この記事では、映画『アルカナ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アルカナ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『アルカナ』の作品情報

上映時間:89分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:山口義高
キャスト:土屋太鳳、中河内雅貴、Kaito、谷口一 etc
映画『アルカナ』の登場人物(キャスト)
- 村上(中河内雅貴)
- 刑事で霊が見ることが出来る。熱血刑事で荒いが、人情味のある男性。
- マキ/さつき(土屋太鳳)
- 霊が見えると言う謎の少女。実は分身で本体はさつき。分身は優しいが本体は激情型。
- 橋(岸谷五朗)
- 宮係に務めている刑事で冷静で理知的。しかし人間の凄さをよくわかっている熱いところも。
映画『アルカナ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『アルカナ』のあらすじ【起】
1人の女子高生が苦しみ、道路に横たわっている。
その瞬間彼女が見たものは、自分がどこかに歩いて行く姿だった。
半年後の12月22日2:16A.M
猟奇的な大量殺人事件が起こった。
遺体からは心臓がえぐられているという悲惨な状況である。
同日8:08分、常陸北部石鏡病院の宮崎神経科では1人の女性が看護師と話している。
彼女は「大勢の人の霊が泣いて叫んでいる。泣いて助けてと」と言う。
それを聞き出て行った看護師。
刑事の村上は用水路の中で犯人を捕まえていた。
その時用水路で小さい少女の霊を見る。
その後後輩と署に帰る途中、大きな公園を横切ると村上が「車を止めろ」と叫んだ。
後部座席にいた少女の霊が、公園にいる少年を指さしたのだ。
彼らは道ばたに落ちている紙袋を拾っている。
村上は車から飛び降りるとその紙袋を奪い、空に放り投げた。
その紙袋は爆発、近くにいる男が走って逃げたので急いで追う。
村上達が男を逮捕した時だった。
上司から電話が鳴り、12件目の猟奇殺人事件が起こったという知らせを受ける。
現場駆けつけると、そこで白い服を着た女性が心臓を手のひらに乗せて呆然と立ち尽くしている姿を目撃した。
そしてその女を確保する。

映画『アルカナ』のあらすじ【承】
事件の捜査をしていると、現場に宮係が現れる。
宮係とは超能力者や霊能力者を取り締まる係で、戦後から始まったものである。
現場で特殊カメラを向けるとそこに霊があらわれる。
橋は鏡を向け「死んだことを受け入れろ。あの世にいけ」と言う。
すると霊は消えた、これを通称お宮入りといった。
護送車には先ほどの爆弾犯と先ほどいた女性が乗っている。
すると女性が「どうしたの?」と車の隅に話しかけるが、当然誰も居ない。
彼女は犯人の男に「見せてあげる」というと、男は理由も無く突然苦しみ始める。
その後、男は口もきけない状態になってしまい、何かに酷く怯えているようだった。
女は取り調べをうけている。
名前も職業もわからないという女性に対し、刑事は容疑者として話す。
しかし彼女は無罪だと主張した。
そして「霊が来て、助けてと私を呼んだ」と言った。
病院に入院していたが、霊魂が消えるのを黙ってみていられなかったのだと。
「村上の後ろにいる女の子の霊が、あなたならわかってくれると言っている」と話す。
その夜、女性は独房で突然苦しみだし、半分足が消え始めた。
しかも逮捕した時、彼女の手が異常に冷たかったと後輩が話す。
にわかに村上の様子がおかしいのを気にし始めた後輩は、上司に聞いてみる。
すると「昔からだ」と言った。
別のある日、事情聴取でまだあの犯人には仲間いて埋められている人がいる。
自分はその霊と話しているのだと彼女は言った。
「信じてもらえているんでしょ?」と言われた村上は話を聞くことにする。
映画『アルカナ』のあらすじ【転】
使われなくなった自動車教習所に犯人と遺体があると言われた村上は、言うとおり女性を連れて現場に行ってみる。
するとそこに犯人グループがいて、彼女を人質に取った犯人の男に「見せてあげる」と言うと、男は足下を見て怯え始め銃を撃ち始める。
そして爆弾を投げ部屋が吹っ飛んだ。
証拠も消え、容疑者を勝手に連れ出した村上は大目玉。
しかしこの一件で無事に犯人逮捕が出来、遺体を発見したことで女性は容疑者として扱われなくなる。
マキと仮に名付けられた彼女の本名はさつき。
両親の元を訪れた刑事は、彼女の部屋を調べる。
部屋には赤い糸が張り巡らされ、自分の写真が半分に切られている不気味な部屋だった。
村上はマキと名付けた女性に「犯人では無いと確信している」と言い切った。
村上もまた子供の頃から霊が見え苦しんでいたのだ。
しかしさつきが連行されることになる。
マキと名付けられたさつきと同じ顔の女性が取り調べを受けているとき、精神病院の医師も付き添った。
そして自分たちが保護する前の記憶が全く無い、重度の記憶喪失感者であることを証言。
そこへ宮係の橋が入ってくる。
橋は全員こっちに来いと言い、宮係の部屋、そして地下室へと連れて行く。
橋が言うには、現在日本では分身が出現しているのだと言う。
そしてその分身が本人と遭遇してしまう事件が発生、その場合は本体もろとも拘束するのが最善であると言った。
本来ならば自然に分身が消えていくはずであるが、中には心臓を食べ凶暴化しただの化け物になってしまうものもいるのだとか。
マキは宮係に引き渡されることになった。
映画『アルカナ』の結末・ラスト(ネタバレ)
そんな時、警察に忍び込んだものはがいる。
警官を殺した奴を追う村上たちは、対等に勝負しようとした。
しかし相手は手強い上に、傷を負わせても復活するのだ。
人間ではないことを確信した瞬間だった。
その頃さつきは警察署の階段上に身を隠していた。
分身のマキは取り乱し、自分が消えることに怯えている。
村上はマキを慰め、自分を信じるように言う。
さつきは刑事に見つかり連れて行かれ、マキは村上と警察署を出ようとしていた。
そこにさつきの両親が入って来て、マキを見るなり「さつき!」と驚く。
さつきという名前に驚いたのは村上も同じだった。
するとさつきも後輩に連れられ部屋の中に入ってきた。
対面したマキとさつき。
そこで分身の現実を突きつけられた村上はまだ信じることが出来ない。
業を煮やした後輩はさつきとマキを連れて外に出た。
その瞬間、後輩刑事が何者かに襲われる。
先ほど刑事を襲ったあの者だった。
心臓をえぐりとられ死んだ刑事を見て、咄嗟に相手を捕まえようとする村上。
しかし全く歯が立たない村上はあることを思いつく。
それは自分を銃で撃って瀕死状態になり、自分の分身を作ることだった。
村上の分身はみちると戦い、お互い心臓を奪い合う。
するとミチルも村上も消えてしまった。
そして宮係の出番。
残りの人間の分身を捕まえ、分身を本体に戻す作業をすることになる。
マキはミチルにきっと変われると言い、自分の意思で消えた。
しかしまだ何か、謎の化け物がいるようである。
映画『アルカナ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
土屋太鳳の主演作ということで鑑賞しましたが、なんとももったいない作品でした。オープニングから生々しい大量虐殺のシーンで、これは面白いかもしれないと期待をしましたが、大ハズレでした。作品的には『ケイゾク』や『SPEC』をイメージしたのかも知れませんが、どちらも程遠く出演者の演技に違和感を感じます。
土屋太鳳が演じる役には、いい意味で謎があったのでそこをもう少し上手く利用出来れば、もっと面白かったと思います。(女性 30代)
原作の持つ独特の世界観をしっかり映像化していたと思う。ドッペルゲンガーが人間の「もうひとつの自分」として存在する設定が不気味で面白い。ラストで刑事・村上と自分のドッペルが対峙するシーンは、人間の“罪”を象徴するようだった。全体的に暗く重いが、サスペンスとしての緊張感は抜群。個人的には原作未読でも十分楽しめた。(30代 男性)
序盤から雰囲気が独特で、一気に引き込まれた。死体が蘇るという異常事態の中で、「生と死の境界」を探る物語が展開される。主演の土屋太鳳の繊細な演技が印象的で、終盤にかけての感情の爆発が胸に残った。ミステリーと哲学が融合したような不思議な感覚の映画。難解だけど、余韻が長く続くタイプの作品。(20代 女性)
一見ホラーのようで、実は“人間の心”を描いたヒューマンドラマだった。ドッペルが殺意を持って生まれるという設定が、人の中の闇を象徴していて興味深い。最後に真実が明らかになる展開はゾクッとした。音楽や演出も不穏で、観ている間ずっと落ち着かない。でも、観終わると妙に納得できる。邦画ホラーとしてはかなり上質。(40代 男性)
映像のトーンが美しくも不気味。特に街全体が静まり返る中での死体蘇生シーンは、現実離れしていて鳥肌が立った。ストーリーは哲学的で難しい部分もあるけれど、「自分とは何か」を考えさせられる。終盤、主人公たちが“己の存在”と向き合う瞬間には胸が締め付けられた。アートとホラーの融合という印象。(30代 女性)
全体的に静かで淡々としているが、その静けさが逆に怖い。ドッペルゲンガーという題材を通して、人間の内なる業や欲望を暴くストーリーが深い。最後の「もう一人の自分を受け入れる」展開は、まるで救いのようでもあり、絶望のようでもある。独特のリズム感と映像美に惹き込まれた。邦画ならではの空気感が好き。(50代 男性)
原作ファンとして鑑賞。正直、原作の難解さを完全には再現できていないが、ビジュアル面での“死の美学”は見事。死と生、罪と贖いを対比させる演出が美しく、観る人によって解釈が変わる。特に終盤、ドッペルたちが人々の恐怖の象徴として描かれるシーンは圧巻。哲学的ホラーとしてかなり完成度が高い。(40代 女性)
邦画らしい“静の恐怖”が詰まった作品。派手な演出は少ないが、心理的に追い詰められていく感覚がたまらない。主人公が「死」と「自分の存在」に向き合う過程は、まるで内省的な旅のよう。恐怖と哀しみが同居しているのが魅力で、観た後にじんわりと怖さが残る。静かなホラーが好きな人にはおすすめ。(20代 男性)
ドッペルゲンガーというテーマを、ホラーではなく人間ドラマとして描いた点が新鮮。自分の“影”を受け入れられない人間の弱さやエゴが、観ていて胸に刺さる。後半で描かれる“真実”は救いにも呪いにも感じられる。映像も美しく、特に夜の光と闇のコントラストが印象的だった。考察好きにはたまらない一本。(30代 女性)
全体に漂う「死の静けさ」が印象的だった。ホラーというよりも幻想文学のような作品で、詩的なセリフも多い。物語は難解だが、キャラクターたちの表情や沈黙に意味が込められているのが分かる。最後の「生きること=他者と関わること」というメッセージに、どこか温かさを感じた。不思議な感動が残る映画。(50代 女性)
映画『アルカナ』を見た人におすすめの映画5選
告白(2010)
この映画を一言で表すと?
静かに心を蝕む、復讐と贖罪のヒューマンサスペンス。
どんな話?
中学校の女性教師が、娘を殺害した犯人が自分の教え子だと知り、冷徹な復讐を計画する物語。淡々とした語り口の中に狂気と悲しみが潜む。誰もが心に闇を抱えるというテーマが観る者に突き刺さる。
ここがおすすめ!
『アルカナ』と同じく、“人間の心の闇”を静かに掘り下げる作品。中島哲也監督の緻密な構成と美しい映像が融合し、怒り・罪・赦しといった感情が巧みに描かれている。観終わった後も心に深く残る心理ドラマ。
渇き。(2014)
この映画を一言で表すと?
愛と狂気が紙一重、破滅的な父娘のサイコスリラー。
どんな話?
失踪した娘を探す元刑事が、娘の裏の顔を知っていくうちに、自身も狂気に呑まれていく物語。暴力と欲望が渦巻く世界で描かれる“人間の醜さ”が衝撃的。
ここがおすすめ!
『アルカナ』の“精神の崩壊”や“二面性”というテーマをより激しく描いた作品。中島哲也監督ならではの映像美と暴力の融合が圧巻。観る人を選ぶが、魂をえぐられるような体験ができる一作。
予言(2004)
この映画を一言で表すと?
避けられない運命を前に、人間の無力さを描いたサスペンスホラー。
どんな話?
新聞に未来の事件が載る――そんな“死の予言新聞”をめぐる物語。事故で娘を失った男が、予言の謎を追ううちに、恐るべき真実に直面する。
ここがおすすめ!
『アルカナ』と同様、死と運命を哲学的に扱った作品。派手さよりも静かな恐怖と心理的絶望で魅せる。日本ホラー特有の「静けさの中の不安感」が際立つ名作サスペンス。
Another(2012)
この映画を一言で表すと?
“死”が連鎖する呪われた教室で、生徒たちが恐怖に立ち向かう。
どんな話?
あるクラスで、転入生の少年が出会った不思議な少女。彼女の存在を無視しようとするクラスメイトたち。そして始まる“連続死”の謎。現実と異界の境界が曖昧になる中、恐怖が加速していく。
ここがおすすめ!
『アルカナ』の“生と死の交錯”や“存在の曖昧さ”を共有する青春ホラー。美しい映像とミステリアスな演出が特徴で、恐怖よりも“宿命”を感じさせる不思議な余韻が残る。心理的ホラーが好きな人におすすめ。
リング(1998)
この映画を一言で表すと?
一度見たら終わり――日本ホラーの金字塔的呪いの物語。
どんな話?
「ビデオを見た者は7日後に死ぬ」という都市伝説を追う女性記者が、呪いの真相を解き明かしていく。だがその“真実”は想像を超える恐怖だった…。
ここがおすすめ!
『アルカナ』のように、超常現象の裏に“人間の罪と怨念”を見出す作品。心理的恐怖の演出と社会的テーマが融合し、単なるホラーを超えた深みを持つ。時代を超えて語り継がれる傑作ホラー映画。






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