この記事では、映画『アパートの鍵貸します』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アパートの鍵貸します』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『アパートの鍵貸します』 作品情報
- 製作年:1960年
- 上映時間:125分
- ジャンル:コメディ、ラブストーリー
- 監督:ビリー・ワイルダー
- キャスト:ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ、レイ・ウォルストン etc
映画『アパートの鍵貸します』 評価
- 点数:65点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『アパートの鍵貸します』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『アパートの鍵貸します』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『アパートの鍵貸します』 あらすじ【起・承】
1951年、11月1日。ニューヨークにある、保険会社に勤めるC.C.バクスター(ジャック・レモン)は、セントラルパーク近くの独身者向けアパートに暮らしていた。
今日も残業して帰ると、ちょうどアパートの前で会社の上司とその不倫相手とすれ違った。
そのアパートの隣の部屋には、ドレファス医師(ジャック・クラッシェン)が住んでいた。バクスターの持つ大量のワインなどの空瓶を見て、“君の腎臓は鉄製だな!”と驚いた。
その日の夜も、冷凍食品を温めて夕食を食べていたら、電話が鳴った。上司から、“今から部屋を貸して欲しい。相手はマリリン・モンローみたいな美人なんだ!”と頼まれてしまう。30分だけ部屋を貸すことにして、バクスターは部屋を出た。その後、公園で過ごした。
翌朝、会社に出勤したバクスターは、エレベーター係のフラン・キューブリック(シャーリー・マクレーン)と親し気に話す。実は、フランに片思いしているのだがなかなか言い出せない。髪をショートにしたフランをバクスターはほめた。
19階で仕事をしているバクスターは、風邪気味だった。そして、昨日、部屋を貸した上司に対して、“鍵が違うので、家に入れないんです!”と社内電話で訴えた。
今夜は僕の部屋として使いたいとも伝え、何人かの上司のスケジュールを調整するのだった。そんなバクスターは、ついに27階にある社長室に呼ばれた。
昇進かもしれないと期待に胸を膨らませるバクスター。フランに胸ポケットに花をつけてもらい、社長室へ。ジェフ・D・シェルドレィク(フレッド・マクマレイ)から、“なぜ君は評判がいいのかね?”と聞かれ、上司に部屋を貸していることがばれていた。
ところが、その件を黙っている代わりに鍵を貸して欲しいと言われてしまう。
バクスターは、芝居“ミュージック・マン”のチケットと引き換えに鍵を渡した。
そこで勇気を出し、芝居にフランを誘った。彼女は男に会う約束があると言ったが、
芝居には快く応じてくれた。劇場のロビーで待ち合わせすることになったが、いくら待っても彼女は来なかった。
その頃、フランは1度は別れた不倫相手のジェフと中華料理店にいた。妻と離婚するからもう少し待っていて欲しいという、ジェフ。フランはまたジェフとよりを戻してしまう。
2人が向かったのは、バクスターの家だった。

映画『アパートの鍵貸します』 結末・ラスト(ネタバレ)
バクスターは、総務第2係長に昇進した。そこで、ジェフから、“鍵のスペアを作ったら?”と言われます。ジェフを含めて6名の上司の間を鍵が行き来していたのだ。
バクスターは、スペア・キーを作ることを約束し、ジェフに割れたコンパクトミラーを忘れものだと言って渡す。一方、フランは会社でのクリスマス前のパーティで、ジェフの秘書オルセンから、自分もジェフの愛人だったと言われます。その事実にショックを受けるフラン。
バクスターは、割れたコンパクトミラーを持つフランを見て、ジェフの不倫相手がフランだと知るのだった。
クリスマス・イブの夜。離婚協議が進んでいないことにいら立つフラン。ジェフからクリスマスプレゼントとして、100ドルをもらう。その後、ジェフは家族とクリスマスを過ごすために帰ってしまう。ジェフとの関係に悩むフランは、バクスターの家で睡眠薬を飲み、自殺未遂を起こしてしまう。
自宅にバーで出会った女を連れて戻ったバクスターは、寝室でフランが倒れているのを発見した。彼女のそばから睡眠薬を見つけ、呼びかけても反応しないフランを見て、隣に住むドレファス医師を呼んだ。医師は、胃洗浄が必要だといい、コーヒーを沸かすようバクスターに言う。そして、もう少し発見が遅かったら大変なことになっていたらしい。
クリスマスの朝。命を取り止めたフランはまだ眠ったままだった。その間もフランに対して、甲斐甲斐しく世話をするバクスター。ジェフの自宅に、フランが自殺未遂した件を伝えた。少し、起きられるようになったフランにドレファス医師の妻が作ってくれた朝食を運んだ。朝食後、2人はトランプ遊びをした。フランは、ジェフと今度こそ別れる決意をした。
そして、ジェフに100ドル札を返して欲しいとバクスターに頼む。
夕方4時頃。部屋を使わせてほしいと上司が来たが、バクスターは断った。上司は、フランを見て、“上物だな!頑張って!”と言って去ってゆく。
フランは、優しく介抱してくれたバクスターを見て、“あなたに恋していれば良かったわ。”と呟いた。
ジェフは、フランの自殺未遂のきっかけが、秘書オルセンにあると知り、オルセンを解雇してしまう。オルセンは、ジェフの妻と会い、ジェフの不倫をばらしてしまう。
その結果、オルセンは妻と離婚することになった。
一方、バクスターの家では、ガス漏れが起きてしまう。バクスターはまたフランが自殺したのではないかと不安になるが、彼女が湯を沸かそうとして不完全燃焼させてしまったらしい。夕方、フランが2日間帰ってこないことを心配した姉の夫カールが訪ねてきた。
“お前は家を忘れたのか?”と怒るカールに対して、“家に帰ります”と素直に応じるフラン。バクスターは彼女の彼氏だと思われて、カールに殴られてしまう。
数日後、会社に戻ったバクスターは、27階の上級社員に昇格した。再び、部長から鍵を貸せと言われます。しかし、応じる振りをして別の鍵を渡した。
大晦日。会社をやめ、荷造りをしているバクスター。ドレファス医師に治療代を支払おうとするが、要らないと言われます。新年をフランと祝うバクスター。ようやく、フランに“愛してる・・君に夢中だ!”と告白した。
すると、フランは照れているのか、“黙って、配って!”と言うのだった。
映画『アパートの鍵貸します』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『アパートの鍵貸します』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
サラリーマンの悲哀が詰まった爆笑コメディ
万年平社員のバクスターを演じる、ジャック・レモンが軽妙で面白い。自分の部屋を上司の不倫に使われてしまうという滑稽さ、エレベーター係フランのおバカな感じ、6人の上司を相手にバクスターの部屋をめぐって電話で調整するシーンなど笑いを誘います。
小道具(割れたコンパクトミラーや鍵)の使い方が上手く、伏線が分かりやすいという意見もあるようですが、そこまで凝った映画ではないと思います。それよりも、バクスターの生活が、滑稽で悲哀に満ちているのがいい。例えば、ラケットでパスタを湯切りしているシーンなどありえないけど笑っちゃう。大企業ほど社内不倫をする率は高そうだし、案外こんなサラリーマンもいるかもしれない。
映画だけではなく、舞台として上演されるほうが、面白さが際立つだろう。
ジャック・レモンとビリー・ワイルダー監督を追え!
ビリー・ワイルダー監督のヒット作といえば、マリリン・モンロー主演の「お熱いのがお好き」(59)や本作「アパートの鍵貸します」(60)、そして「サンセット大通り」(50)です。
ジャック・レモンが主演した本作はシチェーション・コメディの傑作だと言われています。
脚本家としても優れていたビリー・ワイルダー監督とコミカルな演技で魅了する、ジャック・レモン。このコンビだからこそ、大ヒット作が生まれたんですね!
また、「あなただけ今晩は」(63)では、本作で主演を演じたジャック・レモンと再び、シャーリー・マクレーンが共演しています。コメディの名手と呼ばれた監督ですが、意外にも最初にヒット作となったのがサスペンス映画でした。
ヒット作には、必ず優れた俳優がおり、また綿密な脚本・演出と妥協を許さない姿勢が素晴らしい。ぜひ、本作以外のビリー・ワイルダー監督作品もおすすめします。
本当の幸せを見つけるためには。ロマンスではあまり泣かない私が観終わった後にめずらしくうるうるして、にやけが止まらなくなった。最後まで展開が読めなかったのでこのまま映画が終わってしまうのか不安になりつつ、残り数分でスカッと決めてくれる!
気づくと最後まで画面に釘付けになっていた。頼りなくて自分の地位にしか興味なかったバクスターの隠された優しさと謙虚さがだんだんと分かってくるところと、アパートの隣人との関係性の変化も観ていて面白い。脚本に無駄がないのが観てわかる作品だ。(女性 20代)
おバカでこんなのありえないと思ってしまうのに、なんだかとっても可愛い今作。『アパートの鍵貸します』というタイトルから勝手に『ホリデイ』のようなおうち交換をするストーリーかと思っていたら、自分の部屋を上司に貸しているサラリーマンのお話でした。
色んな人に貸しちゃうからてんやわんやになってしまうバクスターがなんとも可愛らしくて憎めないです。自分の部屋を上司が不倫に使うなんて絶対に嫌ですが、上手く世渡りしていくためには意外と良い方法なのかも知れません。(女性 30代)
映画はやっぱりビリー・ワイルダー。最も完璧な脚本を持つ映画の一つと言って過言ではない。人々の色々な機微に触れ、巧みな台詞回しや馬鹿馬鹿しくも本線から逸脱することのない笑いもあり、最後はほんのりとしたラブストーリーになる・・・映画に求めるものがホラーやアクションでない限り、これ以上何を求めるのだろう。長く愛されている作品であり、三谷幸喜作品のようにこの作品に影響を受けた作品は枚挙に暇がない。邦題も素晴らしい。台詞や小物一つ一つを丁寧に味わえる、繰り返し観たい1本。(男性 40代)
本作は、ニューヨークを舞台に、自分の出世の為に会社の上司たちの浮気場所として自分の部屋を貸す主人公の悲喜劇をモノクロームで描いたラブコメディー作品。
テンポが良く、哀愁漂うサラリーマン役を好演したジャック・レモンの表情の豊かさがとても良かった。
1960年代の時代背景や街並み、衣装や生活風景は観ているだけで面白く、心惹かれるものがあった。
そして、主人公がお金や地位を捨てて愛を掴む終わり方は、こんな素敵な恋愛をしてみたいと思わせてくれるほど素敵だった。
何と言っても、ヒロインの「Shut up and deal」の台詞がかっこよくて印象的だ。(女性 20代)
モノクロ映画とは思えないテンポの良さとウィットに富んだ脚本に驚きました。仕事で出世するために上司にアパートの鍵を貸してしまうバドの小さな嘘が、やがて恋と人生の大きな転機につながっていく展開が秀逸。フランとの関係が少しずつ変化していく様子が丁寧に描かれていて、ラストの「黙って、トランプ配って」は最高のエンディングでした。(20代 男性)
ラブコメとしても、風刺劇としても非常に完成度の高い作品だと思いました。フランが自殺未遂を起こしたシーンでは、コメディから一転してシリアスな空気になり、心が締めつけられるようでした。それでも物語がユーモアを忘れずに進んでいくところに、ビリー・ワイルダーの上手さを感じます。人の優しさがじんわり伝わってくる名作です。(30代 女性)
出世のために自宅を貸すという設定が既に皮肉たっぷりで面白いですが、その中で生まれる純粋な恋愛がまた切なくて美しい。フランが心を病むほど苦しんでいた姿に共感し、バドの誠実さが救いに感じました。あの時代にここまでモラルを問うストーリーがあったことに感動。古さを感じさせない普遍性がある作品です。(40代 男性)
ラストのカードを配るシーン、あれだけでこの映画がただのロマンスじゃないと分かる。言葉にせずとも通じ合う二人の関係が美しくて泣きそうになった。フランの傷つきやすさとバドの優しさが、少しずつ交差していく過程がとても丁寧に描かれている。現代の恋愛映画よりもずっと心に残る一本でした。(20代 女性)
とにかく脚本が素晴らしい。笑わせながら、切なくさせて、最後に希望を持たせる。この構成は天才的だと思う。フランの自殺未遂後のアパートの描写がどこか優しくて、バドの人柄が空間に表れていた。社会の中で“便利に使われる人”の姿がこんなに誠実に描かれることは稀。モノクロ映画だけど色彩を感じた。(50代 男性)
昔の映画だと思ってなめていたけれど、あまりに現代的で驚いた。職場でのジェンダー格差や、利用される人間関係など、今でも通じる問題が詰まっている。ジャック・レモンの哀愁漂う演技と、シャーリー・マクレーンの強さと弱さの同居した表情に魅了されました。モノクロ映画初心者にもおすすめできます。(30代 女性)
映画『アパートの鍵貸します』を見た人におすすめの映画5選
恋人たちの予感(When Harry Met Sally…)
この映画を一言で表すと?
友情と恋の境界線をめぐる、大人のためのロマンティック・コメディ。
どんな話?
男女の友情は成立するのか?という問いを軸に、何年にもわたって交差し続ける男女の人生と関係性を描く。軽妙な会話劇とリアルな恋愛模様が絶妙に絡み合う、感情豊かな物語。
ここがおすすめ!
『アパートの鍵貸します』のように、人生の機微と恋愛のもどかしさを描いた作品。セリフ一つ一つが心に刺さり、時間の経過とともに育つ感情のリアルさに共感必至。大人の恋愛映画として不朽の名作です。
月夜の出来事(Moonstruck)
この映画を一言で表すと?
不器用で情熱的なイタリア系家族の恋と再生を描く、温かくて可笑しい人情劇。
どんな話?
婚約者の弟と恋に落ちてしまった未亡人が、家族や自分の人生と向き合いながら、本当の愛を見つけていく過程を描く。シェールとニコラス・ケイジの演技が光る、コミカルで感動的なロマンス。
ここがおすすめ!
家族、恋愛、人生の再スタートというテーマが『アパートの鍵貸します』に通じる。笑いと涙が入り混じるドラマの中で、不完全な人間たちの魅力が全開。心が温まること間違いなしの一本。
ブロークン・フラワーズ
この映画を一言で表すと?
過去の恋人たちを巡る、静かで哀愁に満ちたロードムービー。
どんな話?
突然届いた「あなたに息子がいる」という手紙をきっかけに、主人公が過去の恋人たちを訪ね歩く旅に出る。過去と現在、孤独と再生が交差する、ビル・マーレイ主演の静かな人間ドラマ。
ここがおすすめ!
『アパートの鍵貸します』のように“孤独”や“人との距離感”をテーマに描いており、セリフよりも表情や間で語るスタイルが印象的。静けさの中に感情が宿る映画を探している方におすすめです。
ロスト・イン・トランスレーション
この映画を一言で表すと?
異国の孤独が引き寄せた、かけがえのない一瞬のつながり。
どんな話?
東京に滞在する中年俳優と、若い女性が偶然の出会いをきっかけに心を通わせていく。異国の地で感じる孤独と、ほんの一時の心の交差を描いたソフィア・コッポラ監督の名作。
ここがおすすめ!
『アパートの鍵貸します』が持つ“静かな恋の余白”を、現代的かつ詩的に再構築した作品。愛と呼ぶには曖昧すぎる感情が、繊細に描かれていて、観終わった後に余韻が深く残ります。
麗しのサブリナ(Sabrina)
この映画を一言で表すと?
無垢な想いが大人の愛へと変わる、洗練されたシンデレラストーリー。
どんな話?
運転手の娘サブリナがパリ留学から帰国し、美しく変身したことで大富豪一家の兄弟の間で三角関係に巻き込まれる。華やかなラブストーリーと社会的階級を超えた愛が交錯する。
ここがおすすめ!
『アパートの鍵貸します』のように、社会的立場を超えて“本当の愛”を探す物語。オードリー・ヘプバーンの魅力が全開で、上質なラブロマンスとして何度でも観たくなる優雅な一作です。
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