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映画『あの子を探して』あらすじとネタバレ感想

映画『あの子を探して』の概要:1999年製作の中国映画で監督はチャン・イーモウ。田舎の小学校に代理教師としてやってきた13歳のミンジが、生徒のホエクーが出稼ぎに行くため学校に来なくなったことを知り連れ戻そうと町へ行き奮闘する物語である。

映画『あの子を探して』 作品情報

あの子を探して

  • 製作年:1996年
  • 上映時間:106分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:チャン・イーモウ
  • キャスト:ウェイ・ミンジ、チャン・ホエクー、チャン・ジェンダ、カオ・エンマン etc

映画『あの子を探して』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

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映画『あの子を探して』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『あの子を探して』のあらすじを紹介します。

ある田舎の村の小学校の話である。
担任のカオ先生はお母さんの看病のため1カ月休職することになった。
その代理教師として赴任して来たのが、13歳のミジンだった。
自分が帰ってくるまで生徒を一人も減らさなかったら自腹で10元追加するという。
校長から50元で連れてこられた普通の少女ミジンはもちろん教師ではない。
こんな田舎の学校には誰も来たがらないのだ。
授業はほぼ自習。
ミジンは後ろの席に座ってただ見ているだけだった。

ある日クラスの生徒のホエクーが来なくなった。
どうやら親の借金を支払うため町に出稼ぎにいったと言う。
ミンジは町まで行って連れ戻すことに決めた。
生徒に町までのバス代を聞いたところ往復9元だと知る。
生徒の持ち金と合わせてもバス代が無いミンジは、レンガ工場でアルバイトが出来る情報を仕入れる。
そこで15元稼ぎ出し、6元でジュースを買い皆で飲んだ。

バス停についてみるとバス代金が本当は20元5角だという事実が判明。
稼ぐ方法も見当たらない生徒とミンジはただ乗りしようと試みるがあえなくばれ、ミンジは山の途中で降ろされてしまう。
仕方なくそこからは歩いて向かうことに。

町に着いたミンジはホエクーの母親から聞いていた共同宿舎を訪れる。
しかしそこに彼の姿は無かった。
ホエクーと同じ車で町に来たジメイという少女に居場所を聞くも、駅でいなくなったと言う。
とりあえずジメイの案で迷子放送をかけてもらった。
しかし手掛かりはない。

次にTV局で人探しの放送をしてもらったらどうかとアドバイスをもらい、早速向かう。
しかし見ず知らずのミンジを簡単に入れてくれるわけはない。
3日間TV局の前で局長を探し、直々にお願いしょうとしているということを知った幹部はそのことを局長に伝える。
そして遂に局長から了承を得ることができた。

放送が始まり、たまたま飲食店の前にいたホエクーに気が付いた店主が教えてくれる。
そして再会することが出来た2人。
TV局の車で取材を受けながら村に戻るのだった。
TVのおかげで寄付金が集まり、チョークなどを買うことができた。

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映画『あの子を探して』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『あの子を探して』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

簡単に言うと生徒を探す話

本作品はタイトル通り「あの子を探して」である。
見ると納得できるが、出稼ぎに出た生徒をひたすら先生が探し出すのである。
それ以上でもそれ以下でも無い。
一見つまらなそうなのだが、質素で地味で何とも心地よい。
さすがチャン・イーモウ監督である。
こんなに面白くない題材を見事に映画にしてしまった。
中国版プライベート・ライアンとでも言うべきか。
しかし段々とその世界観に引き込まれ、再会できた時にはぐっと来てしまう。
静かに見ることが出来る映画である。

ミンジの目的の変化

最初は生徒を減らしたら10元もらうことが出来ないという目的で必至だったに違いない。
しかし探しているうちに気持ちが変わっていったのだろう。
最後のTV局で呼びかけるシーンは弟を探しているような優しい気持ちになっているのが見ていてもわかる。
この心の動きを見せてくれる手法がチャン・イーモウの技である。
ミンジに心がほだされているのは生徒だけでは無い。

中国の農村教育の実態

カオ先生が休職するからと連れてこられたのがただの13歳の少女である。
当然授業などできるわけもなく、自習と言い見ているだけの授業なのだ。
日本ではそんなことはまずありえない。
さらにミンジは校長先生から50元支払うと言われるものの、一向に賃金をもらうことが出来ない。
ミンジが掛け合ってもノラリクラリと適当に交わすのである。
子供相手だからといって、農村の小さな学校だからといって教育者のトップがそれで良いわけがない。
このあたりは非常に苛立ちを覚えるシーンが多かった。


本作は、農村の小学校へ代理教師として赴任してきた13歳のミンジがある理由から学校を抜け出してしまった生徒を追って奮闘する姿を描いた中国のヒューマンドラマ作品。
ミンジの責任感ある勇敢で逞しい姿や、そんな彼女をそっと支えてくれる周囲の人々の素朴な温かさに感動した。
そして、全員が素人とは思えない程説得力のある自然な演技には非常に心打たれた。
また、鑑賞後に心豊かになったような不思議な心地良さを感じられた。1人でも多くの人にこの作品を知ってほしい。(女性 20代)


日本で生まれ育った私にとってはかなり衝撃的なストーリーでした。まず、中国の田舎の方の学校はこんな状況なのかと驚き、代理で連れてこられたのが13歳のただの少女。先生でもなんでもない、普通の女の子が子供たちの勉強する教室にいると言う不思議な世界は「学校」と言えるのか?と疑問に感じてしまいました。
出稼ぎに行ってしまった生徒を連れ返すと言うのも、最初は10元のためだったのでしょう。10元は日本円で約170円。たったそれだけの為にと思ってしまいましたが、彼女にとっては生活するために必要なお金なのだと「それだけ?」と思ってしまった自分が恥ずかしくなりました。
派手な描写はありませんが、とてもリアルで考えさせられる作品でした。(女性 30代)


『初恋のきた道』などで有名なチャン・イーモウ監督による中国の名作。
中国の僻地の村で暮らす貧しい人々の暮らしと、出稼ぎに行って学校に姿を見せなくなった生徒、生まれた時から何不自由なくごく普通に生きてきた自分とのギャップにはショックに近いようなものがあり、見た後に沸々と考えさせられた。
子どもたちの表情の変化は明らかに違っているし、何よりも子どもたちの自然体な姿を引き出しているところが素晴らしかった。(女性 20代)

映画『あの子を探して』 まとめ

中国映画のヒューマン映画はドキュメンタリーなのかと思うほど質素で素朴なものが多い。
この実態を描きたいのか、それともこのような描写が好きなのかそれは不明だが、人の気持ちの変化を撮るのが非常に上手である。
表情だけで汲み取れるように演出が施されていて、その描き切れていない裏側をも想像して感動することが出来てしまう。

本作品もただの人探しであるのにも関わらず、大掛かりなドラマにしてしまったのは流石。
中国の知らない農村部での苦労や生活を垣間見ることが出来る作りになっており、ある種異文化コミュニケーションを勉強しているようなそんな感覚である。
見たままではなく、その画から何かを感じ取る。
独特の感性であるが、それが美しい中国映画を作り出している。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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みんなの感想・レビュー

  1. くろ より:

    紅いコーリャンが好き