久しぶりの再会を果たしたピアニストの母と娘の確執を描く重厚な人間ドラマ。イングリッド・バーグマン最後の主演映画。監督はスウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン。
映画『秋のソナタ』 作品情報
- 製作年:1978年
- 上映時間:92分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:イングマール・ベルイマン
- キャスト:イングリッド・バーグマン、リブ・ウルマン、レナ・ナイマン、グンナール・ビョルンストランド etc…
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映画『秋のソナタ』 評価
- 点数:100点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『秋のソナタ』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『秋のソナタ』のあらすじを紹介します。
ノルウェーの田舎にある牧師館に暮らすエヴァ(リヴ・ウルマン)は夫のヴィクトールと静かな生活を送っていた。エヴァは有名ピアニストの母シャルロッテ(イングリット・バーグマン)と7年ぶりの再会を果たすべく彼女を家に招いた。老いてなお美しさと気品溢れる母を表面上歓迎はするが、お互いに心情を探り合うのだった。今回の対面には母と妹のヘレナを会わせるという目的もあった。脳性麻痺で寝たきりのヘレナは長らく施設に預けられていたが、エヴァが引き取っていたのだ。そのことすら知らなかったシャルロッテは、突然突きつけられた状況に動揺を隠せず、逃げるようにヘレナの部屋から出て行くのだった。
夕食後、シャルロッテはエヴァの前で見事なプレリュードを演奏する。隣で聞いていたエヴァは、かつて母に抱いていた畏怖にも似た尊敬の感情を思い出すのだった。その後シャルロッテはヴィクトールから、息子のエリックが溺死した時のエヴァの様子を聞く。そして深夜、母と娘は二人で話し合う。酔ったエヴァは母に子供の頃の不満を全てぶちまける。家族を顧みなかったこと、自分の都合で干渉してくること……。シャルロッテも反論するが、翌日逃げるように牧師館を後にした。数日後、そこには再び母に手紙を書くシャルロッテの姿があった。
映画『秋のソナタ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『秋のソナタ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
エヴァの怒りの起因
今作のテーマは母と娘の関係性についてだ。母と娘という関係は、一般的に父と息子の関係ともまた異なる。子供は父親の背中を見て育つなどと言うように、父親はある程度子供への無関心が家庭内での役割的に許容される傾向にあるが、母親はそうはいかない。子供に愛を注ぐ存在、所謂「母性」を持った存在として期待される。今作のエヴァもシャルロッテの「母性」の無さを糾弾し、都合の良い時だけ自分に干渉する身勝手さを責める。
しかしエヴァの怒りはもっと内向的なものにも見える。エヴァは息子のエリックを溺死で失っており、以前にも母親になるチャンスを失ったという過去を持つ。一方シャルロッテは家族よりも自分の仕事を優先させるような「母親失格」でありながらも、2人の娘の母親である。自分の方が資質はあるはずなのに、母親にすらなれない。そんな自分への苛立ちが、母への怒りへとすり替わっている側面もあるのだ。
2人のこれから
2人の関係は修復されることなくシャルロッテは去って行くが、エヴァは再び母に手紙を書く。そこには「まだ手遅れではない」と書かれている。エヴァはシャルロッテを「母親失格」だと思いながらも、彼女への尊敬の念は失われていなかった。夜母がピアノを演奏している時、エヴァはその横顔に母としての威厳を感じ取っていたのだ。本来の母娘の関係とはだいぶ異なる形だが、そこに依然として絆は存在している。おそらく数年後、2人はまた同じことを繰り返すのだろう。わだかまりはとけることなく、それでも絆だけは確認されていく。血は水よりも濃いということだろうか。
母と娘の関係ってすごく特殊で、親子であっても親友のような関係だったり、絶対に従わなければいけない服従の関係だったり、形は様々でもそこにあるのは「女と女」の関係だと思います。
今作でエヴァは母に幼少期の不満をぶちまけるシーンがありましたがそれは大人になったから出来たこと、つまり環境が変化し、本音を言えるようになった「良い事」だと思うのです。女同士だからこそ頭にくることもあるし、逆に上手く結託できることもある。母と娘の関係ってすごく深いなと感じる作品でした。(女性 30代)
映画『秋のソナタ』 まとめ
イングリッド・バーグマン最後の映画出演となった今作は、館の中だけで繰り広げられる母と娘の微妙な関係を見事に描き出している。大して広くもない館の中をカメラはほとんど出ることなく、ただひたすら母と娘の表情を追い続ける。ベルイマンは人の表情を捉えるのが極めて上手いことで有名だが、今作では特にそれが素晴らしい。クロースアップによる切り返しは、心の揺らぎがほんのわずか表情に出る瞬間を逃さない。それを産み出すイングリッド・バーグマンと、リヴ・ウルマン両名の熱演は言うまでもない。中でもシャルロッテがピアノを演奏するシーンは圧巻だ。鍵盤だけを見つめて演奏する母と、その横顔をただ見つめ続ける娘を捉えた、息が詰まるような長回しは必見だ。
みんなの感想・レビュー
音楽映画だとばかり期待していたら、ほんの数シーンでがっかりでしたが内容が濃かったので、ま、いっか。