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映画『甘き人生』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『甘き人生』の概要:マッシモが9歳の頃、母が突然亡くなった。後から心筋梗塞によって亡くなったと知らされる。マッシモは母の死を受け入れられず、心を閉ざした。大人になったマッシモは記者として活躍していたが、パニック発作を発症してしまう。

映画『甘き人生』の作品情報

甘き人生

製作年:2016年
上映時間:130分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:マルコ・ベロッキオ
キャスト:ヴァレリオ・マスタンドレア、ベレニス・ベジョ、グイド・カプリーノ、ニコロ・カブラス etc

映画『甘き人生』の登場人物(キャスト)

マッシモ(幼少期:ニコロ・カブラス / 少年期:ダリオ・ダル・ペーロ / 大人:ヴァレリオ・マスタンドレア)
新聞記者。9歳の頃に母を失う。母の死を受け入れることができず、大人になってからも心を閉ざしている。
エリーザ(ベレニス・ベジョ)
医師。ひょんなことからパニック発作を発症したマッシモの診察を行い、交流を深める。

映画『甘き人生』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『甘き人生』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『甘き人生』のあらすじ【起】

実話から生まれた物語である。マッシモの家に突然大人が押し寄せてきた。母の姿は見えず、父は大人達に連れていかれた。その後、マッシモは母が病を患って入院していると教えられる。見舞いに行きたいと言っても、病院には連れて行ってもらえなかった。ある日、父に連れられ、神父の元を訪れた。神父は母が亡くなったことをマッシモに教えた。だが、マッシモは母の死を受け入れることができなかった。

母の葬儀が行われるが、マッシモはやはり母の死を受け入れることができなかった。父は心を閉ざしたマッシモを心配し、サッカー観戦に連れていった。マッシモは微かに笑顔を見せた。だがその日の夜、マッシモは母に話すかのように、試合の一部始終を1人で話し出した。父はしゃべるのを止めさせ寝かせようとするが、マッシモはベッドの上でも話し続けた。

ミータという女性が同居することになった。マッシモはミータに甘えようとするが、母にはなれないと拒まれてしまう。1999年トリノ。大人になったマッシモは父の死を契機に、幼い頃住んでいた家を売ることにした。

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映画『甘き人生』のあらすじ【承】

マッシモは学校でエンリコという少年と仲良くなった。エンリコは母のことを疎み、邪険にしていた。マッシモにはエンリコの気持ちが理解できなかった。しかし、口では邪険にしていても、エンリコは母と仲が良かった。マッシモはじゃれ合っているエンリコ親子を見て羨ましく思った。エンリコの母から母親のことを聞かれるが、マッシモは亡くなったことは言わずニューヨークにいると嘘を吐いた。

1992年ローマ。マッシモには恋人がいたが、相手に対して胸の内を明かすことはなく冷めた関係だった。恋人はそんな関係に不満を抱いていたが、マッシモが気にかけることはなかった。

マッシモは記者として働いていた。知り合いの大富豪であるアトス社長の家で話していると、警官がやってきた。アトス社長は身柄を拘束されることになるが、行く前に準備をさせて欲しいと頼んだ。そして、部屋に移動して、拳銃自殺をした。マッシモがそのことを編集長に伝えると、記事を書くように言われる。その後、マッシモが書いた記事が新聞に載った。

1993年。マッシモは取材のためサラエボの街を訪れた。そこで、遺体となった女性と、近くの部屋でゲームをしている少年に出会う。同行していた記者は少年を移動させ、遺体となった女性と共に少年の姿をカメラに収めた。少年は何も言わず、ただゲームをしていた。

映画『甘き人生』のあらすじ【転】

マッシモの元に叔母から郵便が届いた。それはマッシモの母のマッチ箱で、叔父が保管していた物だった。マッシモはマッチ箱を見て母の葬儀のことを思い出し、パニック発作を起こしてしまう。病院に連絡を取ると、医師から鏡に向かって呼吸するよう指示される。指示の通り行動を行うと、発作は落ち着いた。

マッシモは病院に行き、先程電話で話した医師・エリーザの診察を受けた。心臓が破裂するように感じたのと、父から心筋梗塞で母は亡くなったと知らされていたので恐怖に感じたことを話した。エリーザに発作の原因を聞かれるが、パニック発作を起こしたのは初めてのことだったので分からなかった。マッシモは幼い日のことを語った。そして、話を聞いてくれたエリーザに、信頼を寄せた。

少年のマッシモは母の死を受け入れられず、周囲には生きていると嘘を吐いていた。学校の先生はそんなマッシモに、その嘘はマッシモ自身を傷つけると教えた。そして、どんなに泣いても良いから、悲しみに立ち向かうよう諭した。マッシモは父に、母の死について尋ねた。父は心筋梗塞を起こし、廊下に母が倒れていたことを教えた。

映画『甘き人生』の結末・ラスト(ネタバレ)

1995年トリノ。マッシモは久しぶりに父に会った。父は30歳年下の女性と付き合い、幸せな日々を送っていた。その一方で、マッシモのことを大切に思っていたため、家も母の遺品も彼のために残すつもりだった。父は遺品の指輪を渡しマッシモと母の話をしようとするが、マッシモは話すのを拒んだ。

母への憎しみを書いた投稿者に返答を書かなければならないのだが、年配の記者は書くことを嫌がって出かけてしまう。上司は年配の記者への説得を諦め、マッシモに書くよう指示した。マッシモは母を失った辛い悲しみを受け入れたこと、母が生きているのは幸運なことなのだと書いた。その記事は大きな反響を呼び、たくさんの手紙がマッシモの元に届けられた。だが、マッシモは喜ぶことができなかった。しかも、年配の記者から、読者に受けようと母を踏みつけにしたと罵られてしまう。

マッシモはエリーザから連絡をもらい、彼女の祖父母のダイヤモンド婚式(結婚60周年)を訪れた。マッシモはエリーザに誘われるままダンスを踊り、楽しいひと時を過ごした。そして、ダンスを終えた後、エリーザにキスをした。

マッシモは家の片づけをしている最中、母の死に纏わる記憶を思い出す。叔母を呼び出し、母の本当の死因は何だったのか尋ねた。叔母はマッシモに1枚の新聞記事を見せた。そこには、重病を苦にした母親が、5階から投身自殺を行ったことが書かれていた。叔母は既にマッシモが知っていると思っていた。マッシモは母が自分のことを顧みず、命を絶ったことにショックを受ける。

エリーザはマッシモを抱き締め、母を「行かせてあげて」と頼んだ。マッシモは家の中で母とかくれんぼしていたときのことを思い出した。隠れた母が見つからなくて不安を抱いていると、母が現れ抱き締めてくれた。

映画『甘き人生』の感想・評価・レビュー

マッシモの幼少期を演じた子役の演技がとても上手く、母を失った深い悲しみと、心の傷によって心を閉ざしてしまった様子が分かりやすく表現されていた。父はマッシモを励まそうと頑張るのだが、上手くいかず苦悩している姿が胸を打った。劇的なドラマ展開があるわけではないが、最後まで飽きることなくマッシモの姿を追うことができた。場面展開、視点、物語の構成など、よく作り込まれた作品だと思う。ただ1つだけ難点を挙げるとすれば、ヒロインがあまり出てこなかったのが少し寂しいなと感じた。(MIHOシネマ編集部)


母と子というどこにでもある題材を、ここまで素晴らしく描いている作品を初めて見ました。
主人公は幼い頃に母を泣くし、その母の死を受け入れられないまま大人になってしまった男。この男の人生が本当に孤独で、辛い。人を愛することをやめ、亡くなった母への思いだけで生きているという印象でした。孤独で、辛くて苦しいけど、それが生きている証のような気がして、本当に切なくなります。
幸せになって欲しいと心から願ってしまう作品でした。(女性 30代)


少年の時に突然母親を失い、その後の人生にずっと影を抱えて生活している主人公。最終的に母の突然死の原因は、聞かされていたこととは違います。真実を知ることによりこれまで抱え続けていた母親への想いを開放することが出来るようになります。

途中、愛することを止めてしまったようなセリフがありますが、人は生きている限り愛から離れることはできないのではないかと思います。誰かへの愛があるから、とその人を愛せないのではなく、人の本質は愛に溢れていると思うから。それに蓋をするのも自分だけど、開放するのも他者の力を借りても、最終的には自分でしかないのではないでしょうか。(女性 40代)

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