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映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』の概要:「パメラを紹介します」という映画を撮影するという設定で、次々と問題が起こる映画製作の現場を映画にしたというユニークな作品。フランソワ・トリュフォー監督自身が劇中でも監督役を演じており、映画の撮影現場を見学しているような楽しさがある。

映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』の作品情報

映画に愛をこめて アメリカの夜

製作年:1973年
上映時間:117分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:フランソワ・トリュフォー
キャスト:ジャクリーン・ビセット、ジャン=ピエール・レオ、ジャン=ピエール・オーモン、アレクサンドラ・スチュワルト etc

映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』の登場人物(キャスト)

ジュリー(ジャクリーン・ビセット)
ハリウッド女優。映画「パメラを紹介します」のパメラ役に選ばれ、アメリカからニースへやって来る。母親も映画女優だった。精神的に不安定な時期があり、その時主治医だったネルソン博士と結婚した。
アレキサンドル(ジャン・ピエール・オーモン)
ベテラン俳優。劇中で撮影される映画では、息子の嫁のパメラと恋に落ちる父親役を演じる。プレイボーイだがみんなに好かれている。独身なのでクリスチャンという青年を養子に迎えるつもり。
セブリーヌ(ヴァレンティナ・コルテーゼ)
ベテラン女優。アレキサンドルの妻役を演じる。20年ほど前にアレキサンドルと恋仲になったことがある。アル中気味でセリフの覚えが悪い。
アルフォンス(ジャン=ピエール・レオ)
若手俳優。ジュリーの夫役を演じる。精神的に子供で、プライベートを仕事に持ち込むタイプ。恋人のリリアンを撮影スタッフとして同行させている。
フェラン(フランソワ・トリュフォー)
映画監督。次々と起こる問題を解決しながら、映画の撮影を進めていく。少年時代から映画が大好き。
ジョエル(ナタリー・バイ)
助監督。しっかりした女性で、冷静に現場を見ている。男よりも映画が大事。
リリアン(ダニ)
アルフォンスの恋人。アルフォンスのコネで、スプリクトとして雇ってもらう。かなりの浮気性で、アルフォンスを振り回す。
ネルソン(デイヴィッド・マーカム)
ジュリーの夫。精神科の医学博士。ジュリーの主治医となり、妻子を捨てて彼女と結婚した。すでに白髪の紳士で、ジュリーよりはかなり年上。

映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』のあらすじ【起】

ニースのビクトリーヌ撮影所では、映画「パメラを紹介します」の撮影が始まっている。パメラ役のジュリーがハリウッドからまだ到着していないため、彼女の出ないシーンから撮影は進められていた。

この映画は、花嫁が夫の父親と恋に落ちるという恋愛映画で、今日は群衆の中で息子役のアルフォンスが、父親役のアレキサンドルを平手打ちするシーンが撮影されている。撮影所には市街地のセットが組まれ、大勢のエキストラが配置される。フェラン監督(以下監督)はエキストラにも細かい指示を出し、撮り直しを繰り返す。

撮影隊は近くのホテルに宿泊している。アルフォンスは恋人のリリアンと同室だった。彼は彼女と一緒にいたいがために、彼女をスタッフにしてもらっていた。女性経験の浅いアルフォンスは、いきなりリリアンにプロポーズする。しかしリリアンの反応は微妙だ。

監督は、常にスタッフや俳優から“これはどうしますか?”という質問を受けており、ひたすらそれに対応する。映画の撮影にトラブルはつきもので、ジュリーの所属するアメリカの事務所からは、彼女の到着がまだ先になると連絡がある。さらに、金と時間をかけた群衆シーンのネガがダメになったと連絡があり、監督とプロデューサーは頭を抱える。プロデューサーは、主演女優の変更も視野に入れていた。しかし監督は、パメラ役はジュリーで譲らない。

アレキサンドルは、自分の妻役を演じる旧知のセブリーヌに挨拶へいく。2人は20年前にハリウッドで共演し、その時には男女の関係だったらしい。アレキサンドルは、“ヨーロッパの色事師”と呼ばれるプレイボーイだった。

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映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』のあらすじ【承】

アルフォンスは、リリアンの返事も聞かないうちに“彼女と結婚するので介添人になってほしい”と監督に頼む。監督がリリアンに“おめでとう”と声をかけると、彼女は変な顔をする。

セブリーヌは、アレキサンドルと喧嘩をするシーンでNGを連発する。セブリーヌには病気の息子がおり、その心労からアル中気味になっていた。最後にはセブリーヌが泣き出してしまい、監督は仕方なく撮影を中止する。予算や俳優のスケジュールなどを考えると、撮影時間に余裕はない。

秘書役の女優は、プールで泳ぐシーンを追加され、水着になるのを嫌がる。彼女は自分が妊娠3ヶ月であることを隠していた。監督は代役を考えるが、プロデューサーは契約違反になることを心配し、脚本を変えたらどうかと言い出す。監督はきっぱりとそれを断る。

あれこれと問題が発生する中、ようやくジュリーがやってくる。彼女の夫のネルソン博士も同行していた。ネルソン博士は初老の男性で、ジュリーとの年齢差は30歳以上ありそうだ。それでも2人は熱烈に愛し合っていた。

アルフォンスは、浮気性のリリアンのことが心配で、撮影に集中できない。実際にリリアンは、カメラマンの男と浮気していた。

ジュリーが到着したので、アレキサンドルとのラブシーンなどが撮影される。アレキサンドルは、映画女優だったジュリーの母親のこともよく知っていた。リリアンに振り回されているアルフォンスは、いろんな人に“女は魔物なのか”と聞きまくる。アルフォンスは、精神的にかなり子供だった。

ネルソン博士はジュリーが安定していることを確認し、仕事のために帰国する。一時期は精神的に不安定だったジュリーも、博士のおかげでかなり元気になっていた。アレキサンドルは、自ら車を運転して、博士を空港まで送っていく。

映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』のあらすじ【転】

組合との協定で、半日撮影を休まなくてはいけなくなり、撮影スケジュールが変更される。明日は台所のシーンの撮影となるが、脚本がまだ仕上がっていない。監督と助監督のジョエルは、急いで脚本を仕上げる。

翌日、台所でパメラが義父に愛を告白するシーンが撮影される。これで撮影がようやく半分終了した。監督はひたすら完成を目指して撮影を進めていく。

撮影の合間の宴の席に、アレキサンドルは養子にする予定の青年クリスチャンを連れてくる。しかしクリスチャンにはフランス国籍がなく、養子にするのは容易ではないらしい。

パメラの事故のシーンのスタントマンがやってくる。このシーンは、「アメリカ式の夜」と呼ばれる撮影方法がとられる。それは、カメラにフィルターをかけて昼を夜に見せるという撮影方法だった。

事故シーンの撮影日。山中の撮影現場へ向かっていたジョエルは、車がパンクして困っていた。小道具のスタッフがそれを助け、2人は川辺でセックスをする。しかし2人に愛はない。

山道を走ってきたパメラが事故を起こし、車が崖下に転落するというシーンの撮影は無事に終了する。撮影終了後、リリアンはスタントマンと消えてしまう。

ジュリーは、リリアンがスタントマンとイギリスへ駆け落ちするという話を聞き、彼女の気まぐれに呆れる。心配なのはアルフォンスのことだった。

セブリーヌの撮影が終了し、全員で記念撮影をすることになる。リリアンがいないことに気づいたアルフォンスは、“彼女はどこだ”と騒ぎ出す。ジュリーは仕方なく、アルフォンスに事情を話す。アルフォンスは、そのままどこかへ行ってしまう。

その夜はセブリーヌのお別れ会が開かれるが、アルフォンスはいじけて部屋から出てこない。アルフォンスは、まだ撮影が残っているのに、“今夜ここを去る”と言い出してジュリーを困らせる。ジュリーは、何を言っても聞く耳を持たないアルフォンスを引き止めるため、その夜ベッドを共にする。

映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』の結末・ラスト(ネタバレ)

翌日、アルフォンスはジュリーのおかげで残る気になり、彼女は安心して撮影へ向かう。ところが、バカなアルフォンスは“奥さんと寝たので離婚してください”とネルソン博士に電話をかけてしまう。

撮影現場でネルソン博士と電話で話したジュリーは、ショックのあまり部屋に閉じ困ってしまう。しかもアルフォンスまで行方不明となり、監督やスタッフは対応に追われる。ジュリーは部屋に閉じこもって泣き続けていた。

ジュリーに“泣き止むには大量のバターが必要だ”と言われ、プロデューサー自らがバターを買いに走る。アルフォンスは、カート場で発見された。

監督と話したジュリーは、“こんなことで迷惑をかけて申し訳ない”と謝罪する。妻子まで捨てて病気の自分と結婚してくれた夫のことを思うと、ジュリーは自分が許せなかった。事情を聞いて撮影所に駆けつけたネルソン博士は、ジュリーに優しく接する。それでようやくジュリーも安心し、撮影が再開される。

ところが、撮影所に“アレキサンドルが自動車事故で死んだ”という突然の訃報が届く。あまりの衝撃で、一同は言葉を失う。

撮影は一時中断され、アレキサンドルはニースに埋葬される。監督とプロデューサーは、“なんとか映画を完成させて欲しい”と、保険会社と交渉する。保険会社は、5日以内に撮影を終了するならと続行を許可してくれる。

父親役を別の俳優で撮り直すことは不可能なので、ラストシーンは、雪の街中で息子が背後から父親を撃ち殺すという設定に変更される。急ピッチで準備が進み、アレキサンドルと背格好の似た代役もやってきて、ラストシーンの撮影が始まる。

撮影を終えていたジュリーは、ネルソン博士と別れの挨拶に来るが、みんなは忙しくてゆっくり話す余裕がない。アルフォンスはジュリーに謝罪し、2人は笑顔で別れる。

ようやく全ての撮影が終わる。数ヶ月寝食を共にしてきたスタッフや俳優たちは、別々の場所へ帰っていく。撮影は苦労の連続だったが、テレビのインタビューを受けたスタッフは、“何もかもうまくいったよ”と笑顔で語る。どんな苦労があろうとも、映画への愛がある限り、映画人たちは新しい映画を作り続けるのだ。

映画『映画に愛をこめて アメリカの夜』の感想・評価・レビュー

映画好きの人にはお勧めの作品。
映画を製作するという舞台裏が面白い。チームで動くという素晴らしさを教えてくれる。

なかなか言う事を聞かない仔猫やNGを繰り返す大御所女優、妊娠を隠していた女優、ハラハラしながら見守るスタッフたち。臨場感あふれる。
制作スタッフは家族だとよく聞くが、この作品を観ると本当にそうなんだなと感慨深くなる。
音楽もとても良い。(女性 40代)


映画を作る過程の本来なら見せたくない部分をあえて見せてくれるあまりない貴重な映画だと思う。
作り手の映画に対する熱い思いや情熱をひしひし感じることができ、これからどんな映画を観るにしても作り手の気持ちをしっかりと考えながら観ようと思える作品だった。

雪を降らせるシーンの雪が泡だったり夜のシーンを昼にとったり自分が今まで観てきた映画は改めて作られたものだったと思い知らされた気がした。(女性 20代)


映画が大好きな監督がタイトル通り「愛をこめて」映画を作るストーリーを描いたこの作品。映画製作の裏側を見ることが出来てものすごくわくわくしました。
映画に対する「愛」はもちろん、苦悩や本音も描かれていて「初めは傑作を作ろうと意気込むが、トラブルが続くとどうにかして早く仕上げてしまいたいと思うようになる。」という作中に出てくるセリフは今作のフランソワ・トリュフォー監督の本音なのではないかなと感じました。とても面白い作品です。(女性 30代)

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