にしていた絹代だったが、京都に来てからすでに1週間が経過。

そんな時、絹代の下宿先に溝内がやって来る。彼は渡した本で文楽の勉強をしたか確認し、翌日は大阪に文楽を見学に行くので、共に来いと言うのであった。彼に興味を抱いた絹代。そうして、いよいよ撮影が開始される。

しかし、セリフ合わせの段階から、脚本がどんどん手直しされてしまい、最終的に絹代のセリフがなくなってしまう。結局、撮影は進まず。以降、絹代は溝内から次々とダメ出しをされる。散々、心理的にやってくださいと言われ続け、絹代も徐々に追い詰められる。
これは東京の撮影所ではあり得ない手法であった。

そこで、絹代は溝内に教えを乞うたが、自分は監督なので演技のことは教えられないと拒否されるのである。曰く、彼は女を撮る時は、女に後ろから刺されるくらいでなくてはならないらしい。
一方、溝内も絹代の芯の強さや彼女の演技に対する熱い魂を感じていた。彼女は今までの女優とは違う。身の内から迸る何かが、絹代にはあるのだ。

映画女優の結末・ラスト(ネタバレ)

溝内が求めるものを上手くできない絹代は連日、疲れ果てて帰宅。だが、彼女は負けるものかと意地を張る。そうして、ようやく撮影が終了。彼女は溝内に見送られ、東京へ戻るのであった。この時、絹代は女優であることが自分の全てで、他のことは全て芝居で良いと思っていたが、それが間違いであったことを知る。彼女は溝内に惹かれていたのだ。

昭和26年、溝内が監督を務めるとのことで、映画のストーリーも知らずに快諾した絹代。タイトルは『西鶴一代女』。原本は井原西鶴の『好色一代女』だった。溝内と初めて仕事をしてから10年。監督は彼女の魅力を最大限、引き出すことができずに自信を無くしており、対して絹代は年齢によって老醜と書かれるまでに至り、気付いたら主要映画から外されていた。

終戦後、映画業界は盛り返しを見せ、数々の名作が生まれ始めていた時代だった。黒澤明監督の『羅生門』が海外で賞を受賞し、日本の映画が世界へと認められるようになったのも、この頃である。

苦労して許可を取った撮影現場にて、列車が付近を通るために汽笛の音が撮影の邪魔をすると溝内が渋る。彼は昔と同じように研究に研究を重ね、例の如く撮影が始まらない。世間では溝内と絹代のタッグはもうやめさせるべきだと言われていた。
今回の作品はテーマが古い女であったが、そこで絹代は古いやり方はやめて、新しいやり方でやりましょうと提案。すると、溝内は激怒し生意気な絹代を降板させろと命令する。撮影開始の2日前のことだった。

だが、溝内は主人公の女は絹代以外に演じることはできないと断言。彼はその夜、彼女の元を訪れ考え方を改める。絹代も絹代で自分が悪かったと謝罪。彼女は役に対して覚悟を決めたと話す。すると、溝内は彼女の部屋へ泊まることにするのだった。

そうして、撮影が開始。恐らく溝内はこの作品と心中するつもりである。それなら絹代は彼と心中しよう。そこまで自身を追い詰めての撮影入り。そして、彼女は冒頭から迫真の演技を見せるのであった。

映画女優の感想・評価・レビュー

日本映画の黎明期から映画界を支えた大スター田中絹代。彼女は大物監督に重用され、約260本もの作品に出演している。主人公の絹代役に吉永小百合が演じているが、終盤には鳥肌が立つほどの演技を見せる。

市村崑監督による作品であるが、同時に映画界の歴史も挟まれ、時代と共に映画業界がどのように発展を遂げてきたのかも描かれている。溝口健二監督との出会いにより、絹代の演技に磨きがかかる場面など、壮絶極まりない。(MIHOシネマ編集部)

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