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映画『オール・ザ・キングスメン(1949)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『オール・ザ・キングスメン(1949)』の概要:元農夫のウィリー・スタークは、強い正義感から政界を変えようと州知事選へ立候補。着実に支持者を増やし3度目の選挙で当選したが、知事の座を手にした彼は次第に独裁者のように横暴な性格へと変わっていく。記者のジャックは、彼が変わっていく様子を詳細に記録していた。

映画『オール・ザ・キングスメン』の作品情報

オール・ザ・キングスメン

製作年:1949年
上映時間:109分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ロバート・ロッセン
キャスト:ブロデリック・クロフォード、ジョーン・ドルー、ジョン・アイアランド、ジョン・デレク etc

映画『オール・ザ・キングスメン』の登場人物(キャスト)

ジャック・バーデン(ジョン・アイアランド)
クロニクル社に勤める若い記者。田舎町の知事選で、市民からの人気が高まっているウィリー・スタークの取材を任される。スタークの純粋な正義感や勇敢さ、正直な心を感じ取ったジャックは、支援者の1人として肯定的な記事を執筆する。
ウィリー・スターク(ブロデリック・クロフォード)
カノマ市の元農夫。学はないが、元教員の妻、ルーシーに勉強を教えて貰いながら行政の不正を暴こうと立ち上がった。正直な気持ちを武器に選挙へ臨んでいたが、当選するためには裏での暗い取引があると気付いてしまい、自分を見失っていく。
アン・スタントン(ジョーン・ドルー)
ジャックが故郷に置いてきた恋人。街で長年判事を務めた父がおり、兄は現役の医者。将来性が不安定なジャックに一生付いていくと決めたが…。

映画『オール・ザ・キングスメン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『オール・ザ・キングスメン(1949)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『オール・ザ・キングスメン』のあらすじ【起】

クロニクル社のジャック・バーデンは、上司からの指示でウィリー・スタークの取材でカノマ市へと向かった。しかし、州知事選に立候補中のスタークは、行政の不正を糾弾するスピーチを行い一時逮捕されてしまっていた。そんな彼への市民からの期待は厚く、小学校の突貫工事は汚職と関係があると見抜き、政界浄化を訴えていたのだ。警察は目障りなスタークを不当逮捕したがすぐに釈放、ジャックは彼の家で取材を敢行した。

落選しても真実が伝わればそれでいいと語るスタークに、ジャックは「彼の中に勇気と正直さを見つけた」と肯定的な記事を執筆し提出。上司からのチェックを貰い休暇のため帰郷した。

ジャックの故郷は、カノマ市に程近いバーデンス・ランディングにあった。彼は世話になっている判事の元へ、帰宅の挨拶を告げに向かった。判事の姪、アンとは遠距離で交際しており、ジャックは判事やアンの兄、アダムと共に夕食を囲んだ。しかし、前知事であるアンとアダムの父は、記者という職に就くジャックを快く思っていなかった。そればかりか、スタークに対して好意的な記事を書いたジャックに対し「大衆を扇動する内容はやめなさい」と厳しく批判した。夕食は険悪な雰囲気で終わってしまった。

ジャックはアンと話し合い、不安定な職業だが付いてきてくれるかと問う。アンはしばし悩んだが、一生付いていくと決めた。

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映画『オール・ザ・キングスメン』のあらすじ【承】

ジャックの休暇も終わり、知事選でスタークは落選してしまった。しかし、スタークは妻と猛勉強に勤しみ法学士になると、事務所を開設した。

そんな折、カマノ小学校で非常階段が崩れ落ちる事故が発生し、児童数名が犠牲となってしまった。保護者達は「あの時君の話を真面目に聞いていれば…」とスタークに縋った。スタークは郡役人を起訴し、汚職がずさんな工事を生んだと訴えたのだ。

スタークは2度目の知事選に推薦されたが、それは実績を評価されたのではなく、もう1人の立候補者、ハリソンを目立たせるための噛ませ犬的人選だった。そうとも知らず懸命にスピーチの練習をするスタークだったが、広報官のサディから真実を聞かされた彼は、原稿の通りに演説することを辞めた。

自分の言葉で熱意ある演説を行ったスタークは、大衆の心を掴んだ。かなりの支持者を獲得したが、ジャックは政府からの圧力でハリソンを賞賛する記事を書けと強要される。嫌気が差したジャックは退職し、職を転々とした。

当然、スタークは落選した。

映画『オール・ザ・キングスメン』のあらすじ【転】

ジャックが次にスタークと会ったのは、4年後の選挙だった。より多くの支持者を引き連れているスタークだったが、そのためにばら撒いた金をどこから調達していたのかは定かではない。ジャックはスタークに雇われ、彼の帳面を記録した。

スタークは3度目の知事選で見事当選し、街中が歓喜に包まれたのだった。しかし、直後に部下のピルズバリーが政府助成金に手を付けたとして逮捕されると、スタークはスクープになる前に辞職表を書かせ、事件をもみ消した。それに憤ったアンの叔父は、スタークの弁護士を辞退、そのやり取りすら記録しているジャックは複雑な心境だった。

さらにスタークは、ルーシーと別居しサディと関係を持った挙句、アンとも関係を持っていた。スタントン家とのコネクションを切らないためである。また、新しく開設する医療施設の所長には兄のアダムを指名していた。スタークのやり口を危険視しているアダムは、話を断ろうとしていた。

そんな中、スタークの息子、トムが飲酒運転で事故を起こし、同乗していた少女に瀕死の重傷を負わせてしまう。

映画『オール・ザ・キングスメン』の結末・ラスト(ネタバレ)

スタークは、少女の父親を家に招き示談にしようとした。彼の会社を買収し、起訴できないようにと企んだのだ。少女の父親は当然提案を吞まず、スタークは彼を見張るようにと部下を送り込んだ。結局少女は息を引き取り、それ以来父親は行方不明になっている。

トムはなんとか快復したが、スタークは息子に「スターク家の誇りを見せろ」と強引にアメフトの試合へ出場させた。その結果脊椎を損傷したトムは、下半身の麻痺が残り車椅子での生活を余儀なくされた。スタークに頼み込まれ、トムへ手術を施したのはアダムであった。アンはスタークと結婚するつもりでおり、アダムは医療施設の所長を引き受けたため、スタントン家は事実上スタークに取り込まれてしまった。

スタークが次の知事選へ再出馬しようと目論んだその時、以前事故を起こし亡くなってしまった少女の父親が、当時トムが乗っていて今は破棄された車の中から遺体で発見されたとのニュースが舞い込む。これまでの支持者はほとんどスタークの元を離れてしまい、彼はまるで独裁者のように反対派の集会を鎮圧していった。

スタークへの殺人容疑を明らかにする裁判が行われ、支持者も反対派もみな結果を待ち望んでいた。結果はスタークの勝利。支持者は歓声を上げ、それを見たジャックは彼の元を立ち去ろうとした。その時、アダムがスタークに向かって発砲。スタークの側近によりアダムは撃ち殺されてしまったが、スタークもまた息絶えた。

ジャックは、混乱するアンに「アダムが見たスタークを、まだ信じている群衆に伝えよう」と説得した。

映画『オール・ザ・キングスメン』の感想・評価・レビュー

現代でも脈々と続いているであろう、政治の暗い部分が詳細に描かれていて非常に見応えのある作品だった。

人は権力を手にすると豹変してしまうのか、その過程で見たくないものを見ておかしくなってしまうのか、人の本質がどこにあるのか不安にさせるようなリアリティだ。正義感に溢れた男が欲にまみれてしまう悲しみが、案外身近にあったのかもしれないと思うと、とても恐ろしい。(MIHOシネマ編集部)


「お金」や「地位」を手にすると人間が変わってしまうのは皆同じなんだなと感じる作品です。
農夫だった男が行政のやり方に疑問を持ち、それを正す為に自分自身が「政界」へ進出するストーリー。
妻や支援者の支えもあり、「正しい道」で一歩一歩、着実に進んでいく主人公ですが「当選」するには「裏道」を使わなければならないことに気付きます。
次第に自分が目指す道を見失っていく主人公の心情がとてもリアルに描かれていて、見応えのある作品でした。(女性 30代)


清く貧しく、高い志を持っていたスターク。欲や権力、金に目が眩み腐敗していく様が悲しくもあり、見応え十分でした。しかし、そんなスタークを野放しにしてきたのは世間一般の人々だと思うと、民主主義の脆さを危惧しました。また、日本においてもよく似た政治家が何人もいるかもしれないと思い、対岸の火事とは思えません。政治の裏側や貧富をテーマとしており、それらは普遍的で繊細な問題ですから鑑賞後は深刻に考え、家族とディスカッションしました。(女性 30代)

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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