映画『アメリカン・スプレンダー』の概要:病院の書類係をしながら、冴えない日常をコミックにして刊行し続けたハービィ・ピーカーの話。彼の半生をドラマと、ドキュメンタリーを交えながらコミカルに描いた作品である。
映画『アメリカン・スプレンダー』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー
監督:シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ
キャスト:ポール・ジアマッティ、ホープ・デイヴィス、ジェームズ・アーバニアク、ジュダ・フリードランダー etc
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映画『アメリカン・スプレンダー』の登場人物(キャスト)
- ハービィ・ピーカー(ポール・ジアマッティ)
- 冴えない中年脚本家。自身の日常を綴ったコミックが人気を呼び、脚本家として名をあげる。しかし、有名になっても、私生活では様々な苦難が降りかかる。
- ジョイス・ブラブナー(ホープ・デイヴィス)
- アメリカン・スプレンダーのファンで、後にハービィの妻となる。奔放な性格で、自分がやりたいことに対して直感で行動する。ハービィが闘病する際には献身的に支える。
- ロバート・クラム(ジェームス・アーバニアク)
- ハービィが脚本を書くきっかけとなった人気コミック作家。初期のアメリカン・スプレンダーの絵を担当し、それが世間の話題を呼ぶ。
映画『アメリカン・スプレンダー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アメリカン・スプレンダー』のあらすじ【起】
病院の書類係をしているハービィは、人生に行き詰まっていた。退屈な仕事に、2度目の結婚生活も破局寸前、その上、声帯を痛めて暫くの間まともに喋ることができなかった。そんなハービィの唯一の楽しみはジャズのレコードを収集することであった。
ある日、ハービィはレコードのガレージセールでロバート・クラムという男に出会った。クラムはコミック作家で、ハービィとすぐに意気投合する。クラムはハービィと知り合ってから間もなく、アングラコミック界の先駆けとして人気作家となり、海外を飛び回るようになる。人気者のクラムに触発されて、ハービィも何か書いてみようとペンを執るが、四角のフレームの中に棒人形を描くことしかできなかった。それでもハービィは描き続けた。絵が描けないならと、日常の出来事をひたすら文字に起こしていた。
映画『アメリカン・スプレンダー』のあらすじ【承】
ハービィはカフェで、クラムに今まで書き溜めた物語を見せた。ハービィの作品は誰にでも起こりうる日常が舞台で、主人公はハービィだった。ハービィはこの脚本に絵を付けて欲しいとクラムに頼む。クラムはハービィの脚本を称賛し、絵を付けてコミックとして発行した。コミックは「アメリカン・スプレンダー」として、メディアに取り上げられる程人気になった。
コミックが売れてもハービィの心は満たされなかった。むしろ、作品を書かなければいけないというプレッシャーで、退屈だと思っていた書類係の仕事が心の拠り所になってしまった。周囲はハービィが作家として成功し、豊かな暮らしをしていると思っていたが、実際は特に変化もなく、寄り添える友人や妻もいない、圧倒的な孤独であった。ハービィはそんな状況に、一人ベッドの中で物思いに耽っていた。
映画『アメリカン・スプレンダー』のあらすじ【転】
デラウェア州でコミック専門店を営むジョイス・プランナーは、アメリカン・スプレンダーのファンであった。ジョイスが自分のためにとっておいたアメリカン・スプレンダーを同僚が誤って売ってしまったことをきっかけに、ハービィとジョイスは手紙でやり取りをするようになる。ジョイスから送られてきた手紙の文字が綺麗で、ハービィはジョイスに興味を持つ。
ジョイスはハービィが今まで出会ったどんな女性よりも奔放で強気であった。ジョイスとハービィが会う約束をしたその日に、積極的なジョイスに誘われるがまま2人は関係を持つ。ハービィとジョイスはあっという間に結婚し、ハービィの家で一緒に暮らすようになった。しかし、ハービィは片付けができず、部屋は物で溢れかえり、ジョイスは仕事をせず鬱気味で、2人の結婚生活は先が思いやられた。
ハービィの人気は更に加速し、様々なテレビ番組に出るようになっていた。しかし、ジョイスはハービィの出演する番組はくだらないものばかりだと非難し、もっと社会に貢献するような活動をするべきだと言った。ジョイスの社会貢献への関心は強まり、紛争地の子供達のために活動する団体に取材をしに、エルサレムへと出かけた。再び孤独になったハービィは荒れ狂った。
映画『アメリカン・スプレンダー』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジョイスが戻り、暫くは穏やかな生活に戻った。しかし、ある日ハービィの体から腫瘍が見つかる。死ぬかもしれないと落ち込むハービィに、ジョイスは闘病生活を記録して作品にすれば良いと提案する。ハービィは精神的に無理だと、ジョイスの提案を断るが、ジョイスの連れてきた作家のフレッドと意気投合し、コミックを作り始める。辛い闘病生活を送る中で、ハービィは自分が単なるコミックの主人公なのか、自身の日常を描く作家なのか、自分自身を見失っていった。
ハービィは治療に成功し、病気を克服した。ハービィの闘病生活を綴ったコミックは話題を呼び、全米図書賞を受賞した。ハービィは苦闘に満ちた人生だが、死ぬまでの間に世に残る作品を2,3出したいと語った。
映画『アメリカン・スプレンダー』の感想・評価・レビュー
ハービィ・ピーカーの人生を記した作品で、本人のインタビュー、コミック画、ドラマが雑じり合った構成がとても楽しめた。1人の冴えない男性が有名作家になるまでの、ありそうな話であるが、表現の仕方が絶妙で、コミカルにお洒落な作品であった。ハービィがいくら有名になっても生活スタイルを変えなかったのは、自分の日常を肥やしに作品を作っているプロ意識のようなもののためだと感じた。いつか原作のアメコミ・スプレンダーも読んでみたい。(MIHOシネマ編集部)
みんなひねくれてて、みんな個性的で、みんな可愛く感じる作品です。普通で面白みのない生活を送りながら、好きなことである「漫画」を描き続け、人気コミック作家になるというアメリカン・ドリームを描いたこの作品。
本人たちが出てくるのでとにかくリアリティがすごい。ドキュメンタリー的な作りなっているのも面白いです。
自分の生き方はそのままに、好きなことを続けて、愛する人もそばにいる。ちょっとひねくれていて、ふてぶてしいけどとても「幸せ」を感じられる作品でした。(女性 30代)
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